「帰ってきたヒトラー」は★★★☆ 第5刷

哈爾濱市場 野菜もありまーす Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
北海道の雪祭り先生と、名古屋の海老不羅江先生と、博多のどんたく先生から、「『帰ってきたヒトラー』はご覧になりましたか?まだでしたら、是非ご覧になった方がいいですよ。今年のベスト5に入る作品ですよ」とのお勧めが沢山あったものですから、やっと、今日急いで見てきました。

映画館はいつも混んであまり好きではない東京・日比谷シネマ・シャンテ。ここは、国内でも唯一と言って良いくらいの当たり外れのない素晴らしい佳作か、翌年のアカデミー賞の最優秀作品賞に輝くような良い作品をばかり公開してくれるのですが、何せ、会場は狭すぎて、いつも超満員。

そこで、3日前になって急きょ、特別価格でネットを通して初めてチケットを購入してみたのです。

それが、大正解でした。

映画館に着いたら、またまた長蛇の列。こちらは列に並ばず、大助かりでした。ネットでの事前購入は、皆さんにもお勧めします。祝日とはいえ、東京は暇人が、随分多いんですね(笑)。隣県の千葉や神奈川や埼玉はこんなに混むことはありませんから。
五穀豊穣です Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

で、肝心の映画ですが、最初から何の予備知識を持たないで観たもんですから、喜劇なのか、悲劇なのか、笑っていいのか、怒っていいのか、さっぱり分からなくて、すっかり面食らってしまいました。

ま、それが、この映画作家の狙いなんでしょう。監督・脚本は1977年生まれのデビッド・ヴィネンドというドイツ人でした。まだ39歳ですか。かなりの才能の持ち主です。

物語も、ハリウッド映画のように、薄っぺらで、単純ではなく、複雑に入り組んでいて、まるでマトルーシュカみたいです。

蒸かしたてのトウモロコシはいかが? Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

アドルフ・ヒトラー役のオリヴァー・マスッチという俳優が、何か本物そっくりに見えてしまいます。

出演する極右政党の人たちが本物かどうか分かりませんが、まるで、ドキュメンタリーを撮影しているかのように見えます。

ヒトラー扮するコメディアン(という設定)が、車に乗って、道行く人に挨拶をしますが、その「通りを歩く人たち」が字義通り、一般人なのか、エキストラなのか、さっぱり区別がつきません。

なぜなら、ある人には目に黒い太い線が挿入されたり、ある人には顔や身体全体にボカシが入れられたりして、その人物が誰なのか、特定できないようにしているからです。

堂々と顔を出して登場する人もおりますが、その人は、偶然通りかかったのか、エキストラなのかさえ、分かりません。同じ場面で、目に黒太線が入った人がいるということは、フィルムに写った何百人、何千人という人間にいちいち「肖像権」やら「著作権」とやらを確認したんでしょうね、きっと。でも、それは、目が回るほど厄介で細かい仕事です。本当にそんな気の遠くなるような作業をしたんでしょうかねえ?

よく分かりませんが、ヒトラー役のマスッチがあまりにも落ち着いて、堂々として、役に入り込んでいて、薄気味悪いほど善人のように描かれ、現代にマッチした形で演説したりします。

特に、くだらない低脳番組のオンパレードで、人類を思考停止の能力退化に落とし入れているテレビに対して、ヒトラーは痛烈に批判します。

舞台は2014年のドイツですが、移民流入問題、失業問題、原理主義者の台頭、貧富格差問題、原発・環境問題など極めて身近な政治問題が取り上げられ、皮肉にも、蘇ったヒトラーが解決策を開陳して、再び、大衆の心をつかんでいく道筋は、80年以上前の1930年代とまるっきり変わりません。

この映画では、かなり、際どいタブーも取り上げられます。何しろ、ドイツ国内では、「わが闘争」が発売禁止だけでなく、公でヒトラー式の挨拶も禁止され、民族差別発言も禁止されているはずです。確か、逮捕されれば、禁錮刑にもなったはずです。

それが、この映画では、「タブーを破るジョーク」として堂々と出てくるので、観てる方が心配になってしまいます。

ですから、この映画は、単なるエンターテインメントではなく、ハラハラドキドキするスリラーに近いのかもしれません(苦笑)。

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