東京に戻って理由もなく焦っています。
あんな保守的だった銀座の街もすっかり様相が変わっていました。
エルメスだのグッチだのセリーヌだのプラダだのやたらと外国ブランドの店が表通りに目立っています。
その逆に銀座らしからぬドラッグストアのチェーンストアも進出し、以前は新宿や渋谷などにしか見られなかったキャッチセールスの若者も堂々と闊歩しています。
街行く人も外国人がやたらと多くなりました。まるでニューヨークの五番街かパリのサントノレ通りのようです。
自分の魂はこんな所にいるべきではないという感覚です。銀座でも好んで裏路地の萎びた居酒屋に足が向いてしまいます。東京生まれの東京育ちなのに、人の多さには辟易してしまいます。
自分が何を焦っているのかよく分かりませんが、時代に取り残された感覚に近いのです。ワンセグも地デジもブルーレイディスクもi Podさえもついていけません。
テレビも見なくなったので、タレントと名前も一致しません。
おじさんの繰言にしか聞こえないかもしれませんが、大地にしっかり根付いて生活している北海道で出会った人たちの顔がしきりと思い浮かびます。
もちろん、牛さんや馬さんや羊さんたちもです。昔は田舎臭いと馬鹿にしていたのに随分変わったものです。満天の星、そぼ降る雪も懐かしい。まるでホームシックにかかったみたいです。