カラヴァッジョ
吉原勇氏の「特命転勤 毎日新聞を救え!」には、とんでもないことが書かれています。「何で、話題にならないのかなあ」と思ったのですが、このような新聞社というメディアが絡んだスキャンダルは、どこのマスコミでも書評として、取り上げにくいという事情があるのでしょう。すべてを目にしているわけではありません、三月に出版されたこの本を取り上げた新聞は今のところ皆無なのではないでしょうか。テレビは、くだらないバラエティー番組が中心ですから、取り上げる番組の枠がない。期待する出版ジャーナリズムも元気がない、といったところでしょうか。
この本の「第四章 自民党総裁選と五億円の謎」に、とんでもないことが実名で書かれています。同書は、毎日新聞の大阪本社の土地を巡っての、国有地払い下げの裏工作などを生々しく語っていますが、その過程で、工作資金が廻りに廻って、一国の総理大臣の椅子が金で買われた主旨のことが書かれているのです。
1987年10月20日の自民党総裁選。この選挙で、竹下登幹事長、安倍晋太郎総務会長、宮澤喜一大蔵相の3人が立候補しますが、前日になって、3人は立候補を辞退して、中曽根康弘首相の裁定に委ねます。中曽根首相は、世間の予想に反して、竹下氏を指名。かくして、竹下氏の総理就任が決まったのですが、この裏で、五億円もの大金が竹下氏から中曽根氏が新設するシンクタンク「世界平和研究所」に寄付の形で流れたというのです。
この五億円は、どこから来たのかというと、国有地払い下げ問題で工作していた毎日新聞社の山内社長が、毎日新聞のOBで、山内社長の同期でもある安倍総務会長に「謝礼金」として渡したものだったというのです。この五億円は、安倍総務会長から、大蔵官僚に睨みが利く竹下幹事長にそのまま渡って、毎日新聞の国有地払い下げを実現させる政治決着金に使われたというのです。
つまり、五億円の大金の流れは、毎日新聞 ⇒ 安倍 ⇒ 竹下 ⇒ 中曽根 ということになります。
安倍総務会長は、現首相の父親ですし、一大スキャンダルなのに、何で、話題にならないのでしょうかね?
特命転勤 毎日新聞を救え!/吉原勇
特命転勤 毎日新聞を救え!/吉原勇
毎日新聞は読売・朝日に次ぐ全国紙ですが、部数ではこの2強に大きく水をあけられています。
そして新聞業界そのものが、インターネットに押されて斜陽産業となる日は近いと言われています