「古典に学べ」「移動の自由を尊重せよ」

 正直、このコロナ禍の御時世、テレビは見るに堪えられない下らない番組ばかりやっていますが、たまたま見たNHK-BS「コロナ新時代への提言」には引き込まれてしまいました。私が見たのは30日(土)の再放送なので、既に御覧になった方も多いかもしれません。

 人類学者の山極寿一・京都大学総長、歴史学者の飯島渉・青山学院大学教授、哲学者の國分功一郎・東京大学准教授の3人が別々にリモートでインタビュー出演し、それぞれの専門の立場から発言していました。個別に撮影されたのは、4月下旬から5月初めにかけてなのですが、全く古びておらず、「これからアフリカや南米に感染が拡大することでしょう」といった「予言」もズバリ当たったりして、久しぶりに知的興奮を味わいました。

 しっかり、メモでも取っておけば、正確に番組内容を再現できたかもしれませんが、そのまま見てしまったので、覚えている印象的なことをー。

フィンランドの「カルフ」靴、また買っちゃいました。宣伝ではありません!

 まず、ヒトとウイルスとの関わりについて、歴史学者の飯島教授は、1万年前に遡ることができる、と言います。この時、農業が開始され、地球自然の生態系が破壊され、ウイルスが地表に出て、人間に感染する。同時に野生動物を飼いならし家畜化したため、動物から人間にウイルスが感染するようになったといいます。分かりやすいですね。

 となると、今後も人間が、地球の自然破壊をし続け、温暖化になれば、例えば、北極や南極の氷が解け、深海から今まで見たこと聞いたこともなかった微生物やウイルスが出てくるに違いない、と人類学者の山際教授も指摘していました。

哲学者アガンベンの主張「死者の権利」と「移動の自由」

 私がこの番組で一番感銘を受けたのは、哲学者の國分准教授の話でした。國分氏は、イタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンの発言を引用します。アガンベンは、政府が感染拡大防止策として都市封鎖をしましたが、感染で亡くなった人の家族の葬儀もできず、死に目にも会えない状況を批判し、ネット上の炎上のような物議を醸したといいます。それでも、アガンベンはひるまず、「死者の権利」と「移動の自由」を主張します。

 國分氏の解説によると、「死者の権利」とは、彼らの生前の言動を尊重し、亡くなった人の尊厳を取り戻すべきだということです。つまり、過去に学ぶということで、書物等を通して歴史を学び直すということです。そうでなければ、現代という表面的な薄っぺらな現象だけで、皮相的思想になってしまう、と危ぶむのです。そうですね。これは、ストンと腑に落ち納得しました。自戒を込めて言いますが、我々は、くだらないテレビばかり見ないで、古典から学ぶべきです。

 もう一つの「移動の自由」というのは、最初に聞いてピンと来なかったのですが、自由の中で最も重要視されなければならないのが移動の自由だというのです。國分氏は、ベルリンの壁崩壊などの東欧革命は、移動の自由を制限された若者たちの異議申し立てが大きかったといいます。犯罪を犯した人に対する刑の最高は死刑で、最も軽いのは罰金ですが、あとは、懲役刑で牢屋に拘束されます。つまり、移動の自由を禁じられるということです。となると、一般の人でも、移動の自由が禁じられることは、刑罰に近いというわけです。

 東独出身のメルケル首相は、自分の体験として、その苦痛が分かりきっているからこそ、ドイツ国民に対して、「人間に対する移動の自由を制限することはやってはいけないことだが、生命に関わることで、この事態では致し方ないので、国民の理解を得たい」と正直に演説したため、共感され、結果的に欧州の中でも、ドイツは被害を最低限に抑え込むことにつながったといいます。

 哲学者アガンベンが主張する「古典に学べ」と「移動の自由を尊重しろ」というこの二つを聞いて、私もこのブログを書かずにはいられませんでした。

日本人のルーツを求めて考えたら頭が混乱してしまいました

 退職金約6000万円が貰える東京高検・前検事長の黒川弘務氏は、週1~2回、多い時は週3回、遅い時は夜中の2時まで賭けマージャンに興じていたということです(「週刊文春」6月4日号)。そんなことをしていたら、本を読んだり、勉強したりする暇があるのかしら?-なんて、浅はかな私なんかは思ってしまいました。黒川氏は、超エリートのインテリですから、法律の知識は豊富でしょうが、社会常識や教養には欠けているのかもしれません。

 他人様のことですから、どうでもいいのですが、国民の税金が彼に使われているので、一言諫言を述べたかっただけです。私自身は専門知識もない、インテリでもない、ただの凡夫ですから、他人様から後ろ指を指されないように、麻雀もパチンコも競輪競馬も競艇も、博打はせずに只管、寸暇を惜しんで勉強するしかないのです。自粛生活でここ何カ月も友人たちにも会っていないし、飲みにも行かず、遊んでいないなあ~。

◇澤田洋太郎著「ヤマト国家は渡来王朝」

 さて、古代史は面白いが、むつかしい。-というのが、澤田洋太郎著「ヤマト国家は渡来王朝」(新泉社、2004年6月20日新装版第2刷)を読んだ感想です。古代大和朝廷は、朝鮮半島からの「渡来王朝」だったという大胆な結論を導きだしています。

 この1週間以上、この本に掛かりっきりでしたが、どこまで信用したら良いのか、頭が混乱してなかなか読み進むことができませんでした。そりゃそうでしょう。「文武天皇は新羅の文武王のことだった」「天武天皇は新羅の王族金多遂(キムタジュク)だった」(佐々木克明「騎馬民族の落日」)「壬申の乱は、百済・新羅の代理戦争だった」などと言われれば、「えっ?どういうこと?」になりますよ。

 1927年生まれの著者は、第一高等学校から東大法学部卒業後、都立高校の社会科教師を長年勤め、教頭を最後に定年退職し、その後、在野の古代史研究家になった人です(政治、経済関連の書籍も多く出版。2014年死去)。この本は、通説、俗説、異論、独自解釈…を集めたような感じで、学会で認められている「正史」ではなく、いわば「稗史」となるのかもしれませんが、無暗に読み捨てておけないところがありました。正直、途中で読むのが嫌になることもありましたが…(笑)。(秦の始皇帝はユダヤ人だった、という説には引っ繰り返り、源義経はジンギスカンだったという説を思い出しました)

 何しろ、日本の古代史の最も重要な文献である「古事記」や「日本書紀」(以下記紀)には、歴史的事実をそのまま叙したとは言えない創作的な神話があることはよく知られていますが、日本の歴史だというのに、やたらと朝鮮半島の百済や新羅や高句麗の情勢が登場することはあまり知られていません。(記紀を原書で通読した現代人は果たして何人いるのかしら? 私も記紀は、現代語訳でしか読んだことがありません)

 例えば、「日本書紀」では舒明天皇について、「十三年冬十月己丑朔丁酉、天皇崩于百濟宮。丙午、殯於宮北、是謂百濟大殯。」(即位13年冬10月9日。舒明天皇は百済宮で崩御された。18日、宮の北で殯(もがり=葬送儀礼)が行われた。これを百済の大殯と言う。)といったことが書かれています。何故、日本の天皇(この時代は大王と呼ばれていましたが)なのに、百済式の殯が執り行われたのでしょうか?…。

 記紀がこういう書き方だと、古代史学会による正統な歴史解釈のほかに、在野の研究者や好事家らによる独自解釈も数多あります。特に、「万世一系の天皇制」を論議することがタブーとされていたことが、敗戦後に一転して自由な研究が解放されましたからね。

 もう少し例を出すと、本書では、645年の乙巳の変(大化の改新)は、「百済系」の蘇我蝦夷・入鹿「政権」に対する「新羅系」の中大兄皇子と中臣鎌足によるクーデターだったというのです。中大兄皇子と鎌足の背後には、革命の正当化を訴えた南淵請安(みなぶちのしょうあん)らがいたといいます。彼らは、遣隋使で新羅経由で帰国して親・新羅派になったといいます。(南淵請安は、昭和初期の血盟団と五・一五事件の海軍青年将校らの精神的支柱だった農本主義者・権藤成卿が最も影響を受けた人物の一人。権藤は、大化の改新の理論的指導者だった請安に倣い、昭和維新を唱えたといいます。南淵請安は、渡来人である東漢氏=やまとのあやうじ、後漢の霊帝の末裔が帯方郡から3世紀頃に渡来=出身だといわれています)

 (新羅派のはずだった中大兄皇子は、天智天皇として即位すると、百済系渡来人を重用し、壬申の乱後に即位した天武天皇は、新羅系で二人は兄弟ではなかったと書かれていましたが、何か、よく分からなくなってしまいました)

赤は百済と平氏、白は新羅と源氏

 この本では、新羅系は白旗がシンボルで、清和源氏に受け継がれ、百済系は赤旗で、桓武平氏に受け継がれ(桓武天皇の生母高野新笠は、百済系渡来人の末裔だった=「続日本紀」)、平安以降、鎌倉幕府の源氏の源頼朝から平氏の北条氏に変わり、それが室町時代になると源氏の足利尊氏、その後、平氏の織田信長~豊臣秀吉となり、江戸幕府を開いた徳川家康は源氏と交互に政権が交代したという説を展開しています。

 肝心のタイトルにもなっている「ヤマト国家は渡来王朝」というのは、天皇族は朝鮮半島の南端に古代にあった伽耶辺りから渡来してきたという説です。ただし、彼らは、現代の北朝鮮人や韓国人の祖先ではなく、北方からスキタイ系の騎馬民族が朝鮮半島南部に住み着き倭人と呼ばれた人たちで、そこから北九州などを経由して畿内に到達したというものです。となると騎馬民族説ですね。(スキタイ人は鉄器を匈奴や漢に伝え、鉄器は、朝鮮半島南部から日本に伝えられたので、そのような倭人がいたかもしれません)また、ヤマトに国譲りをした出雲も鉄器製作が盛んでしたが、出雲族は、もともと朝鮮南部の安羅からの渡来人の子孫だとする学者もいます(朴炳植氏の説)。

 古代は、現代人が想像する以上に遥かに多くの人が、大陸から、そして半島から、日本列島へ行き来していたようですから、古代人の間では、それほど国家や民族を意識することなく、混血が進んでいたことでしょう。(神話のスサノオノミコトも、出雲と朝鮮半島の新羅を行き来していました)

 そして、ヤマトが百済の王族を人質として預かったり、百済の要請でわざわざ朝鮮半島の白村江まで遠征して唐や新羅と何故戦ったのか、などについては、朝鮮半島南部に拠点を築いて住み着いた倭人がいなければ、理由が説明がつかないことでしょう。

 私自身は、「日本人はどこからやって来たのか?」という深い疑問の原点があって、古代史に興味を持ちましたが、「日本人とは何か」となると、この本を読むと、多少、混乱してしまいました。

◇日本全国に残る新羅、百済、高句麗

 とにかく、記紀には新羅、百済、高句麗が頻繁に登場します。同書によると、まず「新羅」については、新羅神社という名の社が、青森県八戸市、静岡県浜松市、岐阜県多治見市など全国に9社あり、全国に2760社ある白山神社も新羅に起源を有する神社で、その他、白木、白子、白石、白髭などの地名は日本に移住してきた新羅人が付けた名前だといいます。

 「百済」は、大阪府枚方市に百済寺跡があり、そこの隣接地に百済王神社がある。その他、各地に多くの百済神社があり、大阪市旧鶴橋町一帯は、もともと百済郷と呼ばれていたといいます。

 「高句麗」は、「続日本紀」の霊亀2年(716年)の記事に「駿河、甲斐、相模、上総、下総、常陸、下野の高麗人1799人を以て武蔵国に遷し、初めて高麗郡を置く」とあり、現在も埼玉県日高市に高麗若光を祀る高麗神社・聖天院がある。この高麗氏から駒井、井上、神田、武藤、金子、和田など多くの氏族が派生し、東京には狛江市や駒場、駒場、駒込、駒沢など駒(高麗)が付く地名が多い。関東地方には高句麗系の渡来者がかなり多かったといいます。今は日本人として同化したということでしょう。

 これらは「説」ですから、歴史的事実かどうか分かりませんが、日本人のルーツは、朝鮮半島や中国大陸、そしてユーラシア、東南アジア、南太平洋等から渡来した人たちということになるのでしょう。

 もっと勉強しなければいけませんね。賭けマージャンをやってる暇はありません(笑)。

日本人の味覚が劣化していく恐怖

 渓流斎ブログは、「世界最小の双方向性メディア」を自称していますが、昨日書いた「コロナ禍どさくさ紛れの種苗法案は今国会断念だけでなく廃案にするべき」には結構反応がありました。

 例えば、学生時代からの畏友T君は、かつて住んでいた中部地方で週末に農業をやり、販売できるほど収穫があったといいます。しかし、それは化学肥料や農薬を使う「慣行農業」だからできたことで、色々と学んでいくうちに、「有機農業」や「自然農法」へと移っていきます。すると、みるみると収穫量が減っていくので、これはどうしたことか、と種子への関心が真剣に高まっていったそうです。そんな中で、サカタやタキイなどの企業が売っている所謂「F1種」に対する疑問が湧き、日本語講師として中国の大学に渡った時、そこで見た「もう後戻りできない」モンサントやシンジェンタなどによる種子の寡占販売を目の当たりにします。帰国後、「遺伝子組み換え」やら「ゲノム編集」やら「種苗法」の問題に遭遇すると、「もう、グルメランキングだの、どこそこのレストランが美味しいなどと言ってる場合じゃない。米国やスイスなどの巨大多国籍企業に、日本人の『食』が乗っ取られようとしている」という心情に達したといいます。

 横浜にお住まいの調理師のM氏は、さすがに、普段から色んな食材と関わってきているので、この問題には敏感です。

 「F1作物と種子戦争、遺伝子組み換え、Oー157、 モンサント、穀物メジャーなど20年以上前の亡霊がまたぞろ現れたかのようです。気付かなければ、国の農業が崩壊させられてしまう。大国の意のままにされ、阿ることしか出来ないのではないかという印象です。今更ですが、単なる属国でしか無く、今度は余った人工呼吸器を買わされるようです。只々残念です」とのメールを頂きました。

 そして、私自身の見解は、日本人の味覚がどんどん劣っているという恐怖です。もう半世紀以上も昔ですが、私が子どもの頃食べた野菜は、トマトもニンジンもジャガイモもキュウリも、もっとどぎつくて、土の味がしました。今のような水っぽい、スカスカの味ではありません。匂いも強烈だったし、エグイ味でした。

 先日、テレビを見ていたら、コンビニで売っているレトルト食品のランキングをやっていました。料理研究家と称する女性が出てきて、ファミマの〇〇が美味しいだの、セブンイレブンの〇〇は手軽にできて、子どもたちも大喜び、だのと言って、実際、子どもたちに食べせて、子どもに「おいちい」とか何とか台詞を言わせているのです。…何か、涙が出てきました。何時間も下拵えして、手間暇かけて作った料理の味とは比べものにならないはずです。

 私もたまに、レトルト食品(英語でTV dinner ということを最近知りました)を食べることがありますが、合成保存料か人工着色料か何か知りませんが、どうしても薬品の味がします。最初からこのような冷凍食品で育った子どもたちは「違い」が分からないのかもしれません。

 もしかして、その番組は、大手コンビニエンスストアと冷凍食品企業がスポンサーで、単なる商業資本主義の権化のような宣撫番組だったのかもしれません。でも、これを見た多くの人は全く気付かず、「まあ、手軽ねえ。ウチも買おうかしら」「チンしたら、レトルトといっても手料理と変わらないらしい。旦那に出そう」という話になるはずです。

 新自由経済主義、グローバリズム、効率主義、料理をする時間があったら外で働いて金儲けをした方が家族のためになるという金融資本主義の幻想が極まった感じです。

 遺伝子操作食品というのは、種子の遺伝子操作だけでなく、人間自体を洗脳して味覚遺伝子までも変える意味も含まれているかもしれませんぜよ。

コロナ禍どさくさ紛れの種苗法案は今国会断念だけでなく廃案にするべき

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

  新型コロナのおかげで、重要なニュースが報道されなかったり、隠されてしまっていることが危惧されます。何と言っても、ジャーナリズムの基本は、「何が報道されたか」というより、「何が報道されなかったのか」の方が需要だからです。

 そんな目立たない記事の中で、ほとんどの日本人が気付かなかった記事があります。今月5月19日に今国会での成立が見送られることになった「種苗法改正案」です。この法案廃止の急先鋒の一人と言われている元農林水産相で弁護士の山田正彦氏によると、もしこの法案が成立すると、農家は、登録品種の自家増殖(採種)が一律禁止となり、違反すると10年以下の懲役1000万円以下の罰金が科せられ、農家は毎年、高いお金を出して、モンサント(現バイエル)など外資のグローバル種子企業から種を買わざるを得なくなるというのです。しかも、それらの種子だと遺伝子組み換えやゲノム改良品種に頼らざるを得なくなる恐れがあるというのです。

 「これから大変なことが今の国会で決められようとしています。」(山田正彦オフィシャルブログ・2020年2月14日)

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 これについて、京都大学大学院教授の藤井聡氏や、どういうわけか女優の柴咲コウさんまでが賛同といいますか、論争に加わっていました。特に、柴咲さんは「新型コロナの水面下で、『種苗法』改正が行われようとしています。自家採取禁止。このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます。これは他人事ではありません。自分たちの食卓に直結することです」(4月30日)などとSNSで積極的に発言されていましたが、どうやら今では削除されているようです。

 どうも芸能人が政治的発言をすると、日本では多くの人が匿名を使って叩く傾向があります。

 種苗法が改正されると、モンサント(現バイエル)など外資の多国籍種子企業が儲かるということに対して、「グローバル種子会社はモンサントだけでなく、日本のサカタのタネなどもあるので、山田氏の主張にはその視点に欠けている」といった批判もあります。

 それでも、私自身は、山口県の地方紙、長周新聞がコロナ禍のさなかに種苗法改定案が国会審議入りへ 農家の自家採種禁止で揺らぐ食料安保」(5月14日付)で指摘したように、食料自給率がわずか37%という日本の食料事情を鑑みても、問題がある法案であり、廃案にしなければならないと思っています。

 なお、種苗法改正法案については、農林水産省のホームページに掲載されています。

確かな情報を見極める感性を多くの人と協調していきたい=新型コロナ禍で

 緊急事態宣言が25日にも全国で解除されようとしているのに、私の自宅には、いまだに一律給付金10万円もアベノマスクも届きません。安倍内閣の支持率が急降下するはずです。23日の毎日新聞の世論調査では、安倍内閣の支持率が27%と「危険水域」の30%を切りました。末期的です。

 今回の新型コロナウイルス禍は、全世界で、大量の失業者を生み、貧富の格差拡大にさらに拍車をかけることになりました。

 私は現在、かろうじて会社使用人という給与生活者を選択したお蔭で、今回ギリギリ路頭を彷徨うことなく生きていけています。会社を辞めたいと思ったことは100回ぐらいありますが(笑)、もしあの時、フリーランスの道を選んでいたら今ごろ大変だったろうなあ、と実感しています。例えば、15年ぐらい昔に通訳案内士の試験に合格し、フリーでやって行こうかと思ったら、幸か不幸か、はとバスなど既成の職場は既に古株様に独占され、潜り込む隙間もなく、15年前はそれほど外国人観光客も押し寄せることがなく需要も少なかったので、アルバイトならともかく、「職業」にできなかったので諦めたのでした。

 今でも、ある通訳団体に会費だけ払って参加していますが、会員メールでは、「持続化給付金」の話ばかりです。来日外国人が4月は昨年同月比99%以上減少したぐらいですから、通訳ガイドの仕事なんかあるわけありません。はっきり言って失業です。そこで、ある会員さんが、個人事業主として、持続化給付金を申請したら、給付まで最低2週間は覚悟していたのに、わずか10日で100万円振り込まれていた、というのです。大喜びです。

 一般市民への給付金10万円はまだなのに、へーと思いましたけんどね。

  今回のコロナ禍について、世界の識者の所見を知りたいと思い、色々と当たっています。3月末に日経に掲載された「サピエンス全史」で知られる歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の「コロナ後の世界に警告 全体主義的監視か 市民の権利か」や4月に読売新聞に掲載された人類生態学者のジャレド・ダイアモンド氏の「危機を認める誠実さ必要」などもよかったですが、23日付朝日新聞に出ていた歴史家・人口学者のエマニュエル・トッド氏のインタビュー「『戦争』でなく『失敗』」もかなり含蓄があるものでした。

 トッド氏は「ソ連邦崩壊」を予言した学者として一躍有名になりましたが、哲学者サルトルの大親友ポール・ニザンの孫ですから、哲学的知性を受け継いでいます。(私も好きなニザンの「アデン アラビア」の冒頭「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」=師・篠田浩一郎先生訳=を学生時代に読んだ時、かなりショックを受けたことを今でも鮮明に覚えています)

 トッド氏のインタビューのお応えは、哲学者のようなかなり抽象的な言辞も出てくるので、私自身の誤読か、勝手な思い込みの解釈に過ぎないかもしれませんが、トッド氏は、過去に起きたペストやスペイン風邪などの疫病の流行と今回のコロナと比較するのはナンセンスだとまで言ってます。

 14世紀のペストの大流行では農奴が急減し、教会の権威が失墜し、中世から近代国家の礎ができるきっかけになりました。あのルネサンスも「ペスト後」の時代です。ペストは、歴史的大変革をもたらしたわけです。

 しかし、今回の新型コロナでは、新自由主義経済や金融グローバリズムでは人間の生命を守らないことを改めて認識できただけで、それは既に新型コロナが蔓延する前から分かったことで、大変革がもたらされたわけではない。しかも、コロナによる死者は高齢者に集中し、若者は比較的軽症だったため、社会構造を決定付ける人口動態に新しい変化をもたらすことはない(つまり、若者が大量に戦死する戦争とは比較にならない。だから第1次世界大戦は今でも語られるが、同時期のスペイン風邪は忘れ去られてしまった。スペイン風邪では全世界で数千万~1億人が亡くなり、戦死者より遥かに多かったにも関わらず…)。

 そして、犠牲者は医療に恵まれない貧困層が多く、富裕層は人口の少ない田舎の別荘に避難して感染から免れることができる(トッド氏もベストセラー作家ですから、パリを離れ、ブルターニュの別宅に避難しているとか)。医療システムをはじめ、社会保障や公衆衛生を脆弱にする政府の横暴を市民らが見て見ぬふりをしてきたツケが回ってきた。だから、新型コロナは、マクロン仏大統領が言うような「戦争」ではなく、「失敗」だ。それに、コロナ対策ではEUの存在感はなく、国ごとに事情が違うわけだから、ドイツ・メルケル首相が強烈なリーダーシップを執ったように国家単位で、国際協調をすれば良いだけだ。

 まあ、以上は私自身がトッド氏の話から了解したか、誤読したかの事項ですが、トッド氏が、今回の新型コロナと過去のペストやスペイン風邪と比較するのはナンセンスで、人口動態的にも一種の自然淘汰が激化されただけだという捉え方には新鮮な驚きがありました。私なんか、特に100年前のスペイン風邪の教訓から学ばなければならないと思っていましたからね。

 それでは、これから我々はどうしたらいいのか?

 まあ、私のような貧者は感染したら一発で終わりですから、罹らないように細心の注意を払うしかありませんね。お上に「気を緩めるな」と言われる前に、自分の身は自分で守るしかありません。マスク、うがい、手洗い、三密忌避しか、方法はありませんけど。

 緊急事態宣言が解除されても、恐らく、「第2波」「第3波」はやってくるでしょうから、覚悟しなければなりません。

 情報収集のアンテナは伸ばしますが、デマやガセネタや詐欺情報だけには気を付けたいと思っています。渓流斎ブログも、皆さまに何らかのお役に立てればと思っています。コメント大歓迎です。大いに間違いを指摘してもらい、多くの人と協調していきたいと思っています。(古い記事に関しては、その当時の時点の情報に基づいて書いただけで、後世から最新情報による御指摘は、心もとないですが…)

国家間の協調とは、個人のレベルで言えば、自律した人と人同士が助け合う、ということだと思います。

青年よ、検察庁を目指せ!

 青雲の志を抱く若者よ、検察庁を目指さないか?

 何しろ、賭博罪に当たる賭けマージャンをやっても、違法駐輪をやっても、高等検察庁の検事長になれば、逮捕されることなく、懲戒免職されることなく退職金も満額の7000万円、ばっちり貰えますからね。口入(くにゅう)と言っても分からないか、差配師、手配師、これも駄目?では、人材派遣会社なら分かる?まあ、要するに人買い人足回しあがりの政治屋と昵懇になって政界に顔を利かせれば、政府が保障してくれます。

 そりゃあ、検察庁に入るのは少し大変かもしれない。でも、東大法学部に入って、国家公務員総合職の試験に合格さえすれば何とかなります。1日16時間、いや、君だったら8時間も勉強すれば必ず合格できますよ。

 実は、勉強って、とっても楽しいものなんだよ。「実録 日本汚職史」(ちくま文庫)を書いた室伏哲郎先生もこう教えてくれます。

 三面記事を派手に賑わせる強盗、殺人、かっぱらい、あるいはつまみ食いなどという下層階級の犯罪は厳しく取り締まりを受けるが、中高所得層のホワイトカラー犯罪は厳格な摘発訴追を免れている ーいわゆる資本主義社会における階級司法の弊害である。

 でしょ?弊害じゃないんです。検察官になれば、やりたい放題なんです。賭けマージャンをしようが、違法駐輪しようが、起訴するのは貴方ですからね。どんどん、下層階級のチンピラやコソ泥は捕まえて点数を稼ぎましょう。勿論、エスタブリッシュメントの貴方は、貴方自身で不起訴にできます。

 もう一つ、楽しいお勉強。「東京地検特捜部」(角川文庫)を書いた山本祐司先生も、検察と政界の癒着を見事に暴いてくれてるではありませんか。君たちの曾祖父の世代かもしれませんが、1968年に発覚した汚職の「日通事件」のことです。

新橋の高級料亭「花蝶」

 この一連の事件の中で、「花蝶事件」というのがありました。これは、日通事件の渦中の1968年4月19日に、新橋の高級料亭「花蝶」で井本台吉・最高検検事総長と自民党の福田赳夫幹事長(後の首相)と、300万円の収賄容疑の自民党・池田正之輔衆院議員の3人が会食していた事件です。同年9月になって「赤旗」と「財界展望」が、料亭「花蝶」の領収書のコピーを添えてスクープしました。井本台吉検事総長は、池田代議士の逮捕には強硬に反対した人物でした。何か裏がありそうですが、後に「この会食は日通事件とは関係がない。検事総長に就任したときに池田氏が祝いの宴を開いてくれたので、そのお返しとして一席設けただけだ」と弁明しています。 「思想検事」だった井本検事総長と大蔵省出身の福田幹事長は、ともに群馬県出身で第一高等学校~東京帝国大学法学部の同級生という間柄でした。

 ね?こういう繋がりを歴史的事実として知ると、勉強ほど楽しいものはないでしょ?

 黒川検事長の賭けマージャンが発覚しなければ、黒川氏は7月にもトップの検事総長に上り詰め、そのお祝いに公職選挙法違反の疑いで今にも起訴されそうな自民党の河井克行・案里夫妻議員が、料亭「花蝶」で検事総長就任の祝宴を開いたら、さぞかし面白いことでしょうね。「桜」前夜祭での公職選挙法違反の疑いがある安倍晋三首相も参加するかもしれません。検事総長になった黒川氏は、もちろん、井本検事総長の顰みに倣って政治家の逮捕は強硬に反対していたことでしょう(接続法過去未来推量形)。

 あ、そうそう、退職金7000万円の話ですが、君たちが、高検検事長や検事総長になっているであろう40年後、50年後は3億円ぐらいになっているはずです。どうせ、庶民どもが汗水たらして働いて貢いだ税金ですからね。それに、退職しても、その後、天下りで引く手あまたです。ヤメ検弁護士になれば厖大なコンサルタント料金で、まだまだ荒稼ぎできます。ね?楽しく勉強しさえすればいいだけなんだもん。賭博をしたり、宝くじを当てようとしたりするより手堅いじゃない?

 青年よ、検察庁を目指せ!

【追記】

 過去に書いた記事と一部重複しています。それだけ、世の中は変わっていないし、頑なに変わらないということです。

コロナ禍でも繁盛している店があるとは驚き

 緊急事態宣言下の東京・銀座のアップルショップ

 今月、後期高齢者となった京都方面にお住まいの仙人先生から昨晩、電話がありました。

 「『週刊文春』買われたようですね。巻末のグラビアにラーメン店が載っていたでしょう。銀座のHという店も載ってます。貴方の会社からも近いので、覗いてみたら如何ですか。いつも本ばかり読んでいては身体に毒ですよ。世間の人はそんなに勉強していません。ブログを読んでる人もつまらないでしょう。たまには、グルメの話題をお書きになってはどうですか」と仰るのです。

 確かに、その週刊誌には、黒川・高検検事長の賭け麻雀のスクープ記事が載っていたので、昨日買いました。巻末のグラビアを見てみたら、「味玉中華そば」なるものが950円と載っていました。ラ、ラーメンで950円もするんですか?…。まあ、出版不況にも強い天下の文芸春秋(社は付かないんですよ)といえば、結構グルメ情報誌や単行本を出していて、重宝していました。今でも忘れられないのは、北千住の立ち呑み居酒屋「X」。立ち呑みながら、安価な値段で「料亭の懐石料理並みの味が楽しめる」というので、仙人先生と一緒に行ってみたら、結構並んでいて、やっとありつけたら、本当に旨かった。コスパもバッチリでした。

この写真を撮った30分後、整理券を求めて(?)結構人が並んでいました

 ラーメン950円は、正直、あんまし、気乗りしなかったのですが、今日の昼休み、早速行ってみましたよ。

 その前に、ネットで場所を確かめたら、「超人気店」とかで、いつもは長蛇の列でかなりの時間待たされる。でも、新型コロナの影響で、今は、整理券を配っている、とか何とかコメントが載っていました。

 嫌な予感がしました。昼の12時半過ぎに店先に到着したのですが、上の写真の通り、「お昼のスープが終了致しました」とかで、売り切れでした。実は、こういう並ぶような人気店は好きじゃないんですよね(笑)。しかも、この店の若い衆が、時折、外に出てきて、周囲を睥睨して、変なおじさんが写真を撮っていないかどうか監視していました。感じ悪い。仙人先生には申し訳ないんですが、多分、もう行かないと思います。

 でも、新型コロナ禍で、99%と言っていいくらいの飲食店が、閉店したり、自粛したり、中には倒産したりしているのに、この店に限って、そんな災禍は、ものかは!すぐ売り切れてしまうほど満員御礼です。恐らく、休業手当なんぞ必要ないことでしょう。

 こんな店もあるもんなんですね。私はアンチ人間なので、客が来なくて困っている馴染みのイタリア料理店に行きましたよ。

東京高検の黒川弘務検事長の賭け麻雀事件には唖然としました

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 まさに、どんでん返しの「おそ松くん」でしたね。緊急事態宣言下、「3密」状態での賭け麻雀疑惑を報じられた東京高検の黒川弘務検事長(63)事件。

 昨日、文春オンラインが報じて、大騒ぎになり、私も昨日、ネットで読みましたが、黒川検事長を東京都中央区の高級マンション前で6時間半も張って取材した記者とカメラマンの労をねぎらって、今朝、わざわざ週刊文春を買い、出勤電車の中で読んできました。やはり、ブンヤの取材と警察・公安の捜査の原点は「張り込み」ですよ。

 登場人物を、赤塚不二夫の六つ子の「おそ松くん」になぞらえば、「おそ松」は間違いなく、検事総長心待ちだった黒川高検検事長。「チョロ松」は、麻雀のショバを提供した産経新聞A記者。「一松」は、産経新聞A記者の先輩で司法クラブキャップのB記者。「カラ松」は、産経の牙城に乗り込んで諜報活動に勤しむために卓を囲んだ朝日新聞のC元記者。「十四松」は、自分の身の潔白のお墨付きを得るために黒川さんをどうしても検事総長にしたかった安倍首相。そして、「トド松」は、黒川検事長が賭け麻雀をしていることを週刊文春に密告した産経新聞関係者X-てなところでしょうか。

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 週刊文春によれば、ですが、おそ松・黒川検事長は、賭け麻雀の賭博罪のほか、産経新聞が呼んだハイヤーで深夜帰宅するなど便宜供与を受けた国家公務員倫理規程違反、そして、違法駐輪(写真付き!)の疑いがあるそうで、もうこれだけで、検察庁ナンバー2としての自覚もなく、アウトですね。本人は昨晩、官邸に辞意を申し出たそうですが、辞任じゃ済まされないでしょう。退職金を大幅に減額した懲戒解雇にすべきです。どうせ、本人は「ヤメ検」でお金には困らないでしょうから。

 あくまでも文春砲が書いていることですが、どうも黒川検事長は、かなりの賭博好きで、海外出張すれば「視察」と称してカジノに入り浸り、韓国で女を買った自慢話をしていたということですから、これでは、清廉潔白(であるべき)検察の世界ではなく、任侠の世界ですよ。それとも、両者は紙一重の世界なんでしょうか。あ、今、M氏からLINEがあり、「東京高検検事長にしてこの脇の甘さと人の良さは国民栄誉賞もの」だとか。キツー。特別諜報員M氏は、何と産経と朝日の記者の実名まで知っていましたが、私は同じ業界人としての仁義があるので、このブログには書きません(笑)。だって、文春に密告したトド松こと産経新聞関係者Xと同じになっちゃうでしょ?

  この事件は不可解なことが多いです。事件関係者を輩出した朝日新聞は、あっさり「お詫び」して謝っちゃいましたが、産経新聞は「取材に関することはお答えしない」という態度。賭博罪に当たる賭け麻雀が取材だとは凄い会社です。ただ、一番不思議なことは、麻雀のショバ提供者と同じ産経新聞のトド松Xが密告した理由です。でも、案外単純で、個人的な恨みかもしれません。それとも正義感なの? 世間では朝日と産経が天敵の関係だと思われていますが、現場の記者同士は仲が良いものです。イデオロギーも社論も全く関係ないし、同じ会社の人間より、記者クラブ等でつながった他社の記者との交流の方がはるかに濃厚になるものです。敵は本能寺にあり。天敵より身内の方が危険なのです。経験者が語ります(笑)。

 それより、「余人をもって代えがたい」と、黒川氏の定年延長を閣議決定までした十四松こと安倍首相の責任問題はどうなるんでしょうか。桜を見る会の前夜祭での政治資金規正法違反疑惑など検察庁マターを多く抱えている安倍首相のことですから、最後の防波堤が決壊してしまっては真っ青でしょう。また「僕ちゃん、もう辞める」と言い出しかねません。

【追記】

 日本の超エリートやエスタブリッシュメント(支配階級)というのは、庶民が想像もつかないとんでもないことを仕出かすことがあります。それは、世間知らずのお坊ちゃんだからでしょう。象牙の塔、霞が関の塔、永田町の塔に閉じこもって、雑巾がけなどしたことなく、若い頃からチヤホヤされ、苦労知らずなのです。貧困に喘ぐ庶民の心が分からないのです。

 戦前の軍部エリートもそうでした。純粋培養の超エリート教育で育てられ、大本営の中にいると、外の世界を知らずに、世間交渉もせずに過ごしてしまいます。仕方がない話です。

 最近では、自殺者が出たというのに、国会で忖度答弁を重ねて、財務省理財局長から国税庁長官に大出世した佐川宣寿さん(1957年生まれ、2018年辞職)、テレビ局の女性記者にセクハラ行為をしたとして辞任に追い込まれた日本の官僚のトップである財務省事務次官だった福田淳一さん(1959年生まれ)らの例があります。

 こういう超エリートが、今の国を動かしているのかと思うと、暗澹たる思いに駆られます。

新型コロナのおかげで「情報貧困社会」に

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昨日の昼休み(ということはしっかり都心に命懸けで出勤しておりまする)、ある店舗に入る際に制止させられ、まずアルコール液で消毒するよう言われ、続いて、額にレーザー光線のようなものを当てられました。

 「ハハハア、よくテレビで見る例の体温計かな」と、初体験だったので、ワクワクしてしまいました(笑)。それで、何か言ってくれるのかと思ったら、何も言ってくれないので、お姐さんに「何度でしたか?」と確かめると、「35.7でした」との答え。今の人は「35度7分」と言えんかいなあ、と思いつつ、「えっ!?35度?」と我ながら吃驚してしまいました。自分の平温は36度5分ぐらいだと思っていたからです。ま、機械もいい加減かもしれませんが、いずれにせよ、熱がなくてよかった、と一安心。この御時勢ですからね。

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 ということで、昨日は、目下、世界で最も注目されているサイト、ジョンズ・ホプキンス大学の「世界の新型コロナウイルス感染マップ」を久しぶりに眺めていたら、刻一刻と感染者が増加しているので、怖くなりました。怖いもの見たさで、見続けていたら、一昨日まで感染者が140万人台だった米国の感染者が目の前で、あっという間に、150万人台の大台を突破。ちなみに、今日20日午前(日本時間)の時点で、米国の感染者は153万人になろうとしてます。このままでは、米国の死者も10万人を超えることでしょう。

 ニュースでは、ブラジルのボルソナロ大統領による強権的な経済優先の放任主義で、感染が急拡大して世界第3位(27万人以上)になったとか、フランスでの新型コロナによる死者が最も多いのは、貧困層が特に多いパリ北部近郊のセーヌ・サン・ドニ県だとか暗い話ばかりです。

 メディアも大衆も暗いネガティブ情報ばかり目を向けがちです。もっと明るい話はないもんですかね?

 例えば、先ほどのジョンズ・ホプキンス大学のマップによると、本日の時点で、ベトナムとカンボジアとラオスでは、新型コロナウイルスによる死者はゼロなのです。感染者は、それぞれ、324人、122人、19人といるものの、一人の死者も出していないのです。何が原因なのでしょうか? 一党独裁政権による強権的な封鎖が奏功したのではないか、という識者の意見もありますが、それだけじゃなさそうです。何しろ、同じ東南アジア諸国(ASEAN)では、インドネシア1221人、フィリピン837人、マレーシア114人、タイ56人、そしてシンガポールは22人の死者を出しています。ASEANの中では開発国と言われているCLV(カンボジア、ラオス、ベトナム)の「成功事例」を知りたいものです。

 そう言えば、北朝鮮は、死者どころか、感染者さえいないことになっていますが、世界中の人が信じていないのが可哀そうです。北朝鮮の成功例も知りたいものです。

 まあ、この御時勢では、記者や特派員が街に出て、「生の声」を拾うのも難しいでしょう。日本のテレビでは、コメンテーターと称する人たちが、現場を全く知らないのに、家に閉じこもって、したり顔で自分の意見を主張してばかり。これじゃあ、井戸端会議か居酒屋談義と何ら変わりやせん!(だから見ません)

 新型コロナのおかげで、「情報貧困社会」になったということでしょう。

責任回避は日本の伝統芸能なのか?

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 新型コロナウイルスの感染対策を医学的見地から政府に助言する「専門家会議」の議事録が作られていない、そして、今後も作る予定はない、という話を先日、ラジオで聴いて吃驚しました。また、官僚による安倍首相に対する忖度なんですかねえ?

 首都圏では東京新聞が5月14日付の朝刊で報道していましたが、他の大手御用新聞は沈黙状態です。私のように、お金がないので普段は御用新聞1紙しか読んでいない輩は、ラジオを聴かなければ、この不都合な真実を知らずに終わっていたところでした。

 専門家会議運営の庶務を担当しているのは内閣官房の職員らしいのですが、まあ、大した官僚さまだこと。とはいえ、安倍政権はモリカケ問題に象徴されるように、公文書を改ざんしたり、偽造したり、破棄したり、あるものをなかったことにしたりして、17世紀の政治思想家ジョン・ロックが吃驚するほど「暴政」をやってくれてますね。

 議事録を作成しない理由として、内閣官房は「自由闊達な議論をしてもらうため」と苦しい弁解をしていますが、これで納得する国民がいるとでも思っているのでしょうかねえ。それとも、霞が関の偉い官僚の皆様も為政者たちも、国民なんぞ、「生かさぬように死なさぬように」しておけばいいだけで、あとは知ったこたあない。文句言うのは1000年早い、とでも思っているのかしら。

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 それにしても、日本人は、どうも「専門家」となると、襟と姿勢を正して、仰ぎ見るように御託宣を拝聴するという傾向があります。でも、ひねくれ者の私なんか、専門家の発言でも少しは疑ったりします(特に新型コロナウイルスは未知の世界ですから、対処法にしても、これが絶対に正しいといったことはありえないのです)。それに、何かあれば、テレビでは専門家会議を代表して副座長である尾身茂・地域医療機能推進機構理事長ばかり出てきて、座長である脇田隆字・国立感染症研究所長が何で出て来ないのか不思議でした。やはり「自由闊達な発言」公開に差し障りでもあるんでしょうか。

 公文書をつくらない、ということは歴史をつくらない、ということであり、当事者たちは責任は取りたくないという、ことになります。あまりにも日本的な態度です。

 昨晩、感染者がいまだに出ていない岩手県にお住まいの宮澤先生から電話があり、そんなことを話していたら、宮澤先生は「所詮、庶民は騙されるのが大好きなんですよ。国際機関と聞いただけで、誰もがひれ伏して、有難がっていますが、あんな胡散臭いものはないんですよ。庶民の目の玉が飛び出るほどの高給取りです。WHOの事務局長だって、『中国寄り』と批判されてますが、やり方が露骨だからです。世界でも稀に見る手法で感染者を抑えることに成功した台湾を総会から排除したのも、あからさまな中国への御機嫌伺いです。人相悪いでしょ?あの人。もらった顔してますよ」と、とても私なんかブログでは書けないことをズバズバ言うのです。

 あっ!この責任回避の仕方は、我ながら、見事な日本の伝統芸でした!