先日放送されたNHKスペシャルの混迷の世紀シリーズ 「台頭する”第3極”インドの衝撃を追う」はタイトル通り、実に衝撃的でした。
一人っ子政策の弊害?から早くも少子高齢化社会に突入した中国を追い抜いて、インドは今年(2023年)、世界一の人口大国(14億2800万人)に躍り出たといいいます。そんなインドの台頭が緻密に描かれていました。
何しろ、4年後の2027年には、インドはドイツ、日本を抜いて世界第3位の経済大国になると言われているのです。その背景のメリットとして平均年齢27.9歳という若さがあります。若さは高度経済成長の要です。中国の平均年齢は38.5歳、日本ともなると48.7歳ですから、どんなに頑張っても(老人をこき使う手もありますが)この予想は覆されないことでしょう。
インド発展のバックグラウンドには、IT技術の強みがあります。インド人はゼロを発見した民族ですから、古代から数学に強い民族です。仏教のお経にも「阿僧祇(あそうぎ)」「那由多(なゆた)」など、とてつもない桁数の数字が出てきます。弥勒如来も、釈迦入滅から56億7000万年後に出現すると言われています。現代人が今、普通に使っている1、2、3…といった数字は「アラビア数字」と言われていますが、実は、インド数字の表記がアラブ世界に取り入れられ、欧州人は中世にアラブ世界からそれらの数字を輸入したのでアラビア数字と呼んだだけで、事実はインド数字だったといいます。
インド人は数学やITに強いので、米国Googleの社長サンダー・ピチャイ氏も、アドビの会長、社長兼CEOでシャンタヌ・ナラヤン氏らもインド系米国人です。インド系が世界のIT業界を制覇しているといっても過言ではないかもしれません。
番組では、そんなIT技術の強みを生かして、モディ首相がインド国内だけでなく、エチオピアやフィリピンなどグローバルサウスと呼ばれている国々に対してもデジタルインフラを推し進めている有り様を追っていました。デジタルインフラには、個人のIDが生体認証システムとドッキングし、銀行口座にも紐づけされ、決算が飛躍的に便利になるメリットがあります。その半面、個人情報が何処まで守秘されるのか疑問符が付き、政権が変わって、独裁者が出現すれば、国民を奴隷のように意のままに扱うことが出来る危険性もあるわけです。
今の日本のマイナーカードでさえ、トラブルが頻発しているわけですから、この個人IDシステムがインド国内はともかく、海外で何処まで伸びるのか、まだ誰も分かりません。
インドは長い間、英国による植民地支配を受けて苦しんできた国です。そのため、デジタル技術も欧米に奪われて支配されたくないといった高邁な精神から、IT技術を促進していったといいます。つまり、インドによるグローバル・スタンダードの構築です。インドは、グローバルサウスの最貧国にはIT技術を無償で提供すると言われています。
ただし、インドはヒンズー教を国教とし、いまだにカースト制度が残存していると言われます。番組では、モディ政権による少数民族やイスラム教徒に対する弾圧も描写していました。カースト制の最下層に多いと言われる少数の仏教徒も弾圧されているのかもしれません。ウイグル族らを弾圧している中国と同じことをしておきながら、欧米社会は、批判せずにインドを受け入れるという矛盾した態度を取っているわけです。
国際社会というものは、うわべでは握手してニコニコしながら、水面下では足の蹴り合いをして覇権を争っている社会と言えるのかもしれません。
【追記】
本日7月18日、銀座の会社に出勤して、無事、誕生日を迎えることが出来ました。Facebookを停止したのにも関わらず、(私から見て)多くの皆様からお祝いのメッセージを頂きました。この場も序でにお借りして御礼申し上げます。
有難う御座いました。
誕生日が過ぎれば、精神的にも落ち着くことでしょう(笑)。