人類は疫病との闘いの歴史だった

 ブログを毎日書き続けていくことは結構大変なもので、昨日は予告もなく休んでしまいました。強烈なネタがないのと、金曜日なので、毎日都心まで出勤している疲れが出てしまったからでした。勿論、「こんなことをブログで書いたらヤバイ」という自己検閲もあったことも告白しておきます(笑)。

 一昨日のように、篤信家の入江さんが写真を送ってくださったように、読者の皆さんからネタを提供してくだされば助かるんですけどね…。大歓迎です。えっ? 渓流斎から下手にいじられたくない?

 ハハハハ、これは一本取られました(笑)。

ネタ探しに苦しむリーリー Copyright par Syakusyodou

 新型コロナウイルスの感染拡大は止まりません。緊急事態宣言が発令された今年4月より感染者や重症者は遥かに多いのに、菅義偉首相は、相変わらず、「Go to キャンペーン」の一時中断など、「考えていない」とか。

 政府の感染症対策分科会(尾身茂会長)が、キャンペーンの一時停止を全会一致で求めても、菅さんは聞く耳を持たないんですからね。日本学術会議で、気に入らない学者の任命を拒否するぐらいですから、根本的に学者の言うことは聞かない人なのかもしれません。あ、これは、昨日は自己検閲して書かないことにしたことでした(苦笑)。

銀座日向

 さて、私は歴史好きですから、歴史に学ぶことが多いです。今、現代人は世界的に新型コロナの「流行り病」に悩まされていますが、人類の歴史は、まさに、こういった「流行り病」との闘いと言っても過言ではないかもしれません。

 例えば、大宝律令を編纂し、「日本書紀」を編纂した中心人物で、まさに日本の古代をつくった藤原不比等。その子息である藤原四兄弟(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)は、奈良天平時代、政権の中枢にいながら全員、当時の流行り病で亡くなってしまいます。史料に明記されていませんが、死因は天然痘だったと言われます。

 平安時代の陰陽師、安倍晴明が一条天皇や藤原道長らに重用されるようになったのは、疫病を退治する呪術師として活用されたことがきっかけらしいのです。疫病とは、赤痢や咳逆(がいぎゃく)と言われた今のインフルエンザが多かったようです。

 いずれも、古代に電子顕微鏡があるわけがなく、疫病は目に見えないものですから、当時の人は、訳も分からず、予防法も分からず、マスクもなく、恐れ慄くばかりだったと思います。となると、何とかして疫病の正体を具現化したいと思うのが人の常です。その一つが「鬼」だったというのです。

 先日、テレビの番組で、京都府北部の大江山の鬼退治伝説を特集していました。室町時代に成立したと言われるこの物語は、飛鳥時代、聖徳太子の弟に当たる麿子親王による鬼退治や平安時代中期の武将源頼光による鬼の王・酒呑童子討伐といった伝説が出てきましたが、これら鬼とはどうやら疫病のメタファー(隠喩)だったというのです。これには「へー、そうでしたか」と感心してしまいました。ある寺院では、鬼退治の絵を「秘画」として、御開帳の時に、説教しながら信者や檀家や門徒らに見せて、喜捨も募ったという話もやっていたので、「さすが」と唸ってしまいました。

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 話は凄く飛びますが、インドには身分制度であるカースト制度があります。私自身、仏教思想に興味があるので、ちょっとこのカースト制度を調べてみたら、カーストというのはポルトガル語のカスト(身分)から来た言葉で、インドではヴァルナ(四種姓)と言うんですね。

 この四種のヴァルナは、皆さん御存知のように、バラモン=婆羅門(司祭、支配者階級)、クシャトリヤ=刹帝利(せつていり=武士、貴族階級)、ヴァイシャ=吠舎(農民、職人、庶民階級)、シュードラ=首陀羅(隷属民階級)のことです。さらに、この下に不可触民階級があります。現在のインド憲法ではカースト制度による差別は禁止されていますが、制度そのものが廃止されたわけではなく、いまだにインド社会ではその影響が根強く残っています。

 カースト制度は、紀元前1500年ごろ、アーリヤ人による侵略により南部のドラヴィダ人(インダス文明を築いたと言われる。現代はタミール人がその子孫とも言われている)を征服したことにより始まったといわれます。アーリア人が唱えたバラモン教(古代ヒンドゥー教)により、征服民であるアーリア人が上位3位のバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャを独占し、ドラヴィダ人は奴隷のシュードラ階級に甘んじさせられたわけです。

 このカーストの身分制度に異議を唱えて、平等主義の宗教を確立したのが紀元前500年頃の釈迦(王侯のクシャトリヤだったという)の仏教ですが、インドではどういうわけか、仏教は衰退してしまいます。今のインドはカースト制度を色濃く残したヒンドゥー教信者が多数を占めています。仏教復活を願って信者も増えていますが、彼らはかつて、シュードラや不可触民と呼ばれた人たちが多いといいます。

 とにかく、紀元前1500年のアーリア人が何で身分制度をつくったのか長らく疑問を持っていましたが、どうやらこれも疫病と関係しているらしいのです。この疫病はコレラなどの風土病だと思われますが、ドラヴィダ人には既に免疫を持っていましたが、征服者のアーリア人には免疫がなく多くの人が死んでいきました。そこで、支配者が、被征服民との接触を極力避けるために身分制度をつくったという説があるというのです。

 これまた疫病と関係があるとは、「へー」と思ってしまいました。