歴史は学び直しが必要=「キーパーソンと時代の流れで一気にわかる鎌倉・室町時代」

 相変わらず、鎌倉幕府と中世史にハマっています。

 というのも、結構、関連書籍を衝動買いしてしまい、積読状態になっていたからです(苦笑)。

 この本は中身を見ずに、タイトルと、監修が今は時めく東大史料編纂所の本郷和人教授ということで、信頼してネットで買ってしまいました。

 でも、買ってすぐ後悔してしまいました。どぎついイラストで、どう見ても、お子ちゃま向けで、大人が電車の中で読むには恥ずかしくて憚れるほどでした。

 11ページに「1392年 足利尊氏が幕府の最盛期を築き、ついに南北朝合一」と大きな活字で出てきますが、これは明らかに足利尊氏ではなく、足利義満の間違いでしょう。尊氏は1358年に53歳で亡くなっていますからあり得ません。こんな間違いを碩学の本郷大先生が見抜けないわけがなく、恐らく、名前を貸しただけで、この本を読んでいないんだろうなあ、と思われます。これで、「監修」というのは、本を売るための手段だということが分かります。間違っているかもしれませんけど。

 でも、全体的に、教科書のようにツボを押さえた記述で、年表や地図や系図などが盛り込まれていますので、大変分かりやすいです。私自身は、何故、鎌倉幕府が滅んだのかその理由が知りたかったのですが、腑に落ちる解説をしてくれました。

 元寇では、御家人だけでなく、非御家人まで全国から動員されました。しかし、元の連中を神風で?追い払っても、幕府には恩賞として与える所領があるわけではなく、次第に御家人たちの不満が執権の北条氏に向けられます。それに呼応して、権力奪回を図る後醍醐天皇が不満武士をたきつけて、倒幕運動に邁進し、ついに、足利高氏・新田義貞軍が幕府を滅ぼします。結局は、経済問題だったということが分かりました。

 最初にイチャモンを付けましたけど、この本はよく出来ています。私の高校時代の教科書ではほとんど取り上げられなかった、というか、私の世代では習わなかった「平禅門の乱」(1293年)や「中先代の乱」(1335年)、「観応の擾乱」(1350年)などにも触れらています。

 また、我々の世代は、源頼朝の挙兵から平氏の滅亡まで、「源平合戦」「源平の争乱」などと習っていましたが、最近では「治承・寿永の乱」と呼ぶらしいですね。源氏対平氏の単純の構図ではなく、例えば、頼朝の下に馳せ参じた千葉氏も上総氏も畠山氏も三浦氏も坂東平氏だったからです。

 もう言わずもがなですが、鎌倉幕府の成立が、頼朝が征夷大将軍に任命された1192年ではなく、守護・地頭が設置された1185年の方が今の多くの教科書で採用されているといいます。

 それに、戦前は、天皇中心の国家主義の高まりの中、南北朝時代の「南朝」が正統であり、「楠木正成が忠臣で、足利尊氏は逆賊」と教科書で教えられました。(戦後は、南朝正統論の支配から解放され、足利尊氏も客観的に評価されるようになりました。)

 やはり、歴史は学び直さなければいけませんね。