私の義理の息子は、アメリカ人なので、会った時に、覚えたばかりの英語のフレーズを試す「実験台」になってもらっています(笑)。
先日も会った時に、
I gave the last full measure of devotion. 知ってるかい?
と、試してみたら、
「リンカーンのゲティスバーグ演説ですね。さすが、お義父さん」と褒められてしまいました。
「なーんだ、自慢話かあ」で終わりたくないので、この後、深刻な続きがあります(笑)。
(↑ 試訳は「私は死力を尽くして献身した」)
「じゃあ、映画The Last Full Measure(『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』)(2019年)は観た?ベトナム戦争の話だけど、タイトルは、そのリンカーンの演説から取られた。ピーター・フォンダの最期の出演作になったやつ…」と私。
「観てませんけど…。ピーター・フォンダ?」
「えっ?ピーター・フォンダ知らないの?『イージー・ライダー』の」
ちなみに、彼はロサンゼルス出身で、ハリウッドに近い所で育ち、映画通でもあります。
私は「えーー、それは驚き。ピーター・フォンダのお姉さんはジェーン・フォンダで、お父さんも有名なヘンリー・フォンダで、ノーベル文学賞を受賞したスタインベックの『怒りの葡萄』(ジョン・フォード監督、1940年)にも出ていた…」と一気にまくしたてました。
「うーん、ジェーン・フォンダは聞いたことあるけど…。スタインベックは学校で習った気がするけど…。うーん、チェック!」と、いつものように、彼はスマホを取り出して、検索し始めました。
「あの歴史に残る名作『イージー・ライダー』(1969年)だよ! 本当に観てないの?」
「うん、ノーーー」
スマホ画面を睨みながら、「全く、何を言っているのか、訳が分からない」といった表情を彼は浮かべるのでした。
これに対して、私は I’m taken aback.とか、 astonishedとか、 shocked とか、あらゆる「驚愕」の言葉を並べました。
◇世代間ギャップ
しかし、冷静になって考えてみると、それは「世代間ギャップ」ではないかと思いました。私の世代で、「イージー・ライダー」やピーター・フォンダを知らない人はまずいない。常識だと思われます。でも、そんな常識も、哲学的に考察すると、世代が変わると全く通じなくなってしまうということです。
あんなに人気があって、有名で、一世を風靡しても、30年も経てば、すっかり忘れ去られてしまうという事実に、遅まきながら気が付いたわけです。同時に、自分が常識だと思っていることなど、年が経てば風化して、通用しなくなることも身に染みて分かりました。
「常識を疑え」ではなく、「常識は時代によって変化する」です。平たく言えば、「おっさん、もう古いよ」ということになるんでしょうが、仕方ないですね。私はもう新しいモノは受け付けられない年になってしまいました。
「イージー・ライダー」には、デニス・ホッパーとジャック・ニコルソンも出ていました。ステッペンウルフのテーマ曲「ワイルドでいこう!」も大ヒットしたんだけどなあ…。
「世代間ギャップ」と言えば、父親と子との葛藤を描いた映画「エデンの東」(1955年、エリア・カザン監督)を思い出します。ジェームス・ディーン主演の名作です。テーマ曲も素晴らしい。
そう言えば、「エデンの東」も原作者は、ジョン・スタインベックでしたねえ。
繋がりました。
お後が宜しいようで。
義理の息子さんがアメリカ人だからまだいい、うちの義理の娘はエクアドル人だからEspanolとなるので馬鹿の一つ覚えNo comprendoで通しています。