福井総裁は辞任を

日銀・福井総裁の儲けの全容が判明しました。

運用益の総額は1473万円だそうです。1999年1月から2005年末に村上ファンドに1000万円を投資した結果の成績です。大手銀行に同じ1000万円を大口定期に預けた場合、99年1月時点の利率年0・40%を適用すると、利息は6年9ヶ月で計約27万円。

何という違いでしょう。

しかし、こんなことばかり書いているのも馬鹿らしくなりました。

福井総裁は、「責任を取って」これらの儲けを慈善団体に寄付し、自身の報酬月額の3割を半年間返上してでも、総裁という椅子にしがみつきたい旨を表明しています。

よっぽど、日銀総裁の地位が居心地いいのでしょうね。

しかし、そのうちこのニュースもすぐ忘れ去られるでしょう。

それに私がどうのこうの言っても、何の影響もないでしょう。

だから、こちらも備忘録として残しておきます。

「おりこうさん おばかさんのお金の使い方」

公開日:2006年1月23日

最近、専ら経済書を読んでいます。

とはいっても、ケインズとかシュンペーターとかサミュエルソンとか言えば、格好いいのですが、何しろ「経済知識ほとんどゼロ」で初老の歳まできてしまったので、今、必死に基礎知識を仕入れているところです。

実は若い頃は経済を馬鹿にしていたのです。只管、金にならない学問に時間を費やしてきました。文学とか歴史とか美術とか音楽とか宗教とかです。ですから、そういった方面の知識は、ある程度はあると自負しております。しかし、経済となると、からきし駄目です。高校生のレベルならどうにか追いつけるかもしれませんが、本当に、ケインズもサミュエルソンもマックス・ウエバーさえ一冊も読んだことはありません。バブルの頃、株の本も何冊か買いましたが、結局一冊も読み通すことができませんでした。もちろん、バランスシートの読み方さえ、知りません。

しかし、最近「恒産なきは恒心なし」という加藤廣さん(「信長の棺」の著者)に触発されて、ボチボチ、経済入門書を読み始め、つまらない経済記事も率先して読むようになりました。

標題の本の著者は、板倉雄一郎さんという1963年生まれの方です。高校卒業後、若くしてゲーム会社を興して、大成功し、ビル・ゲイツと商談して日経の一面を飾るも、97年に負債総額37億円を抱えて破産ーと略歴に書いてある人です。

この本は、経済の本というより、経営や投資の話が中心ですが、そういった世界の知識は私の知らないことばかりだったので、勉強になりました。ためになったことを抜書きするとー。(一部表現をかえています)

●金融雑誌の記事や新聞広告に大々的に出ている金融商品は、すでに売り手である金融のプロたちがさんざんおいしいところを食べつくしたあとの「残りカス」である。

●金融機関が自分が損する商品を販売するわけがない。

●「株価チャート」の本を読んだくらいで、実際に株で儲けることができるのか?そんなことはありえない。すでに終わった話で論理を構成しているから破綻がないだけなのだ。そもそも後付けの理論なのだ。株価チャートで儲けられれば、皆、その本を鵜呑みにして株を買えば儲かるのに、そんな人はごくわずか。本当に賢い人は「株価チャート」の本を書いてベストセラーを狙い、印税を稼ぐ。

●株主が配当という現金を受け取る分、株主価値は減少する。企業の株式時価総額(=株価×発行済み株式総数)は、株主価値に担保されているからだ。株主価値は、その企業が将来生み出すであろう現金収支によって担保されている。だから、企業の成長期に配当を行う経営者は、おばかさんである。配当した瞬間に、配当した分、株主価値が減少するからだ。

●PERやPBRなどの株価指数は、投資判断において当てにならない。なぜなら、これらの指標はある企業の「単独期」の指標でしかないからだ。投資家からみた企業価値(=株主価値+債権者価値)は、当該企業が将来生み出すであろう現金収支に担保されている。つまり、時価総額や企業価値とは、当該企業の「将来性を織り込んだ数値」のことだ。今から将来にわたる企業の業績が織り込まれるのが時価総額であり、時価総額と債権者価値の合計が投資家から見た「企業価値」だ。従って、単独期の指標のどれとどれを組み合わせようが、時価総額や企業価値の「高低」を測る指標とはなりえない。

この本を読んでいたおかげで、ライブドア事件のニュースがよく分かりました。なぜ、ホリエモンがあれほど「時価総額世界一」に拘っていたのか。株主総会で配当を出さないことに対して株主が怒りの声をあげた時、ホリエモンが、「自分がいかに株主のことを考えているのに、皆さんには分かってもらえない」と泣いて訴えていたのは、そういうわけだったのか…等々。

この本を読む前に、細野真宏著「世界一わかりやすい株の本 実践編」を読んでいたので、「株式分割」によって、いかに株が上昇して利ザヤが出るかというカラクリを知っていたので、やはり、ライブドアの手法は、「風説の流布」や「偽計取引」以前に、株価吊り上げが目的だったということが、手に取るように分かりました。

今晩、ついにホリエモンが逮捕されました。つくづく、ライブドアの株に手を出さなくてよかったと思っています。

「知識は身を助く」です。

トレードオフ

いまだかつて経営学どころか経済学の専門書を読み通したことがないのですが、経営学の専門用語に「トレードオフ」という言葉があるそうです。

英語辞書を引くと「妥協のための取引」とありました。
要するに「何かを得るために、何かを犠牲にして失う」という商行為のことを指します。

どこかで聞いたことがありました。

12月12日の私のブログ「途方に暮れたら」で同じようなことを書いていました。

再録します。
「人は、何かを手に入れるために何かを失う。
しかし、何かを失ったとしても、決してほかのものが手に入らないわけではない。
失ったら失った分、ほかの幸せを手にすることができる。」

なるほど、経営学と人生訓と似たところがあるのですね。

154兆円

気になる数字があります。

154兆円。

もし、ゼロ金利が続かなかったら、1993年から10年間で家計の受け取り利子が累計154兆円に達していたという数字だそうです。

不良債権処理で、これだけ、国民に負担を強いられたということです。

逆に言うと、銀行などの金融会社は、「ドブ」と彼らが呼んでいる客からタダ(金利ゼロ)で金を仕入れて、利子を付けて、金を貸して、154兆円の利益を生み出したということでしょう。本来なら、この154兆円は、金利として、預けてくださった顧客に返却すべき数字だったのです!

しかし、どこの世界に、タダで仕入れてきて利益を生む社会システムが存在するのでしょうか?

今、映画化もされた、つげ義春の漫画「無能の人」を思い出してしまいました。
この作品は、河原からタダで石を「仕入れて」きて、売っている「無能の人」の物語でした。

現実は漫画化されている、というのが今回の結論です。

奪われる日本 

たった一つの論文を読みたいがために、710円を払って雑誌を買いました。今月の「文芸春秋」です。

読みたかったのは、ノンフィクション作家の関岡英之氏の『米国に蹂躙される医療と保険制度 奪われる日本―「年次改革要望書」米国の日本改造計画』という論文です。

「ついに簡保120兆円市場をこじあけた米国の次なる標的は?我々の健康と安心が崩壊する」という前文(リード)から始まります。

関岡氏によると、簡保、つまり簡易生命保険制度は、民間の生命保険に加入できない低所得者にも保険というセーフティネットを提供することを目的として大正5年に創設されたもので、ビジネスというよりは日本社会の安全装置だといいます。この簡保120兆円を米国の保険業界が狙っているというのです。郵政民営化の本当の狙いです。120兆円といっても、サミット参加国カナダのGDPより大きいのです。

保険は、毎月決まった金額の保険料を長期に渡って支払うことができる顧客が対象となるため、国民の大多数がその日暮らしの発展途上国では市場そのものが成立しえない。従って先進国に限られ、米国、日本、英国、独、仏の5カ国のみで世界の保険市場の8割近くを占めるそうです。

「簡保乗っ取り」の話はまだ序の口で、米国の本当の狙いは「健康保険」だ、というのが筆者の見立てです。

そういえば、2000年を前後して日本の中堅・中小の生命保険会社が相次いで外資に買収されたとして列挙しています。

例えば、
「東邦生命」⇒GE(米)⇒AIG(米)
「千代田生命」⇒AIG(米)
「協栄生命」⇒プルデンシャル(英)
「日産生命」⇒アルミテス(仏)
「日本団体生命」⇒アクサ(仏)
といった感じです。

最近のテレビCMでいかにも元気がいいのが、名前は出しませんが外資系の保険会社です。背景にこんな事情があったのかと納得しました。

詳しいことは本文を是非読んでください。

阪神と村上ファンド

これから、少しはタイトルに注意しなければなりません。「責任者、出て来い!」なんて、衒っているだけで、非常に品がありませんでした。自分でも吃驚してしまいました。失礼致しました。

今日は、「村上ファンド」が、阪神電鉄の株を買占め、筆頭株主に躍り出たニュースに目を惹かれました。目下約38%の株を保有し、今後同社株の過半数取得を狙っている村上ファンドは、阪神電鉄の「子会社」であるプロ野球阪神タイガースの株式上場を提案したそうです。

「子会社」とカギ括弧を付けたのには理由があります。経済に疎いので、細かい数字はあげられませんが、タイガースは確かに電鉄の子会社とはいえ、実際の稼ぎ頭は、電鉄ではなく、このタイガースだったのです。(18年ぶりにリーグ優勝した2003年の12月期の売上高は、179億円だったそうです)

親会社の電鉄は、マラソンの距離(42.195キロ)にも満たない営業距離しかありません。しかも、海岸線を走るので、線路を拡張する術もありません。「下町」の工業地帯を走り、乗客からの収入が飛躍的に伸びることは考えられません。「山の手」を走る阪急電鉄とは大違いなのです。20年近く昔に、スポーツ記者として阪神球団を担当していたので、その当たりは肌身に染みて実感しております。

つまり、阪神の球団と電鉄の関係は、ホリエモン騒動で一躍有名になったニッポン放送の「子会社」のフジテレビみたいなものなのです。

村上氏は、やはり、目の付け所が違うようです。大阪・梅田の一等地に商業施設、阪神百貨店などを持つので、「村上ファンドは、阪神のことを電鉄というより不動産会社とみている」という関係者の談話が載っていましたが、まさにその通りなのです。

阪神は、今日、買収防衛の対抗策として、大和證券SMBCとアドバイザリー契約を締結したそうですが、今後の動向に目が離せません。

それにしても、まだ46歳の若さというのに、元通産官僚の村上世彰氏の風貌というか、たたずまいは、どうも…。いや、これ以上書くと、品性に触れるので書きません。

外資ファンド

遅ればせながら、北海道では2日遅れて発売される週刊誌を読んでいます。
週刊誌を買うのは控えたはずですが、これだけは読みたかったからです。「週刊ダイヤモンド」4月23日号の特集記事「外資ファンド全解剖 ハゲタカか?白馬の騎士か?」

やはり、期待は裏切られず、中々面白いですね。
私のような「経済音痴」でも分かりやすく、読みやすいです。

1つだけ取り上げると、写真入りで紹介された日米の比較「地団駄踏む日本、ほくそ笑む米国」。
日本の場合、1990年、松下電器がMCAを7800億円で買収したと思ったら、売値は5200億円。つまり、2600億円の大損。
1989年、三菱地所がロックフェラーセンターを2000億円で買うも、売値は600億円。1400億円の大損。

一方の米国代表リップルウッドは、1998年に新生銀行を10億円で買って、2900億円で売り抜け、2890億円の大儲け!2003年には、日本テレコムを2513億円で買って、3400億円で売ったから、887億円の儲け!!

単純な計算なので、誰でもすぐ違いが分かりますね。

何でこうなるのか。陰謀説でも「神の見えざる手」でも「資本主義の原理」でも何でもいいですから、どなたか説明していただけないでしょうか?