エタノールの落とし穴

トレビの泉

これまでのガソリンと違って、E3車とかE6車とか呼ばれるエタノールの車は、環境にやさしく、何と言っても、政情不安定な中東の石油に依存しなくて済む夢の自動車が登場したものだ、とばかり思っていたのですが、事態はそんなに単純ではなく、深刻な問題をはらんでいることが、今日の日経紙で分かりました。

インタビューに応えているのは、環境保護論者として著名なレスター・ブラウン氏。「エタノールブームは、穀物と水の連鎖危機を招く」と警鐘を鳴らしています。

同氏によると、大型車のガソリンタンクをエタノールで満タンにするには、人間一人が1年に食べる穀物が必要なのだそうです。それだけではなく、1トンの穀物を作るのに、1千トンの水が必要とされ、水の問題も生じてくる。地球全体でみると、自動車に乗ることができる8億人の人間と、極めて貧しい生活をする20億人が同じ穀物を巡って争っていることになるというのです。

さらに、水をそのまま輸入するよりも穀物の形で買う方が効率的で、豊かな国は穀物をどんどん買うようになり、貧しい国は買えなくなる。未来の戦争は石油よりも、穀物を通じて水の奪い合いになる可能性が高いというのです。

問題のあまりにもの深刻さに文字通り、頭を抱えてしまいました。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

旧《溪流斎日乗》 depuis 2005 をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む