ラジオで面白い話を聞きました。記憶を頼りに書くので、あやふやですが、いわゆる「日本学」を修めた著名なアメリカ人にドナルド・キーンさんや元駐日大使のライシャワーさんらがいますが、彼らがハーバード大学で日本語を学んだ教授がエリセーエフさんという亡命ロシア人だった、という話です。
エリセーエフさんという人は、ロシアでは代々続く有名な食料品店の御曹司でした。(この店はトルストイの小説にも登場します)
サンクトペテルブルク大学で日本語を学び、明治末の東京帝大に留学します。大金持ちですから、豪邸に住み、何人もの家庭教師を雇い、歌舞伎見物にも通い、日本語を完璧にマスターします。
夏目漱石、永井荷風、久保田万太郎といった文人だけでなく、明治天皇とも親交があったそうです。
4年間の留学生活を終えて、ロシアに帰国しますが、母国は革命の真っ只中。そこで、フィンランドを経由してパリに逃れ、そこで、米ハーバード大学の職を紹介されて、渡米したそうなのです。
そこで、前記の通り、キーンさんやライシャワーさんや「源氏物語」を翻訳したサイデンステッカーさんらを育てるわけです。
日本学の種子を蒔いたのがロシア人だったとは、意外でした。