伊太利亜ヴェニス
野里洋著「沖縄の乱 燃える癒しの島」(河出書房新社)は、沖縄にお住まいの上里様からもう1カ月近く前から送って頂いたのに、なかなかスラスラ読めず、やっと読了しました。
野里さんは、琉球新報の記者(後に専務取締役)出身ですから、文章は読みやすいのですが、その内容がどうも深刻過ぎまして、色々と読みながら、あっちにぶつかり、こっちにぶつかったりして、加害者意識になったり、被害者意識になったりして、考えさせられてしまったからです。
野里さんの著作を読むのは、これで3冊目ですが、この本は、元米海兵隊員による女性強姦死体遺棄事件やオスプレイ配備、辺野古移設問題など、ここ数年間に沖縄で起きた事件を章立てて纏めたものです。
沖縄は、日本全国ではわずか0.6%しか占めない土地に、在日米軍基地の74%を占めていると言われます。
これについては、右翼勢力からは「左翼運動家によるマジック数字」と異議申し立てがあるようです。
私は、軍事評論家でも何でもないので明言できませんが、ただこの数字は、防衛省が正式に発表しながら、自衛隊と米軍との共用施設などの面積が含まれていないようで、共用施設の面積を含めると、沖縄に占める米軍施設は23%だという説があります。
確かに、数字はマジックですが、74%も23%も、沖縄県民の負担に変わりがないことで、若い女性が味わう危険は、全国一だという印象があります。(印象で書くなってか?)
この本で教えられることは多々ありました。よくニュースで「キャンプ・シュワブ」と聞きますが、それがどういう意味か知らなかったのですが、これは、沖縄戦で戦死し、名誉勲章を受章したアルバート・シュワッブ一等兵から付けられたんですね。
このほか、キャンプ・ハンセンは、デ―ル・ハンセン二等兵から、キャンプ・コートニーはヘンリー・コートニー少佐から…といった感じです。
沖縄の地名とは全く縁もゆかりも関係もなかったんですね。大日本帝国が勝利して米国内に「佐藤基地」とか「鈴木基地」とか付けるようなものでしょう。
そう言えば、東京・日比谷の東京宝塚劇場は、GHQによって占領された時代は「アニー・パイル劇場」と呼ばれていました。
アニー・パイルとは従軍記者で、沖縄戦で戦死した人でした。
日比谷一帯には、GHQが本部にした第一生命本社ビルがあります。米軍は戦後統治を逸早く計画し、銀座は空爆しても、わざと日比谷への爆撃や建物破壊は避けたのです。
慰安のために、娯楽劇場もしっかりと残したわけです。