上野
「文藝春秋」6月号で、「昭和の陸軍 日本型組織の失敗」を特集していたので、迷わず買いました。私のライフワークで最も興味があるものの1つに、「日本人は何故、無謀な戦争に突入し、戦争責任も曖昧にしたのか」というのがあるので、とても、とても参考になりました。半藤一利氏(作家)、保阪正康氏(作家)、福田和也氏(文藝評論家)、戸部良一氏(防衛大教授)、黒野耐氏(元陸将補)に感謝しつつ、備忘録として、まとめます。
●陸大は、陸士卒後、隊務二年以上から選抜された将校が受験し、合格率は約1割。幼年学校出身9割、一般中学1割。陸士19期のみ一般中学から陸士に入学させた。
●太平洋戦争の陸軍戦死者165万人のうち、70%は飢餓によるもの(作戦部にエリートを集め、兵站を軽視したため)。
【陸士1期】 宇垣一成(岡山出身。陸大3番。大正13年、長州閥以外から初の陸軍大臣)
【陸士6期】 南次郎大将(A級戦犯)
【陸士8期】 林銑十郎(反宇垣派)
【陸士9期】 真崎甚三郎(反宇垣派、皇道派)、荒木貞夫大将(反宇垣派、昭和6年、陸軍大臣、皇道派のドン、A級戦犯)、松井石根大将(南京虐殺事件、A級戦犯絞首刑)
【陸士10期】 植田謙吉(ノモンハン事件、関東軍司令官)
【陸士11期】 寺内寿一(南方軍総司令官)
【陸士12期】 秦真次(反宇垣派、皇道派)、柳川平助(反宇垣派、皇道派)、畑俊六元帥(陸軍大臣、A級戦犯)、小磯国昭大将(首相、A級戦犯)、杉山元(陸大15番。対米開戦時、参謀総長、ガタルカナル責任)
【陸士15期】 河本大作(張作霖事件首謀者)、山岡重厚(皇道派)、多田駿(参謀次長)、梅津美治郎大将(2・26事件時、仙台師団長「断固討伐せよ」、敗戦時の参謀総長、A級戦犯)
【陸士16期】 永田鉄山(長野出身。反宇垣派、皇道派、一夕会、暗殺死)、岡村寧次(反宇垣派、皇道派、一夕会)、小畑敏四郎(反宇垣派、皇道派、一夕会)、板垣征四郎大将(反宇垣派、皇道派、一夕会、A級戦犯絞首刑)、土肥原賢二大将(A級戦犯絞首刑)
【陸士17期】 東條英機(岩手出身。父親の英教は、南部藩士の息子で、陸大1期首席。反宇垣派、皇道派、開戦時首相、A級戦犯絞首刑)、荻洲立兵(ノモンハン時、第6軍司令官)
【陸士18期】 山下奉文(反宇垣派、皇道派、シンガポール陥落)、阿南惟幾(陸大受験3回失敗。終戦時、陸軍大臣)、大島浩中将(駐独大使、A級戦犯)
【陸士19期】 今村均大将(新発田中、陸士、陸大首席。ジャワ攻略)、本間雅晴中将(佐渡中、陸士、陸大。「死のバターン行進」)
【陸士20期】 下村定(最後の陸相)、木村兵太郎大将(A級戦犯絞首刑)
【陸士21期】 石原莞爾(陸大2番。一夕会、関東軍参謀副長、満州事変首謀者、支那事変参謀本部作戦部長)
【陸士22期】 相沢三郎中佐(永田鉄山を斬殺)、安達二十三、 鈴木貞一中将(一夕会、企画院総裁、A級戦犯)、牟田口廉也(一夕会。盧溝橋事件、インパール作戦=約3万人死傷=首謀者)、村上啓作(満洲事変時の軍事課員)、原田熊吉(今村大将の後任)、西村琢磨(近衛師団長)
【陸士23期】 橋本欣五郎(三月事件、十月事件首謀者、A級戦犯)
【陸士24期】 河辺虎四郎(敗戦時、参謀次長)、野田謙吾(人事局長)
【陸士25期】 武藤章中将(一夕会、開戦時軍務局長、A級戦犯絞首刑)、田中新一(開戦時、作戦部長。教育総監部)、冨永恭次(人事局長)、磯田三郎中将
【陸士26期】 田中隆吉、栗林忠道中将(長野中、陸士、陸大2番。第109師団長、硫黄島戦死)、川口清健(ガタルカナル司令官)
【陸士29期】 佐藤賢了中将(軍務局長、A級戦犯)、河村参郎(BC級戦犯絞首刑)
【陸士30期】 岡田菊三郎(戦備課長)、泉可畏翁
【陸士34期】 西浦進、堀場一雄(支那派遣軍参謀)、服部卓四郎大佐(ノモンハン事件=約8400人戦死=首謀者、対米開戦時、作戦課長、ガタルカナル作戦=戦死、餓死者2万5千人=首謀者)、石井秋穂大佐(「対米英蘭戦争終末促進に関する腹案」)
【陸士36期】 辻政信大佐(石川県炭焼きの家族。幼年学校1番、陸士1番、陸大3番。ノモンハン事件、ガタルカナル作戦首謀者)
【陸士37期】 村中孝次(2・26事件首謀者)
【陸士38期】 磯部浅一(2・26事件首謀者)
【陸士44期】 瀬島龍三中佐(陸大首席。参謀本部作戦部作戦課)、原四郎
【陸士45期】 朝枝繁春(大本営参謀)
【陸士46期】 井門満明(兵站参謀)