日本人とフランス人との国民性の違いを感じます=年金改革反対、仏全土で大規模デモ

 いつも饒舌な友人のB君から最近連絡が来ないなあ、と思っていたら、コロナに感染して散々だったようです。今は完治して大丈夫なようですが、それにしても、解せないことは、彼はテレワークだということです。

 小生は、毎日、満員の通勤電車に揺られて出勤しているというのに、コロナにかからず頗る健康です。テレワークなんて意味ないじゃん! それとも、彼は、プライベートまで知りませんど、夜遊びでもしていたのかしら? 一日中、パソコンの前に座っているわけにはいきませんから、昼間にランチを取るために外出することもあるでしょう。それとも、日夜、徘徊していたのかなあ、と疑ってみたくなります。

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 そんな折、日本政府は、新型コロナウイルス感染症の法的分類について、今春にも現在の「2類相当」から「5類相当」へ引き下げる方針を固めていることがニュースになっています。私は毎朝、出勤前にTBSラジオの「森本毅郎 スタンバイ!」を聴いているのですが、毅郎さん(83)は「ちょっとひがんだ者の言い方をしますと、高齢者が抱えている病気がコロナによって悪化するということが今起こっていて、死者数も連日300人、400人となっているんですよ。『これは仕方がないことだ』ということに考え方が変わるということになるんです。『高齢者が亡くなるのは自然の流れ』…ひがんで言っていますが、こういうことになる」と怒り心頭の御様子でした。

 確かに、コロナによる死亡者の9割が高齢者だとニュースでやってました。そのせいか、街中を歩いていると、マスクをしないで平気な若者と中年が最近増えてきた気がします。森本毅郎さんでなくても、やはり、政府のやり方は、「高齢者は一刻も早く死んでください」と言っているように見えます。

 話は変わりますが、フランスでは今日(現地1月19日)、国の年金改革に反対する労働組合が一斉にストライキを起こし、全国で112万人も参加したそうです。交通機関の多くが運休し、学校も休校となるなど大きな影響が出たようです。やるじゃないか、フランス。

 マクロン政権はこのほど、財政再建のため、年金の受給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げることを柱とする年金改革案を発表したことが、今回の大規模デモに火が付きました。でも、あれっ? です。日本では年金支給は現在、概ね65歳からで、岸田政権は、今や70歳からの延長支給を視野に入れています。それなのに、日本では暴動どころか、小規模なデモでさえ聞かれません。どうしたものか?

 ちなみに、平均寿命で日本は世界一位(男性82歳、女性88歳)ですが、フランスだって男性80歳で世界19位、女性は86歳で世界5位です(国連人口基金、2022年版)。そんなに大差はありません。

 となると、お上の言うことなら子羊のように従順に従う日本人と、あくまでも権利獲得を追求する個人主義のフランス人という国民性の違いなのかもしれません。

 それに、岸田政権は、防衛費増額(実体は、米国から大量の軍需品を購入して莫大な金額を支払い、米経済を支えること)によって、日本国民への増税を画策しています。米国、中国、ロシアに次ぐ世界第4位の軍事大国を目論んでいます。その前に、少子化対策のための子ども手当充実や、すずめの涙しかない年金の増額の方が先にやるべきではないかと私は思っています。

お金だけがすべてじゃない=農林水産元事務次官事件を鑑みて

 いずれの御時か、我らが島国では、「勝ち組」と「負け組」との明確な区分付けが白昼堂々と行われるようになりました。要するにお金持ちと貧民との差別ですね。お金があるかないかで人の良し悪しが決定される世の中ということです。

 金融庁のどっかの審議会委員が提出した「年金だけじゃ足りないから、あと2000万円ぐらい個人で勝手に工面せよ」というのがその最たるものですね。富裕層の多い政権閣僚は、当初、この報告は問題なしと判断してました。昔は、時の池田蔵相(後の首相)による「貧乏人は麦を喰え」(実際は「 所得の少ない方は麦、所得の多い方はコメを食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」 との答弁)という発言もありました。最近では、AI(人工知能)によって、職場を追われる「不要階級」という人を馬鹿にしたような言葉が流行語にもなっています。

 でも、お金があるエリートの「勝ち組」だから幸せかと言えば、必ずしもそうではないことが、このほど起きた元農林水産事務次官による、働かない引きこもりの自分の子ども殺し事件を見ると分かります。新聞やテレビでは、報道しないのでさっぱり分かりませんでしたが、今日発売の週刊文春を貧困層なのに、態々お金を出して(笑)買って読んだら、殺された子どもの母親の家系も半端じゃない富裕層だったことを調べ上げておりました。吃驚です。

 大変優秀だった元農林水産事務次官は、退官後2~3の会社に天下りした後、農林水産省出身としては異例のチェコ大使なども歴任し、退職金などで約2億円を得ていた報道があったので、母親は「玉の輿」と思いきや、その母親の実家は、秩父銘仙の生産販売を営み、それこそ巨万の富を築いて、将来の家業の不安定を見込んで、その才覚で都内一等地にかなりの不動産を有していたというのです。

  母親が相続した不動産は都内数カ所に及び、家賃や駐車場代などでかなりの収入があったわけです。 殺された子どもは、一時期、母親名義の東京・目白の超一等地の高級住宅街の一戸建てに一人で住んでいたこともあったといいますから、ネットゲームに毎月30万円注ぎ込んでも、働かなくても楽に暮らせたわけです。でも、その境遇も、今となっては羨ましいどころか、可哀想にさえ思えてきます。働かずに済んで問題を起こしたボンボンは、今に始まったわけではなく、江戸時代にもいて、文楽や歌舞伎の題材にもなったりしましたからね。

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 こうして、「年金だけでは足りないから、あと2000万円は必要」といった報道とか、勝ち組の末路?などに接すると、お金だけが全てじゃないと思えてきます。

 昨年8月、山口県で行方不明の幼い子どもを発見したスーパーボランティアの尾畠春夫さんなんかは年金は月わずか5万5000円なのに、「やりたいことをやるのに十分です」と語っていました。金銭的には、エリートと比べれば、彼は「負け組」なのかもしれませんが、お金よりもっと大切なことを我々に教えてくれた偉人ですよ。

驚くべき全国の地域格差=シニアが住みやすい街ベストワンは東京都板橋区、ワーストは山口県萩市

 話題の荻原博子著「役所は教えてくれない定年前後『お金』の裏ワザ」(SB新書)を読了しました。

 知らなかったことが多く、それなりに勉強になりましたが、一番驚いたのは、全国の「地方格差」です。

京都・木屋町 高瀬川の桜 Copyright par Kyoraque-sensei

 例えば、水道料金(家庭用20立方メートル当たりの値段)。全国で一番安い自治体が兵庫県赤穂市で853円であるのに対して、一番高い自治体は、北海道夕張市で6841円。何と約8倍。6000円近くも高いのです。

 国民健康保険の保険料も全国一律ではないといいます。

 厚生労働省によると、保険料は、平均所得者の「標準化指数」と中高所得者の「応能割指数」と低所得者の「応益割指数」という3指標があり、これらを県別に見ると、「標準化指数」の最も高いのが徳島県で14万5991円(年間)で最も低いのが埼玉県の10万1977円。その格差は1・4倍。「応能割指数」 では最高の徳島県が最安の愛知県の1・8倍、「応益割指数」 は、最高の石川県が最安の埼玉県の1・7倍もの格差があるといいます。(2018年9月同省発表)

 映画「翔んで埼玉!」では、埼玉県は「人間が住むような所ではない」ような酷い県に設定されておりましたが、保険料が安いので住みやすいのではないでしょうか(笑)。


京都・木屋町 高瀬川の桜 Copyright par Kyoraque-sensei

 介護保険料も同様です。

 例えば、奈良県天川村は月額8686円ですが、鹿児島県三島村は2800円とその差は3・1倍だといいます。

 住民税も、税率が一律10%(道府県民税+市町村民税)になっているので、同じ所得ならどこでも同じかと思いましたら、住民税は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と、一定以上の所得がある人が全員同じ額を払う「均等割」の合計で決まり、「均等割」には地域差があるといいます。例えば、最も高い宮城県と、最も低い北海道、青森県、埼玉県、東京都などと比べると、月額何と1200円の差があるというのです!


京都・木屋町 高瀬川の桜 Copyright par Kyoraque-sensei

 この本では、「日経グローカル」が2016年に発表した「シニアにやさしい街 総合ランキング」まで紹介しておりました。それによると、「医療・介護」「生活支援・予防」「社会参加」などの偏差値総合ランキングで、全国第1位が東京都板橋区なんだそうです。ちなみに、全国ワーストは、山口県萩市でした。

 気になる方は、引用させて頂きましたので、クリックして見てみてください。

 若い人たちは「自分たちには関係ない」と思っていることでしょうが、すぐあっという間にシニアになります(笑)。今の若い人がシニアになった頃は、今よりもっともっと酷い格差社会になっているかもしれませんよ。

ロシア付加価値税増税と年金支給年齢引き上げ物語

いやあ、知らなかったですね。

サッカーのワールドカップで盛り上がったロシアで、こともあろうに、W杯開幕日の6月14日に付加価値税の増税と年金支給年齢の引き上げが提案されていたというんですからね。

プーチン大統領から「汚れ役」を拝命したメドベージェフ首相は、付加価値税の税率として、来年1月に現行の18%から20%に引き上げることを提案し、年金支給開始年齢は男性がこれまでの60歳から65歳へ、女性は55歳から63歳へ、来年から、男性は2028年までに、女性は34年までに段階的に引き上げるというのです。

何しろ、年金支給年齢は旧ソ連時代の1928年に制定されてから変わっておらず、約90年ぶりの引き上げとなるそうです。

大変失礼ながら、「どさくさ紛れ」とはこのことで、世界のどこの国の為政者も、やることは同じだなあ、と思わせるほど非常に説得力があります。

また、どこでも、先進国は、「少子高齢化」に悩んでいることが分かります。

写真が全く合っていない。木挽町の中華ランチ850円を使うなんて!

しかし、ロシア国内では早速、大反対ののろしが上がりました。反対の一番の理由は寿命です。年金を貰うまでほとんどの人が生きていないというのです。

「ロシア労働同盟」の反対声明によると、ロシア連邦の62の構成体での平均寿命は65歳未満で、3構成体では60歳未満(ロシア連邦統計局)だというのです。つまり、男性の40%、女性の20%が65歳までに死んでしまうというのです。

私の記憶が確かなら、ソ連時代のロシア人の男性の平均寿命は56歳ぐらいだったので吃驚したことを覚えています。社会主義は厳しい監視社会でストレスも高く、男は特にウォッカの飲み過ぎで死を早めているという噂を聞いたことがあります。

ですから、多くの人が年金を貰う前に亡くなっていたことでしょう。

現在のロシア人男性全体の平均寿命は66歳ですから、年金にありつける人はそれほど多くないということは変わらないでしょう。

消費税みたいな付加価値税は、来年1月から20%にもなるんですか。。。果たしてロシアは、スウェーデンなどと同じくらい福祉が充実しているのでしょうか?

まあ、為政者はお金を沢山持っていますし、長生きしますから、庶民がいくら騒いでも、痛くもかゆくもないということなんでしょうか。ロシアに行ったことはないので分かりません(トランジットはあります)。

医療制度改悪を知らないと大変なことに

 

 

 

日本の国家予算について、霞ヶ関方面で禄を食んでいらっしゃるさる方が、大変分かりやすく説明されておられました。

 

まず、日本の国家予算は年間80兆円。

このうち

1、20兆円が国債の償還(つまり、過去の借金の返済)

2、20兆円が地方交付税(地方自治体の財源)

3、20兆円が社会保障(医療費、ほうっておくと年間1兆円規模で増えていく)

4、20兆円が公共事業、防衛費、警察官や学校の先生の給料など…

なるほど、そういうシステムになっていたのですね。

そこで、今日問題にしたいのは、3番の医療費です。4月から後期高齢者医療制度がスタートし、保険料が年金から天引きされ、大きな問題になっていますが、それどころではない話が着々と進んでいるのです。

何しろ、制度が複雑すぎているので、庶民には分かりにくいように、分かりにくいように進めているきらいがあります。私も経済ジャーナリストの荻原博子氏の記事によって、初めて知りました。

しかし、いずれも「痛みを伴うが改革は進めていかなければならない」と絶叫した小泉政権の下で圧倒的多数で合法的に採択されたものだったのです。私は当時、北海道に住んでいて、経済的に疲弊し、たくさんのシャッター商店を見てきたので、「地方切捨て」の行政に怒りをもってみつめていたのですが、こんな無謀な策略をめぐらしていたとは気がつきませんでした。

その医療費ですが、75歳以上の後期高齢者だけが対象者ではなかったんですね。70歳から74歳までの前期高齢者と言われる人たちも医療機関での窓口負担が来年4月から1割から2割に引き上げられるのです。本当は今年から引き上げる予定だったのですが、「選挙に影響がある」といって、時の自民・公明党政権は翌年に引き伸ばす「温情政策」を施したというのです。(なお、70歳以上でも夫婦世帯で520万円以上という現役並みの所得がある人は、2006年から2割から3割負担に引き上げられています)

とはいえ、これは子供だましの話で、この1年間凍結した負担分1460億円は、いずれ、国民に増税か保険料アップとしてちゃっかり「還元」されるというのですから、呆れてしまいます。

高齢者でも、収入があればいいですよ。年金問題がこれだけガタガタしていて、年金を納めてきたのに、名前が消えてしまった人たちがいるのに、ちゃっかり、保険料だけは天引きするという話ではないですか。全くひどい話です。

怖ろしいことに、年金支給も現行の65歳から68歳ぐらいに引き伸ばそうと、厚生労働省は画策しているというのです。定年が伸びるのかもしれませんが、日本の国家は老人に「霞でも食ってろ」という言うつもりなのでしょうか。

何じゃあ、これ!?という話ですよね。

2007年には所得税と住民税の定率減税が全廃され、今後、介護保険料の引き上げも目論まれているといのですから、若い人とて、先の話ではありません。

「明日は我が身」どころか、「今日から我が身」です。

後期高齢者医療制度は長生きするなという制度

 

4月からスタートした後期高齢者医療制度がすったもんだの状態に陥っています。75歳以上の高齢者の保険料を年金から天引きするという有無も言わせぬ極悪非道な制度です。3年前の12月の医療制度改革で決まったらしいのですが、今回、メディアが報道してくれなかったら、気付かなかったほどです。お上は、そっとやってしまおうという魂胆があったのではないでしょうか。

そもそも、「後期高齢者」というネーミングはいかがなものでしょうか。日本人はもう75歳以上は生きるな、と国家が宣言しているようなものです。これから、大量の団塊世代が「後期高齢者」の仲間入りをするため、その先手を打って、医療費を確保したい、というのが本音のようですが、この制度が確立すれば、そうでなくても少ない年金を毟り取られ、全く他人事ではない話です。

昨日、盛んに野党代表らが、「おばあちゃんの原宿」巣鴨で、この制度の廃止を求めて立会い演説会を開きましたが、全く「明日は我が身」です。「姥捨て山」よりひどい制度だと演説するする人もいましたが、確かにそれに近いかもしれません。

ああ、日本は何でこんなに夢も希望もない国に成り下がってしまったんでしょうね。非正規雇用で格差であえぐ若者が後期高齢者になった頃、どんな世界になっているかゾッとします。