中国 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
一連の森友学園疑惑は、すわ、平成の大疑獄事件に発展するのではないかという当初の目論みは見事はずれて、このまま有耶無耶で終わってしまいそうです。
鼠一匹も出てこないでしょう。
この問題は、政官を巻き込んだ民への前代未聞の破壊的安価での国有地払い下げが原点にあります。本来、9億5600万円なのに、わずかその1割の1億3400万円で、国が森友学園にくれてやったので、残りの8億1900万円は何処にいったのか?という問題がありそうですが、何しろ、官を代表する財務省理財局長の佐川宣寿君、福島県東大経出身、籠池部屋、58歳は「売買契約の交渉記録は捨てちまいましたよ」と、正直に白状したので、証拠がありません。
結果的に、この8億円余りは、政界、官界に口利き料としてばら撒かれたのではなく、取らぬ狸の皮算用で終わってしまったということでしょう。本来、国庫に入るべきお金が入らなかった。つまりは、国民の懐が痛んだ。つまりは、8億円もあれば、社会福祉や教育、介護費、医療費に回っていたかもしれないのに、受益者に供与されなかったということになります。
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森友学園疑惑は、政官ルートへの金銭の授受行為がなければ、単なる安価で国有地を払下げただけのよくある事案で、事件にも何にもならないでしょう。
しかし、なぜ、お金がからまなかったのかといえば、思想信条の問題だからです。むしろ、こっちの方が厄介かもしれません。
森友学園理事長の籠池泰典さんはやはり、憲法改正を求める「日本会議」の会員で、大阪支部代表という報道もありました。
その籠池さんによる「日本で初めてで唯一の神道の小学校」である「瑞穂の國記念小學院」を設立し、「教育勅語の復活」「毎朝の日の丸掲揚と君が代斉唱」といった教育理念に安倍晋三首相を始め、政治家と官僚が、「無償の愛」で共鳴したということになるのでしょう。もっとも、安倍さんの場合、首相の座を降りた将来、自分の教育理念と合う学校の名誉校長ぐらいにはなりたかったのかもしれませんが。
集団的自衛権や秘密保護法、それに最近の共謀罪法案といった安倍政権の一連の「戦後レジームからの脱却」政策の流れをみていくと、まるっきり突拍子もない話ではなかったわけです。
2011年7月に別の学校法人がこの大阪府豊中市の国有地を5億8000万円で購入することを求めたのに、最終的に財務省が却下したのは、その学校が日本で初めてで唯一の神道教育学校ではなかったからかもしれません。
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それにしても、世間がこれだけ大騒ぎし、ほとんどの新聞は一面で大きく扱っているのに、一部のメディアは、この森友学園問題をほとんど無視するか、扱っても嫌々に、片隅で目立たないようにしている背景は、不思議どころか、面白おかしくてしょうがありません。
2月24日の産経新聞は、二社面の片隅に「野党が追及」という見出しですからね。まさに、「政府広報紙」であることを暴露してしまったようなものです。
世界一の部数を誇る天下の読売新聞も、やはり、二社面で、淡々と、国有地が安い価格で森友学園に売却されたといった事実関係をつまんなそうに列挙しているだけ。
「社会の木鐸」(古い!)であるはずなのに、随分、腰が引けた報道です。
そしたら、驚くべき事実が分かりました。読売新聞は東京大手町の本社はもともと国有地で、相場の4分の1程度で特別に払い下げられたことは知られています。そこで、「読売は、政府に楯突く発言ができない」という憶測が生まれたわけです。
しかも、森友学園に関しては、2015年1月に、小学校設立を認可した大阪府私学審議会の委員の一人が読売新聞の現役記者だったというのです。そして、国有地売却の権限を有する「国有財産近畿地方審議会」のメンバーの中にも読売新聞の記者が入っていたというのです。(日刊ゲンダイの報道による)
えっ?何で現役記者が、審議会メンバーなの?
マスコミはかつて「第4の権力」とまで言われてましたが、読売新聞は、政府の監視機関ではなく、体制の内側に入って宣撫活動の担い手となっている言われても仕方ないのではないでしょうか。
何しろ、世界一の発行部数を誇る読売新聞です。日本を代表する報道機関が、政府に都合の悪い報道は控え、安倍政権支持率53%につながるような世論操作機関となっているとしたら、タチ悪いなあ…。