クリント・イーストウッド監督作品「15時17分、パリ行き」をロードショーで観てきました。
実は、この映画、某新聞の映画評で「途中で中だるみする」と書かれていたため、今年のアカデミー賞で最多部門でノミネートされている「シェイプ・オブ・ウォーター」にしようかな、と迷いましたが、「作り物の半魚人よりも実話の方がいいか」と思い、こちらにしたわけです。
正解でした。
2015年8月21日にアムステルダムからパリへ向かう高速列車の中で、銃で武装したイスラム過激派の男による無差別殺傷未遂事件を材に取った映画です。実は、この頃、私自身は入院中で、ほとんど黄泉の国に行っている状態でしたので、この事件については、実話と言っても、全く知りませんでした。未遂に終わったので、日本のマスコミも大きく取り扱わなかったのかもしれません。
事件の遭った列車にたまたま乗り合わせていたのが、米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトスとその友人である青年アンソニー・サドラー3人で、男を取り押さえて、忽ちヒーローになるのです。
驚くことに、イーストウッド監督は、この3人の俳優にご本人を起用したというのです。しかも、この3人は、俳優でもないのに、プロの役者以上の自然の演技なのです。本人たちが体験したことをまた繰り返し演じているわけですから、自然になるのは当たり前かもしれませんが、男優賞をあげたいくらいの演技なのです。
彼らは、ローマやベニスやベルリンなどを旅行しますが、そこに登場する無数の観光客も、恐らく、エキストラでしょう。1本の映画を作るのに、本当に多くの人間が関わり、大変だなあ、と思いました。
映画では、彼ら3人が、仲良くなった小学生の時の場面が差し挟まれます。それが、2005年なんですからね。私から見れば、2005年はつい昨日のように思えますが、当時、小学生だった子どもが、成長して軍隊に入り、欧州旅行中に事件に遭遇して大手柄を立てるんですから、まるで映画の出来事のようです。
最後は、本物のオランド仏大統領(当時)も出演していて、これは、恐らく、テレビ報道のフィルムとうまく画像調整してコンピュータではめ込んだようです。フランスからレジョン・ドヌール章を叙勲されるのも、「出演者」である彼ら自身ですから、なんか、映画なのか、合成フィルムなのか、区別がつかなくなってしまいました。
オランド大統領は、かなりゆっくりとした発音だったので、字幕を見なくても、フランス語が理解しやすかったですねえ。
3人のアメリカ人はどうもフランス嫌いで、いかにもハリウッドらしいハッピーエンドとアメリカ万歳的な鼻に付く覇権主義も感じましたけど、オランド大統領による叙勲シーンには思わず感極まってしまいました。
それに、登場する女優さんは、名前は知りませんけど(笑)、映画だからでしょう、みーんな、洗練された聡明そうな美女ばかり!
なので、満点!
ぜひ、これは、観てみたいですね。映画は、もう何年観ていないんだろう。。