築地「鴨亭」 Copyright par Keiryusai
新聞記者は、記事の正確さを徹底させるため、セカンドオピニオンを取ったりします。業界用語で「裏を取る」と言ったりします。
でも、逆に、裏を取らないで、そのままスキャンダラスな見出しと記事で部数を伸ばす新聞もありますが(笑)。
ブログは、色んな種類がありますけど、まあ、大半は個人の感想、もしくは意見の表明といったところでしょう。この《渓流斎日乗》もその範疇に入ることでしょう。
でも、一応、このブログは「世界最小の双方向性メディア」と自称している関係で、事実が間違っていた場合など、御指摘があれば、即、訂正したり、表現を変えたりしております。まあ、取るに足らない個人の感想なので、多くの皆様には大目に見て頂いておりますが(笑)。
とはいえ、個人的に気になることは、後で、周囲に裏を取ったりします。例えば、5月18日に書いた「初めてのタコス」の記事。生まれて初めて本格的なタコスなるものを食したのですですが、「まあ、こんなもんか」といった程度の感想でした。そのことを米国人の友人に話したら、「ハハハハー、その店は、アメリカでは何処にでもあるチェーン店で、マクドナルドみたいなもんですよ」と言うではありませんか。
そして、丁寧にも、「東京にはもっと良い店が昨年から出店しましたよ。虎ノ門にあるTWという店です。ここなら本格的ですし、美味しいし、お薦めですよ」と教えてくれたのです。
なるほど。裏は取ってみるものですね。
もう一つありました。5月17日に書いた「翻訳家なんかになるもんじゃない?」という記事です。あるプロの翻訳家が、印税が6%の契約を4%にダウンさせられたり、突然、出版中止を宣告されたりして、ついに裁判沙汰などで精神的に追い詰められて、燃え尽き症候群となり、翻訳業を廃業する話でした。作家の印税は10%だということは知っていましたが、翻訳家になると、最高でも8%ぐらいだという話を知り、私自身も「翻訳家にならなくてよかった」と末尾に書いたほどでした。
そこで、また、裏を取るために、出版関係の友人に現状を聞いてみました。すると、「印税8%なんて、よっぽど有名な翻訳家だけだよ。今は4%だったら、妥当な数字だよ」と言うではありませんか。これもまた「へー」です。「出版社はかなりのリスクを取っているわけ。売れなきゃ、全部、持ち出しだからね。今の出版不況じゃ、仕方ないんじゃないかなあ」と彼は説明してくれました。
そうですね。今朝も、通勤電車の中で、本を読んでいる人は、軽く車内を見渡したところ、私だけでした。たった一人でした。
となると、私は出版業界に寄与しているわけですから、このブログに書く独断と偏見に満ちた書評でも、大目に見てもらいたいものです(笑)。
話は変わり、何度も書きますが、このブログは「世界最小の双方向性メディア」を自負しておりますから、皆さまのコメント大歓迎なんですが、中には最初から粗探しをする目的ありきで、小さなミスを発見することを至上の喜びとする方もいらっしゃるので、参ります。
例えば、上の写真もそうです。最近、花の名前が瞬時に分かる、千葉工業大学が開発したAIアプリ「ハナノナ」の写真を掲載することが多くなってきたのですが、粗探しさんは「渓流斎ブログは、ハナノナを使い過ぎてますなあ。素材から調理しないで、スーパーで惣菜を調達して来て食卓に並べるのと変わりませんぞ。取材は足で稼ぐもの。被害者の写真入手がどんなに大変かは、ご存じですよね?」と説教するのです。
あのねえ。花の写真を撮るのに、しっかり足で稼いで撮っているわけで、矛盾してませんか?どっかの図鑑か、本の写真をそのまま写したのなら、「スーパーからの惣菜調達」になるかもしれませんけど、あたしは、しっかり、現場に行ってまっせ、釈悪道老師。
あ、ほんの少し、胸のつかえがおりました(笑)。
1990年代から20年程、出版社で翻訳書(人文関係)の編集に携わっていました。その期間についていえば、翻訳者印税は通常6〜7%。安くて5%。有名な翻訳者で本人が主張した場合は8%。4%というのはかなり阿漕な数字かも。この10年でますます状況が悪化したということでしょうか。
rassam様
コメント誠に有難う御座います。
印税に関しては、本来、超機密事項ですから、過去と現在との比較や変遷までは分かりませんが、現在は、状況が良くないことは確かでしょう。
新聞関係も翻訳料は雀の涙ほどと聞いてます。