本当に懐かしいサン=サーンスと「アルルの女」

 本日の読売新聞を読んでいたら、空木慈園著「サン=サーンスをもう一度」という本の広告が目に入って来ました。大変失礼ながら、この本に興味を持ったわけではなく、「サン=サーンス」の名前です。本当に懐かしい。

 今でこそ、ほとんど聴かなくなりましたが、もう半世紀以上も昔の私が小学生時代、毎日のように聴いたものです。東京郊外の小学6年生。当時、私は、代表児童委員会委員長兼放送部の部長で、お昼に2、3人と一緒にレコードを掛ける「係り」を仰せつかっていました。この時、曲を紹介するDJ役もです。放送室に給食を運んで、曲の合間に食事しますが、当時は「特権」のような感じで嬉々として楽しんだものでした。

 曲は、演歌や流行歌やジャズやロックは御法度でした(笑)。やはり、子どもの情操教育に相応しいクラシックです。その中でも、ベートーヴェンやマーラーやシュトックハウゼンのようなちょっと肩肘を張って聴くような曲ではなく、レストランのBGMのような小品です。その代表が、サン=サーンスだったのです。

 「初めにお聞かせするレコードは、サン=サーンスの『白鳥』です」

 サン=サーンスと言えば、「白鳥」。この曲を何度掛けたことでしょうか。

 他に、覚えているのは、レハールのワルツ「金と銀」、そしてエルガーの「愛のあいさつ」(チェロ演奏)、ヨハン・シュトラウス「美しき青きドナウ」、グリーク「ペールギュント」組曲「朝」…。これらも毎日のように掛けていました。今では、YouTubeで検索すれば、簡単に聴くことができますね。今の小学生諸君は、どうしているのでしょうか? やはり、ダウンロードした曲をそのまま流したりしているのかなあ?

東京・一ツ橋

  そう言えば、思い出しました。下校時刻になると、放送部員は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」のラルゴ(家路)を掛けるのも仕事でした。

 「下校時刻になりました。用のない生徒は早く家に帰りましょう」

 それでも、帰らない生徒に対しては、

 「運動場の鉄棒近くでおしゃべりしている生徒、早く家に帰りましょう」

 などと、偉そうに注意したものです。

 私の通った小学校は廃校となり、今では影も形もありません。こうして、思い出だけが残っています。

東京・一ツ橋

【追記】

 あんりまー。下校時に掛けた音楽を「ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』のラルゴ(家路)」と書きましたが、大間違いでした。これは、中学校の時の下校音楽でした!

 では、小学校の時の下校音楽は何だったのか?思い出したら、メロディーが浮かんで来ました。でも、曲名が分かりません。そこで、小学校時代の同級生Gさんに聞いてみました。私が下手なピアノでメロディーを演奏して聴いてもらいました。しかしながら、彼女も思い出せません。

 最後の手段。スマホで「クラシック、フルート、名曲」で検索してみました。その通り、フルートの名曲だったからです。そしたら、何曲か候補が出てきましたが、そのリストの中で直ぐピンと来て、やっと思い出しました。

 ビゼーの「アルルの女」組曲の「メヌエット」でした。

 サン=サーンスよりもこっちの方が胸に沁み渡り、涙が出るほど懐かしくなりました。

 音楽は童心にかえらせてくれます。