「拡散」をお願いしているクラシック・コンサート

アルハンブラ宮殿

私の音楽遍歴ですが、子どもの頃はよく歌謡曲を聴いていました。城卓矢の「骨まで愛して」なんか好きでしたね(笑)。

10代からバンド遊びをやり始めたので、20代まで専らロックです。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、クリーム、レッド・ツェッペリン、クイーン、ポリスなど主にブリティッシュ・ロックを聴いてました。

アルハンブラ宮殿

30代になると、一転してクラシックばかり聴いてました。特に、バッハ、ベートーベン、ブラームスの「三大B」とモーツァルト、マーラー、それにドビュッシー辺りをよく聴きました。エンターテインメントというより、教養として、モーツァルト以外はしかめっ面しながら聴いてました(笑)。

40代になると、専ら、ジャズやボサノヴァです。王道のマイルス・デイビスとコルトレーンにはまり、ピアノはビル・エバンスとウインストン・ケリー、ギターはウエス・モンゴメリー、ボーカルはヘレン・メリルとチェット・ベイカーの「遅れてきたファン」になりました。

ボサノヴァのアントニオ・カルロス・ジョビンは、レノン=マッカートニーと並ぶ作曲家でしょう。ジョアン・ジルベルトも最高です。

とにかく、レコードやCDを買いまくりました。

アルハンブラ宮殿

で、今、自宅の特別オーディオルームという名のラジカセで、モーツァルトの交響曲第29番を聴きながら、このブログを書いております。

この曲は、意外と知られていませんが名曲です。1774年、モーツァルトが18歳の時に作曲した傑作です。さすが大天才です。この曲は、随分前から自分の頭の中でよく回っているのに、どうしてもタイトルが思い出せず、「何だっけ?何だっけ?室内楽だっけ?ディベルティメントだったっけ?」などと数週間、膨大なレコードコレクションの前で頭を悩ませておりました。

そしたら、やっと、色々と自分のコレクションを視聴して、「交響曲29番」だということが分かったのです。演奏は、カラヤン指揮、ベルリンフィル。

ルハンブラ宮殿 後宮のお風呂だとか

そして、昨日、ユーチューブでこのモーツァルトの交響曲29番を検索してみたら、カール・ベーム指揮ウイーンフィルの動画が出てきたので、聴いてみましたら、実に演奏が遅い、遅い(笑)。よく「疾走するモーツァルト」と音楽評論家たちは表現しますが、鈍足、牛足そのもの。まるで別の曲に聴こえてしまいました(笑)。

しかし、こんな名曲なのに、カール・ベームのユーチューブの視聴回数はわずか2900回程度。今、世界で最も売れていると言われながら、私はよく知らない(笑)アリアナ・グランデの「ブレイク・フリー」という曲なんか、現在、9億6000万回も視聴されているではありませんか!残念ながら、クラシックって、世界的にはマイナーな音楽なんだなあと痛感してしまいました。

それを証明する「事案」がありました。

アルハンブラ宮殿

私自身、最近は、昔のようにほとんど全くクラシックのコンサート会場に足を運びませんが、噂によると、このごろは会場に行くとパンフレットが配られ、そこには「聴衆の皆様へのお願い」として「どうか、この公演の内容やご感想をフェイスブックやツイッターなどのSNSでアップしてください」などと書かれているそうですね。

つまり、大手メディアや音楽雑誌だけでは、クラシックファンを獲得することができないので、お客さんにまで宣撫活動の協力を求めているわけです。

著作権がありますので、音声や動画まで拡散するよう要請しているかどうか分かりませんが、今やインスタグラムやユーチューブが大流行ですから、主催者やプロモーターやクラシックの演奏家としては、猫の手も借りたいほど切羽詰まっているということなんでしょうね。

それにしても、時代は変わったものです。

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