声がかすれても頑張る菅義偉首相

東銀座「JU the burger」のバーベキューバーガーAセット1133円⇒968円(オニオンポテトはクーポン)

ハンバーガーの価格の不思議

 群馬県桐生市が発祥のハンバーガーショップ「JU the burger」」の東京進出第1号の「東銀座店」に行ってみました。歌舞伎座の近くです。オニオンポテトとドリンクのクーポン券があったので、少しは安くなるだろう、と高を括ってみたのですが、クーポン券は1枚しか使えず、結局セットで968円。

 私は、悪びれた様子もなく、ペロリと平らげましたが、やはり、ちょっと高いなあ、と思ってしまいました。別に悪意はありません。それより、不思議なのは、同じようなハンバーガーセットであるマクドナルドのビッグマック・セットとなると690円らしいですね。マクドナルドの方が、何度も何度も食べたくなるような美味しさがあるのに、その安さは本当に不思議です。

 不思議と言いながら、私はかなり皮肉で書いています。桐生市のハンバーガーセットのように、普通だったら、本来なら、セットになると1000円以上するのが当たり前なんでしょう。そう思ったわけです。いや、確信したわけです。

 桐生市のハンバーガーは、偉そうに言えば、可もなく不可もなく、驚くほど美味しいわけではなく、普通の味で、何度も何度も食べたいとも思いませんでした。それが、当たり前なのでしょう。何度も食べたくなってしまうことは、「怪しい」と疑問を持った方が真っ当なのかもしれません。 

まだ3月までGoToトラベルをやるつもり?

 前置きが長くなりましたが、約19兆円の第3次補正予算案が26日、衆議院の予算委員会で、自民、公明両党と、共産党が「菅政権の最悪の補完勢力」と批判している日本維新の会などの賛成多数で可決されました。

 立憲民主党など野党側は、1兆円も計上されているGoToトラベル事業の追加予算について、「感染拡大防止と医療体制への支援に注ぐべきでおかしい」などと撤回を求めましたが、多勢に無勢であっさり衆院を通過してしまいました。参院も同じようなものですから、28日に予算案は成立するでしょう。

 補正予算ですから、今年3月まで使い切るという予算です。今の緊急事態宣言でさえ、2月7日からせめて2月末日まで延期しようではないかという案が出ているぐらいですから、菅首相はわずか1カ月で1兆円も使い切る覚悟なんでしょうか。

 菅さんは、そんなに全国旅行業協会(ANTA)の会長の二階さんが怖いんでしょうか?「おまえ、誰のおかげで総理大臣になれたと思ってるんだ!?」と、自民党幹事長の二階さんから凄まれれば、恐ろしいので、忖度したということなんでしょうか?

 新型コロナが年末から年始にかけてあれだけ感染拡大したのは、「GoToトラベル」が要因の一つだっだ、と反省したんじゃなかったんでしょうか?

 各メディアの世論調査では、菅内閣の支持率が、朝日、毎日、共同など軒並み「危険水域」の30%台です。こういう人に国の舵取りを任せては安心できません、と言うしかありません。予算の原資は国民の税金なのですから。

 とはいいながらも、批判された菅さんは、ハンバーガーなんか喰ってるおまえなんかにとやかく言われる筋合いはない、と思っていることでしょう(笑)。忘れるところでしたが、26日に公表された産経とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、菅内閣の支持率は52%もありました。

  ああ、だから、菅首相は、疲れて声がかすれて出なくなっても、国会答弁で頑張っているんですね。

コロナ禍に5人以上で会食した菅首相が陳謝=銀座のステーキ店で

銀座「博多なぎの木」の鯵の開き定食 950円

 「首相動静」の12月14日(月)にこんな記述が見られます。

 午後8時50分、東京・銀座のステーキ店「銀座ひらやま」着。自民党の二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長、俳優の杉良太郎氏、政治評論家の森田実氏らと会食。

 これが大問題になりました。この会食は、「Go Toトラベル」事業を28日から来年1月11日まで全国一斉に一時停止すると発表した直後のことで、会食参加者は7人。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会も、感染拡大を防ぐため会食人数は「5人以下が望ましい」と訴えていたからです。

 「首相の一日」を代表して張り付いて取材する通信社の番記者の「動静」には書かれていませんでしたが、毎日新聞によると、参加者7人の残りの一人は、タレントのみのもんた氏(76)だったようです。通信社の「動静」は何で、みのさんのような有名人を省いたのでしょうか?分かりません。いずれにせよ、参加者は、感染した場合の重症化リスクが高い70代以上でした。

 コロナ禍の御時勢ですから、率先垂範して、忘年会を自粛すべき立場である菅首相も、さすがに観念したのか、16日、官邸での政治記者の「ぶらさがり」に応えて、「国民の誤解を招くという意味で、真摯に反省している」と陳謝しました。素直に謝罪したことには、国民としても驚きましたけどね。

「銀座ひらやま」会社から近いので見に行ってきました。新橋演舞場の真ん前。敷居が高く中には入れましぇ~ん

 それ以上に、「偶然の一致」で驚いたのが、会食した場所である東京・銀座のステーキ店「銀座ひらやま」のことです。この渓流斎ブログの12月4日の記事「ランチで2~3万円はとても、とても=『銀座百点』12月号を読んで」で取り上げたばかりだったからです。

 この記事では、作曲家三枝成彰さんの銀座の贔屓のお店のことについて触れ、こう書きました。

 新橋演舞場近くにあるステーキ店「ひらやま」は、「肉好きの方には是非一度、行っていただきたい」と三枝先生は仰いますが、ランチが1万5000円~2万円、ディナーは5万円~6万円が相場のようです。

  菅首相さまご一行は、お一人最低5万~6万円のディナーを召しあがっていたと思われます。御飲食代は、官房機密費から出ているでしょうか?失礼、下衆の勘繰りでした。杉良太郎さんは「(世界の王さんを交えて)野球談議に花を咲かせた」とか仰ってましたが、事実上、政権を運営している二階幹事長が出席しているわけですから、それだけじゃないはずです。まあ、またもや下衆の勘繰りはやめておきましょう。

 全盛期には、テレビのレギュラー番組が16本、推定年収6億円を誇っていたみのもんた氏は、最近、パーキンソン病を患っていることを公にしたり、週刊誌には「40歳年下の”介護恋人”との“老いらくの恋”、彼女に贈与した1.5億円マンション」などと書かれたりしてましたが、お元気な御様子。そうじゃなければ、忘年会に参加できませんからね。

 私自身は、自警団のように、5人以上で会食した菅首相を非難する気になれませんが、人選というか、参加者の組み合わせには意外に感じました。

75歳以上の医療費負担の引き上げの舞台裏?まさか…

九品仏 浄真寺 Copyright par Syakusyoudou

渓流斎ブログの熱烈な読者と思われる東京にお住まいの入江さんから、どういうわけか写真が送られてきました。

上野動物園 Copyright par Syakusyoudou

 「ネタが生まれない渓流斎をイメージしました。ちょっとピンぼけですが、苦しむ上野動物園のカバのジロー。ネタを欲しがる渓流斎です」

 「さん」ぐらい付けなさい!

 でも、その通り、ネタ探しで毎日苦しんでおります。送って頂いた写真には、紅葉あり、五重塔ありで、まるで節操がない不統一感…。「どーせー、ちゅうねん?」と下手な関西弁が飛び出てきました。

 仕方がないので、久しぶりに本日は空想小説を書くことにしました。

尾山台の伝乗寺 Copyright par Syakusyoudou

 時は元禄…じゃなかった、時は令和二年師走九日午後六時十九分。場所は、江戸・紀尾井町の巨大旅籠屋「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」。屋内の高級料亭「WASHOKU 蒼天 SOUTEN」のことでござった。

 主賓は、秋田は佐竹藩の国家老・菅野主膳。その相手は水戸藩出身の信濃町奉行・長州夏之進治部少輔。

 菅野主膳 さては、調整が難航している75歳以上の医療費負担の引き上げについてじゃがのお。儂は「年収170万円以上」にすべきだと思うが、如何か?

 長州夏之進 いえいえ、御家老殿、それでは対象が広過ぎまする。せめて「年収240万円以上」にすべきかと…。

 菅野主膳 うむ、民百姓のため、それぐらいにする案もあるようじゃが、それでは負担が掛かる若者層に示しがつかないのではないのか? それにしても、この鯛のカルパッチョは実に美味やのお。

 長州夏之進 いえいえ、御家老殿、ここは和食屋なので、カルパッチョではござらん。焼き鯛のとろろ風味やまいものきんぴら添えかと存じます。愚生は水戸藩出身ながら、名前の長州から、酒は獺祭を御用意させて頂きました。

 菅野主膳 いつもながら、おぬしの手筈は江戸一じゃのお。むはっはっはは…

 長州夏之進 いえいえ、御家老殿、そこでで御座います、令和4年度から75歳以上の医療費負担を1割から2割に引き上げることについてで御座いまするが、御家老が主張される「年収170万円以上」と愚生が主張する「年収240万円以上」の間を取って、「年収200万円以上」としたら如何でしょうか?これなら、若者層からも文句は出ますまい…とかように存じます。

菅野主膳 むふふふ、間を取ったか…間男らしい。治部少輔、おぬしも悪やのお…むふふふ

長州夏之進 いえいえ、御家老こそ…隅に置けませぬ…さっささ、盃を開けてくだされ…

菅野主膳 おっ? これは一本取られたわいな…むはっはっはは…

九品仏 浄真寺 Copyright par Syakusyoudou

 めでたし、めでたし。

 嗚呼、それにしても入江さんから送って頂いた写真と文章との関連性が全くなく、節操もない、統一感もないお話になってしまいました。

 最後の紅葉の写真のアングルといい、中途半端に写っている若い女性といい、撮影者のセンスが光っています。

上野動物園 Copyright par Syakusyoudou

これも何だかよく分かりません。

 渓流斎ブログの文章は読まず、写真しか見ない方もいらっしゃるようですから、写真で大いに楽しんでくだされ。

 また、書くネタに苦しんだ時、これらの写真を使わせて頂きます。

都合の悪いことはなかったことに=菅首相の「政治家の覚悟」

  20日に発売された菅義偉首相の著書「政治家の覚悟」(文春新書)は、野党議員時代の2012年3月に刊行した単行本を改訂したもので、単行本では「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然」と公文書管理の重要性を訴える記述があったのに、新書版では、それらの章がごっそり削除されていたらしいですね。比較して読んだわけじゃありませんが、朝日と毎日が報じています。

 ご都合主義と非難されてもしょうがないでしょう。 

  なぜなら、菅氏は8年前の単行本では、民主党政権(当時)が東日本大震災の際に、会議の議事録を十分に残していなかったことを批判し、「千年に一度という大災害に対して政府がどう考え、いかに対応したかを検証し、教訓を得るために、政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」とまで書いていたのに、この部分はごっそり削除されているのです。

Photo Copyright par Duc de Mtsuoqua

 ところが、自民党が野党から与党に返り咲き、しかも安倍政権の中枢の官房長官になった菅氏は民主党政権と同じかそれ以上のことをやったわけです。(直接指示しなくても、少なくとも見て見ぬふりをしたわけです)「森友学園」への国有地売却問題や「桜を見る会」問題では、高級官僚らの忖度で、安倍政権や昭恵夫人に都合の悪い公文書や記録が改ざんされたり、廃棄されたり、あったものをなかったことにしたり…。新型コロナウイルス対策会議でも議事録を残さなかったぐらいですからね。

 これでは、首相になって、今さら「公文書管理の重要性」を訴えるわけにはいかなくなった、と勘繰らざるを得ません。

 野党時代は批判していたことを、自分たちが権力を握るとシレっと同じようなことをするとは、姑息ですね。日本学術会議の会員名簿から政権に都合の悪い学者6人を外した問題は、まだまだ尾を引いていますが、菅首相の馬脚がだんだん露わになってきました。

 メディアの世論調査で、内閣支持率の低下がそれを物語っています。

菅新首相の背後に「ぐるなび」と京浜急行電鉄があり

 コロナ禍になる前は、誰一人も予想すらしなかった菅義偉さんが第99代の内閣総理大臣に昨日就任されました。まずは、おめでとうございます。秋田県出身の首相は初めてで、法政大学出身も初めてということで、「たたきあげの苦労人」というイメージも板につきました。

 菅氏の地元秋田県湯沢市はお祭り騒ぎで、何と「提灯行列」まで繰り出されたようです。提灯行列なんて、昭和12年12月の「南京陥落」を私は思い出しましたよ。生まれていませんでしたが…。

 閣僚人事も発表されましたが、マスコミ、特に週刊誌は、大臣の「身体検査」に余念がありません。17日発売の文春砲では、菅義偉首相本人のスキャンダルを追っていたので、早速買い求めました。出勤途中の電車の中で読んだのですが、私以外、私の目に入る範囲で、一人も週刊誌を読んでいる人はいませんでした。勿論、新聞を読んでいる人も皆無です。新聞を読まなければ、週刊誌の広告を目にしないので週刊誌の売り上げも落ちていることでしょう。私なんか数少ない上客です(笑)。

 そう言えば、電車内でも週刊誌の吊り広告も減った気がします。東洋経済によると、関西の阪急電車は、週刊誌の広告の扱いをやめたようですね。メディアの衰退は、国力の衰退に等しいのです。健全じゃありませんね。そのうち反動がくることでしょう。

 さて、菅首相の話ですが、「政商による献金とそれの見返りの政策」という明治以来の利権の構造という伝統です。

 例えば、菅氏が先頭に立って推進している最大469億円の予算がついた「Go toイート」というキャンペーン。その背後にはグルメ情報サイト「ぐるなび」の滝久雄会長が控えているようです。1996年から2012年にかけて、滝会長の広告代理店「NKB」から菅氏の政治団体「自由民主党神奈川県第2選挙区支部」と「横浜政経懇話会」に対して、計280万円献金し、ポスター制作費58万8000円請け負ったことが収支報告書に書かれているといいます。

 NKBは、滝久雄会長の御尊父の滝冨士太郎氏が創業した交通文化事業社が母体になった会社で、最初は地下鉄のベンチの広告から始めたといいます。まさに「たたきあげの苦労人」という共通点があるんでしょうか?

 「Go toイート」は、コロナ禍で大きなダメージを受けた飲食店の救済が表向きの名目ですが、結局は、菅氏の政治団体に何かと気を遣う「ぐるなび」にも還元される仕組みになっているようです。

 もう一つ、菅首相が、官房長官時代から異様な意欲を示しているIR(カジノを含む統合型リゾート)事業です。その菅氏のIR事業を推進する「横浜カジノ計画」に名を連ねているのが京浜急行電鉄です。またまた文春砲によると、京急は2014年8月にIR事業参入発表し、カジノ建設地として想定される山下埠頭へのアクセスを整備したといいます。

 その間、京急の副社長から社長、会長に昇りつめた小谷昌氏は、1998年から2013年にかけて、菅氏の政治団体「自由民主党神奈川県第2選挙区支部」に対して、確認できるだけで700万円の献金をし、京急の関連会社「京急開発」の斎藤行正社長は900万円を寄付していたといいます。

 一方の菅氏は、その見返りなのか、京急の屋台骨の一つである京急百貨店で毎年開催される「京急将棋まつり」の名誉会長を務めているそうです。

 それにしても、随分、分かりやすい政商と政策の意味深な関係ですね。こういう裏ではなく、本筋の話は、テレビや新聞ではどういうわけか、あまり報じないので、週刊誌はなくなってほしくないものです。

茶番劇にはうんざり=鴎外と漱石の違い

  自民党総裁選は、「秋田県の貧農育ちで集団就職で上京した苦労人」、実は「父親は元満鉄エリート社員でカリスマ豪農。2人の姉は大卒の高校教師。本人は法大空手部副将出身の武闘派」という菅義偉官房長官(71)が昨日、総裁に選出されましたが、もうすでに8月31日に二階派、細田派、麻生派と主要派閥が雪崩を打って推薦したことで決まっていたようなものです。国家の最高権力者を選ぶというのに、投票できない国民は、黙って茶番劇を見ているしかありませんでした。いみじくも、14日付の朝日新聞社説は「苦労人?パンケーキ好き?だからなんだというんだろう。」と菅氏のことを思いっ切り批判していました。他の大新聞が「たたきあげの仕事人」とおべっかを使っているのとはえらい違いです。

 それにしても、勝馬に乗って美味い汁を吸いたいという権力志向の人間の性(さが)を見せつけられました。裏でどれくらいの金銭が動いたのか、動かなかったのか、知る由もありませんが、それにしても得票数を見る限り「石破つぶし」は凄まじかったですね。もう石破総裁の目はないことでしょう。菅氏は16日の臨時国会で第99代首相に指名されます。

 さて、今、竹内正浩著「『家系図』と『お屋敷』で読み解く歴代総理大臣 明治・大正篇」(実業之日本社)を読んでいますが、色んなエピソードが満載されています。特に、明治・大正時代の首相というのは、その地位と権力は今とはケタ違いで、愛妾を何人も囲い、広大な敷地の本宅と多くの別荘を持ち、その優雅さは現代人から見ると想像を絶します。

 ただし、「諸行無常、奢れるものも久しからず」で、広大な本宅や別荘は本人の手元から離れ、今では学校になっていたり、財閥の会社寮になってたりしているのがほとんどですが…。でも、この本を読むと、これまで知らなかった意外な事実が出てきて、読みだすと止まらなくなります。

 例えば、自民党総裁選で話題になった東京・永田町の一等地にある「自由民主党本部」。ここは明治になって「文部大臣官邸」があった所だったんですね。初代文部相森有礼が住み、後に首相になる西園寺公望も文部相時代にこの官邸に住んでいました。

 西園寺公望は、いわゆる京都のお公家さんです。実家の徳大寺家から西園寺家の養子になりますが、その家柄の良さは歴代首相の中でも皇族の東久邇宮稔彦王は別格として五摂家筆頭の近衛秀麿に次ぎます。西園寺の末弟徳大寺隆麿が住友本家の婿養子となって住友吉左衛門友純(ともいと)になったため、住友財閥から援助を受けた西園寺は生涯お金に困ることはありませんでした。大正8年(1919年)、首席全権として出席したパリ講和会議には愛妾(西園寺は生涯、正式に結婚をしなかった)と大阪の高級料亭「灘萬」(東京「なだ万」)の料理長まで同行させていたといいます。

 西園寺公望は、京都から新首都東京に来てから、本所、築地、銀座などさまざまな所に住みますが、その中に内幸町があります。「『家系図』と『お屋敷』で読み解く歴代総理大臣」の著者竹内氏は、それは明治29年、内幸町1丁目(現在、東京都千代田区内幸町の2丁目)で島津久光邸の跡地だったと書いております。しかし、その後で、「ここは最初の東京府庁があった所」と書いてあったので、どうも矛盾します。

 まず、島津薩摩藩の上屋敷があった所は現在の内幸町1丁目です(2丁目ではありません)。今は、みずほ銀行東京本部やNTT日比谷ビル(その隣に、あの「鹿鳴館」もありました)などがあります。

 現在の内幸町2丁目は、今は富国生命ビルやプレスセンタービルなどがある「日比谷シティ」です。確かに、ここは東京府庁がありました。ということは、著者は混同したようです。内幸町2丁目は、江戸時代は大和郡山藩の上屋敷があった所でした。明治になって東京府庁になり、1894年(明治27年)に東京府庁が有楽町の陸軍練兵場(今は国際フォーラム、江戸時代は土佐藩上屋敷)に移転した後、その跡地の詳細は分かりませんが、プレスセンタービルは戦前、満洲映画の東京支局でした。また、日比谷シティには昭和13年から昭和48年まで、渋谷に移転する前のNHKの東京放送会館があり、私もよく覚えています。

 ◇「文士の会」は今の「桜を見る会」?

 ところで、西園寺公望は首相在任中の明治40年6月17~19日に、東京・駿河台南甲賀町の本邸に文士を招いて宴を主宰しています。参加したのは、森鴎外、泉鏡花、大町桂月、幸田露伴、島崎藤村、田山花袋、国木田独歩(明治34年11月から翌年2月まで駿河邸内の長屋に寄宿していた)らです。その一方で、首相の招待を辞退した人もいました。それは、夏目漱石、坪内逍遥、二葉亭四迷です。漱石も二葉亭も、恐らく、権力に阿るようなことはしたくなかったのでしょう。

 文士の会は、現代版の「桜を見る会」といったところでしょうか?

 人はいつの時代でも、勝馬に乗って甘い汁を吸いたいという権力志向の持ち主です。そんな中でも反骨精神を持って、権力からなるべく遠ざかる人もいるわけです。作家というより、勲一等陸軍軍医総監にまで昇り詰めた森鴎外は前者に近く、帝大の文学博士号まで辞退した夏目漱石は後者だったのでしょう。文士ならそうこなくちゃ。この史実を知って嬉しくなってしまいました。

 

「Go to トラブル」じゃなかった「Go to トラベル」キャンペーンの舞台裏

 今日から始まる「Go to トラブル」じゃなかった「Go to トラベル」キャンペーン。一転して「キャンセル料」を払うだの、「東京だけ除外」するなど、混乱のスタートです。しかも、割引対象の観光事業者未定のまま見切り発車とは驚きです。

 そもそも、1兆3500億円もの巨額の国民の税金をこの観光キャンペーンにかける価値はあるのかしら、と素朴な疑問を抱いていたら、その「ワケあり」について、今日発売の文春砲が暴いてくれました。有力政治家と観光業界との切っても切れない「持ちつ持たれつ」の濃厚接触関係です。江戸時代の代官と出入りの商人との間で交わされる「越後屋ぁ、お前も悪やのお~」という情景が浮かびます。

 特に、文春によると、自民党幹事長の二階俊博氏をはじめ自民党議員37人が、観光業界から少なくとも約4200万円の献金を受けていたといいます。「Go To トラベル」キャンペーンの実現を率先した二階幹事長は1992年から30年近く全国旅行業協会の会長を務めているといいますから、これでは「見え見え」じゃありませんか。

 菅義偉官房長官も、「子分」の黒岩神奈川県知事や森田千葉県知事に対して、キャンペーンを推進するよう圧力をかけたのではないかという疑惑も報じています。他の有力議員が、感染拡大が続いている首都圏の千葉、神奈川、埼玉もキャンペーンから除外するべきだと主張したのに対して、菅氏は、気に食わない小池百合子都知事に対抗するため、最後まで「東京だけ除外」を貫き通したといいます。

 これは、文春が書いているだけですが、何で新聞は書かないんでしょうかね?文春砲を読まなかったら、このドタバタ悲劇の舞台裏がさっぱり分かりませんでしたよ。

 二階氏(和歌山)も菅氏(神奈川)も観光業界から献金を受け取った自民党議員も国民が選出したわけです。

 その国民ですが、キャンペーンだから割引を利用して旅行に行く、東京発着はキャンペーンから除外されたからキャンセルする、当然、キャンセル料は、税金で負担してもらう、というのはあまりにも情けないというか、どうも大変失礼ながら、浅ましく見えてしまいます。何で最初から、丸々、自腹を切って、旅行を楽しもうとしないんでしょうか?

 まあ、個人個人、色んな複雑な事情を抱えているわけですから、第三者の他人からとやかく言われる筋はない、と言われればそれまでですけどね。

 私自身は、今の日本の政治風土というか世間の風潮には違和感を覚え、生きているだけで息苦しさを感じています。