松居一代さんも吃驚のサイトづくり苦労物語

中国ハルビン Copyright par Duc de MatsuokaSousumu Kaqua

最近、自宅と会社との往復ばかりで引きこもりがちでしたが(笑)、昨晩は久し振りに痛飲致しました。

場所は、私が東京の中で最も好きな街、神保町です。かつて、週に2回は通ったことがあり、古書店街から普通の人が知らない露地裏まで誰よりも知り尽くしているというのが自慢です。が、何せ根っからの方向音痴なもんで、目的地に辿りつけるかどうか心配でした。

目的地は、昭和30年代頃に建てられたと思しきエレベーターもない古いビル。一階が老舗バーで、お会いするお目当ての方は、そのビルの三階の事務所で、IT関係の会社を設立した社長さんです。

いやあ、前置きが長くなるので端折りますが、その社長さんというのは、以前この渓流斎ブログに書いたことがある海城高校の後輩で、「猫の足あと」という関東の神社仏閣の詳細な沿革を紹介するサイトや葬儀関係のサイトなどを主宰している松長社長です。

そして、もう一人は初めてお会いした方で、「ブック・ナビ」という書評専門のサイトを、もう15年も主宰している野口さんです。この方は、天下の開成高校を出られ、周囲の風采の上がらない連中が殆ど東大に進学するのを横目で見て、敢えて慶應義塾に進み、長年メディア関係の仕事をされてきた方でした。

中国ハルビン Copyright par Duc de MatsuokaSousumu Kaqua

面会の目的は、この渓流斎ブログをホームページ化するメリット、デメリットのご相談でした。

松長社長は、このIT業界で長年苦労と研鑽を重ねてきたので、その実態から裏の裏まで精通しており、かなり辛辣なお言葉も頂戴致しました。

アフィリエイトだの、SEOだのかなり専門用語が飛び交い、半分ぐらいしか理解できませんでしたが(笑)、かなり、参考と言いますか、勉強になりました。

例えば、今は世界中で広告に連動するサイトのアクセス数を稼ぐために、大嘘のニュースを書き込む輩が頻発して世界的にも大問題になっています。話の次元は全く違いますが、有名芸能人の松居一代さんが、一連の騒動でブログのアクセスが急増して、「月に500万円稼いだ」と週刊誌でも取り上げられるほどです。

何でそんなことができるの?

しかし、無名の一般人がそんなことができるわけありません。

松長社長がわざわざ紹介して下さった「ブック・ナビ」の野口主宰も解説してくれました。

「広告で稼ぐのは並大抵ではありませんよ。それにはまず、読者にサイトに来てもらうこと。そして、広告をクリックしてもらうこと。でもそれだけでは一銭にもならず、何か買ってもらわなければなりません。ウチのサイトの広告収入は、2年間で5000円程度ですよ」

ひよっえー、それではとても生計を立てられませんね。

中国ハルビン Copyright par Duc de MatsuokaSousumu Kaqua

松長社長も、眼鏡の奥の目をキラリとさせて、「渓流斎さん、甘いですね。ホームページには儲かるサイトと儲からないサイトの二種類しかないのです。やる気ないならやめちまえー」とまでは言いませんでしたが、酔った頭には刺激的な文言が浴びせられました。

1、自己主張しないこと。そんなもん誰も読まない。サラリーマンでも官僚でも、自己主張する輩は出世しない。それと一緒。

1、できるだけテーマを絞ること。できれば誰も知らないような、そこのサイトに行かなければ情報が取れないような、マニアックであればマニアックであるほど良い。

1、とにかく頻繁に更新すること。

1、できるだけ高品質のサイトと提携してリンクを貼ること。そうすれば良質な読者に恵まれる。

1、自分の常識は、世間の非常識だと思え!

うーん、いちいち御尤もな指摘です。しかし、自己主張できないブログなんて…。

松長社長の主宰する「猫の足あと」の苦労話も聞きました。10年近く経ち、今では何万件もアクセスがある人気サイトですが、始めた頃は、誰も知らないので、「何でウチの寺社を勝手に載せるんだ」「昔はそうだったかもしれないが今は違うんだ。掲載お断り」というお寺や神社があったそうです。

しかし、今や立場が逆転です。「ウチの寺が載っていないので是非載せてください」「載っていないと存在しない神社になるので、是非」といった問い合わせが殺到しているそうです。恐らく、初期に掲載を断った寺社は今頃後悔していることでしょう。

世の中、そんなもんです(笑)。

松長社長が、このサイトに自信を持っているのは、まさに血と汗と涙で、地を這って地道な努力で作成しているからです。

寺社仏閣の沿革を調べるのに、江戸時代の古文書まで辿ります。手に入らない、図書館で借りられない書籍ばかりなので、高額なコピー代がかかります。沿革は膨大な量なので、外部に発注したりします。写真は必ず現場に行って、自分の脚で歩いて、自分で撮影します。

このように、かなりの時間とお金と労力をかけていたのです。まあ、そうでなければ良質なサイトはできないということですね。

とにかく、松長社長に言わせると、今出回っているサイトの大半がコピペもしくは引用だそうです。「新聞社やテレビ局が、全てのニュースを有料にしたら、恐らく、サイトは激減するでしょうね」と自信を持って言ってましたが、確かにその通りでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

旧《溪流斎日乗》 depuis 2005 をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む