中華思想は今も健在か?

敬白

昨日は、チンピラに絡まれた話を書いたところ、多くの方から御心配等のコメントやメール頂きました。誠に忝く存じ候です。

やはり、チンピラ如きを相手にして、こちらが加害者(被害者の可能性の方がもっと高いですが=笑)になってしまってはとんでもない話ですからね。

一昨日は、あんなことが現実にありえるのか、「おい、ジジイ!」なんて、まるで時代劇のドラマを見ている感じでした(笑)。昨晩はよく眠れましたので、少し回復しました。

皆さまにはご心配をお掛けして申し訳御座いませんでした。

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さて、名古屋にお住まいの篠田先生お勧めで、所功、久礼旦雄、吉野健一共著「元号 年号がら読み解く日本史」(文春新書)を昨日から読み始めましたが、面白いですね。来年は平成最後の年で、改元されるわけですから、大変タイムリーな本です。それに、非常にマニアックです(笑)。恐らく、一般向けの元号に関する本で、これ以上詳しいものはないかもしれません。ただし、その前に、古代史関連の本を何冊か読んでおくことをお勧めします。一層面白くなると思います。

とはいえ、まだ読み始めたばかりです。篠田先生がこの本を薦めてくれるに際して、「信じられないでしょうが、天皇は昔、住む所がなくて、京都市内の公家らの家にお世話になって、転々として暮らしていた時代があったんですよ。それは、この本に書かれています」と言うのです。

えっ???本当なんですか?全く信じられませんでした。

篠田先生は、やたらと京の都の歴史に詳しく、今ある京都御所は、平安時代のものではなくて、徳川家康が整備したもので、「平安宮」はもともと、今の千本通り(かつては、朱雀大路と呼ばれ、京の南北のメインストリートだった)の北の一条から二条にかけてありました。西の右京が水はけが悪く、大雨が降ると不衛生で疫病がはやり、大火で大内裏も焼失するなどして廃れてしまい、都の中心は東の左京に移っていたといいます。戦乱などで、江戸時代になるまで、天皇といえども、大内裏を失って、定住先がなかった時期もあったわけです。

少し話が本筋が外れてしまいましたが、元号とは、漢の武帝が最初に制定したと言われ、周囲の「属国」は、中国の元号を使わさせられました。日本の最初の公式の元号は645年の大化ですが、その時代に、よくぞ「独立国」として頑張ったものです。(その前に、中国に隠れて、非公式に元号を使っていた時もあったようです)。

この本には「属国」とは書かれていませんが、「中華思想」には、周辺国の民族は文明のない野蛮な夷狄(いてき)として、朝貢させることが当然だと看做されておりました。勿論、そんな「属国」は中国の元号を使うのが当たり前ですから、個別に元号を称するなどとんでもないということになるのです。

皮肉にも、本家本元の中国では、清の時代で元号を使うのが最後で、今は西暦を使っているというのです。朝鮮半島も、一時的に独自か中国の元号を使っていましたが、今はありません。かつて越南と呼ばれて中国に朝貢させられていたベトナムにも元号があり、何と「大正」もあったそうです。(日本が「大正」を採用した際、森鴎外が友人宛ての手紙「何で、他の外国の例を調べないのだ」と憤慨したそうです)

ということは、日本は、ほとんど唯一、今でも元号を使っている国であり、「優等生」と言えなくもないですね。(台湾は、今も中華民国暦を使っているようです)。何しろ、朝鮮半島もベトナムも、今では漢字まで廃止してしまい、日本は「哲学」や「科学」や「経済」など独自の漢字を造語して、中国に逆輸出してしまうぐらいですからね。

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今回、中華思想の夷狄について調べてみたら、南蛮とは、スペインかポルトガル人のことかと思っていたら、本来はベトナムなど南方に住む夷狄民族を指していたんですね。

つまり、中国の皇帝らは、中華の四方に居住していた周辺民族を蔑称して、

「東夷」(中国東北地方、朝鮮半島、日本)

「北狄」(匈奴、鮮卑、韃靼、契丹、蒙古など)

「西戎」(ウイグルなど)

「南蛮」(ベトナム、カンボジアなど東南アジア、西洋人)

―と呼んでいたというのです。

中華思想とは、自分たちの「華夏」が世界の中心であり、それ以外の夷狄は「化外の民」ということになります。

ところで、昨日は、習近平主席ら指導部は、アフリカ53カ国の代表を呼んで、「中国アフリカ協力フォーラム」を開催して、600億ドル(6兆7000億円)も支援すると約束したようです。以前にこのブログで書いたスリランカの港の租借の例もあるように、背後に、どこか、今でも「中華思想」が健在のような気がします。

あれ?元号の話からずれてしまいましたね(笑)。

いずれにせよ、この本、先を読むのが楽しみです。

渓流斎、チンピラに因縁付けらる

今、私の住んでいる所は、民度が低く、清廉潔白、品行方正なる人士が極めて少ないのです。

マンションの門の街灯も夜中に二回も盗まれたり、駐輪場の自転車が盗まれたりすることも再三再四。ジャングルのような緊張感があって、退屈しない街であることは確かです(笑)。

昨日の日曜日のこと。図書館の帰り道。住宅街の小道を歩いていたところ、後ろから自転車が私の袖に当たるぐらいにギリギリで全速力で走ってきて、危うくぶつかるところで、ヒヤッとしました。

競輪選手のような本格的な高級自転車で、ユニフォームのようなものを着て、ヘッドギアまで被っていました。

そいつは、追い越した後、「ヒヤッホー」と奇声を発して、ペッと唾を吐きました。

「何だ、キチガイか」と呟いた瞬間、そいつはキュッとブレーキを掛けて、ユーターンしてこちらに向かってくるではありませんか。

そして、いきなり「おい、爺(ジジイ)!」ですからね。「唾を吐いたろ!?」と因縁を付けてくるのです。唾を吐いたのはそっちじゃないか?しかも、初対面の年長者に向かって、爺はないだろう。

京洛先生が口癖のように仰っていた「ややこしいのと関わってはいけませんよ」という忠告が頭にこびりついていたので、無視して歩こうとすると、そいつは前に立ちはだかって、腕をつかむではありませんか。

初めて顔を直視すると、年の頃、30歳前後。筋骨隆々で、腕だけには自信がありそう。しかし、知性のひとかけらもなく、目つきが怪しい。

でも、また「おい、爺!」と言うので、こっちもムカついてきて、かばんに入っている折り畳み傘で殴ってやろうかと思いつつ、「放してください!」と大声を出したところ、相手は少しひるんで、ちょうど大通りに出かかりました。こちらも加害者になりたくないし、あまりにもしつこかったら、目の前に見える「auショップ」に飛び込んで、警察でも呼んでもらおうかと思ったら、チンピラは、大通りで人目を憚るのか、またもや「ヒヤッホー」と奇声を発して逃げていきました。

速い、速い!原付より速い時速40キロぐらい出ていたかもしれません。スマホで写真を撮る暇もありませんでした。

それにしても、あのチンピラは何者なんでしょう?職場か家庭で相当なストレスを抱えているのか?それとも、精神異常者か?

確かに、こちらは左側を歩いていたのが悪かったかもしれません。とはいえ、以前、右側を歩いていたら、前方から左側を歩いて来る馬鹿者にからまれたことがあります。ここは治安の悪い所ですからね(笑)。

初対面のチンピラから「ジジイ」呼ばわりされるのもショックでしたね。3年前に長患いして、浦島太郎さんのように急激に老け込んだことは確かですが、あまりにも酷過ぎる。

昨晩は、ムカついて何度も目が覚めて眠れませんでしたよ。

落合陽一博士の「結果として中国が正しかった」説には同感

テレビを見ると、どこもかしこも、2世、3世の政治家、俳優、タレント、料理研究家、財界人だらけです。日本の因襲、襲名制度健在なり。ご同慶の至りで御座いまする。

そう言えば、小生が影響を受けた敬愛するジョン・レノンと小野洋子さんの息子ショーンは、幾つになったのかな、と気になって調べたところ、彼は1975年10月9日生まれ。何と、今年43歳。ジョンが暗殺されたのが40歳ですから、そろそろ親父の年齢に近づいたのかな、と思ったら、もうとっくに越えてしまっていたんですね!

私も年取るはずてす。

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そんなこんなで、今、若者のカリスマ落合陽一博士(筑波大学長補佐)の「日本再興戦略」(幻冬社、2018年1月18日初版)を読んでます。

彼は1987年生まれ、といいますから、私より一世代若い。著名作家落合信彦氏の御子息ということで、反発されるでしょうが、こちらも「落合二世」といった感じでしょうか。

世界的な科学雑誌の「別冊」の表紙を飾ったことがあるらしく、まさに現代の若者たちのカリスマと言われてますが、大変失礼ながら、もう少し、我々のような旧世代をコテンパンに圧倒するような瞠目すべき見解が、この本では展開されているのかと思いましたが、期待外れでした。

大和朝廷や出雲のことなども書かれていますが、やはり、専門家の倉本一宏氏らの著書と比べると全くといっていいくらい浅薄ですね。

ただ、御専門のデジタルメディア論に関しては、真っ当なことを仰っておりました。

日本のIT業界は、ホリエモンこと堀江貴文さんの逮捕で、変革の流れは止まってしまった、というのです。

米国のフェイスブックやツイッターが存在感を発揮する一方、「国産」のミクシィは死んでしまった、というのです。

今や、日本のネットユーザーの間では、米国のアマゾンやグーグルなしでは生活できないことでしょう。落合さんは、もう少し、日本が頑張ってたら、アマゾンが日本に進出した時に、せめて、例えば、楽天などと提携せざるを得なかったのではないかというのです。

「僕らは日本をIT鎖国できなかったせいで、中国のようにアリババやテンセントやバイドゥを生むことができませんでした。2000年代の日本は、IT鎖国した中国をバカにしていてグレートファイアウォールと揶揄していましたが、結果として中国が正しかったのです」と落合氏は結論付けます。

私も賛成ですね。

2000年代の日本は、大蔵省の不祥事などを受けて大規模な省庁改革が断行され、結局、大蔵省も通産省も解体され、いわゆる国家主導の「護送船団方式」も終焉してしまいました。

デジタルの世界は、「1」と「0」の世界ですから、一位にならなければ全く無意味です。二位も最下位も同じなのです。つまり、「オール」or「ナッシング」の世界です。

今のFAANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグル)といわれる米資本に制覇されてしまった日本の現状を見るにつけ、「結果として中国が正しかった」という落合説には同感してしまいます。

「ゲティ」って何ですか?

《渓流斎日乗》は、ほぼ毎日更新していたのですが、最近は「華麗なる転身」で、いや間違えました、「加齢なる転身」で更新ペースがやや遅くなってきました(笑)。

理由は多々あるのですが、第一は、何となく、烏滸がましくなったことです。我ながら「お前さんに、そんなこと言う資格ありますか」といった自己反省とメゲル気持ちになっているわけです。

第二は、「蟷螂の斧」と言いますか、「暖簾に腕押し」と言いますか、何を書いても、何が変わるわけでもなく、単なる自己満足に過ぎず、「場郭斎」気分。

そして、第三は、以前なら毎日、ブログを書かないと、歯を磨き忘れたような、何となく落ち着かない焦り半分の気持ちでしたが、最近は、漲る加齢力が沸き起こって、「面読斎」気分が打ち勝ってしまうのでした(笑)。

でも、最大の理由は、世の中の裏のカラクリを知り過ぎてしまったこと(でも、ここではあまり書けましぇん)ですかね。以下省略。

京都・伏見稲荷大社

今日、敢えて話題を取り上げるとしますと、「ゲティ」ですかねえ。最近、よく、テレビや新聞雑誌の写真の隅っこに現れる写真のクレジットです。マグナムのような世界的な写真通信社のような気がしますが、よく分かりませんでした。

ゲティを検索すると、最初の方に出てくるのは、米国の石油王ジャン・ポール・ゲティか、誘拐された孫の身代金要求を拒否した実話を映画化した「ゲティ家の身代金」か、ロサンゼルスにある「ゲティ美術館」ぐらいです。

そこで、その筋に詳しい事情通に聞いたところ、「あ、ゲティ・イメージズですね。それは、今や世界最大の写真通信社ですよ。世界各国の写真通信社を次々と買収したり、提携したりして、どんどん大きくなりました。写真だけでなく、動画や音楽など3億点ぐらいあると言われてます」とあっさり言うではありませんか。

「本社はアメリカのシアトルにあって、(1995年の)共同創業者は石油王ゲティの孫ですが、何回か買収された挙句、今では、投資会社が持っています。フランスのAFP通信や日本の共同通信など老舗の通信社などと提携してますから、「ノルマンディー上陸作戦」や「満洲事変」など歴史的な報道写真などあらゆる種類の写真もあります。でも、投資会社ですから、目的は利潤追求で、生産性向上ですから、写真を愛しているわけではありません。採算が合わなければすぐにでも手放すでしょう。正直言いますと、僕はその辺りが好きではありません」とまで言うのです。彼も、元報道カメラマンで、写真に対する熱意は相当なものですから、それは本当に正直な気持ちなんでしょう。

神戸南京町

調べてみたところ、ゲティは、世界20カ国以上に事務所があり、多数の契約カメラマンも抱え、2012年に投資会社のカーライル・グループが買収して、今のオーナーになっているようです。カーライル・グループは、知る人ぞ知る天下の投資会社で、父ブッシュ元米大統領との関係が深く、不動産から軍需産業の投資まで手広くやっているようです。

私がテレビを見たり、新聞を読んだりして「ゲティ」のクレジットに気付くぐらいですから、既に皆さんの方がとっくに気が付いていたことでしょう。

私自身は、報道写真などは、歴史・文化遺産だと思っています。投資会社の持つ写真通信社は当然、営利活動優先で、著作権使用らを要求するビジネスで成り立っているわけですから、仮の話ですが、歴史的写真に高額の料金を請求されれば、弱小出版社などは、掲載を諦めざるを得ないということです。

世界のIT王である米グーグルなんかは、もう何年も前から、世界中のあらゆる美術館の写真を画像化、動画化したりしてますが、これは、福利厚生活動ではなくて、「著作権ビジネス」を独占したい魂胆がみえみえのような気がします。

私は、「文化国粋主義者」ですから、自分たちの国の文化遺産の写真などを、イザ使おうとしたら、いつの間にか、外国の会社が著作権を登録していて、使えなかったりするような未来の悪夢を危惧しています。

規則正しい生活を送って認知症を予防しませう

安いデジカメを買ってしまいました。約1614万画素もあるのに、8GBのSDカード付きで7999円という安さです。しかも、世界に誇る三菱系のNIKON。ただし、中国製でした(笑)。

実は、カメラはiPhoneのスマホで十分なんですが、来月スペインに行きますし、これから遅い夏休みを取って京都・奈良に行きますからね(笑)。

◇◇◇

ということで、今、京都行きの新幹線の中でブログってます。

今読んでいる築山節著「脳を守るたった一つの習慣」(NHK出版新書、2018年7月10日初版)によると、認知症を防止するには、毎日、ノートに決まったことを書くことが一番、と推奨されております。

まあ、北品川クリニックの築山所長に言われなくても、小生、こうして毎日ブログってますから、大丈夫ってことなんでしょうかねえ?あまり、他人様に迷惑かけてまで生き延びたくありませんからね。

[あっ!最後まで読んだら、駄目でした。スマホやパソコンに書いても駄目で、ノートという物理的に手に取って中身が読めるものに、血圧や体重や天気や温度を書かなければなりませんでした。]

さて、この本は実にわかりやく書かれてます。

脳の働きから、部位が大きく3層に分かれるというのです。奥から(1)脳幹(2)大脳辺縁系(3)大脳新皮質ーです。

(1)の脳幹は、生命を維持し、心臓や呼吸、体温を調節する自律神経を制御します。ですから、脳幹には負荷をかけず、「守る」ものと言われてます。今は音信不通の旧友が以前、脳幹梗塞を患ったことがありました。

(2)の大脳辺縁系は、脳幹の外側にあり、欲求など感情を司るところです。そのため、暴走を防ぎ「しつけ」なければいけません。

(3)の大脳新皮質は、大脳辺縁系の外側にあり、思考や理性を司るところです。いつも、何歳になっても、新たな情報に触れて「育て」ていかなければなりません。あたしゃ、やってます(笑)。

脳は怠惰ですから、少しでも楽をしたがるそうです。

この三つだけ覚えて、将来認知症にならないようにするために、どういう習慣を取ったらいいのか、と指南しているのがこの本です。

一言で言えば、毎日、規則正しい生活を送りなさい、ということでした。十二分に睡眠を取り、朝は決まった時刻に起きて、しっかりと朝食を摂る。夕食は軽めでいいといいますから、朝食が一番重要のようです。

あと、軽い運動も必要で、家事や掃除なども含めて、他人任せにしないで、自分のことは自分でする習慣を身に着けることがポイントだと、築山所長は、多くの患者を診てきた経験から導き出しておられました。説得力があります。

通勤の行き帰り、電車の中ですぐ読めます。

マレーシア・マハティール首相の英断=スリランカの港が99年間も租借されたことを受けて

また、協会幹部の方から「渓流斎日乗は上から目線で、偉そう」と怒られそうですが、私は4年前に一度、マレーシアのマハティールさんにインタビューしたことがあります。

当時は元首相で、国産自動車プロトンの会長に就任したばかりで(2014年5月16日付)、マハティール氏出身のクダ州政府主催の投資セミナーの基調講演者として来日しておりました。

当時89歳。マハティール氏と言えば、首相時代に「ルック・イースト」政策を掲げ、「日本に追い付け、追い越せ」とばかりに産業を奨励し、国民1人当たりのGDP1万ドルを達成し、マレーシアを中所得国に急成長させた功労者と言われておりました。親日家としても知られ、日本には何度も訪れております。

しかし、正直、「随分ご高齢なのに、まだまだ政財界とのパイプを切らさず、随分、野心的な人物なんだなあ」と思ったものです。

ですから、今年5月に、92歳にして、2003年以来15年ぶりに首相に復帰したことには驚かされました。

さらに驚いたことは、政権復帰早々、意欲的な活動を開始し、先日(8月21日)は北京にまで飛んで、習近平国家主席と李克強首相と直接面会して、マレー半島を横断する「東海岸鉄道」など、前政権が中国と共同で進めていた大型公共事業中止の了解をこぎつけたことです。総投資額が200億米ドルで、マハティール首相は「マレーシアはそんな大金は払えない」と説得したようです。

私も当初は、政府系ファンド「1MDB」の巨額資金流用疑惑のあるナジブ前政権に対する意趣返し程度としか捉えていなかったのですが、この「中止」は、調べてみると、結構根が深いことが分かりました。

◇マハティール首相が、違約金を支払ってでも、中国との契約を破棄した真の理由は何だったのか?

まず、東海岸鉄道建設の合弁事業に、ナジブ前首相の親族企業との汚職疑惑が取り沙汰されてますが、マハティール政権の真の狙いは、「中国とは一定の距離を置く」、いや「中国離れ」があったようです。

東海岸鉄道は、習近平指導部が推し進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」(The  Belt and Road  Initiative=BRT)の最重要事業の一つでした。一帯一路は、「陸と海のシルクロード」とも呼ばれ、陸は中国の西安を出発し、ウルムチ(中国)、イスタンブール(トルコ)、モスクワ(ロシア)、ベニス(イタリア)に至る古代のシルクロードの復活です。(正確には違いますが)

海は、南シナ海を通って、ベトナム、マレーシア、インド洋を通って、スリランカ、アラビア海を通ってアフリカ、スエズ運河、地中海を通って欧州に至る経済圏です。

裏社会用語で言えば、中国の息のかかった国を増やすということになるのかもしれません。実際、スリランカでは昨年7月、中国の国有企業(招商局港口)によって南部ハンバントタ港が99年間もの長期貸与契約を結ばされております。スリランカ側の資金難とビジネス戦略の失敗が原因と言われてます。日本ではあまり報道されていませんでしたが、99年間とは、まるで、アヘン戦争を仕掛けて清国を侵略した大英帝国が、香港を借用(実は植民地)したようなもんじゃありませんか。

中国はこの顰に倣ったように見えます。被害者が加害者に転じる典型的なケースに見えてきてしまいます。

先日17日には、パキスタンで「親中政権」と言われるカーン氏が首相に就任し、より一層の中国寄り政策が展開されると言われてます。また、30年間独裁政権が続くカンボジアの公共事業はほとんど中国頼りです。

さらに、米国から「トルコリラ・ショック」を仕掛けられたトルコは、中国からの融資と資金援助を期待して、「親中政策」に方向転換しつつあります。

マレーシアが、中国国有企業による事業計画を中止した背景について、マハティール政権のリム・グアン・エン財務相は「(債務超過で、港を99年間貸与契約させられた)スリランカのように、我々マレーシアはなりたくなかったから」と、ニューヨーク・タイムズ(8月23日付)の取材に、いともあっさりと白状しております。

東南アジアでは、多くの華人と呼ばれる中国系の華僑が経済界を仕切っており、マレーシアでは地元マレー人を優遇するためにブミプトラ政策を行ってきました。(インドネシアはプリブミ政策)それが、ナジブ政権では、華人優先でブミプトラ政策も緩和されていたようです。マハティール政権になって、また復活するかもしれません。

もちろん、マレーシアには、世界第2位の経済大国、軍事大国になった中国に対する警戒感があるのでしょう。ニュースを表面的に見聞しただけでは実相は理解できないという一例として今回、マハティール首相の英断を取り上げてみました。

やっぱり、偉そうかなあ…(笑)

「世界金融戦争」=実体を伝えていない日本のメディア

国際金融の世界がどうしても知りたくて読み始めた「世界金融戦争ー謀略うずまくウォール街」(NHK出版・2002年11月30日初版)の著者広瀬隆氏は「終章 アメリカ帝国崩壊の予兆」の最後の方で以下のように書いております。

《日本のメディアで濫用される”過激派”、”原理主義”、”テロリスト”という否定的な形容詞を”レジスタンス”、”パルチザン”、”百姓一揆”に置き換えれば、初めて世界で何が起きているかを知ることができる。(…)本書に記したことは、全て公開されているニュースと資料からの分析で、誰にでも可能な調査であるはずだ。日本におけるこれまでの報道に接して痛感するのは、私が狭い書斎で座布団一枚の上に座って分かるアメリカの大きな犯罪と過ちが、なぜ日本で明晰な頭脳を持つメディアの外信部記者に分からないのか、それが不思議でならないということである。》

メディアの外信部記者がそれほどまでに日本で明晰な頭脳をお持ちなのかどうか、議論の分かれるところかもしれませんが、それはさておき、確かに彼らが報道する欧米メディアの翻訳と映像の垂れ流しによって、日本の一般市民までもが「洗脳」されていることは確かです。

例えば、チェチェン人。彼らは2002年10月23日にモスクワの劇場を占拠し、ロシア人の観客800人以上を人質に取る事件を起こしました。これによって、チェチェン人とは人相も悪く、いかにも野蛮で獰猛なテロリストのイメージが焼き付けられました。

しかし、その前にロシア軍が1994年以降、チェチェン共和国に侵攻し、全人口110万人の1割近い10万人ものチェチェ人を虐殺していたのです。その理由は、カスピ海油田の石油を、アゼルバイジャンのバクーから黒海沿岸のロシアのノヴォロシスクにまで運ぶパイプルートの途中で、どうしてもチェチェン共和国を通過しなくてはならなかったからです。

広瀬氏はこう書きます。

《チェチェン紛争は、イスラム対ロシアの民族問題のように説明されてきたが、イスラム蜂起は結果に過ぎず、全くの嘘である。真の原因はこの油田採掘で莫大な利益を得るロシア富豪たちがエリツィン大統領の後ろで糸を引き、「アゼルバイジャン国際操業」の結成が引き金を引いた石油戦争だったのである。(…)大半のメディアは、チェチェンの住民がいかにロシア軍に殺されたか、その残虐さを伝えずに、いきなりチェチェンの抵抗運動を「テロリスト」と呼ぶことから物語をはじめる。ジャーナリズムの非道というほかない。》(一部校正)

「ジャーナリズムの非道」とは、凄い批判ながら、まさに、的確で、「何が報道されたのか」よりも、「何が報道されなかったのか」を問うことが重要なことが分かります。

この本を読むと、カスピ海油田は、ロシアだけの問題ではないことも分かります。前述のアゼルバイジャン国際操業社の出資者の顔ぶれには、英国のBPをはじめ、米国のベンゾイル(父ブッシュ元米大統領と濃厚な関係がある石油会社)、日本の伊藤忠まで著名企業が並んでいるのです。

これら石油企業の重役は米ホワイトハウス(大統領、閣僚)に潜り込み、ウォール街やロンドン・シティーの国際金融と手を結んで世界を支配している構図を複雑な人間関係や相関図を追って、この本で明らかにしています。

《グローバリズムとは、石油・ガスやクロムをはじめとする稀少金属などの地下資源を「先進国が安価に手に入れる」ための19世紀暗黒時代の貿易システムにほかならない。農地だった土地が工業化されると、大半の農民が土地を奪われて都会でスラム生活を送らなければならなくなり、彼らに代わって、世界的な穀物商社カーギルやモンサントのような大量生産方式の遺伝子組み換え農業、コカ・コーラ、マクドナルド、ケンタッキーに代表されるアメリカン・フードが入り込み、食糧の生産・貿易・流通システムを物量的に支配するようになる》

えっ!?グローバリズムは、夢と希望にあふれた、自由公平な貿易システムじゃなかったんですか?

《これが目に見える問題だが、グローバリズムの本当の恐ろしさは、別のところにある。文化面では、地域固有の文化が根絶やしされてきた。それぞれの生活習慣を楽しんできた人間にとって全く迷惑なことだ。アメリカとイギリスの通貨と文明に頼って生きるなど不愉快極まりない》

確かに、小生も、アングロサクソンの奏でる音楽に絶大な影響を受けて、常磐津、清元、長唄をそこまで熱心に聴いてこなかったなあ。。。

それに、銀行から盛んに宣伝してくる「ドル建て預金」などは、もってのほかですか。。。

《彼ら(国際金融マフィア)が政界と産業界の実権を握るため、彼らの発言だけがメディアに横行し、彼らだけが経済を論じ、あたかもほかに人間がいないかのようなジャーナリズム論を生み出す。(…)これが経済ファシズムでなくて何であろう。》

日本国憲法第13条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とうたわれております。

これは、経済とは、特権階級や経済団体や国際金融マフィアのものでははく、全ての日本国民が経済を論じることができる、と解釈できないことはありませんよね。

この本は、情報が多少詰め込まれ過ぎていて、決して読みやすくありませんが、特に、政治家と国際金融業界と石油や天然ガスなどの資源企業との強靭な結びつきがよく分かります。個別の具体的な事案や人物については、またこのブログで折を見て触れたいと思っております。

テレビはパラボラアンテナでは見ない、Wi-Fiで見る

昨晩20日は、月曜日だというのに、東京・虎ノ門の居酒屋「小虎」で懇親会でした。

もう1カ月も前から大野幹事長から「参加されたし」との通達がありました。実は、その通達があった3日前の夕方5時半に「今から来てください」との連絡があり、いくらなんでも、当日の土壇場の今からではこちらも予定があり、お断りしたのでした。

これに懲りた大野幹事長は、意趣返しか、何と今度は1カ月も前に通達してきたわけです(笑)。

久しぶりと、初めて会った面々は9人。「安否確認」ではなく、「生存確認」ということで、「渓流斎もやはりまだ生きていたのか」と余計なことを言う人もおりました。

例によって、懇親会での内容を書くと大野幹事長が「名誉毀損で訴えますよ」と高らかに宣言されておりましたから、残念ながら少しだけしか書けません(笑)。

◇◇◇

新聞業界が低迷の一途を辿っている最中に、感心にも、大野幹事長は、探訪記者らしく、自宅で9紙も購読しているというのです。天晴れ。記者の鑑ですね。しかも、毎朝4時半に起床して数時間かけて読破しているというのです。

年間購読料は50万円だとか。噂では、誰も注目しないような新聞の片隅に小さく載っている人事や事故やプロフィール情報を切り抜いてスクラップして、まるで興信所のようにいざという時に使うらしいのです。点情報を線情報にして、相関関係図まで作ってしまうというのですから大したものです。流石、探訪記者です(笑)。

◇◇◇

久しぶりにお会いした某テレビ局重役の川内さんには面白いことを教えてもらいました。

最近の若い人の「テレビ離れ」で、有料テレビの契約者が減少傾向にあるというのです。で、若い人は何を見ているかというと、ネットのユーチューブやネットフリックスなどです。受け身で垂れ流しの番組を見るのではなく、自分で検索して好きな番組を能動的に見るというのです。

そういう傾向が強くなっているのが、40代の団塊ジュニアの下の若い世代で、溝ができるくらいクッキリと差があるというのです。団塊ジュニアがもう旧世代になるとは!

賃貸マンションもかつては、BSやCSのパラボラアンテナが設備されたものが好まれたのが、今では、Wi-Fiが繋がっているマンションでなければ見向きもされないといいますから、時代は変わったものです。

…などと書くと、協会幹部や大野幹事長からは「だから渓流斎は上から目線で、偉そう」「誰もが知ってることを自慢げに書く」と叩かれるのです。

ま、普段は読者の皆さまの本音は、直接聞けませんから、昨晩は貴重なご意見として拝聴奉っておきました。

5日間連続の「お笑い怪談噺の夕べ」=大阪・天満天神「繁盛亭」

 京洛先生です。
 こちら京の都は、だいぶ、しのぎやすい気候になってきましたが、そちらは如何でしょうか。
 貴人のブログを拝見させてもらっていますが、真面目な気性がよくあらわれて、難しい話題が満載ですね(笑)
 もっと、街ネタ、探訪記事が欲しいものですが、「先生!それは、おカネがかかるのですよ?」ですかね。それを、言っては御終いです(大笑)。
 人間、動けば、カネがかかるのです。動かないで、家で寝ていれば、カネは使わずに済みますが、あとは、あの世に行くだけですよ。
 ブログの写真も、昼飯を食べて、それを写すだけで、工夫がありません。食べている写真をもって、主治医に健康診断でもしてもらったらどうでしょうか?屹度、「渓流斎さん、これは・・・・・」と難しい表情になると思いますよ(笑)。
 夏季休暇はスペイン旅行に出かけるそうですが、あちらは政情不安と聞いています。十分、身辺には気をつけてください。
 日本国内も、観光客を中心に外人が激増、治安が悪くなっていますが、欧州はそれ以上でしょう。自国の国民が嫌がる「3K職場」に働かせるため、賃金が”激安”と言うことで、外国人労働者をドンドン入国させた大きな負債、ツケが今、爆発、炎上しているのです。
 日本も、同じことをしようと、安倍政権は考え、それを今、推進しようとしていますが、「移民、難民大歓迎!」の大新聞の社説は、もろ手を挙げて大賛成でしょう。NHKの「ノモンハン事件」を見て怒りを爆発させるより、今、起こりつつある大問題に怒りを爆発させないとダメです。
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 ところで、昨晩は久しぶりに大阪の天満天神の境内の「繁盛亭」で、5日間連続の「お笑い怪談噺の夕べ」公演の千秋楽を覗いてきました。
 5日間通しで行くと「現金3000円を最終日にキヤッシュバックします!」ということで、舞台から、その対象者を確認する一幕もあり、リアルなその光景は落語以上に傑作でしたね。
 5日間の入場料1万5000円が、1万2000円になるわけですが、パンフレットには「団体なら10人で、3人が無料!」としてありました。絶滅寸前だった上方落語家は、今や260人もいるのですから、生存競争も激しいわけです。
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 「怪談噺の夕べ」は笑福亭福笑、旭堂南麟が中心で、それに、桂米左、林家染雀、笑福亭たまが、古典、新作、それぞれ、独自の怪談噺を聞かせてくれました。
 講談の南麟は「江島屋騒動」でしたが、三遊亭圓朝が明治の初めに作った有名な怪談です。貴人も一度は聞いたことがあるでしょう。古今亭志ん生や、この間亡くなった桂歌丸らも得意としていました。
 芝日影町(今の新橋駅界隈、港区新橋2丁目~6丁目)の、強欲な古着屋「江島屋」が舞台です。今でいうと京浜国道沿いの品川に向かった左側で、この間、貴人らと行った飲み屋の先です。
 「江島屋」に、いかさまの晴れ着を大金で売りつけられ、雨にうたれて、その婚礼着がボロボロになり、祝言は破談。娘のお里は利根川に身を投げ、その恨みが「江島屋」を襲う怖い話です。
 下総(千葉)の佐倉村の帰りに、道に迷った江島屋の番頭の金兵衛が一軒のあばら家で、またまた、恐ろしい怪異に遭うわけです。
 時代は幕末に近い天保年間になっていますが、その舞台、場所を江戸探訪すると面白いですよ。戦後起こった銀座の事件探訪と同じです。
 芝日影町は、江戸時代、古着屋(古着だけでなく新品も売られていたそうで、素人は、着物、生地の良し悪しは分からないので、まがい物を売りつけられるのですね)などが、軒を並べ、大変な賑わいだったという事です。近くには「芝神明(芝大神宮)」もあり、神社の境内で、相撲見物に絡んで、文化2年(1802年)に、有名な「め組の喧嘩」も起きています。火消しと相撲取りの喧嘩で、これも講談、落語のネタですね。
 昨夜の「江島屋」は講談で聞きましたが、話が長いので、昔は連夜にわたって、長講を、寄席で聞かせていたのだと思います。
 新作の怪談噺では、福笑の弟子の笑福亭たまの「ホスピタル」が愉快で、繁盛亭の客席は爆笑の渦でした。
 病室で起きる、患者と院長、医師、看護師のやり取りを、独特の語り口で、たまが演じるのですが、これは、ナマでないと聞けません。放送では色々支障があって無理でしょう(笑)。テレビでは規制があり過ぎ真実が聞けない世の中なのですよ。
 笑福亭たまは、上方落語の”期待の星”で、芸術祭の演芸部門「新人賞」や「国立演芸場花形演芸大賞」など受賞しています。芸能事務所に所属していなのがいいですね。京大卒業後、福笑の弟子になり、新作も、古典もいろいろ工夫研究しているのがよく分かりました。東京で出演する機会があれば聞きに行くと良いでしょう。お薦めの落語家です。
 以上

「琉球新報」と「沖縄タイムス」、尾畠春夫さんに国民栄誉賞を、ヒトはサルだった

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沖縄にお住まいの上里先生から、地元紙2紙が渓流斎の自宅に送られてきました。

いずれも、8月12日(日)付の「琉球新報」と「沖縄タイムス」朝刊です。上里先生からは事前にメールで連絡がありました。

 作家の百田尚樹さんが『つぶさないといけない』と言っていた新聞を2紙送りました。8月8日に翁長知事が急逝し、8月11日に県民大会がありました。12日の新聞は大きく報道されていたので、お送りしました。
 
本土でも大きく報道されましたが、地元紙を手に取ると圧巻でした。桁違いの報道です。やはり、地元沖縄と本土との「温度差」を感じざるを得ませんでした。
 あまり書くと、怖い強面の百田さんから、このブログを「つぶさなあかんな」と言われそうなので、不本意ながらやめておきます。「琉球新報、沖縄タイムス、頑張れ!」
◇◇◇
 嫌なニュースばかり続きましたが、15日は久しぶりに爽快なニュースに接することができました。3日間行方不明だった山口県防府市の藤本理稀(よしき)ちゃん(2)を奇跡的に発見した大分県のボランティア尾畠春夫(おばた・はるお)さん(78)の美談です。何しろ、山口県警・消防が380人も動員して探せなかったのに、尾畠さんはわずか20分ほどで探し当てたというんですからね。
 しかも、天晴れなのは、尾畠さんは、本当にボランティア精神に徹底していて、理稀ちゃんの祖父が「せめてお風呂にでも入ってください」というのに、それまで断ってしまうんですからね。まさに、正義の使者。月光仮面、ウルトラマン、スーパーマンです。
 尾畠さんの活動はこれが初めてではなく、新潟中越地震や東日本大震災など、災害地に足を運んで救援活動を支援していたというのですから、こういう人にこそ、県民栄誉賞どころか、国民栄誉賞を授与すべきではないでしょうか。
 尾畠さんは65歳まで、別府市で魚屋さんをやっていたらしく、今は年金暮らし。失礼ながら、大して貰っていないでしょう。ボランティアのきっかけが「俺は学歴もないし、世の中に恩返しをしたかったから」というのですから、ますます尊敬してしまいます。
 医科大学に裏口入学させたり、過剰接待の汚職を受けたりする文科省の官僚の例を出すまでもなく、学歴がある人間こそ悪いことしますからね。人間的立派さは、尾畠さんの足下にも及びません。漫画みたいに、ちょっと格好良すぎますけどね(笑)。
◇◇◇

サル学者の松沢哲郎京都大学高等研究院特別教授によると、ヒト(人間)とチンパンジーは500万~700万年前に同じ祖先から分かれたもので、DNAの塩基配列の98.8%まで同じなんだというのです。吃驚ですよ。

人間とチンパンジーの違いは、人間には想像力があるが、チンパンジーにはない。その代わり、人間には嫉妬心やねたみの感情を持ってしまう。

人間は理想を描くことができるが、チンパンジーは今の現実が全ててそれができない。その代わり、人間は理想と現実とのギャップに苦しみ、コンプレックスを持ってしまうというのです。

なるほど。

尾畠さんの美談に接して、ちょっと記憶力がいいだけの人間ほど傲慢になり、ヒトとチンパンジーは大して変わらないという原点を忘れがちだと再確認しました。