そもそもメディアとは「恣意的」なのでは?=食べログ訴訟で考えたこと

 グルメサイト「食べログ」による評価が不当に下げられて客足が減ったとして、焼き肉チェーンがサイトを運営する「カカクコム」に6億円余りの損害賠償などを求めた訴訟の判決が6月16日に東京地裁であり、林史高裁判長は「不当な不利益を与えており、優越的地位の乱用に当たる」と認め、カカクコム側に3840万円の支払いを命じました。

 食べログの掲載店舗数は約82万店舗(4月時点)、月間利用者数はで約8800万人(3月時点)だといいます(公式サイト)。そんな絶大なる影響力を持つ食べログが、運用しているアルゴリズムが恣意的過ぎるというわけです。

 このアルゴリズムとは何なのか?ー毎日新聞が「コンピューター上の評価点の算式」と一番分かりやすく説明していますが(他紙は、「計算手順」=朝日、読売、「計算手法」=日経、産経、東京、スポニチ、報知、「評価ルール」=時事通信など)、原告側の弁護士は「食べログは不正防止を理由にアルゴリズムを開示せず、ブラックボックスになっている。透明性と公平性を重視してほしい」と指摘しています。

 でも、このアルゴリズムこそ、企業機密です。企業機密を開示する会社はないでしょう。判決が不当だという被告側も、賠償額が少ないという原告側も控訴するといいますから、今後の裁判の行方が気になります。

銀座・シュラスコレストラン「アレグリア」

 私自身があまりグルメサイトの点数を参考にしないのは、最初から「恣意的」だと分かっているからです。「有料会員ならサイトの上位に掲載する」というのは誰でも知っている周知の事実ですし、グルメサイトだけでなく、世界最大の検索エンジンGoogleだって、有料企業がサイトの上位に掲載されるように配慮していると言われています。

 買いたい本を検索すると、必ずと言っていいくらい、Amazonがトップに来るので、「これは怪しいなあ」と私なんか睨んでいます。

 食べログもメディア(媒体)だとしたら、そもそも、メディアというものは恣意的なものです。「社会の木鐸」「公正中立の公器」を標榜する新聞だって、そうです。「是非もの」と隠語を使って、自分の新聞社が主催したり、出資したりしている映画や舞台、展覧会、コンサートは優先的に多くの紙面を使って派手に報道します。監督や主演俳優のインタビュー記事も掲載します。それでいて、他社主催のイベントは、取り上げなかったり、扱いが小さかったりします。

 雑誌となると、普通の読み物と見せかけて、バーター広告記事がふんだんに盛り込まれています。最初から「広告宣伝ありき」と言っても良いかもしれません。

 これらを「恣意的」と言わずとして何と言うんでしょうか?

銀座・シュラスコレストラン「アレグリア」ビーフプレート・ランチ1000円

 グルメサイトも同じようなものです。表向きは「お客様による評価を基準にしたアルゴリズムです」と主張しても、点数は、やはり、「会費を増額した」会員店舗には「特別な計らい」で甘く付けるのが人情であり、仁義というものです。仁義というと、どうも、グルメサイトの評価に関わる会費は、店から徴収する「みかじめ料」にさえ見えてきます。ネットになったとか、デジタル社会になったから、といっても、やってることは所詮、アナログ時代と変わらない気がしています。

 最終的には、消費者がもっと賢くなって、ネット情報に左右されないことが肝心ですが、まあ、無理でしょうね。既に、日本人は、テレビよりもスマホのアクセス平均時間が今年になって初めて上回ったというではありませんか。これは、テレビより、ネット情報の影響力が強くなったということを意味しますから。

 私の経験では、どんなに美味しいと言われている飲食店でも、シェフが代わったりすると味が落ちます。その逆を言えば、行きつけの店の味が変わったら、私は「シェフが代わったんだろうなあ」と判断します。それに、味覚は主観的なものであり、人それぞれです。点数化すること自体が怪しいと思っています。

東京・銀座「赤の広場」 目下、日本一の有名店

 「点数評価」は分かりやすいということは確かです。とはいえ、今回の訴訟を見るにつけ、デジタルプラットフォーマー、と舌を噛みそうな企業が独り勝ちする世の中にますますなってきたということなのでしょう。

 嫌な世の中になったものですが、せめて、消費者には、もっと賢くなって世の中のカラクリを知ってもらいたい。「皆さん、騙されないようにしてください」と忠告するしかありません。

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