18歳選挙権、EU離脱か残留か、マフィアの格好した政治屋 第5刷

桂林 アッチチとならぬよう Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 公職選挙法の改正で、7月10日投開票の参院選から、18歳で選挙権を持つそうな。

 今の時代、同世代の50%以上が大学に進学するそうなので、18歳といえども、ほとんどが学生さん。いわば、まだ修行の道を歩んでいるだけで、確固とした政治信条を持った人は多くはないでしょう。18歳で政治信条が凝り固まっている方がむしろ恐ろしい。若きテロリストにでもなりかねないかもしれませんからね。

 私の場合は、18歳の頃は考え方は、まだまだ幼稚で、180度正反対に意見が揺れ動いていて、自分の政治的意見を他人に説明するなんてもってのほかでした。少しでも、他人様に自分の意見を言えるようになれたのは、もう50歳も近くなった頃ですよ。新聞紙上でも、自己主張する著書の中でも、電気紙芝居の中でも、電波や講座でも、いずれにせよ、世の中に「真理」なんというものはなく、「ああ、ヒトはみんな、責任を取ることなく、勝手に好きなことを言っているだけなんだ」という「渓流斎の法則」を発見して、その定理を確信してからです。今は、好きなことを言っても、首を刈られて、生命を取られることもなく、戦前のように余程のことがない限り思想犯として、獄舎に入れらることもありませんからね。

西出陽関 街路の天井が植物 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 それが、冗談でもなく、現代というこのグローバル時代で、海外では、自分の政治信条を主張しただけで、殺害されるような事件が起きたのですね。英国中部バーストルで起きたEU残留を訴えていた女性下院議員ジョー・コックスさん(享年41)が、狂信的な極右集団「ブリテン・ファースト(何でもエゲレスを先にしなきゃ駄目よ)」のメンバーとみられる男に殺害された事件のことです。

 あんな先進国に、今の時代に野蛮なことが起きたなんて信じられませんが、まだ地球は1930年代に隆盛を極めたテロリズム、いやいや、原点を遡れば、1789年のフランス革命以降に若き弁護士あがりのロベスピエールによって隆盛を誇ったテロリズムの余波が21世紀の現代でも続いているということなんでしょう。 

葡萄だらけの路端売り子 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 その一方、今の日本の政治家は、何を言っても許されていると思っているのか、それとも、核心的な言い方をすれば、何を言っても殺されはしないと確信しているせいなのか、随分不謹慎な発言が目につきます。

 政府与党自民党の麻生副総裁とやらが、北海道・小樽での講演で、「90歳になっても老後を心配してる人がいる。いつまで生きるつもりだ」などと、暴言を吐いたそうな。

 「吉田茂の孫」を売り物にし、戦時中は半島出身者や被差別出身者らを超劣悪な労働環境で搾取した筑豊の麻生鉱業の御曹司として、ジョン・レノンと同じ1940年に生まれた学習院育ちの未曾有の、いやミゾウユーの、愛読書は漫画だと言って憚らない、小さいころから使用人に囲まれて、お金の苦労は一切したことがないように見受けられる、恐らく、庶民の気持ちは全く理解できないお坊ちゃまあがりの発言だとしても、許されないなあ。

彼も、昨年から後期高齢者ですし、「アソウ・ファースト」(何でも麻生を先にしなきゃ駄目よ)党でも、結成しようかしら。

 15万円はする白い高級ボルサリーノと、アントニオ猪木のような深紅のマフレーを身に着けたダブルスーツで国際会議に出席する彼の姿を、欧米メディアが「まるでマフィアみたいだ」と揶揄したことは、日本人として実に恥ずかしかったなあ。あ、御本人は、ゴルゴ13のつもりだったかもしれませんが。

“18歳選挙権、EU離脱か残留か、マフィアの格好した政治屋 第5刷” への1件の返信

  1. ひとこと言上したき廉あり
     18歳参政権。「人権思想」の垂れ流しの延長に咲いたあだ花。
     もともと参政権は徴兵制と連動するもの。都市であれ国であれ、それを守るために命をかけた者たちが得られた資格でした。女性の参政権が遅れたのもこれが原因。戦後アメリカで黒人参政権ができたのも、人種差別への疑念の広まりと同時に、大戦での黒人兵への活躍が無視できなくなったからです。ハリウッド映画ではそれでも、インディアンの「正義」と同様無視されてきましたが。
     先生のさりげなく、深い感性。「超劣悪な労働環境」(笑)に身を置きながら、かろうじて「コモンセンス」'(マジ)を失ってないのはさすがです。
     18歳の若者を、そのときどきの政局に絡めとるのはやめよう。彼らには、後で後悔するのを織り込み済みで、遊ばせてあげたい。それがあとあと日本の文化的成熟につながるのでは。
     文化大革命の紅衛兵。「日本、シネ」を国会でとりあげた民進党の政調会長のような、独りよがりの「テロリスト」予備軍を作るだけです。

     「戦争中は半島出身者や被差別部落出身者らを超劣悪な労働環境で搾取」
     「戦前の日本=悪」という「自虐史観」「連合国史観」そのままですね。半島からの徴用工はかなりの人気で日本政府はむしろ制限するほどでした。現場でも、人種差別と批判されるようなことはなく、彼らは日本の底辺労働者と同じように稼ぎ、酒を飲んで、いまからみれば過酷な労働に順応していたのです。
     ジョンフォード『タバコロード』一九三〇年代のジョージュア州の貧困。これを見ると、この時代の労働の過酷さは世界普遍的であることを証明しています。

    一九七〇年代はじめ。上野英信「追われゆく抗夫たち」に入れあげたわたしがかく申し上げるのです。京大を中退し炭鉱の抗夫として活動。ちなみにマスゾエはこの上野英信の高校の後輩なのでした。さらにシモーヌ・ベイユ『工場日記』
     
     麻生氏の失言。
     毎日新聞の記者が、まるで鬼の首を取ったかのよう老人蔑視という文脈で批判。ばかばかしい。前後の文脈を見れば、民進党の蓮舫女史も「言葉は粗放だが正論」とのお言葉。蓮舫女史を見直しました。「日本シネ」の総務会長よりできるね。
     麻生さんは3年ほど前にも、寝たきりでだらだら生かされているのを批判していました。 いずれも正論です。
     肉体の生命第一主義という現今の医療現場の哲学的貧困。精神的な尊厳をまったく考慮していない。
     麻生さんは失言が多いが、いっそのこと毒蝮三太夫の芸風を学んで「この、クタバリゾコナイ!」と後期高齢者に悪態をつけるようになるべし。むろん政治家としては肉体的生命第一主義を廃して、安楽死尊厳死の法的整備を整えよ。

          一言で収まらず、贅言多謝
          一言で収まらず、多言多謝。              
     

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