物理学に苦手意識がなくなったことが収穫です=ニュートン別冊「学びなおし 中学・高校物理」

 むふふふ…。ニュートン別冊「学びなおし 中学・高校物理」(ニュートンプレス)を読了しました。広げたら縦27.5センチ、横42.0センチというデカイ本を小さく折り畳んで、満員電車の中で一生懸命読んでいた老師がいたとしたら、それは私です。今どき、電車の中で勉強している人間は皆無です。。。と思いきや、本日は、司法試験らしき勉強をしている若い人を一人だけ見つけましたが、彼は座ると直ぐ寝入ってしまいました(笑)。

 「学びなおし 中学・高校物理」は、看板に偽りあり、ですね。「ドップラー効果」「慣性の法則」「ボイル・シャルルの法則」といった実に懐かしい用語が出てきましたが、「キルヒホッフの法則」も「波動関数」も、それ以外はほとんど習っていないことばかりです。「学びなおし」にならず、お初に学習させて頂きましたが、お蔭様で、物理学に対する謂れも知れぬ恐怖心はなくなりました。「全て理解できた」などとおこがましいことを言うつもりはありませんが、少なくとも、物理学に対する苦手意識がなくなり、むしろ、非常に好きになりました。

 いやはや、人類が確立した学問の中で、物理学ほど面白い学問はありません、と図々しく言っても過言ではありません(笑)。

Ginza

 この本では、

・重力は距離の二乗に反比例する。

・重力の正体は時空のゆがみである。

・自然界は波(電磁波、電子の波、音波など)に支配されている。

・自然という書物は、数という言語で書かれている。(ガリレオ)

 などといった物理学のキーワードが登場し、文科系の人間でも大いに深く考えさせられました。

 結局、自然科学は、実験で得た仮説を、最終的には数式に当てはめることによって初めて万物に応用が出来る学問だと思いました。アインシュタインが自らの相対性理論らしき理論を、黒板いっぱいに数式を書いて説明講義している写真を見たことがありますが、素人にはさっぱり分かりませんでしたけど(笑)。

 しかも、物理学は象牙の塔には閉じ籠りません。ニュートンの万有引力の法則は、蒸気機関の発明に応用され、産業革命の土台になりました。ファラデーとマクスウェルによる電気と磁気の解明によって、都市に街灯が巡らされ、発電機が発明され、ラジオやテレビの通信にまで応用されました。アインシュタインの相対性理論は、核力の存在を明らかにし、残念ながら本人は関与しなくても原子爆弾の開発につながり、シュレーディンガーやハイゼンベルクらの量子力学は、レーザーを始め、インターネットからスーパーコンピューターの開発に至るハイテク革命にまで応用されました。(実は、この辺りは、ミチオ・カク著、斉藤隆央訳「神の方程式」(NHK出版)からの部分引用です。)

Ginza

 さて、現代の最先端の物理学はどうなっているのでしょうか? 同書によると、現在の物理学者たちは、マクロな世界を記述する一般相対性理論と、ミクロな世界を記述する量子論を融合した「究極の理論」を構築しようと努力しているといいます。

 それは、仮に「量子重力理論」と呼ばれているそうですが、先に引用した「神の方程式」の日系3世の米国人ミチオ・カク(賀来道雄)ニューヨーク市立大学教授(76)もその一人です。彼は、「粒子と波の二面性」を持つ素粒子は点状の粒子とは考えず、長さを持つ「ひも」として考える「超ひも理論」の提唱者です。と、言われても、中学・高校で習ったことはなく、これまた初めて聞く理論です。

 人間、何歳になっても、勉強し続けなくてはいけませんね。時代についていけなくなってしまいます。

健康のために出来ること=物理の学び直し

 別に(沢尻エリカさん風に)、皆様とお約束したわけではありませんけど、今、物理学の勉強をし直しています。

 ここ数年、人間関係で色々とありまして、すっかりミザントロープになってしまいました。人間どもの歴史も哲学も宗教も物語もうんざりです。勉強とは言っても、写真のニュートン別冊「学びなおし中学・高校物理」を読んでいる程度ですが、気分はすっかり中学生です。自分が多感だったあの中学生時代も思い出します。あの頃は大人と子どもの中間時代で、どっちつかずという精神的にも肉体的にも不安定を抱えていました。社会に対する不信感だらけで、大人顔負けのニヒリズムに陥っていました。中学生時代に戻りたい気持ちは毛頭ありませんが、戻れたとしても、もっと理科系の勉強をしておけばよかったと思っております。

 その思いが強いのでこうして物理を勉強し直しているのです。自分は何のためにこの世に生まれて来たのか?他人が歌ったり踊ったり演技したりしているのを見るためにこの世に生まれてきたわけではないし、他人の「妄想」に付き合うために生まれて来たわけでもありません。それに、他人の動画を見て時間を浪費するために生まれて来たわけでもありません。そんなこと言うなんて、我ながら随分ひねくれてますけど、結局、誰も自分の身代わりになってはくれません。自分自身で答えを見つけて納得した人生を送るしかありません。

 物理を勉強し直そうと思ったのは、これまで思想形態の変更ーもっと易しく言えば、自分自身の考え方のクセを変えてみようと思ったからでした。例えば、ロシアによるウクライナ侵攻は、プーチンが自らをピョートル大帝に見立てて、大国ロシアの復活を試みたとか、米国を中心にした西側NATO諸国との覇権争いだの、文科系思考で何とでも言えますが、自然科学的思考を導入すると違った側面が見えてきます。黒海沿岸の肥沃地帯(ウクライナ)を巡るホモ・サピエンスの浸食とか、物理学の運動の第3のの法則「作用・反作用の法則」とニュートンの万有引力の法則で説明できるとか…。勿論、プーチン大統領の蛮行は万有引力の法則の定数には当て嵌められないことでしょうが、プーチンも人間なら自然界の生物の一員ですから、何らかの自然界の法則に左右されていることは間違いないはずです。

 それに、長引くウクライナ戦争を見ていると、「作用・反作用の法則」が働いていることは間違いないですね(実際、ロシアとウクライナの戦力が同等ではないので、この法則は科学的に証明できませんが)。ロシアがイラン製(と思われる)のドローンを使えば、ウクライナもドイツ製の戦車や米国製のクラスター弾を使用していると言われていますから、歴史学者が否定しようが、もう第3次世界大戦が進行中と言えるのではないでしょうか。

 ところで、この「学びなおし中学・高校物理」を読んでいると、懐かしい微分積分が出てきます。私自身、受験生時代に苦しめられたものですが、受験が終われば、全く使うことがなかったので、すっかり忘れてしまいました。ダーウィンに言わせれば「用不用説」なのでしょうか。

 社会に出ても微分積分は使うことなく、全く役に立ちませんでしたが、果たして学んで損したのでしょうか? いや、私はそう思いませんね。難問が解けない苦しみは夢にまで出てきますが、解けた時の快感は今でも思い出してアドレナリンが出るくらいですからね(笑)。

 つまらない人間関係に拘っているのなら、微分積分の問題を解いている方が健康に良いのかもしれません。

「クレイ賞」受賞を祝福致します=松岡聡著「スパコン富岳の挑戦」

 (2022年10月27日付「日本のスーパーコンピューターの父」のつづき)

 松岡聡著「スパコン富岳の挑戦」(文春新書)を読了しました。後半は、「科学少年」だった著者が如何にコンピューターの世界にのめり込んでいったのか、個人的遍歴が書かれ、また、コンピューターは日進月歩の世界ですから、早くも5年後、10年後を見据えた「富岳」の後継機やGAFAなき日本の人材の育成まで考慮しておりました。

 私は前回、著者のことを「日本のスパコンの父」と書いてしまいましたが、もし本人がその箇所を読んだら驚いてしまっていたかもしれません。著者の松岡氏は、本文の中で「『富岳』は何百人、何千人が関わったマシンなので、わたしひとりの成果ではまったくない」と書いているからです。

東京・銀座

 ただし、スパコン富岳をつくるに当たって最高責任者としてチームをリードする際の苦労話なども包み隠さずに書かれておりました。その際、著者は、米国の1960年代のアポロ計画の報告書を精読して、それらを参考にしたそうです。同計画では、何度も失敗しても挑戦し、念には念を入れて何度も何度も試作を試みた上で、ついに人類初の月着陸を成功させました。

 著者も同じように、何度も技術的困難に直面し、失敗もしてきた、と正直に告白しておりました。でも、私のような人間から見れば、大変、「縁」と「運」に恵まれて来た人だと思いました。著者が名門武蔵高校生時代、学校の帰りにパソコン・オタクがたむろしていた池袋の西武で、当時、東工大生で、後に任天堂の社長になったゲームクリエーターの岩田聡氏(惜しくも55歳で早世された)や、あのビル・ゲイツから「プログラミングの天才」と評された鈴木仁志氏らと知り合う機会を得て、著者が研究者の道を選ぶ影響を与えた人だったことも書かれていたからです。

 勿論、御本人の相当な努力の賜物もあったことでしょう。改めて、スパコン賞の世界的な最高の名誉である「シーモア・クレイ賞」と日本のNECの「C&C賞」の受賞、おめでとう御座いました。

今からでも遅くないから地球環境保全を=小林武彦著「生物はなぜ死ぬのか」

  今、ベストセラーになっている小林武彦(1963年~)東大定量生命科学研究所教授の「生物はなぜ死ぬのか」(講談社現代新書、2021年4月20日初版)を読了しましたが、話題になっているだけあって読み応えがありました。そして、本の帯広告に「死生観が一変する」とあるように、確かに、一読して、私の死生観も変わりました。

 でも、正直に言って、私自身は、内容の半分も理解できなかったと思います。またまた帯広告ですが、「現代人のための生物学入門!」と銘打っていますが、入門書にしてはかなり難解です。

 例えば、194ページに、いきなり

 体内ではNAD+(エヌエーディープラス)に変化する前の NAD+ 前駆体(NMN=エヌエムエヌ)をマウスに投与すると、寿命延長効果が見られるばかりか、体力や腎臓機能の亢進、育毛などの若返り効果が見られます。

 と書かれていますが、この文章を理解できるのは、専門家はともかく、生物分子工学等を専攻している理系の学生さんか、日頃、研鑽を積んでいる人ぐらいでしょうね。

 私の場合は、今年1月に、デビッド・A・シンクレア著「ライフスパン 老いなき世界」(東洋経済新報社)を読んでいたので、ここだけは、かろうじて理解できました。この単行本には巻末に図解入りで語彙解説が掲載されているので、NADは、「ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド」、NMNは、エヌエムエヌではなく、「ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド(核酸)」と無理して覚えていたので、抵抗なく受け入れることが出来ました。

 でも、本書は新書なので、情報収納量が限られているので、一つ一つ、専門用語を説明できないので仕方ないかもしれません。

 さて、本書は、生物の死を扱っていますが、「死」の前に「生」を知らなければなりません。最新科学が教えるところによると、まず、138億年前にビッグバンにより宇宙が誕生し、46億年前に地球を含む太陽系が生まれます。太陽との距離など絶妙な「度重なる偶然」と奇跡により、地球では38億年前に生物が誕生します。勿論、アミーバのような単細胞です。

 多細胞生物が誕生したのは、10億年前です。この後からが、著者の小林教授の説と私の勝手な解釈を取り入れたものですが、またまた「度重なる偶然」で、生物は、生まれ変わり(「ターンオーバー」という言葉を教授は使ってます)を繰り返し、遺伝子の変化で生物の多様性が生まれ、進化することで生物をつくっていったというのです。(生物が進化したのではなく、逆に、進化することで生き延びる生物が生まれていった、ということです)その進化する際には、生物は絶滅(死)という形態を選択するために、いわば、死は、生物が生態系や環境変化に適応して生き残っていけるように、進化のプログラムとして繰り込まれているということなのでしょう。(つまり、生物は死なないと進化しない。進化しないと生き延びることができない)

 当たり前の話ながら、生物にとって死は必然であり、ヒトも例外ではないということです。そもそも、自然界で、動物のほとんどは捕食(食べられてしまう)されるか、餓死するかで、天寿を全うできる生物はヒトか、大型の象さんぐらいです。魚のサケは産卵すると死んでしまいますし、昆虫のほとんども生殖活動の後は直ぐに死んで世代交代してしまいます。(地球上に名前が付いている生物種は180万種存在し、その半分以上の97万種が昆虫!)

「銀座スイス」元祖カツカレー1430円 名物ですが、ちょっと高価だなあ、と思いながら食しました

 38億年前に地球上に生物が誕生して以来、過去5回、大量の絶滅の危機があったといいます。その一番の「最近」が6650万年前のことです。中世代白亜紀で、恐らく、ユカタン半島への隕石の衝突により、気候が激変して恐竜など生物種の70%が絶滅したというのです。

 しかし、逆に、そのお蔭で、つまり、恐竜が絶滅したお蔭で、哺乳類が生き延びて霊長類が生まれ、今のような「ヒトの時代」が誕生したことになります。

 とはいえ、46億年の地球の歴史、38億年の生物の歴史から見れば、「ヒトの時代」などほんの瞬きするほど「一瞬の時間」です。恐竜の時代は1億6000万年間も繁栄しましたが、現生人類はせいぜい20万年前に誕生し、農耕生活を始めたのはわずか、たった1万年ですからねえ。

◇100万種が絶滅の危機

 この本には、恐ろしいことが書かれています。生態系を評価する国際機関IPBES(Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)によると、地球に存在する推定800万種の動植物のうち、少なくとも100万種は数十年以内に絶滅の可能性があるというのです。小林教授は「そのペースは、これまでの地球史上最高レベルです」とまで書いています。

 それ以上は書かれていませんが、ここまで書かれると、私なんか、別に皆さんに恐怖を煽るつもりは全くありませんが、人類滅亡の危機すら感じてしまいます。

 恐竜絶滅と同じですが、恐竜の場合は、不可抗力というか、自然災害によるものですが、人類の場合は、自らの手で地球環境を破壊し尽して、生態系を壊した故意の結果ですから自業自得です。

 今からでも遅くはありませんから、国連の提唱するSDGsを含め、環境保全運動を広め、生態系を元に戻して、少しでも絶滅種を少なくしていくしか人類が生き延びていく道はないことでしょう。宗教や覇権主義などで、国際間で人類がいがみ合っている暇などないはずです。

 この本に巡り合ってよかったです。色々と考えさせられました。

【追記】

《日本人の平均寿命》

・旧石器〜縄文時代(2500年前以前)13〜15歳(人口10万〜30万人)

・弥生時代 20歳(人口60万人)

・平安時代 31歳(人口700万人)

・室町時代 16歳(天災と戦乱等による)

・江戸時代 38歳

・明治・大正 女性44歳、男性43歳

・戦時中 31歳

・2019年 女性87.45歳、男性81.41歳

ヒトの最大寿命は115歳か

【再追記】

 またまたcoincidence(偶然の一致)です。朝日新聞10月3日付日曜版「Globe」で、英ケンブリッジ大学のパーサ・ダスグプタ名誉教授(78)が、国内総生産(GDP)の成長至上経済主義を重視するのではなく、持続可能な自然資本を重視するべきだと主張しています。

 人類は、温室効果ガスの排出や熱帯雨林の伐採など自然資本である環境を破壊して経済発展をしてきたお蔭で、生物圏を劣化させ、生物多様性を減少させてきました。川の上流の森林を伐採したお蔭で、下流での洪水や土砂崩れを増やし、土壌劣化で農家の収穫物の減少につながりました。

 また、環境劣化によって、より頻繁に新型コロナのような病原体が人間の経済活動の中に出現するようになった、とダスグプタ氏は分析しています。私は、自然科学者だけでなく、経済学者までも問題意識を共有していることを知り、安堵しました。地球人78億人が手を合わせて、地球環境保全に全力を尽くすしかありません。

 

素材が人類の歴史を変えるとは

人間の悩みの9割が「人間関係のトラブル」と聞いたことがあります。

 なるほど、確かに子どものいじめに始まり、子どもと教師、モンスターペアレントと教師との関係、男女のもつれ、親子、嫁姑の確執、友人関係、社内のパワハラ、セクハラ、奇人による襲撃(被害者は私)、SNSを通した殺人事件に至るまで枚挙に暇がありません。

 歴史も、人間関係中心に描かれます。何処の誰それの武将が天下を取ったとか、何処の誰それが王位継承戦争を始めたとか、偉大な天才が人類に貢献する新機軸を発明したとか、まあ、そんなところでしょうか。生徒は一生懸命に年号を覚えます。

 まさに、人間中心主義ですね。

 でも、先日、ラヂオを聴いていたら、変わった歴史本が紹介され、著者がインタビューに応えておりました。佐藤健太郎著 「世界史を変えた新素材」(新潮選書)という本です。文字通り、「素材」を通して(御本人は「材料」が正しいとおっしゃってましたが)、歴史の変遷を総覧しているのです。この本の宣伝文句は「 金、鉄、紙、絹、陶磁器、コラーゲン、ゴム、プラスチック、アルミニウム、シリコン……『材料科学』の視点から、文明に革新を起こしてきた12の新素材の物語を描く」とあります。本の帯にも「コラーゲンがモンゴル帝国を強くした?」とあるので面白そうです。

 初版が2018年10月26日とありますから、もう4カ月も前に出ていた本ですが、ラヂオを聴くまで、その存在を全然知りませんでした。いつか読んでみようと思いますが、その前に、著者がラヂオで語っていたことを茲で少しご紹介したいと思いました。

 とはいえ、メモを取っていなかったので、いい加減なものです(笑)。間違っていたらお許しください。人間中心に歴史が語られる前は、「石器時代」「青銅器時代」など、確かに素材や材料で呼ばれる時代がありました。石器などは、今のIT革命と比べて遜色がないほど、武器に使い、狩猟に使い、料理に使い、人類の偉大な発明だったかもしれません。

 本では12の素材が取り上げられているようですが、ラヂオのインタビューで、著者は五つだけ取り上げていました。それが(1)鉄(2)石灰岩(3)ゴム(4)アルミニウム(5)プラスチックーです。

(1)の鉄の代表例が、古代のヒッタイト帝国(紀元前16世紀~紀元前12世紀)です。高度な製鉄技術で最初の鉄器文化を産んだとされ、メソポタミアを征服して一大覇権帝国を築きました。

(2)の石灰岩は、古代ローマ帝国です。これを使って「ローマン・コンクリート」と呼ばれるセメントを発明し、道路を舗装し、「全ての道はローマに通じる」ように広大な帝国を築き上げていきます。劇場や闘技場、神殿まで作ってローマ文明を拡張しました。

(3)のゴムは、タイヤのことです。1888年、アイルランドの獣医師ダンロップが、10歳の息子の三輪自転車がもっと楽に走れるように、空気入りタイヤを発明したのが事の始まりです。これが自動車にも採用され、米国などのモータライゼイションに莫大な貢献をするわけです。

(4)のアルミは、ボーキサイトから生成され、鉄より軽量で、アルミ合金のジュラルミンで飛行機をつくることによって、人類の行動範囲が広がり、戦争にも影響を持つようになりました。

(5)のプラスチック(ポリエチレン)の発明により、レーダーの透過技術が飛躍的に進歩し、ドイツのUボートを探知するなど、これまた、戦争の趨勢に多大な影響を持つようになったといわれます。

 でも、やはり、新素材や材料を使うのは人間だし、世界制覇のために手段を選ばないのも人間ということで、人間が主役であることは変わりがありませんね(苦笑)。

とはいえ、この非常に博学で優秀なサイエンスライターのお話を聞いただけで、この本には俄然興味を持ってしまいました。

ナノバブルウオーターとは?

ヤマベや岩魚と鮪や鰯と共存できる?

最近、REO研究所の千葉金夫さんと産業技術総合研究所の高橋正好さんがナノテクノロジーを使って水を「ナノバブルウオーター」に換えることに成功したという記事を雑誌で読みました。

このナノバブルウオーターは、10年前から理論的に可能と言われていましたが、誰も成功していなかったのです。

この「水」があれば、海水魚も淡水魚も暮らしていけるそうです。それだけではなく、瀕死の状態だった魚をこの水の中に入れるとすっかり健康を回復したそうです。

今、人間にもこの水が応用できないか、研究されているそうです。

知らなかったですね。

地上では相変わらず、人間同士の醜い足の引っ張り合いをしていますが、何と清々しいニュースなのでしょうか。

BSEがまた見つかった

今日、またまた日本で狂牛病が見つかりました。
北海道十勝管内の音更町(おとふけ)という所の酪農家で飼われていた4歳6ヶ月の乳牛でした。ちなみに、音更町は、ポップグループ「ドリームズ・カム・トゥルー」をクビになった西川くんの出身地です。

国内では17頭目なので、あまりニュースにならないかもしれません。地元十勝でも、これで4頭目なので「またか」という感じで醒めています。「農業王国」十勝の人口は36万人ですが、牛の数は50万頭以上と言われています。まさに人間の数より多いわけです。

それで、行政当局はこれからどうするかといえば、狂牛病が見つかった農家を立ち入り検査して、牛に食べさせた飼料などを分析して原因を究明するのです。その間、家畜伝染予防法に基づいて飼養牛の3週間の移動制限を発令し、あやしい牛は擬似患畜として特定し、脳ミソを調べるわけです。つまり、殺してしまうんですね。狂牛病と認定された過去16頭の疫学調査で擬似患畜と指定された牛に狂牛病は見つかっていません。それどころか、何が原因か、まだはっきりしないのです。いつも、いつも「餌に、肉骨粉は含まれていませんでした」と発表するだけで、ムヤムヤになってしまうのです。

「いかがなものか」と思います。

地元でまことしやかに語られているのは、どうやら「ミルフードAスーパー」という飼料があやしい、ということです。これは、哺乳期の子牛の育成用代用乳用配合飼料で、動物性油脂も含まれています。販売元は巨大組織、農業協同組合連合会「ホクレン」です。もちろん私は専門家ではないし、今のところ科学的根拠がないので断定もできません。しかし、それにしても隔靴掻痒。早く、はっきりさせてほしいと思います。