福田財務次官盛衰記

仁和寺のみほとけ

位官極めた大臣君(おとどぎみ)の中には、極めて特殊な趣味趣向をお持ちの方が多いようです。

平気で嘘をつくことが大好きで、手を縛ってとか、縛りたいとか、常人にはとても理解を越える言動が口からポンポン飛び出します。

今、同時進行形で進んでいる「狂言 与話情福田横櫛(よわなさけふくだのよこぐし)」は、守田座、春木座、新富座と江戸市中で同時にかかり、何処の芝居小屋も満員御礼の札止めとか聞いております。

58歳の酒色家として市中に名を馳せる老中首座福田財務守(湘南高校〜東大法卒。佐川前幕税守とは1982年入省の同期)は、桜田門の井伊藩邸で、老中首座の地位を辞任する旨を昨晩、酉刻に発表しましたが、あくまでも「幕政が混乱して、業務遂行が困難になったため」という理由で、出入りの業者の瓦版女くノ一への迷惑行為については、「記憶にございません」と否定しました。同時に、南町奉行所の大岡越前守に訴えると息巻きました。

ところが、未明の子刻になって、勧進元の電気紙芝居「旭」の瓦版局長が、緊急記者会見をしまして、「迷惑行為を受けたのは、弊社の社員」だと発表しました。

こりゃ、てーへんだ、ということで、頼母子講仲間が翌朝、福田財務守の目黒の自邸にまで押し掛けて、認否確認に馳せ参じましたが、福田財務守は、駕籠に乗り込む前に「俺はやってない。南町奉行所で会おう」と大声で怒鳴って、執務室のある霞ケ関に向かいました。

というのが、たった今の時点での、物語の展開ですが、これから先どうなるのか、ハラハラドキドキ、どんな偉い脚本家も小説家も想像もつかない話で、こりゃ、江戸市中の庶民も皆注目し、電気紙芝居に釘付けになるはずです。

権力を持った人間による迷惑行為は、古今東西、千差万別、種々雑多、とにかく色々起きたものです。電気紙芝居の時代から手の平サイズの情報網時代になっても、内実、真相はそう大したことは変わらず、最後は「驕れる者は久しからず」というオチで終わるのではないでしょうか。

そうでなきゃ、江戸庶民は納得しませんよ、ねえ、銭形の旦那。

“福田財務次官盛衰記” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

旧《溪流斎日乗》 depuis 2005 をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む