ローマ
話題の映画「東京タワー、僕とオカンと時々オトン」を見てきました。
当初は見るつもりは全くありませんでした。何しろ、リリー・フランキーの原作は200万部の大ベストセラーらしいですし、既にテレビドラマ化され、舞台にもかかっている(いずれも見てましぇん)というのですから、大体の粗筋も、新聞の広告等で知っていました。まあ、半分はやっかみ、半分は敬遠で、「このブームが過ぎれば忘れ去られるでしょう」と静観の構えだったのです。
ところが、何の風の吹き回しか、今日は映画の日で、普段より安く見られます。想定していた映画が、時間帯が合わなくて、「ま、いいか」といった軽い気持ちで見ることにしたのです。正直、流行に乗り遅れてしまうという危機感もありましたが…。
しかし、本編が始まった途端、私自身はもうスクリーンの中にいました。また、懐かしい昭和三十年代を舞台にした物語が始まったからです。私もスクリーンの中の子供と同時進行で成長して、オダギリジョーになっていました。見ていない人には分からないかもしれませんが、オダギリジョーは、主人公のマー君役です。
半ばから、涙、涙で、スクリーンが霞んでしようがなかったのです。「たかが三文芝居、騙されないぞ」と思っても駄目でした。俳優陣の自然の演技には脱帽しました。オカンの若い時代が、現在のオカン役の樹木希林にそっくりな女優で、「随分、スタッフは、そっくりさんを見つけてくるものだなあ」と関心していたのですが、若きオカン役は、樹木の実の娘の内田也哉子だったのですね。内田の父親はロックンローラー内田裕也ですから、「自由人」のオトンにそっくりです。本当にはまり役でした。
映画館は、いわゆるシネコンで、「スパイダーマン」だの「バベル」などは満員のようでしたが、「東京タワー」は結構空いていました。両隣に誰もいなかったので、思い切り泣くことができました。
何と言っても、九州弁がよかとですたい。