安保ただ乗り論は本当なのか?

  トランプ米大統領が日米安全保障条約の破棄を何度も示唆しているので、日本政府関係者は慌てふためいているかと思えば、極めて冷静です。「大統領選のキャンペーンのためのポーズ」と忖度しているようです。

 FOXビジネスニュースの電話インタビューで、トランプ大統領は「日本が攻撃された時、アメリカは第3次世界大戦を戦い、猛烈な犠牲を払うことになるが、アメリカが攻撃されて救援が必要なとき、日本はソニーのテレビで見物するだけだ」と、本人の持論である日本の「安保ただ乗り」を展開しています。イマドキ、家電界が韓国、台湾、中国製に席捲された日本で、ソニーのテレビを見ている日本人は少ないでしょうけど。

 それにしても、本当に日本は、米軍の「核の傘」の下で、安穏と、ただ乗りしているんでしょうか?

 調べてみると、日本政府が2018年度予算に計上した「在日米軍関係経費」は4年連続過去最大の8022億円。日本に駐留する米軍兵士・軍属は約6万1300人で1人当たりの経費は約1300万円だったということが分かりました。その内訳はー。

▼「米軍再編関係経費」2161億円

▼「沖縄に関する特別行動委員会関係経費」51億円

▼「在日米軍駐留経費」(いわゆる「思いやり予算」)1968億円

▼基地周辺対策費、米軍用地借り上げ料、漁業補償費、提供普通財産(国有地)借り上げ試算など3842億円

合計=8022億円

 この金額で、台頭する周辺覇権国に対する防衛費が賄えれば安いもんじゃないか、と言う人もいるかもしれません。でも、このとてつもない金額は、政治家が払うのではなく、日本人の庶民の血税から支払われていることを忘れてはいけませんね。

 そして、トランプさんが主張するような「ただ乗り」どころではない金額であることは誰でも分かります。それに加えて、金額に表れない騒音問題や日米地位協定による領空権、領海支配や治外法権などもあります。

 何よりも、2004年とちょっと古いですが、米国防総省が発表した米軍駐留各国の経費負担割合です。日本は74.5%と最大で突出しています。韓国は40%、ドイツは32.6%ですからね。

 同じ第2次世界大戦の敗戦国である日本が米軍駐留費の4分の3近くも負担しているのに、ドイツはわずか3割ちょっとで済んでしまっていますからね。同じ敗戦占領国でも、ドイツ人は、トランプさんの祖先を遡れば行き着くらしく、日本人は単なる黄色人種だから、見下されているようにみえます。

 トランプさんは米国の最高権力者ですから、このデータを知らないわけがありません。それどころか、「日本は米軍駐留費の100%負担しろ」と発言もしていますから、あまり人が良い人には見えませんね。

 そもそも、日本人は米国人に対して、一方的に甘い期待ばかり寄せているんじゃないでしょうか。

 敗戦国日本は、戦後復興のために、米国からガリオア資金(占領地域統治救済資金)とエロア資金(占領地域経済復興資金 )などによって救済されました。ということを歴史の教科書で習いました。そのお蔭で、われわれ戦後間もない日本人の子どもたちは、給食の脱脂粉乳で育ち、飢えを免れました。

 戦後教育によって、米国は「白衣の天使」のような存在と崇められましたが、ガリオア資金などは無償貸与ではなく、後から返還要求され、1972年までに完済したというではありませんか。また、脱脂粉乳は、豚のえさにもならず、余っていたので日本に輸出したらしく、この話は真実かどうか別にしてひどく驚いたものです。

 このように、安保条約は敗戦国日本にとっては不平等条約です。ですから、戦勝国が一方的に破棄するわけがありません。こんなことを書いても、なあんの足しにもなりませんが、大手メディアが報道してくれないもので…。

トヨタに5000億円減税、小池都知事が五輪用地を9割引で売却

 「夏に参院選がありますが、自民党の天下は変わらないでしょうね。大企業が自民党に献金してるんですからね。今の政権は財界が支えてますよ。トヨタなんか、その見返りで5000億円も減税されてるんです。誰も知らないでしょう。新聞もテレビもどこも報道しないんですからねえ」 

 物識りの篠田先生が、そっと耳打ちしてくれました。

 えーーー、本当ですか? 5000億円とは・・・!? 知らなかった。。。本来なら国家予算に組み込まれるべき大金ではありませんか。そこで、吉本君に聞いてみました。「トヨタが5000億円もの減税の恩恵を受けていること、君、知らないだろう?」

 すると、彼は「知っているよ。そんなの常識じゃん」と主張するではありませんか。

「えっ? 何で? そんなニュース、聞いたこともないし、読んだこともないはずだよ。どこも報道してないんだから」

「報道してるよ」と吉本君。

 「えっ?どこで?」

「赤旗だよ。2019年3月20日付で、『トヨタに5000億円減税 大門議員 政府税調提案に逆行』とのタイトルで出てたよ。 日本共産党の大門議員 が、参院財政金融委員会で、『トヨタは安倍政権の5年間で約5000億円の減税だ。なぜ利益が2兆円以上の企業にこれだけの減税が必要なのか』と批判したことが書かれてるよ」

「えっ!?そうだったの?」

「小池都知事が、来年開催される東京五輪の選手村用地(約13.4ヘクタール)を、三井、住友、東急、野村、三菱など大手不動産開発会社11社に、近隣地価の何と9割引で売却契約したことも、大手マスコミは、テレビも新聞もどこも報道していなかったのに、赤旗は一昨年からボンボン報道しているよ。選手村整備を受託した不動産会社のうち、7社に都の幹部12人が天下りしている(同紙2017年3月14日付)というから、最初からデキ・レースだったことが分かる。「週刊金曜日」も2018年12月21日号から19年3月29日号にかけて不定期に7回にわたって「晴海『選手村』開発疑惑」を連載してますよ」

「あらま、そんなことあったなんて、ちーとも知らなかった」

高野山奥の院と青龍山安養寺とトランプ大統領来日の真の目的

 早いもので、もう6月ですか。。。うーん、ネガティブなことを書くのはやめておきましょう。泣こうが、喚こうが、時間は経ち、人生は過ぎていきます。泰然自若の境地でいるしかありません。

 そこで、明るい気持ちになろうと、早くも夏休みの計画を立ててみました。一応、いまだに会社組織にしがみついている身なので、自由はききませんけど、休みが取れればということで、二つの大きな計画を立ててみました。本当は昨年のスペイン旅行に続いて、ポーンと、また海外旅行に行きたかったのですが、お代官様の目が厳しくて今年は無理そうです(苦笑)。

 ということで、国内に絞りました。一つは、7月に弘法大師空海の高野山に行くことです。一生に一度は行きたいと思っていたからです。NHKの「ブラタモリ」の影響もあるかもしれませんが、是非とも「奥の院」に行って、織田信長や明智光秀ら戦国武将のお墓(供養塔?)をお参りしたいと思います。

 もう一つは、京都です。皆様ご案内の通り、このブログのおかげで、作家村上春樹氏の従弟である村上純一御住職と不思議なご縁ができましたが、その村上住職が預かる左京区の青龍山安養寺にお詫び行脚に行こうかと思っているのです。村上おっさん(和尚様のことを京都ではそう呼びます。「お」にアクセント)は、とても怖そうなお方で、お会いするなり、「喝!」を入れられそうですが、お許しを戴ければ、8月の「送り火」辺りにお伺いしようかと思っています。ただ、8月はお盆ですから、1年で一番忙しい月ですからね。一番混む時期なので、また、京洛先生に御厄介をお掛けしてしまうと思います。

◇F35が1兆2000億円

今日書くことはこの辺にしておこうかと思いましたが、先日、国賓として来日したトランプ米大統領のことを書いておこうと思います。

 トランプさんは一体、日本に何しに来たのでしょうか?「新天皇陛下に面会することはスーパーボール観戦の100倍も凄いこと」と安倍首相に説き伏せられたから?それとも、ゴルフをして相撲を観戦して、優勝力士に米大統領杯を授与するために?

 ほとんどのマスコミはそんなお祭りムードめいた報道一色だったので、多くの日本国民もそう思い込んだことでしょう。

 でも、実際は、「ディール(取引)」に来たのでしょう。その辺りの事情をうまくまとめていたのが、5月28日付東京新聞の「こちら特報部」だけでした。見出しだけ見ても、血の気を引いてしまいそうです。「安倍爆買い外交の数々」「農産品関税削減 参院選後の譲歩を確約?」「米の顔色うかがい、国益にならず」…。これでは、ゴルフをしながら、トランプさんが「ちゃんと約束を果たしてくれるかどうか確かめに来たんだよ」と言えば、安倍首相も「おっしゃる通りです」「はい、その通りに致します」と、まるで植民地か属国のように、宗主国に対してペコペコしている感じに見えてしまいます。

 その取引の金額が半端じゃないのです。米国製最新鋭ステルス戦闘機F35、105機の追加費用が何と1兆2000億円。地上配備型迎撃システム「イージス・ショア」2基の取得関連費2404億円、維持運用費を含めて計4389億円。垂直離着陸輸送機オスプレイ1機100億円、17機導入で1700億円。これらは全て、国民の税金ですからね。でも、この桁違いの金額については、国民のほとんどは知らないでしょう。

 極め付きが、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)。カジノ運営のノウハウは日本にはないので、米国の業者が中心に請け負い、その額はプライスレスだとか。つまり、天井知らずの日本人のお金が、米国に吸い取られることになります。

 東京新聞は「金で米国の歓心を買う安倍政権。『貢ぎ物』は軍事に限らない」と、大丈夫かなと思うくらい、露骨にあからさまに書いてますから、これでは、安倍政権に嫌われるはずです。菅官房長官が東京新聞女性記者の質問を受け付けない理由が分かりました。

安倍首相のお気に入りがトランプ大統領と握手していたとは…

昨晩、名古屋にお住まいの篠田先生から電話が掛かってきました。

篠田「ああたね、何か昨日はスパイ研究会に出たらしいけど、今日は、本物の現代のスパイが登場しましたよ」

渓流斎「えっ!? どういうことですか?」

篠「国技館ですよ。トランプ米大統領と握手していたでしょ? 古い、過去のもう終わったスパイの研究もいいですけど、今現在のスパイにも目配りしなければ駄目ですよ」

渓「えっ!?誰なんですか、それ?」

篠「知らないんですか?今、ネット上では大騒ぎですよ。どうせ、明日の朝刊では、どこの大新聞もテレビも報じないでしょう。相撲の取組が終わって、トランプ米大統領が升席を取っ払った特別観覧席から引き上げる際、NHKのアナウンサーが『一般のお客さんと握手を交わしています』と絶叫したでしょ?よく見たら、一般客でも何でもない。台湾出身の政治運動家・金美齢氏と極右国粋評論家・櫻井よし子氏、週刊新潮出身のノンフィクション作家門田隆将氏じゃあ、あーりませんか。いずれも、安倍首相お気に入りの親衛隊。産経新聞、フジテレビ御用達です。

渓「えーーー!、本当ですか?」

篠「知らなかったんですか?駄目ですね。ブログはこういうことを書かなければ駄目ですよ。彼らは千秋楽という最も入手困難な高額キップをどうやって手に入れたんでしょう?ネット上では『どうせ、ご招待だろ』とか『何が、一般客だ。NHKもグルだな』などと喧々諤々ですよ」

渓「知らなかったですね。どうせ明日の朝刊大手紙はどこも取り上げないでしょうけど、こちら方面が得意の『日刊ゲンダイ』や『東京スポーツ』なんかは売れなくなるはずですね。『夕刊フジ』はフジサンケイ・グループだからエールを送って載せるかも…」

新聞配達をしていた中学生の時、160センチだったのが、今や3メートルに伸びてました

篠「夕刊紙どころか、週刊誌だって、年金や相続や病気の話ばかりの『老人メディア』で、若い人はもう見向きもしませんよ。それより、トランプ大統領と安倍首相らが夜に会食した六本木の居酒屋は何処か知ってますか?」

渓「さあ…知りませんねえ」

篠「駄目ですねえ。『田舎家 東店』ですよ。六本木交差点から飯倉片町方面に下って、左手にドンキホーテがありますから、その近くですよ。ニューヨークにも支店があり大人気で、今、飛ぶ鳥を落とす勢いで、ブイブイ言わせてますよ。まあ、予算は一献2万円ってとこでしょうか」

渓「それにしても、随分、詳しいんですねえ…」

篠「ジャーナリストのくせに、ああたの取材力が足りないだけですよ(笑)」

渓「そう言われましてもねえ…」

篠「じゃ、答えをお教えしませう。 官報に告示されていたからですよ。そこにはドローン飛行禁止区域が書かれていたんですよ。ゴルフをやった千葉・茂原カントリー倶楽部や相撲観戦の国技館はマスコミ発表で事前から大々的に取り上げられましたが、大統領夫妻が宿泊するのはパレスホテル東京、夕食を供にすると思われる六本木3丁目のアロービルまで告示されてましたよ。あとは、内調(内閣情報調査室)やCIAでなくても、パンピー(NHKの好きな一般人)だって、ちょこっと調べれば分かるわけですよ」

渓「なあるほど。分かり過ぎるほど、分かりました。ぐうの音も出ません」

丸山議員の「戦争しないと、どうしようもなくないですか」発言はいかがなものか

 大阪選出の丸山穂高衆院議員が北方四島の返還に関連して、「戦争しないと、どうしようもなくないですか」などと発言した問題。大騒動になり、彼の所属する日本維新の会が「除名処分」にするまで発展しました。 

 丸山氏は議員を辞職せず、このまま無所属として活動するようですが、国会議員としての自覚が足りないというか、勉強不足ですね。

 外見は若いイケメンで、チャラ男風という感じですが、東京の最高学府の経済学部を卒業して経産省に入省していた経歴には驚きました。外見とのミスマッチに驚いたというのではなく、「その程度なのか?」という驚きです。

 丸山議員は35歳ということで、学業途中で学徒出陣した世代の孫世代に当たります。私たちのように、二代目の子の世代なら、親から散々悲惨な戦争体験の話を聞くことはできましたが、もう三代目となると無理なんですね。哀しい哉、やはり、人間は痛い目に遭わなければ分からないんですね。

 ここ1週間、たまたま、和田春樹著「朝鮮戦争全史」(岩波書店、2002年3月11日初版)を、老骨に鞭を打って読んでいます。重い(笑)。本文だけで492ページの大作です。やはり、朝鮮戦争を知らなければ、現代史を語れないからです。これを読むと、自分の不勉強を恥じますね。私の場合、近現代史の勉強は、満洲問題から東京裁判あたりで終わってしまってましたが、この本を読むと、人間が生きている限り歴史は続いていたことが分かります。当たり前ですが。

 特に、満洲=中国東北部は、大日本帝国なき後、「真空地帯」になったのか、中国共産党と国民党との間の内戦で、最も激戦が続いた戦場になり、北朝鮮の金日成主席は、満洲派と呼ばれ、戦中は満洲でのパルチザンとして活動していたと言われます。

 1950年6月25日(日)午前4時40分に、朝鮮戦争が勃発します。しかし、戦争は急に始まったわけではなく、1年前から、いや1948年に、ソ連による北朝鮮と米国による韓国という二つの分断国家が成立してから「統一国家」を目指して始まっていたようです。

 同書では、多くの往復書簡や暗号電報などが引用されていますが、北朝鮮の金日成らは、ソ連のスターリンと中国の毛沢東の「お墨付き」を得て、圧勝できる確信を持って開戦したようです。

 1953年7月 27日午前10時20分、板門店で停戦協定が調印されましたが、この戦争で、韓国人 約133万人(うち軍人は約24万人で、ほとんど民間人)、北朝鮮人約272万人(うち軍人約50万人、平壌は米軍による空爆で壊滅した)、中国人約100万人(中国の公式発表は2万9000人)、 米国人約5万4000人、ソ連299人が死亡したと著者は推定しております。朝鮮戦争は、事実上、米ソ戦(空域)と米中戦(地上)でした。日本人も哨戒船などで出動し、数十人が戦死したといわれています。(レーダーに捉えにくい木造船で、近海に詳しい日本人の船員らが犠牲)

 この朝鮮戦争期間中、日本人にとっても忘れてはならない大きな歴史的出来事がありました。1950年8月10日の警察予備隊(後の自衛隊)創設と、1951年9月8日のサンフランシスコ講和条約締結(52年4月28日発効)です。

 詳細については、リンクを貼りましたので、お読みいただくことにして、このサンフランシスコ講和条約で、日本は、千島列島と南樺太への権利・権原・請求権をも放棄しました。千島列島には北方四島も含まれますね。

 あ、やっと最初に書いた丸山議員の発言につながりました(苦笑)。

 ドイツの哲学者カントや大作曲家ワーグナーらが住んでいた街として有名な歴史的都市ケーニヒスベルクは、第2次世界大戦で徹底的に破壊され、今ではカリーニングラードと改名され、ロシアの領土(飛び地)となっています。

 戦争とはそれほど非情で悲惨で、不条理だという事実を若い国会議員は想像すらできないのでしょうか。まさか、彼自ら、三八式歩兵銃を持って最前線に行くつもりで発言したわけではないでしょうから。

複雑多難な国スリランカ

 4月21日に突然に、スリランカの最大都市コロンボなどで起きた爆発テロ事件。キリスト教会や五つ星の高級ホテルが襲撃され、200人以上が死亡し、この中で日本人も1人が死亡、4人が負傷したようです。

 何で起きたのか、専門家もまだ詳細に分析できないようですね。私の拙い知識では、スリランカというより、以前に名乗っていたセイロンの方が私の世代では馴染みが深く、それとともに、セイロン紅茶がすぐ思い浮かびます。また、コロンボは、「2001年宇宙の旅」などで知られるSF作家アーサー・C・クラークが永住していた街だったことが意外だったので記憶があります。スリランカは多民族国家で、1948年に英国から独立しましたが、仏教徒を優遇した政策から、仏教徒とヒンズー教徒との間で長い間紛争が続き、その紛争は10年ほど前に収まり、平和な国になったと聞いていました。

 日本の外務省の資料によると、スリランカ国内の宗教分布は、仏教徒70.1%,ヒンズー教徒12.6%,イスラム教徒9.7%,キリスト教徒7.6%。 民族は、シンハラ人(主に仏教)74.9%,タミル人(主にヒンズー教)15.3%,スリランカ・ムーア人9.3%となっています。

 今回襲撃されたのはキリスト教会と高級ホテルであることから、イスラム過激派が主犯で外国人観光客を狙ったものと言われてますが、その目的も狙いもさっぱり分かりませんね。観光産業を振興する政府に対する反政府運動なのかもしれませんが、観光の打撃になることは確かでしょう。爆発テロが遭った時、教会では復活祭のミサの最中だったという報道もありました。

 私自身、スリランカとは紅茶以外に個人的な接点はなかったのですが、驚いたことに、先日の大学の同窓会で謦咳に接した建築ジャーナリストの淵上氏からスリランカの建築家ジェフリー・バワ(1919~2003)の「生誕100年記念 現地建築ツアー」の案内が届いていたので、つい、大丈夫かなあ、と思ってしまいました。スリランカに世界的に著名な建築家がいたことも知りませんでした。でも、建築ツアーは9月開催ので、その頃までには落ち着いていることでしょう。

 そう言えば、日本人の多くに知られていないのが、スリランカ南部にあるハンバントタ港です。2017年7月にスリランカ側が中国国営企業に港の管理会社の株式の70%を99年間譲渡する11億2千万ドルの取引の合意文書に調印し、高金利債務の返済に困ったスリランカ側は、同年12月に中国側に港湾を引き渡したことです。これでは、まるで、アヘン戦争を起こした大英帝国が、戦勝後に香港を借款した手口を真似したような印象です。

 中国は、「一帯一路」戦略の一環として、借款した同港を軍港として整備しているとも言われています。日本の防衛省も、マレーシアのマハティール首相も、中国に依存することが「債務のわな」につながる可能性が高いと批判していました。

 こうしてみると、スリランカという国は、南国の穏やかな天国に近い島ではなく、国家財政が厳しく、多くの複雑な「内憂外患」を抱えていることが分かります。

WTOが、韓国による福島産水産物の禁輸を容認

世界貿易機関(WTO)は4月11日に、韓国による日本産水産物の全面禁輸を容認したため、日本国内では大騒ぎになっています。

弥次郎兵衛 日本政府の全面敗訴だなあ。まさに驚天動地。まさか、あのWTOが、日本の主張を却下するとは思わなかったよ。韓国は、最近、何でもいちゃもんばかり付けているから、このままじゃ、増長するよ。

喜多八  いやいや、これは韓国だけの問題じゃないんだよ。福島原発事故を理由に日本産食品の輸入を禁止しているのは世界23カ国・地域に及ぶんだよ。韓国なんてマーケットが小さい、小さい。遥かに大きい中国や米国、EUだって、いまだに、日本産品の輸入をストップしているんだよ。

弥次 えっ?何だって?それ、本当か?

喜多 ああ、例えば、中国なんか、東北、関東など10都県の全食品と飼料の輸入を今でも停止しているんだよ。福島原発事故が理由なのに、福島県産以外に埼玉県、東京都、長野県産まで停止命令が出ているだから、よく分からない。

弥次 それだけ、いまだに放射能の影響があると思ってるんじゃない?俺なんか、毎日、東北産や関東産の魚や野菜を食っているけどなあ。

喜多 ま、お互い。それはいずれ、「結果」が分かるんじゃないの。それより、安倍首相は、福島第一原発の汚染水は「アンダーコントロール」と見えを切って、東京五輪・パラリンピックの招致を獲得したんだよ。でも、いまだに汚染水は駄々洩れだから、大ウソをついたことになる。こっちの方が問題じゃないの?

弥次 それは、東京五輪の後援・スポンサーになっているマスコミは、グルだから、一切、絶対、批判しないし、報道すらしないよ。何しろ、福島原発は、メルトダウンしていたのに、最初は全く報道されなかったんだよ。汚染水は、自然に漏れているだけじゃなくて、処置に困っている放射性トリチウムを含む100万トンの汚染水を、これから薄めて海に流すらしいから、魚は本当に大丈夫なの?てな感じだよ。

喜多 だから、俺は、魚は山陰産しか食べないもんね。

弥次 おっ! ずるいなあ。

喜多 もちろん、段ボール入りの中国産冷凍餃子も食べないし、ポストハーベストの農薬漬けの野菜や遺伝子組み換え食品も食べない。今の政財官界の大物たちだって、福島産の農水産物を食べないと思うよ。

弥次 そんな推測でモノをしゃべっていいのかい?

喜多 もちろん、間違っていたら訂正するよ。憶測に過ぎないからね。積極的に食べているかもしれないし。それより、沖縄県の玉城知事が、米軍が駐留する欧州の英、ドイツ、イタリア、ベルギー4カ国の地位協定を調べたら、4カ国とも国内法が適用されていたことが分かったじゃないか。例えば、同じ第2次世界大戦の敗戦国のドイツでさえ、国内法が適用され、米軍基地への立ち入り権が明記され、米軍による訓練も独政府の承認が必要とされ、航空機事故が起きた場合、ドイツも調査に関与できることになっている。それなのに、日本だけは、国内法の適用がなく、国内なのに、基地に入れないどころか、事故が起きても捜査などできないことになっているんだ。まるで、植民地だね。治外法権もいいところだ。

弥次 えーー、そうなの。何で急に、そんな話になったの?

喜多 新聞のWTOの記事の隣に書いてあったからさ(笑)。沖縄県の調査について、河野太郎外相は「様々な国内法を含めた一つの体系なので、何かを取り出して比較することに全く意味がない」と批判したらしい。「全く意味がない」ということは、日本は植民地に甘んじますと宣言しているようなもの。河野外相もやはり、福島産の農水産物は食べていないね。

弥次 だから、そんなこと言って大丈夫なの?

映画「バイス」は★★★★

  ディック・チェイニー(1941~)第46代副大統領(78)の半生を描いた映画「バイス」(アダム・マッケイ監督作品)を観てきました。もうちょっと、コメディタッチで、皮肉的に描かれているかと思っていたら、意外にも正統派のドキュメンタリータッチで真面目に描いていました。ドキュメンタリータッチなら、マイケル・ムーア監督ならもっとスパイスを効かせたと思いますので、はっきり言って、その点だけは面白みに欠けていました。

 また、後半部分で、「心臓移植?」のオペシーンなど、日本人としては目を背けたくなる場面も多く出てきて、日本人の監督ならここまで描かないだろうなあ、と、いかにも米国らしい映画に思えました。

 この映画のコピーでは「まさかの実話!アメリカ史上最強で最凶の副大統領」となっていましたが、「最凶」ぶりはあまり感じませんでしたね。しっかり者の妻リンに尻を叩かれて、政界に進出し、権力の実態とその「蜜の味」を知っていくうちに自然に頂点を目指すようになる男の家族の物語に終始しておりました。次女が同性愛者ということで、選挙運動にネックになったりしますが、あくまでも家族として結束する姿が描かれ、これまた米国らしい、米国人が納得しそうなファミリー映画でした。



 この映画は、やはり、主役のチェイニー役を演じたクリスチャン・ベールがいなければできなかったことでしょうね。1963年のチェイニーの20代から60代後半まで演じていますが、体重を20キロも増量したらしく、特殊メイクも5時間ぐらい掛けたらしいので、本物そくりです。クリスチャン・ベールの姿は何処にもいません。(チェイニーが副大統領になった時、75歳ぐらいに見えましたが、まだ、60歳の若さだったので驚いてしまいました)

 そっくりと言えば、パウエル国務長官役の俳優も、ライス大統領補佐官役の俳優も、そして、ブッシュ大統領役の俳優もみんな名前は知りませんが(笑)、本当に「そっくりさん」でした。

 この映画は大いに期待していたので、事前に「予習」をしておいてよかったでした。もしかして、予習しておかないと時代背景は分かっても、裏に隠れた本質は分からないかもしれません。

 「大量破壊兵器」がないことを知りながら、イラク戦争を強行したチェイニー副大統領は、石油サービス会社ハリバートンの最高経営責任者(CEO)だったこともしっかり描かれていました。チェイニー氏はCEOを退任する際に、2600万ドルの退職金をもらい、「自分が想像していたより2倍も多かった」といった台詞が出てきます。

 2600万ドルは、当時でレート(1ドル=116円)で計算すると、30億円ぐらいですか。桁が違いますね。しかし、ハリバートンは、恐らくチェイニー副大統領のお陰で、米軍の食事から洗濯までのサービスを入札なしで獲得しており、イラク戦争後、株式が500%も値上がりしたので、十分に元手は取れたことでしょう。

 チェイニーの妻リンは、世界最大の軍需産業ロッキード社の取締役を務めていたことを予習していましたが、そのことは全く出てきませんでしたね。

 映画ですから、全てを描くことはできませんが、この映画を観ただけでは、何で、学生時代から飲んだくれで、飲酒運転で逮捕され、学業成績も悪く、スポーツ能力もない、平均以下の人物でイエール大学を中退した男が、石油大手のCEOになったり、「影の大統領」と呼ばれるほどホワイトハウスの頂点に上り詰めたりすることができたのか不思議でしたが、調べてみたら、イエール大学中退後は、ワイオミング大学で修士号まで取っており、やはり、後に、国防長官などを歴任するラムズフェルトらと知り合ったことが大きかったように思えました。

 それにしても、世界一の大国で権力を握ると、戦争遂行でも、企業との癒着でも、歴史を変えるほど莫大な力を行使できるんですね。この映画を観て、権力とか、パワーとか言われるものは何かといえば、はっきり言って、結局、「軍事力」だということが分かりました。

ショーケンの死、NHK岩田解説委員、コンビニ営業時間、モノに執着しない生活

 今日は、種々雑多の心に浮かぶよしなしごとをー。

 ■ショーケンこと萩原健一さんが3月26日に亡くなっていたそうで、ご冥福をお祈り申し上げます。難病に掛かり、2011年から闘病されていたそうですが、まだ、68歳という若さですから御本人も無念だったことでしょう。

 テンプターズのヴォーカルとして「神さまお願い」や「エメラルドの伝説」などのヒットを飛ばした頃(古い!)、私の世代のアイドル的存在でしたから、ある時代が終わった感じがします。破天荒な人に見えましたが、私生活でも、女性遍歴やら薬物使用やら、破天荒だったようです。

 先日観た映画「翔んで埼玉」のことを書きましたが、ショーケンも埼玉県出身。旧与野市の鮮魚店の子息だと聞いたことがありましたが、今のようなネット時代は色んなことが書かれていますね。大スターというのは、色んなものを背負っていて、生まれ持った重い影が「暗ければ暗いほど、輝く」というのが鉄則だというのは、芸能担当記者だった頃に業界関係者から聴いた話でした。ショーケンは17歳でデビューして大スターになりましたが、その理由が分かった気がしました。

alhumbra, Espagne

 ■一昨日、このブログで「新元号」のことを書きましたので、少し責任感を感じて(笑)、「NHK熟年の美人記者が元号スクープという舞台裏」という見出しで、新元号のことを取り上げていた「週刊新潮」を買ってしまいました。私は、「新元号をスクープするメディアはどこになるか気になる」と書きましたが、「週刊新潮」は「首相官邸周辺は、NHK解説委員の岩田明子氏にスクープさせる動きがある」といった趣旨のことを書いてました。

 えっ?あの、世間では「安倍首相のお気に入り」と評判の岩田女史ですか。どうやら、安倍首相の自宅に近い所にあるマンションを購入して、安倍首相の母親の洋子さんとも親密になっている、とも書かれていました。

 なるほど。岩田さんが、4月1日の臨時閣議後の正式発表前に、恐らく5分ぐらい前に「新元号は○○です」とテレビカメラに向かってスクープするのでしょうか?

 岩田さんは、最高学府を出られたという噂は聞いてましたが、気になって調べたら、高校は名門県立千葉だったそうですね。いやあ、この高校、どうでもいいですけど、個人的に、心の傷が疼くほど、思い入れがある高校です。そうでしたかあ…。

Alhumbra, Espagne

■最近、と言っても、半年ぐらい前ですが、私が利用する最寄り駅の駅前の一等地にあったパチンコ屋さんが、コンビニになっていました。駅至近距離には既に4軒もコンビニがあるのですが、やはり、コンビニは、パチンコ店を席捲するほど勢いがまだまだあるんですね。

 最近、コンビニの「深夜営業」を巡って喧しいですが、私自身は、ほとんどコンビニを利用しないので、真夜中、未明までオープンすることはないと思ってます。少数意見かもしれませんが。

Espagne

■3年ほど前、病気になり車の運転ができなくなり、そのまま自家用車を売却してしまいました。

 生活的に不便にはなりましたが、でも、そのお蔭で、自動車保険や駐車場代などが一切掛からなくなり、家計的には大いに助かるようになりました。いざという時は、タクシーに乗ればいいと思いましたが、結構、健康のために歩くようにしたら、徐々に健康を取り戻すことができました。

 さて、何でこんなことを書いたかと言いますと、会社の同僚が、自宅に保管している蔵書が増えすぎたため、自宅近くにロッカールームを借りたという話を聞いたからです。畳二畳ほどの広さで、月額8000円。「わー高(たか)!、田舎の駐車場代並みだなあ」と思ってしまったのです。

 蔵書については、またまた個人的ながら、病気で読めなくなってしまった際、かなりの数、1000冊ぐらいの本を処分してしまったので、今や私の書斎にはほとんど残っておりません。

 やっぱ、モノに固執しなければ、お金も掛からないってところですかねえ?

ホッブスの「リヴァイアサン」に学べ

 今朝も、新橋での人身事故で、通勤電車が遅れました。正直、もう勘弁してほしいですね。2月27日付の小生のブログ「人身事故は5000万円?」をお読みにならなかったのでしょうか。

 さて、久留米にお住まいの有馬先生からメールが届きました。

Espagnole

 《渓流斎日乗》を拝読させていただいておりますが、最近は、個人的な身辺雑記の話題が多いですね。もっと、天下国家や国際問題を語ってください(笑)。とはいえ、私はそれが正しいとは微塵にも思っておりません。身辺雑記の小宇宙(ミクロコスモス)の方が、世界観を反映していることがあるからです。

 正しさや正義を振りかざす人間ほど、扱いにくいものはないのです。

 ですから、これから述べる私見は、自分自身も正論だなどとは更々思っておりません。単なる持論であり、単なる個人的意見です。ということをまず断っておきます。

 何よりも、私自身が疑ってかかっている人間とは、自己主張が強く、自分の意見に凝り固まって、獄中に繋がれようと決して持論を曲げない人間なのです。戦前なら、獄中から出れば、英雄として迎えられ、組織の長ともなれたでしょうが、そもそも転向が悪の権化の如く、寄って集って指弾されるべきものなのかについては甚だ疑問です。

 人間は弱いものですから、拷問されたり、生命の危険に晒されれば、思想信条も二の次になります。人は裏切り、背信行為もします。人間は、か弱いものです。女に石を投げることができる、罪を犯したことがない人間は、そういないのです。

Alhambra

 ところで、「右翼」や「左翼」といった政治的に使われる言葉も境目が曖昧になりました。例えば、右翼=保守的=超国家主義。左翼=進歩的=自由主義といった単純な図式は当てはまらなくなりました。

 レーダー照射問題や徴用工問題で日本との関係が悪化しているお隣の韓国では、左翼と呼ばれる人権派弁護士出身の大統領を擁いておりますが、極めてドメスティックで、それどころか、司法も行政も国際条約を疎かにするような排外主義というか国家主義的になっています。(善し悪しは別として)

  また、文革時代にあれほど「走資派」を批判し、つるし上げていた中国は、今や資本主義の権化のような経済大国です。それでいて貧富の格差が拡大して、共産主義、社会主義が理想とする平等主義から程遠くなり、矛盾しています。

 それだけ、21世紀になって、イデオロギーや概念が大変革したわけです。かつての左翼が右翼的になり、かつての右翼が左翼的になったというか、そもそも最初から左翼も右翼も幻想で、なかったのかもしれません

Alhambra

 左翼思想も右翼思想もなかった時代。17世紀の英国の哲学者ホッブスは、その著「リヴァイアサン」の中で、「万人の万人に対する闘争」を説きました。これは、「弱肉強食」の自然状態 から脱するため、社会契約により、絶対的権力をもつ国家(リヴァイアサン)を設定すべきだと説いております。この契約によって、人間は、平和と相互援助を約束し合います。

 ということは、ホッブスは弱肉強食の世界を肯定しているわけではなく、むしろ、強者を諌めているのです。「万人の万人に対する闘争」である自然状態では、強者が常に勝つとは限らず、強者の支配が覆され、強者は天寿を全うすることができなくなる場合もあります。本来、人間は平等で、人間同士の欲求は競合しますから 「万人の万人に対する闘争」 が起こります。平等だから決着はつかず、「闘争」は永遠に続きます。だからこそ、強者は社会契約を受け入れて、弱者を蔑むこともやめるべきだというのです。

 よく考えてみれば、強者だって、病気や怪我をすればたちまち弱者です。強い若者も、老人ともなれば弱者になります。富裕層も没落すれば、あっという間にに弱者です。つまり、強者と弱者は紙一重なのです。

 今の時代、ホッブスの哲学がもう一度、見直されるべきではないでしょうか。

 有馬先生、どうも有難う御座いました。

 (ホッブスの項は、早稲田大学の豊永郁子教授の論考を一部引用させて頂きました)