おでんの老舗、銀座「やす幸」に行ってきました。
ひょんなきっかけでした。今月の「月刊文藝春秋」の「同級生交歓」欄に、「信長の棺」の作家、加藤廣さんが書いておられ、「やす幸」のご主人・石原壽さんが旧制早稲田中学時代の同級生の一人として登場していました。
「やす幸」といえば、下々の者など、とても足を踏み込めない高級店です。後藤喜兵衛さんから、文春の記事のことで、メールで連絡を受け、私が「加藤さんを通して、安くしてもらえませんでしょうかね」と浅ましい、図々しいことを返信したところ、丁度、昨晩、加藤さんが同店2階でクラス会をやるということだったので、その隙に乗じて、乗り込んだわけです。
参加したのは、後藤さんと私と東京スポーツの佐藤祐二編集企画室長。佐藤さんには「ブログに書くんでしょ?」と言われてしまいましたが、やはり書いてしまいました(笑)。
噂に違わず、味も雰囲気も最高でしたね。客層もちょっとハイソな感じでした。15人くらい座れる広いカウンターと、四人掛けのテーブルが5脚ほど。奥に7、8人くらいが入れる小部屋、2階は行きませんでしたが、かなりの人が入れる宴会場があるようでした。ですから、板前さんがカウンターの中に10人ぐらいもいるのです。
おでん、といって馬鹿にしてはいけません。コンビニにあるぐらいですからね。
これが本物のおでんか、と唸らせるものがありました。関西風の透明の薄い味付けで、つみれは、くさみをとるため柚子が入っていました。がんもどきも口に入ると香ばしい食感が幸せ一杯に広がります。当然、ダイコンも上品このうえない味でした。今まで食べていたおでんは何だったのだろう、と思ってしまいました。
あとで聞くと、透明の薄い味付けは関東風で、関西では醤油の濃い色のスープなんだそうですね。ちょうど、うどんと逆です。関西では、うどんは薄い透明のスープなので、関東の真っ黒なうどんの汁を見てびっくりするわけです。
私もその昔、大阪に住んでいたので、よく「けつねうろん」(きつねうどん)を食べたものです。関東に戻って、立ち食いうどんを頼んだ時、そのどす黒い汁をみて、食べる気がしなくなってしまったことを思い出しました。
「やす幸」は昭和8年創業の老舗(銀座7-8-14)。お奨めですが、やはり、ちょっと、敷居が高いので、覚悟して行かれるといいと思います。我々の後日談は省略します。