イラク戦争5年を想う

 

最近、気になったNYT紙の記事…

 

間もなく5年を迎えるイラク戦争の戦費総額が「3兆ドルに達するのではないか」という記事です。ノーベル経済学賞受賞のジョセフ・スティグリッツ氏の試算。

 

同氏は「この戦費の一部でもあれば、社会保障制度を今後半世紀にわたって健全に維持できた」と発言していますから、裏を返せば、米国は今後半世紀にわたって社会保障制度を健全に維持できない、ということになりますね。

 

昔、子供の頃、ヴェトナム戦争華やかりし頃、市井の勉強家に「アメリカは戦争をやり続けなければもたないんだよ。資本主義国家というのは、不況になれば、戦争によって好景気を生み出していくものなんだよ」と聞いたことがあり、今も深く印象に残っています。

 

「大量破壊兵器があるから」という大義名分の下で、イラク戦争を起こしたアメリカですが、国内の不満や経済的不況を打開するために戦争を始めたとしたら、5年経った現在、それは、失敗だったのではないでしょうか。

 

ブラックジョークで、戦争によって、景気が良くなれば、講釈も後付けで何ともなります。しかし、サブプライムローンをはじめ、大幅なドルの失墜で経済危機が叫ばれる今の米国で、イラク戦争が米国内に好景気をもたらしたという話は聞いたことがありません。

 

何と言っても、社会保障という国民の根幹にかかわることを蔑(ないがし)ろにしてまで、対外戦争を続ける意図が私にはいまだによく分かりません。

 

賛否両論をお待ちしています。

怖い話 ロシア選挙

 

 

 

ロシアの下院選挙で、プーチン大統領が率いる「統一ロシア」が450議席の9割近く確保したそうですね。

 

誠に恐ろしい現象です。内実は、選挙と言っても名ばかりで、政府系企業の傘下に入っているテレビは、ニュースで95%も与党側やプーチンの「宣伝」報道に終始し、大統領の任命制で選ばれている地方の知事らは、与党への得票を義務付けられ、得票率が低ければ、解任という恐怖に晒される。各企業も「統一ロシア」に投票しなければ、事業免許を取り消すと通告され、企業は従業員に同党への投票を強制したー。それが実態だったようです。

 

日本でこんなことが起きたらどうなるでしょうかね。

 

もっとも、こんなことをブログに書けば、ロシアでは逮捕されかねないでしょうね。

ロシアの男性の平均寿命は、50歳代でしたっけ?

皆さん、日本に生まれてよかったですね。

テロ対策特措法について感じたこと 

 トムラウシ

 

 

 

海上自衛隊によるインド洋での給油活動を日本政府がどうしても継続したいがために、テロ対策特措法に代わって「補給支援特措法案」を閣議決定しました。

 

賛成派は、「アフガニスタンでのテロ活動と戦うための国際貢献である」と主張し、反対派は、「給油した艦船がアフガニスタンだけでなく、イラクでも活動している疑惑があり、単なる対米支援に過ぎない」と主張します。

 

面と向かって、「おまえはどう思うか」と聞かれれば、理路整然と説明する能力に欠けているのですが、(何しろOEF=不朽の自由作戦も、ISAF=国際治安支援部隊もMIO=海上阻止活動もよく分かっていないのです)「アメリカさんの戦争に協力するのは真っ平御免です」というのが私の正直な感想です。

 

アメリカという国は、単なる国内の職業野球の優勝チームを決める試合を「ワールド(世界)シリーズ」と言ったり、単なる自国の経済的覇権を世界に広げることを「グローバリズム(地球主義)」と言ったりする、自分が世界の中心でなければならないと考える自己中心的なお国柄ですからね。

 

「石油が欲しいんだったら、日本さんも協力しなさいよ。給油活動しなければ、もうあげないよ」と言う密約めいた声が聞こえそうです。

日本が「国際貢献」を始めたのは1992年の国連平和維持活動(PKO)からだそうです。そのきっかけが、前年91年の湾岸戦争で、日本政府が130億ドルもの経済支援をしながら、当事国のクウェートから感謝されなかったから、という歴史的事実が頻繁に引用されますが、なぜ、国際世論はクウェートを非難しなかったのでしょうか?私にはさっぱり分かりません。クウェートはイラクによる被害者だったから?石油王国クウェートにとって、130億ドルなんて、はした金だったから?

130億ドルは、日本人の庶民の血税ですよ!クウェートは「有難う」の一言も言わなかったのでしょうか?それを政治屋さんに好き勝手に使われた挙句、非難され、それに加えて、PKOやOEFやサマワに駆り出されるようでは、たまったものではありません。

アメリカはどうしても、お金だけ支払って高みの見物を決め込む日本を、戦場に引き込みたくて、「Show the flag (旗を見せろ)」だの「 Boots on the ground(軍靴音を地上に響かせよ)」などと亀田一家のような挑発的な言葉を並べて、日本の政権担当者を屈服させてきました。

アメリカは「目に見える形で国際貢献しろ」と迫りますが、その一方で、給油艦船のその後の活動状況についての情報公開は渋り、曖昧としています。

日本は給油活動以外で、「国際貢献」できると思います。

東京外国大学の伊勢崎賢治教授が、文民の力だけで武装解除を取り組む治安分野改革(SSR)を提唱していました(18日付朝日新聞)が、私も同教授の意見に賛成です。何しろ、つい最近まで、アフガニスタン政府やアフガニスタンの人たちは日本の給油活動を知らなかったというのですから…。

本当ですかね?

ミャンマーはどうなっているのか?

  昨日24日、ミャンマーで10万人規模の反政府デモがありました。注目したいと思います。旧首都ヤンゴン(軍事政権は昨年10月、新首都をネービードーに移設しました)に約2万人の僧侶が集結し、多数の市民も合流し、第2の都市マンダレーなど地方にも拡大したようです。

 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070924-00000926-san-int

 

きっかけは、軍政によるガソリンなどの燃料の値上げだったようです。詳細については、熟知していないのですが、2倍とか3倍ではなく、5倍、10倍という破格の値上げのようです。このおかげで、バスなどの公共機関の運賃は値上がるし、金持ちが生活必需品の買占めに走ったおかげで、便乗値上げが頻発し、一気にインフレ状態になったようです。

 

長年、軟禁状態におかれている民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの自宅前にも僧侶グループが訪れ、市民の喝采を浴びたという報道もあります。

 

民主化デモは、1988年以来最大だということですが、88年には、軍の鎮圧により300人以上の市民が亡くなっています。まさか、軍は、国民から尊崇の念で崇められている僧侶を殺害することはないと思いますが、流血事件だけは避けてほしいと思っています。

 

ただ、報道では、いつも「軍事政権=悪」で「スー・チーさん=善」という二元論でしか伝わってこないので、真相が何で、どこにあるのか、ミャンマーの実態について、私なぞは何も分かっていません。ただ、個人的には「ビルマの竪琴」を読んで育った世代ですし、この国に無関心ではいられません。

 

詳しい方はコメントください。

彷徨えるウイグル人

 根津

 

昨日は、久しぶりにおつなセミナーに参加しました。ゲストは、中国近現代史と日中関係がご専門の水谷尚子さん。テーマは「彷徨えるウイグル人~東トルキスタン独立運動・人権運動組織と主要活動家」でした。

 

このテーマに関しては、私は全く門外漢で、こんなに多難な流血事件が中国の新疆ウイグル地区であったことを知りませんでした。日本では、この方面の専門家が少なく、ほとんど報道されることがないからかもしれません。「チベット問題」に関しては、ダライ・ラマのような精神的支柱がいたり、ハリウッド俳優のリチャード・ギアらが独立運動に関心を持っているので、かなりの頻度で報道され、世界中でも注目されていますが、「ウイグルの独立問題」については、ほとんどの日本人は知らないのではないでしょうか。

 

水谷さんは、この問題を月刊誌「諸君」(文藝春秋)で何度も取り上げ、今後も、何回か執筆される予定です。この問題の最も信頼のおける専門家の一人であると言っていいでしょう。

 

彼女の不満は、東トルキスタン(ウイグル人は自分の国をそう呼ぶ)に関連する記事や論考が、レベルが低く、直接取材しないで、インターネットで流れている「偽の情報」を丸写しにしているケースが多いということです。人名さえまともに表記できていないというのです。例えば、天安門事件で有名になった学生運動のリーダーであるウー・アル・カイシはウイグル人ですが、その名前は中国読みで、本来は「ウルケシ」と表記するのが正しいそうです。

 

もともと、遊牧民だったウイグル人は、国家を形成する観念が低く、18世紀に清朝の乾隆帝の時代に征服されて、中国の領土になったのが始まり。1933年に東トルキスタンイスラム共和国、44年に東トルキスタン共和国として独立するものの、短命に終わってしまいます。49年に同共和国の首脳陣が「飛行機事故」で死亡(実際は、ソ連のスターリンの指示でモスクワKGB刑務所で殺害されたという説が有力)してから、亡命政府設立さえ不可能になり、結局、中国共産党軍による侵攻で、55年の新疆ウイグル自治区の設置に至ります。これ以降、90年のバレン郷事件、97年のイリ事件など独立運動が展開されます。

 

ウイグル人は現在、800万人ほどいると言われています。その新疆ウイグル自治区には、北京政府の意向で、漢民族の移殖が始まり、1950年に約30万人だった漢民族の人口は、99年に687万人に膨れ上がり、政府公共機関の要職は漢人によって占められ、肥沃な土地は、ウイグル人は追い出されて、漢人が居座ってしまったという話です。しかも、同化政策によって、ウイグル語が禁止され、教育も中国語だけになったようです。

 

もともと、ウイグル人は、コーカサス系で、顔立ちもインド・ヨーロッパ系に近く、中国とは言葉も文化も風習も全く違います。また彼らはゆるやかなイスラム教を信奉しています。今まで、バラバラだった独立運動も2004年になって、やっと「世界ウイグル会議」(総本部=ミュンヘン)が設立されましたが、参加しているのも独立運動派の8割で、前途多難なようです。

 

私も、これからはもう少し、この「ウイグル問題」について関心を持とうと思いました。

非人道的な米軍 

自分の故郷の現況を英語でブログに書いて発信したところ、米軍に逮捕されたというイラクの青年がラジオに出演していました。

音声で聞いただけなので、どういう人なのか、名前すらメモすることもできず、気になっていたのですが、それが、イラクの首都バグダット西方のラマディに住むカシーム・トゥルキさんだということが、今朝の東京新聞で分かりました。

3年前にイラクで人質として拘束された高遠菜穂子さんの通訳ガイドの現地スタッフとしても活躍中で、このほど、来日して、全国で講演会を開いているようです。

トゥルキさんは、現在のラマディの様子について、米軍によって、「テロ撲滅」の名目の下で、街がこの3年間で何度も攻撃され、建物は破壊され、医療機関は閉鎖され、電気は止まり、食糧や水が不足した。友人の何人も戦闘で亡くなったーという事実を淡々と書いただけで、米軍によって「反米分子」として摘発され、軍に拘束されたというのです。

不衛生な収容所に閉じ込められ、粗末な食事しか与えられず、2週間の拘束中、毎日2回、衆人監視の中で「健康管理」の理由で、全裸にさせられたというのです。

非人道的というのは、このことではないでしょうか?

早速、トゥルキさんのブログを読みたくて、検索してみたのですが、正確な英語の綴りが分からないので、発見できませんでした。どなたか、ご存知の方、教えてください。

諦めかけたところ、そうだ、日本語ではどうだろうか?ということで、日本語で検索したら、結構出ていました。新聞では、今朝の東京新聞以外では、あまり、出ていなかったのですが、ネットでは、かなり、ヒットしました。

彼のブログは、本(「イラクからの手紙ー失われた僕の町ラマディー」)としても出版されていて、高遠さんは、共訳者として名前を連ねていました。A5版 84ページ 500円(送料込680円)。ネットでも注文できるようです。

ネットでは、トゥルキさんの講演を聞きにいったという人が、米軍による全くひどい話を書いていました。建前主義のマスコミでは、ここまで惨状は伝えていません。

トゥルキさんは「米兵に話しかけたら、棒で殴られ両手両足を後ろ手に縛り上げられ頭に袋をかけられ、6月の灼熱の太陽の下、直射日光で熱くなってコンクリートの上にうつぶせに転がされました。両手両足を後ろ手に縛り上げられているので胸に全体重がかかり息もできないほど苦しい状態が続きました。そのまま4時間放置されました」と語ったというのです。

これが、「世界警察」を自認する正義の味方が成す所業なのでしょうかね?

蟻とキリギリス

公開日時: 2006年9月10日 @ 11:06

京都大学出身を売り物にしている二枚目俳優がテレビのお遊びで転職に挑戦していました。
運転免許以外何の資格もなく、パソコンも殆ど出来ないことから、希望の職は殆ど見つからず、やっと探偵や建築関係であったものの、月収は30万程度。恐らく今の彼の年収の十分の一以下でしょう。
若い頃は二枚目で売り出した彼も48歳になり、暫く見ないうちに、加齢による何とかで、異性を引き付ける魅力度が劣化していました。お遊びとはいえ厳しい現実を垣間見た感じでした。

その晩の私のよく聴くFMラジオでも、転職サイトを運営する社長が登場し、「転職の現状」について、話していました。
どうも、今、自分の考えていることを引き寄せるものなのですね。
その社長さんの話は、主に若い人向けで、「人間、40歳、50歳になった時、いかに格好いい大人になっているかが肝心」と強調していたので、自分の胸に手を当てて、ちょっと、ドキッとしてしまいました。

ただ、一度、転職すると、そういう人は、現状に満足することができず、「転職癖」がついてしまうそうです。「仕事は自己評価より、人からの評価の方が大切。結局は、仕事は、人生の究極の目的ではなくて、仕事を通して、いかに人に役立つかが大切」と力説していました。

久しぶりにいい話を聞きました。

【追記】
天下の朝日新聞は翌日の朝刊に「旧フセイン政権とアルカイダの関係 米上院委、完全否定」の記事を掲載しました。

あと、身に余るコメント有難うございました。
挫折しそうでしたが、もう少し続けてみます。

北朝鮮ミサイル発射について思うこと

北朝鮮がとうとうミサイルを7発も発射しました。(まだ、これからも発射する可能性あり!)偉い軍事評論家や国際政治学者のみなさんが武器の性能や6カ国協議の行き詰まりの果ての「瀬戸際外交」の結果、などと色々と解説してくださいますが、やはり、北朝鮮の意図が少しも分かりません。

まさか、ホントにやっちまうなんて…

まだ朝鮮戦争の余燼が燻って、いまだに「臨戦態勢」状態の国と、経済大国として発展して曲がりなりにも平和を謳歌している国との違いでしょうか。

ただ聞き捨てならないのは、独裁者・金正日が軍の暴走に歯止めを効かすことができなくなったからではないか、という観測です。国民を飢え死にさせても特権階級だけがこの世の春を謳歌している国ですから何をしでかすか分かりません。

「体制的には末期的症状なのに、この体制を温存したがっている思惑を持つ勢力があるのではないか」と睨んでいたのですが、やはり、国連安保理で、北朝鮮に対する制裁をあからさまに反対する国が出没しました。

中国とロシアです。

この両国はミサイル発射について事前に知らされていたのではないかと疑いたくなります。

それにしても、今回、せっかくの「模擬訓練」になったのに、情報の伝達が遅かったですね。

ミサイル発射が5日の午前3時半ころなのに、全国の自治体に国から情報伝達があったのが3時間後の午前6時半。あと数十キロ射程が延びていたら「上陸」していた北海道の高橋はるみ知事も「遅すぎる!」と憤慨していたようです。

それはそうですよおね。

まあ、国の対応など、いつも後手、後手に回るので、自分の身は自分で守るしかないということを、今回、改めて証明してくれたということでしょう。