「告発のとき」★★★

  いいご身分なので、平日の朝から映画を見てきました。

 

「クラッシュ」や「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー賞を受賞したポール・ハギス監督作品「告発のとき」です。トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン主演。

 

イラク帰還兵の息子マイクが、脱走兵(AWOL=Absent Without Official Leave)http://en.wikipedia.org/wiki/AWOL#Absent_Without_.28Official.29_Leaveになったという知らせを受けた元米軍憲兵軍曹のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)が、真相を探るべく軍の基地に出かけ、驚愕の事実をつかむ話です。シャーリーズ・セロンは地元警察の女性刑事エミリー役で、軍警察と地元警察との間で所轄をめぐって微妙な駆け引きも見どころです。

 

いまだ現在進行形のイラク戦争をこういった形で取り上げるとは、「自由の国」アメリカも大したものです。

 

ただし、原題は、In the valley of Elah (エラの谷で)http://en.wikipedia.org/wiki/Valley_of_Elahなんですね。これは、旧約聖書サムエル記第17章に出てきます。後のイスラエル王になる若きダビデがペリシテ軍の戦士ゴリアトhttp://en.wikipedia.org/wiki/Goliathと戦った所です。

ハンクがエミリーの子供に寝しなに語って聞かせる話として、このダビデとゴリアトが急に出てきますが、全体のストーリーとはさほど関係がなく、異様に唐突で、旧約聖書に精通していない日本人の一人として、よく分かりませんでした。やはり、ハリウッド資本が関係しているのではないか、と勘ぐりたくなってしまいました。

 

でも、アメリカ人は子供の時から、この物語は聞かされ、教科書にでも取り上げられているのではないのでしょうか。ですから、「エラの谷で」http://en.wikipedia.org/wiki/In_the_Valley_of_Elahというタイトルを見ただけで、中身を想像できるのでしょうね。

それにしても、アメリカという国は、第二次世界大戦が終わっても、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争…と戦争のない時代がほとんどなく、まるで戦争が国家システムの中に必然的に組み込まれているかのように見えてしまいます。