スマホ中毒には白黒設定を

スペイン南部ミハス

NHKラジオの杉田敏先生の「実践ビジネス英語」はもう何年も何十年もお世話になっておりますが、先週と今週は「スマホ依存症」を特集しています。

今日25日の放送では、「調査によると、大人は1日に平均80回余り、自分の携帯をチェックしています」とあり、これには吃驚してしまいました。

米国の企業が舞台での会話なので、「大人」とは米国人のことなのかもしれませんが、1日80回とは、多いですね。単純計算してみますと、1日、睡眠時間8時間を除いた活動時間を16時間としますと、1時間に5回はチェックしていることになります。となると、12分に1回チェックしているということになります(笑)。

電車内では、ほとんどの人がスマホを見てますからね。新聞を読んでいる人は、絶滅危惧種です。

私も1時間に1~2回ぐらいチェックしてますから、間違いなく「スマホ依存症」、もしくは「スマホ中毒」、または「スマ中」(何か島忠家具センターの略か、どこかの中学校の略称みたいで、この言葉は流行らないでしょうが=笑)です。

スペイン南部ミハス

最後の方で、スマホ依存症からの解決策として、スマホの画面を「グレースケール」に設定することを勧めておりました。初めて聞くことなので、何のことかと思ったら、グレースケールを設定すると、画面が白黒になるというのです。執筆者の杉田先生も試してみたら「驚くほど効果的だった」と「あとがき」に書いておりました。

ただ、「色彩の消えたスクリーンのスマホは、単なる実用的なツールに過ぎなくなり、非常に退屈で、使う意欲がかなり減退します。あまりにも退屈なので、私はやはり元に戻してしまいました」と告白しておりました。

私自身、ほんの1週間程度でしたが、9月にスペイン旅行した際は、スマホはカメラとしか使わず、画面チェックしなかったので、スマホ中毒は治りましたが、帰国したら元の木阿弥です。

この際、私もグレースケールにしてみようかと思いましたら、スマホが古い機種なので、その機能が付いていませんでした。

オー!ノー!

1929年の大暴落と大恐慌からの教訓…

スペイン南部ミハス

長屋の八つあん ご隠居さま、お暇なところ、お邪魔します。

ご隠居さま おお、ハチ公か。お暇とはいい挨拶だな。ま、上がれ。今日は何の用だ。

ハチ公 ま、聞いてください。最近、アメリカの大恐慌とやらに興味を持ってるんですがねえ。でも、阿部老中が勧める讀賣新聞を読んでもさっぱり分からねえ。ご隠居さま、簡単に教えてくれやしまいかと思いましてね。

ご隠居 おお、お前も最近、経済に興味を持っているらしいことは噂では聞いておった。1929年のニューヨーク株式の暴落に始まる大恐慌のことかい?それにしても、大した魂消たね。お前さんがそこまで嵌っていたとは。

ハチ はあ、そうなんすよ。あんまし、意地悪言わねえで、サクッと教えてください。

隠居 サクッとか?儂はスマホじゃないがね。これでも、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで、ミック・ジャガーと肩を並べてMBAを取得しようとしたぐらいだから、儂の得意分野じゃ。あの尾畠春夫さんを見習って、スーパーボランティアで教えてあげよう。

ハチ お、大統領! そう、こなくちゃね。

スペイン南部ミハス

隠居 世界的な大恐慌の始まりは「暗黒の木曜日」、1929年10月24日のニューヨーク証券取引所での大暴落のことだと言われておったが、そうではないというフリードマンらの学説もある。ま、ややこしくなるので、このまま進める。とにかく、翌週の「暗黒の月曜日」「暗黒の火曜日」などを経て、1920年代の株投資ブームで上昇傾向にあったダウ工業平均株価は29年9月3日に最高値381.17ドルを記録し、それが暴落に続く暴落で、1932年7月8日には41.22ドルと実に89%も大幅に下落したわけじゃ。(損失価値総額約840億ドル。米国の第一次大戦時の戦費の約3倍に相当)10年前のリーマン・ショックのときは61%の下落じゃったから、どれだけ凄いか分かるじゃろ。1929年のピークの水準を回復したのは、戦後の1951年。それまで22年も掛かったことになるのぉ。回復のきっかけは、1941年の日本の真珠湾攻撃っちゅうから皮肉なもんじゃよ。はい、これで終わり。

ハチ えっ?もう、終わりっすか?

隠居 もうええやろう。とにかく、経済学ちゅうもんは、口が裂けても「いい加減」とまでは言えないが、数学のようにはっきりと解答があったり、スポーツのように勝ち負けがはっきりするもんじゃないんだよ。いまだに、大恐慌の原因について、論争があるし、実は決着が付いていない。ああ言えばこう言う。ああ言えば上祐(古い!)未来永劫分からんじゃろ。経済学とはそんなもんじゃよ。

ハチ 何だ、随分、テキトーな学問なんですね。

 ま、儂の口からは言えんけどな。両論併記と言ってもらいたい。それより、意外なエピソードの方が面白いんじゃ。例えば、株が大暴落したときの米大統領は共和党のフーバーだ。この人は、無為無策で、不況対策を取らなかったと誤解されて人気がない。片や、民主党のルーズベルト大統領、有名なニューディール政策を行い、とにかく、25%、つまり4人に1人が失業というどん底から救ったという救世主のような扱い方をされてる。しかし、実際はその逆で、例えば、ニューディール政策の中でも最も有名なテネシー川流域開発公社(TVA)によるダム建設、電力開発も、大した雇用創出にはならず、経済効果もなく、失敗だったという説を唱える学者もおる。

ハチ へー、そうなんすか。教科書に書いてあったこととは違いますな。

隠居 ハロルド・フーバーは8歳で両親を亡くした孤児で、叔父に引き取られて、熱心なクエーカー教徒になるんじゃ。スタンフォード大学を卒業して、鉱山技師となり、世界中の鉱山を渡り歩いて、開発して巨万の富を築くのじゃ。フーバーの偉いところがこの先だ。第1次世界大戦で欧州から帰国できなくなった10万人以上の米国人に金銭的に支援したり、食料や寝る場所を確保したりしたんじゃ。また、周囲の反対を押し切ってロシア革命後の飢餓で苦しむソ連の人々を援助したりもした。そんな「偉大な人道主義者」という名声から、時のハーディング、及びクーリッジ大統領から商務長官に選ばれるわけだな。そして、株の大暴落の直後、何もしていなかったわけではなく、失業対策として復興金融公社をつくったり、「フーバーモラトリアム」を制定するなど景気対策はやってたわけじゃ。フーバーは劇場に行かず、スポーツ観戦にも行かず、散歩にもドライブにも出ず、人の噂もせず、日曜も休日もなく只管働いた。クリスマスでさえ、メリークリスマスと一言言っただけで、すぐ仕事に取り掛かった。儂のような超真面目人間。ただ、輸入関税を平均33%から過去最高水準の40%に引き上げた悪名高いスムート・ホーリー法を成立させたことは汚点だった言われておる。

ハチ あら、今のトランプさんみたいな保護主義っすね(笑)。

隠居 歴史は繰り返す、とはよく言ったもんじゃ。アメリカは「移民国家」だというのに、移民制限だって、今のトランプさんに始まったわけじゃない。1921年のジョンソン法とそれを改訂した 24年の移民法では、完璧に、排斥の狙いは日本を含めた東洋人だった。黄禍論が盛んに論議されとったからな。

ハチ なあるほど。

スペイン南部ミハス

隠居 だから、歴史を学べば、未来も手に取るように分かり、心配することはないっちゅうことかな。一つ付け加えれば、アメリカの大恐慌のお蔭で、ケインズに代表されるようにマクロ経済研究が始まった。だから新しい学問なわけ。ルーズベルト大統領は、ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」(1936年)は理解できなかったらしいけんど、スタインベックの「怒りの葡萄」(1939年)ぐらいは読んだんじゃないかな。お前さんだって、LM曲線だのIS曲線だのを説明しても分からんだろ。せめて、シュンペンターの「景気循環の理論」ぐらいは理解できるかもしれんけど。まず、この時代を知りたければ、フレデリック・ルイス・アレンの「オンリーイエスタデイ」が一番。20年代の繁栄時代はフィッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」、それに「武器よさらば」などヘミングウエイなんかも面白いんじゃないかな。

ハチ さすが、博学のご隠居さまだ。

隠居 いや、実は儂は、まだ全部は読んでないんだ…(笑)。

▼参考文献=林敏彦「大恐慌のアメリカ」(岩波新書)など。

なんで株は10月に暴落するのか?

スペイン南部ミハス

秋も深まり、気温が下がってくると、株も下がってきますね。他人事ならいいんですが、そうもいかないところが人生の機微というものです。

株式が大暴落した「暗黒の木曜日」(1929年10月24日)も「ブラックマンデー」(1987年10月19日)も、不思議にも10月が多いのは、何か歴史的法則でもあるんでしょうか。

スペイン南部ミハス

本日10月23日の日経平均は、「一時2万2000円割れ」という憂いの多いシナリオで、終値は、前日比604円安の2万2010円となりました。10月上旬から下落傾向が続いております。

株式評論家やジャーナリストの分析は、いつでも、いつの世でも、「後講釈」ばかりが多いのが定番です。

曰く、

本日の日経平均の大幅下落は、22日のニューヨーク・ダウ工業平均株価が、前週末終値比126.93ドル安の2万5317.41ドルに終わったことを受けたもの。

そして、肝心のNY株が何故下げたのかといいますと、「サウジ記者死亡事件を受けた中東情勢の悪化懸念のほか、イタリアの財政悪化に対する不安の高まりで、エネルギーや金融関連株が売られたから」と、株式アナリストは、丁寧に説明してくれますが、何か、鶏が先か、卵が先かみたいな話ですね。

意地悪な言い方をすれば、理由や説明なら、素人の私でさえ誤魔化せるものです。終わった話の背景は、「こういうことがあったんだよ」と毎日のニュースを追っていれば、それぐらい誰にでもできるというものです。

例えば、先日取り上げました、サウジアラビアに約10兆円も投資しているソフトバンクは、9月28日に年初来高値の1万1500円をつけたというのに、サウジ記者殺害疑惑事件が報じられた10月上旬から急に株価が下がり始め、23日は約20%も下落しました。日経平均全体の下落率が約10%なので、かなり抜きん出ておりますー。てな調子です。

中国の株(上海株式指数)も年初来下落傾向が続き、トランプ米大統領による中国からの輸入関税引き上げがボディーブローのように効いてます。

投資家心理を反映した「恐怖指数」とかいうものがあるそうですから、このまま不安が広がれば、世界同時株安に繋がる可能性もあります。

逆に、今の株価は、実体経済を反映しておらず、かなり割安だという心理が高まれば、株が買われ、株価は急上昇することでしょう。仕手筋が株を下げて、下がり切ったところを買い占めるという観測もあり、案外、手垢のついた手法で、単純な話なのかもしれません。

スペイン南部ミハス

最初に書いたように、10月と株価暴落との関係や歴史的法則を知りたくて、今、古典的名著と言われる林敏彦著「大恐慌のアメリカ」(岩波新書、1988年9月20日初版)を読んでいます。

後半は、素人には難しい経済理論ですが、前半のエピソードはかなり面白かったのでまたの機会に取り上げたいと存じます。

サウジ記者殺害が及ぼす世界的影響ー例えばソフトバンクとか

スペイン南部ミハス

2018年10月18日付《渓流斎日乗》に書きました「サウジ記者殺害疑惑」。ついに、サウジアラビア政府が公式に殺害を認めました。「口論の末、誤って殺してしまった」という発表だけでは、俄かに信じ難いですが、今年後半の最大のニュースになることは確かです。

何しろ、殺害されたジャーナリストのジャマル・カショギ氏(Khashoggi)は、米ワシントンポストのコラムニストを務めるほど優秀な敏腕記者ではありますが、そんじょそこらにいる只のジャーナリストではなかったのです。

スペイン南部ミハス

名前からお分りの通り、カショギ氏は、あの悪名高い武器商人アドナン・カショギ(1935〜2017)の甥に当たり、日本でも人気の高かった英国のダイアナ妃の「恋人」と言われてパパラッチに追われ、パリで交通事故死したドディ・アルファイド(1955〜97)とは従兄弟に当たるというのです。

まあ、華麗なる一族で、中東世界、いや欧米ではカショギ一族を知らない人はいないと言われてます。

一方、カショギ氏殺害の「黒幕」と言われているサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(33)は、頭文字を取ったMBSの愛称で若者に絶大な人気を誇り、女性への自動車運転免許を開放するなど「改革派」として知られています。石油だけに依存していては、将来の国家はないという危機感の現れと言われております。

ただ、その改革が急進的過ぎて、しかも御都合主義の面があることから、カショギ氏らが政府批判を繰り広げていたわけです。

スペイン南部ミハス

この事件の影響として、欧米メディアは、中東世界の不安定化と原油高による世界経済の混乱ばかり挙げておりますが、日本にとっても「対岸の火事」では終わらない可能性があります。

つまり、1970年代の石油ショックのように、トイレットペーパーが店頭からなくなるといった程度では済まないということです。

一例は、孫正義氏のソフトバンクです。同グループは、10月6日にサウジアラビア政府系の投資ファンド(PIF)に第2弾の450億ドルを出資することが、Bloombergの報道で明らかになりました。第1弾と合わせて900億ドル(約10兆円)にも上ります!しかし、サウジ記者殺害疑惑が報じられてから、ソフトバンクの株が急落してます。(勿論、理由はそれだけじゃないでしょうが)

ソフトバンクを単なる携帯電話会社と誤解している人が多いのですが、実は10兆円規模のファンドなら簡単に動かすことができる投資会社が実体なのです。しかも、有利子負債が桁違いにも15兆円もあるのです。私には孫氏のような実業家の金銭感覚は全く理解できません。

庶民は、莫大な広告費を掛けて宣伝しているソフトバンク商法を「有名だから安心できる」と勘違いしていますが、広告費は自分たちが負担しているという魔法に誰も気が付いていません。

スペイン南部ミハス

ソフトバンクに「もしも」のことがあれば、最大債権者みずほ銀行に飛び火し、負の連鎖が起きるというのが、事情通による最悪のシナリオです。

「大き過ぎて潰せない」というのは銀行マンの感覚なんでしょうが、軒先きを貸したら母屋を乗っ取られたような状況では、一連托生でしょう。

関連ニュースには目が離せませんね。

フェイスブック、やめるべきか、続けるべきか

使わせてもらっておいて文句を言うのは、またまた気が引けますが、大量の個人情報が流出した米フェイスブックの会社としての対応には、全く誠意を感じられませんね。

私はこの《渓流斎日乗》を全世界に(笑)に発信するためだけに、仕方なくフェイスブックを使っております。そのお蔭で、高校時代の友人に何十年ぶりかでコンタクトできるようになったり、これまで知らなかった「友達の友達」と知り合うことができたりして、多大なる恩恵を蒙ることができました。

しかし、情報漏洩になると話は別です。(私はせっせと投稿して、フェイスブックに個人情報を提供してますからね)

スペイン南部ミハス

フェイスブックは全世界で22億人ものユーザーがいるといいます。特に東南アジアでの普及率は最近目覚ましいものがあり、例えばベトナムは、2017年7月の月間利用者が6400万人で同年1月と比べて39%増加。ベトナムの人口は約9400万人ですから、普及率が人口の68%です。タイになると、同年同月の利用者は5700万人。タイの人口は約6700万人ですから、何と普及率は84%にもなるのです。誰もが使っているインフラみたいなものと言っていいでしょう。

それが、今春、最大8700万人分の連絡先や投稿内容が流出したことが発覚し、続けて、9月下旬には2900万人の氏名や電話番号などが流出したことが分かりました。

アカウントが流出するとどうなるかといいますと、脅迫メールが頻繁にきたり、本人になりすまして投稿されたり(勘弁してほしい)、最悪の場合、匿名性の高い闇サイトで取引され、サイバー犯罪集団に渡る恐れがあるといいます。犯罪集団は、銀行口座番号やパスワード、クレジットカード番号などを盗み取るために、巧妙なフィッシングメールを仕掛けるといいます。

ペイン南部ミハス

これに対して、フェイスブック側が、攻撃者や被害の詳細については「調査中」と言うだけで、それ以上の情報開示をしていません。

私は、以前に、フェイスブックのことを多くの人が、善意のボランティアで公開しているプラットフォームだと誤解しているだけで、「実態は広告会社だ」と書いたことがありますが、やはり、10月18日付の日経新聞は、フェイスブックの収益の約98%が広告収入だ、とはっきり書いておりました。

知らないうちに、身に覚えがあるような「ターゲット広告」が襲来するのは、フェイスブックが、どこかの代理店に個人情報を販売しているのではないかと疑いたくなります。

欧州では、個人情報保護のために、「一般データ保護規則(GDPR)」を施行して、閲覧履歴データを自由に使えなくしました。

日本もやっと重い腰を上げて、公正取引委員会が「プラットフォーマー」と呼ばれるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大IT企業を、独占禁止法40条に基づく強制調査を検討し始めました。(どういうわけか、読売新聞だけが積極的に報道してます)

それだけ、ネットのプラットフォームが、道路や水道、電気、ガス並みに現代人に欠かせないインフラになったということでしょう。

せっかく、フェイスブックで色んな方と知り合ったり、コメントを戴いたりしているので、今すぐ、解約することは躊躇しておりますが、サイバー攻撃を受ければ、解約は真剣に考えます。

箱根の岡田美術館の収蔵品には驚き

スペイン、アルハンブラ宮殿

箱根にある岡田美術館で、来年3月まで「開館5周年記念展 美のスターたち 光琳、若冲、北斎、汝窯など名品勢ぞろい」が開催されております。

重要文化財を含み約450点が公開されているようですが、その出展作品は半端じゃありません。

美術好きの私ではありますが、岡田美術館は、一度も行ったことがありませんし、全く知りませんでした。熱海にあるMOA美術館が世界救世教の教祖の岡田茂吉(1882~1955年)が創立者なので、てっきり、その「姉妹館」かと思いました。

そしたら、まるっきり違うんですね。岡田美術館の創立者は岡田和生氏(76)で、ユニバーサルエンターテインメントの創業者。何の会社かと思いましたら、パチンコ機などの製造販売メーカーで、ラスベガスや香港など海外でカジノまで経営しているようです。旧社名「アルゼ」なら聞いたことがあります。

今は便利な世の中で、このユニバーサル社についても、岡田氏についても、ネット上で簡単に検索できます。まさに毀誉褒貶で、何処まで正しい正確な情報なのかは神のみぞ知るといった感じでしょうか。下世話な言い方で恐縮ですが、バクチって随分儲かるものなんですね、ただし「胴元」なら(笑)。

とにかく、コレクションの質の高さには驚きです。1948年以降、64年間所在が不明だった喜多川歌麿の肉筆大作「深川の雪」、83年間所在不明だった伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」、重要文化財の尾形乾山「色絵竜田川文透彫反鉢」、それに、尾形光琳、葛飾北斎、横山大観、速水御舟ら名品ぞろい。これら全て、個人の収集品なんですからね。思わず、「凄い財力」「半端じゃない資産」と叫びたくなってしまうほどです。

別に「成金趣味」などと批判するつもりは毛頭ありません。むしろ、貴重な日本の美術品が海外に流出されなくてよかったわけで、これは岡田氏の功績です。

ただ、入場料の一般2800円は、ちょっと高過ぎるんじゃないかなあ(笑)。

サウジ記者殺害疑惑はかなり複雑で分かりにくい

スペインアルハンブラ宮殿

いまだ真相が分からず、捜査が現在進行中の事件を茲で扱うのは、多少、気が引けますが、ここ最近、毎日のように報道されているサウジアラビア人記者カショギ氏の殺害疑惑事件は、複雑過ぎて、分からないことが多過ぎます。

事件があったのは10月2日のこと。場所は、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館。カショギ氏は結婚に必要な書類手続きのため、同総領事館に入りましたが、その前に、婚約者を外で待たせ、自分にもしものことがあった場合に備えて、その婚約者に自分の携帯電話を預けます。しかし、同氏は行方不明となり、トルコ政府が公表したことから、欧米メディアで大騒ぎとなりました。「事故だった」とも、「尋問中に工作員が誤って殺した」とも、「いきなり注射されて身体を切断された」とも憶測記事が飛び交っています。恐らく、カショギ氏は殺害されたことでしょうが、今のところ、サウジ側は否定しております。

何故?

10月18日付の読売新聞で、やっとカショギ氏の人となりが分かったのですが、彼は、あの9.11の首謀者と目されていたビンラディンに複数回インタビューしたことがある在米の敏腕ジャーナリストで、最近はサウジのムハンマド皇太子を批判する記事を書いたことから、当局から目を付けられていたといいます。

不敬罪のようなサウジの法律に抵触したのかもしれませんが、気に入らない者は治外法権の場所で密かに抹殺するとしたら、まるでスパイ映画の世界です。現実の世界では、原油価格が変動したり、中東が不安定になったりしていますから、一人のジャーナリストの殺害だけでは済まず、影響力が大きいので、これだけ欧米メディアは騒いでいるのです。

◇◇◇

10月18日付の朝日新聞がAP通信の報道を引用してましたが、米国とサウジとの関係は、一般人の想像を遥かに超えて、驚くほど濃密だったんですね。まず、昨年5月に米国はサウジに対して、約1100億ドル(約12兆3000億円)もの武器売却契約を結んでいたのです。12兆円ですよ!ちなみに、12兆円というのは、スウェーデンの国家予算並みです。

トランプ氏も個人的に、資金繰りに困っていた1991年に、所有していたクルーザーをサウジの王室の王子に2000万ドル(約22億円)で売却し(何と桁違い!)、2001年には、サウジ政府が「トランプ・ワールド・タワー」の45階部分を、施設使用料を含め、1000万ドル(約11億円)で購入したといわれています。半端じゃない関係です。

トランプ大統領が16日のFOXビジネスニュースのインタビューで、サウジに対する制裁について「我が国を傷つけるだけだ。(制裁すれば)サウジは、ロシアや中国から質の悪い兵器を買うだろう」と反対表明したのは、大統領自身の個人的な、こうしたサウジとの濃密関係が背景にあったからなのでしょう。もっとも、本人は「フェイクニュースだ」と否定しておりますが。

遠い昔、日本の池田勇人首相は、フランスのドゴール大統領から「トランジスタ(ラジオの)商人」と揶揄されましたが、現在、世界一の軍事力を持つ覇権国の大統領に対して、「○○商人」とは、誰も怖くて揶揄したりはしないでしょう。総領事館にも行きたくないでしょう。

◇◇

国際問題については、イスラム・シーア派のイランと敵対する米国が、イスラム・スンニー派のサウジと手を組むことは自然の成り行きなのかもしれません。トルコがサウジとの関係が悪化したりすると、そのパワーバランスが崩れ、中東情勢は一層不安定になります。イエメンの内戦も、サウジとイランとの代理戦争だと言われています。昨年、サウジなどから国交断絶されたカタールはイランへの依存を強め、サウジと対立しつつあるトルコもイランに接近するのではないかとも言われてます。

イランは、米国がこの世に存在する前の遥か大昔に、ペルシア帝国と呼ばれる覇権大国でしたからね。

何と言っても、パレスチナ問題が70年も続き、最近では、米国に続き、オーストラリアが、在イスラエル大使館のエルサレム移転を検討すると発表し、問題を深刻化させています。豪州には、ロシアから追放されたユダヤ系の人が多く移民したといわれてますから、政権へのロビー活動も盛んなのでしょう。

シリア内戦には、ロシアと中国も武器輸出で絡んでいるといいます。

トルコ⇒サウジアラビア⇒米国⇒イラン⇒イエメン⇒カタール⇒豪州⇒イスラエル⇒シリア⇒ロシア⇒中国⇒米国と関係各国の思惑が入り乱れて、この先どうなるのか予想がつきませんが、最悪の事態だけは避けてもらいたいものです。

このサウジ記者殺害疑惑について、ほとんどの日本人は興味ないでしょうから、このブログのアクセスも少ないことでしょう。

諸行無常、光陰矢のごとし

最初にお断りしておきますが、今日はつまらない噺です(笑)。

昨晩は、東京・虎ノ門の高級居酒屋「小虎」で裏新聞大会が開催され、私も末席に連なりました。

何が哀しいのか、「加齢臭」を「華麗臭」と誤解した若い花ちゃんが紅一点参加して、つまらないおじさんたちの話に仕方なく相槌を打っている様は、大変気の毒に思われました。

幹事役を務めた探訪新聞の追河記者が「おい、渓流斎、書いたら訴えるからな」といきなり凄んできた上、「何か、渓流斎ブログは黒字で儲かってるらしいじゃねえか。俺が一番ブログに登場することが多いんだから、分け前寄越せよな」と脅迫までするのです。さすが、日本一の探訪記者です。

ということで、昨晩の裏新聞大会で何が議題に上ったのかなどは茲では書けなくなってしまいました。ま、それだけ他愛のない与太話だったわけです(笑)。1杯130円のハイボールを何杯もおかわりしてしまいました。

新聞社の取締役を務め、退職後はグルメサイトを主宰している赤羽先生は「渓流斎さんは、本当に毎日更新してますけど、凄いですね。秘訣はなんですか?」と仰るので、自分でも秘訣は何か考えたのですが、それがないんです(笑)。

確かに、毎日続けるのは苦しい作業なのですが、考えてみれば現役時代の仕事の延長のことをやっているだけなんですね。本を読んで書評めいたことを書く。映画や演劇や展覧会を観て感想を書く。セミナーや講演会に参加して紹介記事を書く…ま、毎日、欠かさず、ずっとやってきたので、習慣になり、普通の人よりは苦に感じないのかもしれません。

◇◇◇

昨晩は、集合時間まで少し余裕があったので、久しぶりに夜の新橋~虎ノ門界隈を散策したのですが、すっかり変わって、昔よく行った店がなくなっていたことには唖然としてしまいました。旨い魚と酒が自慢の「均一軒」という店もその一つですが、よく2階で句会なんかもやりました。それが違う店に変わっていました。

世代交代したのでしょうか。どこかの経済記事で、「飲食店の8割は5年以内につぶれる」とありましたが、本当にその通りですね。5年も経つとすっかり街の風景が変わってしまいます。

光陰矢のごとし、諸行無常です。

新興宗教の今、現在は厳しそう 伸びる教団と縮む教団

Shallow men believe in luck. Strong men believe in cause and effect.

ー Ralph W Emerson(US poet, philosopher and essayist, 1803~82)

最近、とても気に入っている箴言があります。米国の詩人エマーソンの言葉です。原文は、上述しましたが、意訳するとこんな感じでしょうか。

浅はかな人間は運命や占いを信じる。でも、人に左右されない意志が固い人間なら自分の蒔いた種は最後まで刈り取る。

かなり意訳しましたが、私自身は今まで、随分、自分の運のことばかり考えていたなあ、と反省しました。「こうなったのは、運が悪かったからだ」とか、「ついてない人生だなあ」とか。。。

どうして、こうも不運ばかり続くのだろうかー? 今から15年ほど前に、北海道帯広市に住んでいた時は、地元新聞社主催の風水教室に通ったり、霊媒師に厄祓いしてもらったり、自己啓発本を読んだり、スピリチュアルな浄水を飾ったりしました。

危ないところでしたが(笑)、どこの団体にも組織にも入らなかったお蔭で、今からこうして冷静に振り返ることができると思っております。

国立西洋美術館

帯広市は、人口わずか16万人の都市でしたが、あらゆる宗教集団の寺社仏閣、教会、修行道場、祈祷所等がありました。既成伝統宗教だけでなく、新興宗教も、幕末の天理教、金光教から創価学会、エホバの証人、末日聖徒(モルモン)教(「英会話教室があります」と勧誘してきました)、それに統一教会までありました。

当時の私は、心が隙間だらけでしたから、どこかの教団に入りかねない状況ではありましたが、最終的には、性格的に組織や団体が嫌いだったせいで、どこにも入会しませんでした。

で、今日、何が言いたいのかといいますと、経済週刊誌「ダイヤモンド」10月13日号の特集「新宗教の寿命 伸びる教団 縮む教団」を読んで、随分状況が変わったものだ、と隔世の感を覚えたことです。「宗教年鑑」(文化庁)によると、平成元年の1989年に主要新宗教教団の信者数が2637万人だったのが、2016年には1591万人と4割も激減していたというのです。

若者はスマホに忙しくて、信仰にすがるほどではなくなったということなのでしょうか。

信者数が少なくなった原因については、日本社会の少子高齢化の影響や教団内の「内部分裂」と世代交代などがあるようですが、この特集では、なかなか、興味深いことが書かれております。

そもそも、何で畑違いの経済誌が宗教なんか特集するのか、最初意外な気がしましたが、宗教には、宗教法人として認められた無税のお金があったり、入会金や年会費などかなりカネが絡むわけですから、「経済」そのものです。「東洋経済」も今年9月1日号で「宗教 カネと権力 宗教界のタブー解明」を特集しておりましたね。その号は買い忘れてしまいましたが…(笑)。

週刊ダイヤモンド誌の「新宗教の寿命」では、新宗教の現在の最新情報が満載されております。換骨奪胎で列挙しますとー。

・創価学会は、今年90歳になった高齢の池田大作名誉会長が2010年から表舞台から消え、実権は原田稔会長、谷川佳樹主任副会長ら「四人組」と呼ばれる執行部が握っている。

・学会支持政党の公明党は、自民党の補完勢力となり、集団的自衛権や共謀罪、安保関連法などを是認。池田名誉会長の意に反するとして一部の会員が反発し、除名処分になり、内部にひずみが生じている。

・右翼団体「日本会議」の支持母体だった生長の家は、安倍政権の憲法解釈変更や安保関連法案の強行採決を批判し、「日本会議」も「時代錯誤的」と切り捨て、明確に決別した。保守傾向を強める公明党=創価学会に対抗し、生長の家は、右派から左派に急旋回した。

・多くの新宗教の会員が減少している中、成長を続けているのが真如苑。その要因は、「霊能者」になるまで家元制度(最低8人は新信者を獲得する)のような修行の仕組み、信者を離脱させないように「導き親」と「導き子」との濃密な関係により、ピラミッド型組織を形成し、さらには、霊能者が独立・分裂しないように「接心」は、東京都立川市にある真如苑の精舎内でしかできないことにする工夫などが挙げられる。

・新・新宗教「ワールドメイト」は1984年、深見東州教祖が設立。年間110億円の収入があり、講演会やコンサートなどイベント事業に熱心だ。オバマ前米大統領やトニー・ブレア元英国首相ら大物政治家まで招聘する。オバマ前大統領について、深見氏は「数千万円では呼べません。5億円まではいきませんでしたが」と、ダイヤモンド誌のインタビューに応えている。

・深見氏(67)は、半田晴久の本名で、みすず学院などの予備校や高級時計販売などの実業も行っているが、顔写真入りで広告宣伝活動を開始したのは60歳になってから。(そう言えば、最近、この方の顔と名前を見ない日はないぐらいですね。特に、毎日新聞紙上では)

・静岡県熱海市にある「MOA美術館」の運営で知られる世界救世教は、今年6月の理事会で岡田陽一教主を追放する決議をし、内紛状態。

・かつて霊感商法などで社会問題になった統一教会は、2012年9月に文鮮明教祖が死去した後、分裂状態にある。現在、文教祖の妻韓鶴子総裁派の「世界平和統一家庭連合」と三男文顕進氏の「FPA」と四男文國進氏と七男文享進氏の「サンクチュアリ教会」の三つに分裂している。

以下略で、詳細は、引用させて頂いた▼「ダイヤモンド」誌10月13日号の特集「新宗教の寿命 伸びる教団 縮む教団」に譲ります。

「合理的不注意」で「安心・安全」なのか?

米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授が提唱している「合理的不注意」理論は、なかなか興味深いものがあります。

この理論を紹介してくださった小林慶一郎慶大教授によると、「合理的不注意」とは、人間が情報を処理する能力は無限ではなく、有限であることから、一部分の情報を無視することは合理的な判断となることをいいます。膨大な情報を処理するのには精神的なコストもかかるからです。

面白いことに、関心事は人によって違うので、同じ情報に接しても、無視する情報は一人一人異なります。小林教授は「こうして同じ情報が全ての人に与えられても、人は合理的に情報の一部を無視するので、人々の間に意見の不一致が残り続ける」と言うのです。

なるほど。同じ情報に接しても、人々の意見が一致することは稀なんですね。この理論は、個人的に、私がブログを書き続け、発信する上で、大いに参考になりました。

さて、11日(木)から魚市場が築地から豊洲に移転しましたが、12日(金)にランチに行った築地にある和食店で、会計する際にチラッと聞いてみました。「仕入れは、もう近くの築地じゃなくて、豊洲からですか?」

すると、返ってきたのは「ええ」の一言だけ。この情報で、私は「何か怪しいなあ」と懐疑的になってしまいました。合理的不注意、てなところでしょうか(笑)。

果たして、豊洲は「安心・安全」なのか?10月12日付朝日新聞に掲載された情報(笑)によると、今年6月の調査で、豊洲市場の地下水から基準値の最大170倍の発がん性があるベンゼンが検出されたといいます。朝日新聞が7月に都民を対象に行った世論調査では、4割が豊洲市場は「安心ではない」と答えたといいます。

嗚呼それなのに、小池百合子・都知事はいつの間にか「安全宣言」していて、10月11日に豊洲に移転・開場してしまいました。

私は、もう豊洲市場から来たサバ焼き定食を食べてしまいましたからね。それに、これからも、豊洲以外の魚や寿司を食べることは困難でしょう。

「合理的不注意」で「安心・安全」ということにするしかないようです。

※写真と本文は関係ありません

▼参考文献=日本経済新聞(2018年10月10日付)小林慶一郎「経済教室」他