「ムーンライト」は★★★☆

うら若き桜

今年のアカデミー賞の最高栄誉である作品賞を獲得した「ムーンライト」(バリー・ジェンキンス監督作品)を近くの映画館で観てきました。

フェイ・ダナウェイがあの「ララランド」と発表を間違えた曰く付きの作品です。

で、感想ですが、うーん、でした。何とも言えない感じでした。

その時代を最も反映する最大の栄誉である作品賞だから、身銭を切って観たのですが、そうでなかったら、まず、観なかったことでせう。

カタルシスがない。まあ、ないからどうした、ということになりますが、現実に厳しい生活を強いられている人には、お勧めできませんね。

実は、この手の映画は個人的に好きではないというのが正直な感想です。

ただ、撮影編集の手法が斬新的でした。

ジャンキーの母親の女手一つで育てられた黒人のシャロンの成長物語で、大きく、幼年期、少年期、成人期の3部構成になっています。

普通、プロデューサーは似た容貌の俳優をそれぞれ配置しますが、何か、別人感がプンプン漂います(笑)。

あれだけ、ひ弱で痩せっぽちのいじめられっ子だったシャロンが、成人すると、筋肉モリモリの不敵なワルに容姿だけは激変しますが、心は救いようもないほど、幼稚で大きなトラウマを抱えている辺りはうまく描かれていました。

この映画のハイライトは、シャロンが子供の時に出会った黒人の麻薬売人フアンとの交流です。

差別と貧困に喘ぐ底辺の中で、腕力と違法行為でのし上がったフアンは、幼いシャロンに「自分の人生は自分で決めろ。他人から指図されるな」と諭しますが、皮肉なことに、成人したシャロンが選んだ職業は…?

まあ、これから観る方のために、内緒にしときます。

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