鈴木庫三という男=「出版と権力 講談社と野間家の110年」

 先週から魚住昭氏による669ページの大著「出版と権力 講談社と野間家の110年」(講談社)を読んでいます。途中で、「随分、よく調べているなあ」と感嘆したり、逆に、「社外秘の文書を特別に閲覧することができた、と豪語している割には驚愕すべき話は出て来ないなあ」と落胆したりしながら読んでいます。(やはり、同じ時代を扱った立花隆著「天皇と東大」の方が図抜けて面白い)

 この本に関しては、既に、渓流斎ブログの7月23日付の記事「講談社創立者野間清治の父は上総飯野藩士だった」で一度取り上げましたが、3年前に講談社ウエブサイト「現代ビジネス」に連載されていた時分から私は読んでいました。ウエブでは、講談社創立者「野間清治の一代記」(特に沖縄での御乱行)の印象が強かったのですが、改めて通読してみますと、タイトルの「出版と権力」そのものズバリの内容でした。

 まさに、出版、特に、雑誌は「時代を写す鏡」です。その時代の大衆が何を求めているのか?ーそのときの時流に乗らないと、雑誌は売れません。教職者だった野間清治が明治43年に初めて「雄弁」を、翌44年に「講談倶楽部」を次々と発行し、当初の「返品の山」の嵐を乗り越えて成功した時代背景には、自由民権運動後の国会開設や、明治新政府による教育の普及によって識字率が向上したことがありました。

 何と言っても、野間清治は波乱万丈の人です。「講談倶楽部」は、講談だけでなく、桃中軒雲衛門ら当時一世を風靡した浪花節(浪曲)を掲載したところ、講談師43人から連名で、講談速記録の雑誌掲載をボイコットされますが、新たに「新講談」と称して、都新聞の編集室に依頼して新作を発表していきます。後に「大菩薩峠」で有名になる中里介山や股旅物で第一人者となる長谷川伸らが健筆を振るい、売り上げ増に貢献します。

 それにしても、「出版と権力」の話が中心なので、この本で注目すべき中核をなしている物語は、昭和初期の戦時中の軍部による圧力の話です。まさに、近現代史の稗史です。

 中心人物は、陸軍情報部(後に情報局)情報官の鈴木庫三少佐(後に中佐、最終階級大佐、1894~1964年)です。何しろ、戦時体制という時局柄、国家総動員で、「思想教育」に打ってつけのメディアが雑誌でしたから、社会主義やマルクス主義はもってのほか。反戦思想など戦意高揚に反する記事もアウトです。紙の配給から印刷、流通に至るまで生殺与奪権は全て軍部が抑えていますから、軍部の御機嫌を損ねた出版社は倒産しかねません。

 この鈴木庫三という男は、出版社の幹部を呼びつけては、サーベルをガチャガチャといわせて威嚇して編集方針を変更させ、顧問団という名の監視役を社に送りつけたり、謝礼という名の法外な賄賂を受け取ったりします。

 一方の講談社の方は、かなり強かで陸軍のために「若桜」、海軍のために「海軍」を発行して軍部に全面的に協力して、用紙確保に心配なく、莫大な利益を上げていきます。

 日本敗戦後、講談社は戦争協力者として指弾されて、戦前の幹部は一掃され、GHQによる指令もあり、民主主義思想を根幹にした出版社として生まれ変わります。その際に、再登場したのが、戦後も生き延びた例の鈴木庫三さんです。講談社の幹部に会うと、「僕に頼みたい原稿があったらいくらでも書くよ。だいたい民主主義だなんて言ったって、僕はその方の専門家だからねえ」と言い放ったといいます。

 何という変わり身の早さ! 戦時中にあれほど若者たちを戦争に煽って、自分の意に反する言論を弾圧してきたというのに、自らの戦争責任などひとかけらも感じていない。鈴木庫三という男。ジャーナリスト清沢洌から「日本思想界の独裁者」と言われた男。人間ではありながら、良心の呵責や罪悪感など一切持ち合わせていない人間というものがこの世に存在するということを見事に見せつけてくれました。

 

再びスペインについて考えたこと

銀座「スペイン グルメテリア イ ボデガ スペイン・クラブ」

突然、個人的なことながら、渓流斎は本名ではなく雅号であります。当然、御存知のことと思われますけど…(笑)。

 実は私には、他にも雅号がたくさんありまして、これまで、「激流斎」「濁流斎」「蛇幕斎」「面読斎」「丼句斎」等々、色々使って耳目を驚かせてきたことがありました。でも、もういい年ですから、なるべく、ネガティブなことはやめよう、もっとポジティブに行こうと、あるきっかけが御座いまして、決意致しました。

昨日入った銀座・ドイツ料理店「ローマーヤー」本日のランチ:シュニッツェル1100円

 ですから、上記のようなマイナスなイメージの雅号は使うのはやめることに致しました。でも、「清流斎」「渓谿堂主人」といった雅号は、少しは清廉な感じがしますので、これからも使っていこうかと存じまする。

 そうでなくても、このブログでは、さんざん世迷言を書き立てて来ましたからね(苦笑)。せめて、これからは「明るく前向きに」生きていきたいものです。

銀座「スペイン グルメテリア イ ボデガ スペイン・クラブ」パエリア・ランチの前菜サラダとスープ

 とは言っても、毎日、ブログを書くことは修行僧の滝修行のように厳しいものです。書くネタに困れば、すぐ「銀座ランチ」に逃げ込みます。本日もそうなりますので、お許しをー。

 「孤独のグルメ」の井之頭五郎さんのように、とにかく、あてどもなく銀座をフラフラ歩いて見つけたのが、このスペイン料理店です。「スペイン・グルメテリア・イ・ ボデガ・スペイン・クラブ」というのが正式名称のようですが、覚えられませんでした(笑)。でも、知る人ぞ知る有名店のようですね。常時300種以上のワインを用意しているといいます。調度品など見ても、スペイン辺りから取り寄せてきたようで、この店に入れば、スペイン気分に浸れます。

 そういう私も、2018年9月にスペイン旅行を決行したことがあるので、3年前のことが本当に懐かしくなりました。

 その3年前にこのブログで書いた同じようなことをまた茲で書いてしまいますが、このスペイン旅行を決行するまで、実は、私はスペインは好きになれませんでした。ピサロ、コルテスといったスペイン人が中南米のインカ、アステカ帝国を滅ぼし、現地の人たちを虐殺し、良いイメージがなかったからでした。

銀座「スペイン グルメテリア イ ボデガ スペイン・クラブ」パエリア・ランチ1100円

 しかし、スペインに行くと、これらの考え方は少し変わりました。インカ帝国を征服したピサロも、アステカ帝国を滅ぼしたコルテスも、スペイン中央部のエストレマドゥーラ州出身で、ピサロは同州トルヒージョ生まれ、コルテスは同州メデジン生まれ。私も3年前にバスでこのエストレマドゥーラ州を通りましたが、赤土がはだけた不毛地帯で、こんなところでは、米も麦も野菜も何も育たない所であることが一目瞭然で分かりました。(何と、ここで、1960年代~70年代にジュリアーノ・ジェンマ主演などのマカロニ・ウエスタンが撮影されたそうです。ここを西部劇の荒野に見立てるにはピッタリな土地です)

 つまり、ピサロもコルテスたちも肥沃な大地を求めて、やむに已まれず、海外に飛躍したことが現場を見て初めて分かりました。(理由は何であれ、現地民を虐殺して征服する正当性は全くありませんが)

◇ 「英国の常識」は「世界の常識」

 もう一つ、極東に住む我々が、スペインに良くないイメージができてしまったのは、16世紀に世界の制海権を巡ってスペインと対立していた大英帝国が、殊更、スペイン人の残虐さや不当性を世界に発信し続けて来た影響もあるようです。1588年に英国がスペイン・フェリペ二世の無敵艦隊を破って、英国が世界の制海権を握ると、余計に、この「英国の常識」が「世界の常識」になったのです。北米大陸を「制服」してインディアンを虐殺した英国も、本来ならスペインを批判できないはずですが…。

 スペインは16世紀で、絶頂から一気に衰退期に入ってしまいました。だから、戦国時代に「植民地化」を狙って、あれだけ日本に来ていたスペイン人も江戸時代になると、途絶えてしまい、代わって新興国のオランダが進出してくるわけです。

 まあ、そんなことを一人で考えながら、ランチをしていました。スペイン料理が好きになったのも、3年前にスペイン旅行した際に、現地で本場のスペイン料理を食べたからでした。特に、軽食やおつまみになるタパスやピンチョスは、パンの上に魚介類、チーズ、肉など色んなものを載せるヴァリエーションがあり、日本人の口にも合い、気に入ってしまいました。

 意外と知られていませんが、スペイン・バスク地方のサンセバスチャンにはミシュランの三ツ星レストランが何十軒もあるようです。バスクと言えば、独立運動が盛んで、紛争が続くマイナスイメージがあったのですが、グルメ都市だったとは!死ぬ前にいつか行きたいなあ~、と思ってます。

疫病下の東京オリンピアード=熱狂と祝祭を求めて銀座をブラブラ

  7月26日(月)は東京五輪開催4日目です。

  昼休み、日本を代表する繁華街、東京・銀座の街中を歩いて、その熱狂と祝祭気分を取材してみました。

銀座SIX

 うーん。この通り、大型店舗は、どこでも、「検温実施」「マスク着用」「手指のアルコール消毒」など励行するよう入口にデカデカと案内看板を設置しています。

 もう見慣れた表示ですが、あと5~6年もすれば、貴重な歴史的写真になるのかもしれません。

午後1時過ぎの銀座通り この通り、人も車もガラガラです。

 東京五輪は「無観客試合」ということになり、テレビ中継でしか競技を見られなくなりました。これなら、何処かの遠い遠い異国の地でやろうと、同じです。まさに、テレリンピック!

 「ニッポン、金メダ-ルゥ~」と、テレビの実況アナウンサーが大袈裟に雄叫びを挙げています。まさにマッチポンプです。「狼が来た、狼が来た」と狼少年のように煽り立てて、叫んでいます。その側では、誰かが「ガン、ガン、ガン」と大きな銅鑼を叩いています。その催眠術に罹ったのか、昨日まであれだけ開催を反対していた輩まで、「やっぱ、やって良かったね。この感動は代えがたいねえ」と、恋人、夫婦、家族で顔を見合わせて笑っています。

 これが人間ですねえ。

 いいじゃないか、人間だもん。

銀座「日新堂」 このパテックフィリップの時計、1億円ぐらいかなあ~?この辺りもガラガラで熱狂なし

 それにしても、オリンピックって、政治そのものですね。国威発揚の場でもあります。北朝鮮は選手団を派遣しませんでしたし、中国は「日本は防衛白書で我が国を敵視している」、生意気だ、とばかり、開会式への高官派遣を急に取りやめました。

 結局、顔を見せた大物の国家元首は、次期開催(2024年のパリ五輪)が決定して仕方なく(?)来日したフランスのマクロン大統領ぐらいでしょうか。他の大物元首の皆さんは、日本が、新型コロナウイルス変異種の培養・育成・拡散場と化していることを怖れているんでしょうか?

 まあ、こんな感じで、オリンピック開催中だというのに、東京・銀座では熱狂も祝祭気分も全くなし。

 ランチに入ったドイツ料理店「ローマイヤー」でも、隣りに座った男女3人組は関西人で、ずーと、途切れもなく関西弁で話し続けていましたが、オリンピックの話は一切なし。よく分からない仕事関係の話をしていました。

 写真のように、五輪のマークの入った「表示板」(?)を撮らないと、オリンピックを開催している都市とは分からないほど。

 それが現実でした。

2回目のワクチン、ほぼ成功

昨日の土曜日は、猛暑の中、2回目のコロナ・ワクチン(モデルナ)を打って来ました。

 私の周囲の友人知人の中には、39度近い高熱を発して、仕事を休んだ人もいたぐらいでしたので、私も、髷を切って、白装束で地元の会場に出掛けました。

 まあ、スムーズに行きましたが、問題はその日の夜です。

 やはり、打った左腕が痛くなり、夜は寝返りを打てないほどで、夜中に何度も目が覚めました。しかし、普段の行いが良いのか、お蔭様で、熱は出ませんでした。明日月曜日は仕事に行けそうです。

 そうでなくとも、会社の後輩のS君に、「もしかして月曜日に熱が出て休むかもしれませんよ」とお伺いを立てたところ、S君は「駄目です。這ってでも(会社に)来てください」の一言でお終い。えっ?何? 薄情なあーー。人間じゃねえーーと心の中で叫んでいたのでした。

 こうなると、月曜出社した時に、S君に会ったら、「君が休むな!と言うから、高熱が出たけど、這って来たよ」と、ぶちかましてみようかしら。あ、嘘はいけないですね(笑)。

 世間の常識では、ワクチン2回接種すると、2週間後の8月7日になれば、免疫ができるようなので、夏休み、ちょっと有名な某寺社仏閣に出掛けようかしら? 7~8年ぶりかの温泉もいいなあ? あまり計画の話を書くと、非難囂々で炎上してしまうといけないので、この程度に留めておきまする(笑)。

 

 

ワクチン狂詩曲第108番=そして銀座・諸国民芸品店「たくみ」へ

 Covid-19ワクチン2回目を巡って、最近、私の周囲では色んな話を聞きます。勿論、「何ともなかった」という人もいますが、よくない話が多いのです。

築地「天辰」のっけ定食 1200円

 例えば、会社の同僚のA氏は、先週土曜日に2回目のモデルナを接種したのですが、その日の夜に39度近い高熱が出てダウン。日曜日も熱が引かず、月曜日も体調が良くなかったので、会社を休んだほどでした(火曜日に回復)。

 健康自慢のB氏の場合、2回目のファイザーで、それほど重くはなかったのですが、翌日は酷い倦怠感に襲われて、何もやる気が起きなかったといいます。

 Cさんもファイザー2回目で、打って4~5時間後に腕が痛くなり、12時間後の翌日には39度近い熱が出て、1日では下がらず、解熱剤カロナールを飲んで、やっと抑えたとか。「やっぱり、体内に衝撃あるワクチンなんだね」と知らせてくれました。

銀座「デリー」よくばりカレーランチ1120円

 何か、モデルナもファイザーも関係なく、副反応があるようです。私も今週土曜日の24日に2回目のモデルナを打つので、髷を切って、白装束を着て会場に向かうつもりです(笑)。

 とはいえ、私の住む地方自治体では、国家から配給されるモデルナ・ワクチンの供給が途絶え、26日以降の接種を延期するなんて言っております。私の場合もどうなるか分かりませんが、延期された人たちにとっては、「えーー、怒るでよおーー」でしょうねえ。

銀座に異様な雲?いえいえ飛行機雲でした

 さて、銀座に民芸運動の作品を販売する「たくみ」というお店が8丁目にあることを知り、昼休みに初めて足を運んで覗いてみました。

 民芸運動の中心人物、柳宗悦については、白樺派の人ぐらいで、ほとんど知らなかったのですが、昨年、彼の著作「南無阿弥陀仏」(岩波文庫)を読んで、初めて浄土思想とは何たるものかを理解することができ、人生の恩人と感じるようになり、彼の民芸運動について再度、関心を持たざるを得なくなったわけです。

 銀座には「のれん会」があって、一番有名なのは、「銀座百点」という小冊子を出している「銀座百店会」です。逆に言いますと、この小冊子ばかり読んでいると、「銀座百店会」に加盟していない銀座の名店を知らないことになります。

 民芸のお店「たくみ」を私が知ったのは、「銀座15番街」という小冊子からでした。「銀座百店会」に加盟していないか、加盟できないお店の「のれん会」だと思われます。と思って、HPを見たら、銀座15番街とは、「昭和41 年(1966年)、銀座7 丁目・8 丁目の店舗が中心となり会を発足させた」とのことでした。

銀座・民芸品店「たくみ」

 猛暑の中、早速、この「たくみ」に行って参りましたが、私も大好きな河井寛次郎先生の焼き物が一点、鍵のかかったガラスケースに入っておりまして、値段も100万円也でした。

 ムフフフフ、手が出ないことはないのですが、さすがに「即断即決」とはいかず、何も買わずにすごすごと帰って来ました。

 ただ、会津の民芸品「赤べこ」が、私がネットで買ったものより安く売っていたので、「なあんだ。ここで買えばよかった」と、地団駄も踏んできましたよ。

祝! 50万アクセス突破!!=島崎藤町作「五輪前」ー既に綻びが

 おおー!いつの間にかページビューの総合アクセス数が50万を突破しておりました!おめでとう御座います!意外に早かったでしたね。今月末か来月には到達されるのではないかと予想しておりましたが、小生のほぼ誕生日の日に記念のアクセスが達成したとは二重の喜びです。

 これも、すべて皆様のお蔭で御座います。いつも繰り返し書いておりますが、この渓流斎ブログをgooブログで書き始めたのは2005年3月で、途中病気で入院したりして消滅したりしましたが、2017年9月から松長哲聖氏の全面的ご指導で、独立サイトを立ち上げ、今に至っております。何も宣伝も、宣撫活動もしていないのに、4年弱で50万アクセスです。この「4年で50万」という数字を、もしもという仮定で想像しますと、この渓流斎ブログが2005年に開始して今年で16年になりますから、16年が4年の4倍なら200万アクセスとなります。無名のブログにしては、これは驚異的な数字ではないでしょうか?

 50万アクセス記念の祝賀会でも開きたいのですが、さすがこのコロナ禍では諦めざるを得ません。仕方ないので、ヴァーチャルで今から盛大に開きましょう!

 ということで、私は、この日のために用意した、ナポレオンがこよなく愛していたと言われる「シャンベルタン」(2016年=仏ブルゴーニュワイン)を開けてしまいました(笑)。

 シャンベルタンにはピンからキリまでありまして、皇帝御用達のシャンベルタンは恐らく、3万円はくだらないと思いますが、小生が買い置いたジュヴレイ・シャンベルタンは5000円。年金生活者にとっては「清水の舞台から飛び降りる」ほどの決断ではありましたが、何と言う芳醇で、なめらかで美味しいワインだこと!!値段だけありました(笑)。昼間から酔っ払ってしまいました。これが、本当のワインだったんですね。今まで飲んでいたのは何だったのか?

 本日は、海の日の祝日と間違えて会社を休んだわけではありません。昨日の誕生日で高齢者の仲間入りとなったため、午前中は、年金給付のことで地元の年金事務所に行って来たのです。私は民間のサラリーマンではありますが、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」の二階建てになっていて、受給を繰り下げ(先送り)すると、その分、割り増しになるのです。70歳からもらうと実に42%増、75歳だと84%も増額されるのです。しかし、その間、給付金はゼロですから、よほど貯金がなければなければ生活していけないし、70歳前に死んでしまっては元も子もありません。年金もらえず、はい、おしまい。

 で、私の場合、どうしたかと言いますと、老齢厚生年金は丸々貰い、老齢基礎年金だけを3年間先伸ばしにすることにしました。3年後に25.2%増になるといいます。年金事務所の窓口で説明を聞いて、シミュレーションの金額を聞いてから、即断即決したのですが、おウチに帰って、冷静になって書類を再読したところ、「総受給額逆転年月」が79歳11月。つまり、80歳以上生きないと元が取れないということが分かりました。私の父親は79歳で亡くなっているので、うーんギリギリかなあ、と思っています。年金で国家破綻するんじゃないかと言われてますから、日本国家になるべく迷惑を掛けずにおさらばしたいので、これがギリギリの貢献かな、と思っています。

 それに、あのスーパーボランティアの尾畠春夫さんは月5万5000円しか年金を貰っていないのに「やりたいことをやるのに足りるので十分です」とまで仰っているんですからね。頭が下がるばかりです。

 さて、東京オリンピック、IOC貴族による政略で、半ば強制でやっちまうようですが、開催前から綻びが出ています。東京五輪の電気技師スタッフとして来日していた米国と英国籍の男4人がコカイン所持で麻布署で逮捕されたり、ウズベキスタン国籍の大学生(30)が何と五輪の聖地国立競技場で、20代の女性に性的暴行を加えたとして、強制性交等容疑で警視庁組織犯罪対策2課に逮捕されたり、と唖然とする事件が続発しています。

 何と言っても頭に来るのは、コロナ感染拡大になっても決して責任は取らないIOC貴族の日当が10万円だという話です。ワイの月収やないけ!しかも、彼らは、どうせ、帝国ホテルかオークラ辺りの超高級ホテルに滞在して優雅な生活を送って、競技場まではお抱え運転手から送り迎えしてもらうだけでしょ? 五輪なんて、所詮、ぼったくり貴族による見世物だということを暴露してくれました。

 コロナ感染も「水際対策」のはずが、もう既に、選手村や地方滞在先で、18日現在、58人の大会関係者の感染者が出たと発表されています。が、五輪組織委も実体をつかめていない感染者もいるようで、実際はもっといるのではないかと言われています。

 取材のメディア関係者も怪しい(笑)。彼らは決して、品行方正、聖人君子じゃありませんからね。コロナとは関係ありませんが、私のマスコミの先輩なんか、飲み屋で、地元のヤクザと大喧嘩してボコボコにやられて、お岩さんのように顔がはれ上がった顔で、翌日のプロ野球キャンプを這って取材に行き、あの広岡監督から「あいつは大したタマだ」と褒め上げられた伝説の人でしたからね。美男美女が多い東京で羽目を外さない海外のメディア関係者がいたら賞状ものですよ(笑)。

14歳にして心朽ち、心だけは永遠の14歳

ヤブカンゾウ

 ひょっえーーー、です。

 7月18日は迂生の誕生日です。とうとう、高齢者の仲間入りになってしまいました。我ながら信じられない! 還暦になったと思ったら、あっという間です。この分ですと、残りの人生もあっという間に過ぎてしまうかもしれません。

 フェイスブックという嫌なSNSをやってしまったせいで、信じられないくらい多くの方からお祝いのメッセージが届きました。すみません、と言うしかありません。

 メールからもお祝い頂きました。御礼申し上げます。

 高齢者になったとはいえ、実は精神年齢は14歳です。14歳の時の方がもっと精神的に老けていました。東京郊外の田舎の中学2年生でしたが、このまま最難関の都立高校に入って、東大を目指して、国家公務員になるといったエスカレーターの人生を歩もうとする自分自身がどういうわけか許せなくなってしまったのです。何をしても虚しい。自分の将来がどうなってしまうのか、さっぱり未来像は描けませんでしたが、反骨精神が頭をもたげ、勉学を全て放棄してしまいました(単に遊び惚けてしまった、というべきか=笑)。

 よく、悪友の中下君と一緒にビリヤードをやったり、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」を聴いたり、煙草を吸っておまりさんに補導されたりしました。

 それは、虚無感に近い老成観でしたが、あの14歳があったからこそ今の自分があり、職業も反骨精神が生かせる記者になることができました。生まれ変わっても記者になりたい!(笑)

 ちょっと古い話ですが、「週刊現代」の3月13日号が「65歳になったら、ぜんぶ『やめる』『捨てる』『手放す』」の大特集をしていました。曰くー。

・いい年になったら、ネットやスマホから離れる

・病院通いも人間ドックもやめる

・サプリや健康食品を絶つから幸せになれる

・しがらみと他人の目がなくなったら、どこまでも自由になれる

・子供や孫には、もう期待しない。おカネも渡さない

・家は売らない、老人ホームなんて入らない

・冠婚葬祭はもういいよ

・株や投資信託で、最後に失敗する人たちの悲劇

うーーん、このうち、いくつできて、いくつリスクから回避できるでしょうか?

 今年は4月に高校時代からの大親友が急に亡くなってしまい、しかも、亡くなって10日間も彼の死を知らず、大変落ち込んでしまいましたが、「救世主」も現れました。その話は、語れば3日間も掛かるのでやめておきますが(笑)、お蔭様で、これからは、明るく前向きに生きていこうと心に誓うことができました。

 この渓流斎ブログも、キリの良い「50万アクセス」まで、あともう少しです。ということで、もうしばらく、皆様にはお付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。

騙すのが悪いのか、騙されるのが悪いのか

 昨日のブログで「私も、かつて多くのプロ野球選手を取材したことがありますが、超一流選手になればなるほど、記者泣かせの傲岸不遜の人が多かったものです。」書いたところ、友人のA君から個人メールで「その選手って誰ですか?是非知りたい」と言って来ました。

 ブログでは「口が裂けても選手名は言えない」と書いておきましたが、個人メールなら、そっと教えてあげました。そしたら、A君は「知らなかった。情報有難う」と直ぐ御礼の返信がありました。

 この時、思ったのは「あれっ?世間の人は実態を知らないんだ。テレビやマスコミを通した虚像しか知ることができないんだろうなあ」と再認識したことでした。

 例えば、超一流のX選手なんかは、ロッカールームで某通信社のK記者しか取材に応じないため、他社は、平身低頭、K記者を通してX選手の談話をもらって原稿を書かざるを得ませんでした。ですから、いくら後世に残る大記録を樹立しても、ほとんど全員の担当記者がX選手のことを嫌悪していたという話は、スポーツ記者ならほぼ全員が知っている常識でした。

 でも、マスコミの常識は世間の非常識ですから、普通の人が知らないのは当然なのかもしれません。

ヤブカンゾウ

 私も、マスコミの末席で録を食んできた人間なので、世間の普通の人が知らないことを沢山知ることができました。具体的な名前やスキャンダル(ほとんどお金か異性がらみ)は、ブログに書けませんし、書きたくもありませんが、若年層が、夢にまで見るほど、盲目的に憧れる芸能界やスポーツ界に対してはすっかり冷めて、「知らなければよかった」と思ったほどでした。と、正直に書いておきます。

 テレビやラジオに出演して偉そうに解説したりコメントしている人の中で、個人的に知っている人がいれば、いわゆる「お里が知れている」わけですから、当人が如何に傍若無人な傲慢な人間で、金銭に汚く、目立ちたがり屋の野心の塊であることまで知っているので、すぐさまチャンネルを変えることにしています。

 世間の人は何も知らないわけですから、テレビに出るから立派な人なんだと思っているだろうなあ、と考察しています。

 最近では、テレビ番組で、実はタレントの親族が経営している飲食店なのに、たまたま通りかかったかのように見せかけて、その店を宣伝する「ステルスマーケティング」(ステマ広告)が流行っているようです。

ヤブカンゾウ

 そして、驚くべきことに、「暗号通貨投資」だの「絶対損しないAI投資株」だのと甘い言葉に騙されて、今になっても詐欺商法に引っかかるインテリの皆様が後を絶ちません。豊田商事事件(2000億円)、安愚楽牧場事件(4200億円)などといった大型詐欺事件があって世間は大騒ぎしたというのに、人はすぐ忘れてしまうんですね。

 世間の人は、騙されても懲りないというか、騙されることが大好きなんだなあと思わざるを得ません。

 とは言いながらも、私は世間の皆様に訓示を垂れるような立派な人間ではありません。私が騙されたら大いに笑ってください。

 

大谷選手に触発されて=何事も明るく前向きに

 大谷さんの活躍から目が離せません。

 大谷さんとは、勿論、米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手(27)のことです。7月12日現在、投げては4勝1敗、打っては両リーグトップの33本塁打と、投打の二刀流で大活躍です。ちょうど100年前に投打で活躍したベーブ・ルースの再来、とも言われ、いや、人気、実力ともにベーブ・ルースを超えるのではないかと言われるほどです。

 最初は、現代という時代で、二刀流なんかできるわけがない、と懐疑の目を向けていた米国市民も本気で大谷の活躍に目を見張っています。100年前と言えば、スペイン風邪が世界的に大流行した頃です。パンデミックという災害の裏で、100年に一度出るか出ないかの大ヒーローが出現するとは、奇妙な一致に驚くばかりです。

 大谷選手の素晴らしいところは、野球だけでなく、その謙虚な人柄です。私も、かつて多くのプロ野球選手を取材したことがありますが、超一流選手になればなるほど、(誰とは口が裂けても言えませんが)質問に答えてくれなかったり、特定の記者だけにしか取材に応じなかったり、記者泣かせの傲岸不遜の人が多かったものです。それが、大谷選手は、記者だけでなく、ファンに対しても人当たりが良いようで、悪い評判は聞かれません。何と言っても、他球団のライバルからも一目置かれて、サインを求められると言われてますからね。

ただ、逆に、まだ免疫ができていませんから、変な美人局に騙されないか心配です(苦笑)。

ヤブカンゾウ

 どうして、こんな聖人君子のような選手が現れたのでしょうか?よっぽど、親や監督、教師の教育が良かったからなのでしょうか? まず、193センチ、95キロという恵まれたアスリートの体型と運動神経は、親譲りのようです。身長182センチある父親は元社会人野球選手で、少年野球チームの監督、身長170センチの母親は元バドミントン選手ですからね。

 でも、人間、注目されればすぐ慢心しますから、内面的な謙虚な人間性はなかなか作れないものです。それが、テレビでチラッとやっていたのですが、大谷選手は小さな頃から、「目標ノート」みたいなものを作って、それに向かって地道に努力してきたようなのです。ノートというよりメモに近いのですが、例えば「球速160キロを投げる」とか「8球団からドラフト1位指名」などといった「目標」を自分に課して、それを実現するためには何をしたらいいのか、自分で考えるといった具合です。

 肝心の「人間性」に関しては、例えば「ゴミ拾い」などのメモがあり、大リーグの試合でも実際にグラウンドにゴミが落ちたりしていると、そっと拾ってポケットに入れたりしているのです。あと、「怒ったら負け」と自分自身に言い聞かせているようです。審判も人間ですから間違えます。しかし、そんな誤審でも覆ることはありません。ボークを取られて抗議したりした試合後のインタビューでも、「不満を言っちゃいけませんね」と自ら反省したりしていましたから、余程、ハードなメンタルトレーニングを課して、精神力が強い人だとお見受けしました。

 つまり、「心・技・体」揃った100年に一度出るかでないかの逸才ですから、そんじょそこらの煩悩凡夫とは違う、ということです。

 そんな私も勿論、単なる煩悩凡夫ですから、毎日、思い悩みながら生きています。

 しかし、そんな哀れな姿を見かねたある人から素晴らしい助言を贈ってもらいました。

 貴方は自分で自分の心を痛めてしまう人なので、何事も明るく前向きにとらえるようにしてください。大丈夫ですよ。あまり心配し過ぎないように。

 確かに、自分の性格は悲観的で暗いことは十分に自覚しています。このブログをお読みになってくださる皆さんにもバレております。例えば、「東京五輪開催後の翌年は、必ず大不況が来る」とか、「もうすぐ首都圏に100年ぶりの大地震が襲い、壊滅的な被害が齎される」といったことをすぐ考えてしまうのです。

 これは長年の職業病といいますか、考え方のクセが身に着いてしまい、なかなか治せない、ということなのでしょう。

 でも、今回、ある方から私の性格を図星されたことですし、少しは、楽観的な思想を志向するように少しずつ、大谷選手のように「目標ノート」でも作って実践してみようかと思ってます。

 手始めは、このブログからですが、明るい話題が見つかるかなあ?ーあ、この時点で悲観的じゃ駄目ですね(苦笑)。

 とにかく、大谷選手と同時代に生まれて彼の活躍を見られて幸せだ、と書いておこう。

東京五輪、本当に開催ですか?=緊急事態宣言下で

 日本国政府は、7月12日(月)から8月22日(日)まで東京都に緊急事態宣言を発令するというのに、東京五輪は開催ですか…。子どもたちの運動会や修学旅行、それに祇園祭(山鉾巡行)、花火大会、ロックフェスティバルまで中止に追い込まれているというのに、オリンピックならいいんですか?矛盾していますね。一番喜んでいるのは、来日中のIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長でしょうね。

 68歳。ドイツ人ですが、大作曲家バッハとは関係なさそうな「ぼったくり男爵」(”Baron von Ripper-off” by The Washington Post)。1976年のモントリオール五輪フェンシング・フルーレ団体で、西ドイツ(当時)代表として金メダルを獲得した輝かしい経歴があります。文武両道で、本職は弁護士ということなので、弁が立つのは当たり前だったんすね。

 結局、「無観客」で開催されるようですが、IOCにとっては、テレビ放送さえしてくれれば、莫大な放送権料が入ってくるので、痛くも痒くもないんですよね。放送する米NBCだって、スポンサー収入さえ入ればいいわけですから、「過去最高の売り上げ」(ジェフ・シェル最高経営責任者)と万々歳です。それに、「無観客」とは言いながら、スポンサー様に対しては「どうぞ、どうぞ」です。特等席にご招待です。スポンサーだって、「金を払ってるんだから当然の権利」とコロナ禍なんて何処に吹く風?

 結局、オリンピックなんて、スポンサーの、スポンサーによる、スポンサーのためのものだということが、はっきり暴露されました。これでは、古代ローマのコロッセオでの剣闘士の闘い見物と変わらないじゃありませんか。

 そして一番馬鹿を見たのが、開催都市東京であり、政府であり、行きつくところは、日本国民です。無観客なら入場料収入900億円がそっくり入ってこなくなったからです。元々、入場料収入は、IOCにではなく、開催都市の懐に入るはずだったのですが、これがないとなると完璧に赤字です。大きな借金をしてIOC貴族のために立派な五輪用の競技施設を作ってあげて、開催してあげるなんて日本人も大したもんです。そのツケは全て国民の血税として回ってくることでしょう。

 それに、海外から9万人前後の選手団がやってくるわけですから、アルファ型か、デルタ型か知りませんが、感染拡大は必至でしょう。欧米人も「遠く離れた日本開催ならいいかぁ」てな感じです。五輪会場は、人体実験場じゃないんですよ!(福島など4県は有観客だとか)

 所詮、東京五輪なんぞ「捕らぬ狸の皮算用」だったわけです。緊急事態宣言でお酒の提供ができないので、都内の居酒屋の中には五輪期間中でも休業するという店舗もあるようです。勿論、100年に1度のパンデミック襲来を誰にも予想できなかったことですから、保険にも入っていなかったことでしょう。「骨折り損のくたびれ儲け」で終わりそうです。

築地・料亭「わのふ」

 それにしても、日本政府の右往左往ぶりには呆れます。菅首相による緊急事態宣言の記者会見も、以前なら、NHKの7時のニュースに合わせて、金曜日の夜7時に発表していたのに、「それだったら、『チコちゃんに叱られる!』が飛んで、いつも放送が見られなくなる」との国民の声に菅首相は耳を傾けたのか、前回から木曜日の夜7時から発表するようになった、というのは勘繰り過ぎでしょうか?

 「チコちゃんに叱られたくないから、記者会見の日を変えた首相」なんて言われたら格好つかないし、笑われますからね。

 世界に誇る東京・銀座の街並みを歩いても、オリンピック開催という興奮と祝祭ムードが全くありません。大借金を背負うことになった庶民は、カラクリを知っても、啻々、泣き寝入りするしかないんでしょうか?

 でも、スポンサー様も、五輪開催後に確実に襲ってくる大不況(1964年東京五輪の翌年は証券不況が勃発)によって消費が減ったり、控えたりされるので、大きなしっぺ返しを喰うことになるでしょう。

 いずれも他人事じゃないってことです。