小樽
帯広の岩間定子さんからいい話を聞きました。
彼女は、帯広市内で福祉介護用品の企画や卸の仕事をしている人なのですが、昨年、彼女の発案で「いっチェアー」という、室内歩行器兼椅子を開発しました。高齢者や障害者が、家の中で移動する時に使う大変心の籠もった製品です。ある時は歩行器となり、ある時は椅子となり、ある時はちょっとしたものを運ぶワゴンになるという便利な代物です。
ちょうど1年前に「作品」は完成し、全国発売したのですが、この椅子を作った帯広市内の木工製作会社と、利益配分の面などで、ちょっとしたトラブルになってしまいました。1台3万8千円でしたが、製作会社の方は結局「採算が合わない」ということで降りてしまったのです。「作品」は注文制なので、全国からあった注文は宙に浮いた格好になってしまいました。
それから1年。彼女は一念発起して、札幌に製作会社を見つけて、この5月に「改良版」の製品を完成させたのです。野球のバットにも使われる北海道産のタモ材を使いましたが、製作コストの関係で、販売価格が昨年の倍近い1台7万3500円になってしまったのです。
それでも、昨年注文のあった人に連絡を取ったところ、沖縄と岡山などから5台も注文があったというのです。
実は私は、この件については、ちょっと関係しております。昨年、記事として取り上げていたのです。注文のあった人も私が書いた記事を読んでくださったらしく、その地元紙の切抜きを大事に取っておいてくださったそうです。
先日、岩間さんが新製品のカタログを送ってくれたので、その後の様子を電話で聞いたところ、上記の話をしてくれたのです。
でも、そのカタログを見て、何で「いっチェアー」というのか初めて知りました。「椅子チェアー」の訛ったものかと思っていたのですが「どこでもいっちゃえ~」で「いっチェアー」と名付けたそうです。
なあんだ。
でも、久しぶりに涙が出るようないい話を聞きました。