東京五輪、本当に開催ですか?=緊急事態宣言下で

 日本国政府は、7月12日(月)から8月22日(日)まで東京都に緊急事態宣言を発令するというのに、東京五輪は開催ですか…。子どもたちの運動会や修学旅行、それに祇園祭(山鉾巡行)、花火大会、ロックフェスティバルまで中止に追い込まれているというのに、オリンピックならいいんですか?矛盾していますね。一番喜んでいるのは、来日中のIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長でしょうね。

 68歳。ドイツ人ですが、大作曲家バッハとは関係なさそうな「ぼったくり男爵」(”Baron von Ripper-off” by The Washington Post)。1976年のモントリオール五輪フェンシング・フルーレ団体で、西ドイツ(当時)代表として金メダルを獲得した輝かしい経歴があります。文武両道で、本職は弁護士ということなので、弁が立つのは当たり前だったんすね。

 結局、「無観客」で開催されるようですが、IOCにとっては、テレビ放送さえしてくれれば、莫大な放送権料が入ってくるので、痛くも痒くもないんですよね。放送する米NBCだって、スポンサー収入さえ入ればいいわけですから、「過去最高の売り上げ」(ジェフ・シェル最高経営責任者)と万々歳です。それに、「無観客」とは言いながら、スポンサー様に対しては「どうぞ、どうぞ」です。特等席にご招待です。スポンサーだって、「金を払ってるんだから当然の権利」とコロナ禍なんて何処に吹く風?

 結局、オリンピックなんて、スポンサーの、スポンサーによる、スポンサーのためのものだということが、はっきり暴露されました。これでは、古代ローマのコロッセオでの剣闘士の闘い見物と変わらないじゃありませんか。

 そして一番馬鹿を見たのが、開催都市東京であり、政府であり、行きつくところは、日本国民です。無観客なら入場料収入900億円がそっくり入ってこなくなったからです。元々、入場料収入は、IOCにではなく、開催都市の懐に入るはずだったのですが、これがないとなると完璧に赤字です。大きな借金をしてIOC貴族のために立派な五輪用の競技施設を作ってあげて、開催してあげるなんて日本人も大したもんです。そのツケは全て国民の血税として回ってくることでしょう。

 それに、海外から9万人前後の選手団がやってくるわけですから、アルファ型か、デルタ型か知りませんが、感染拡大は必至でしょう。欧米人も「遠く離れた日本開催ならいいかぁ」てな感じです。五輪会場は、人体実験場じゃないんですよ!(福島など4県は有観客だとか)

 所詮、東京五輪なんぞ「捕らぬ狸の皮算用」だったわけです。緊急事態宣言でお酒の提供ができないので、都内の居酒屋の中には五輪期間中でも休業するという店舗もあるようです。勿論、100年に1度のパンデミック襲来を誰にも予想できなかったことですから、保険にも入っていなかったことでしょう。「骨折り損のくたびれ儲け」で終わりそうです。

築地・料亭「わのふ」

 それにしても、日本政府の右往左往ぶりには呆れます。菅首相による緊急事態宣言の記者会見も、以前なら、NHKの7時のニュースに合わせて、金曜日の夜7時に発表していたのに、「それだったら、『チコちゃんに叱られる!』が飛んで、いつも放送が見られなくなる」との国民の声に菅首相は耳を傾けたのか、前回から木曜日の夜7時から発表するようになった、というのは勘繰り過ぎでしょうか?

 「チコちゃんに叱られたくないから、記者会見の日を変えた首相」なんて言われたら格好つかないし、笑われますからね。

 世界に誇る東京・銀座の街並みを歩いても、オリンピック開催という興奮と祝祭ムードが全くありません。大借金を背負うことになった庶民は、カラクリを知っても、啻々、泣き寝入りするしかないんでしょうか?

 でも、スポンサー様も、五輪開催後に確実に襲ってくる大不況(1964年東京五輪の翌年は証券不況が勃発)によって消費が減ったり、控えたりされるので、大きなしっぺ返しを喰うことになるでしょう。

 いずれも他人事じゃないってことです。