子供にはお金がかかりますよ

 

 

このブログは、驚くほど意外な名士の方に読まれているらしく、「読んでいますよ」と時々、声を掛けられたりしまして、顔から火が出るほど恐縮してしまうことがあります。

 

毎日、宮澤賢治ではありませんが「世迷言(よまいごと)」を書いております。ただ、これだけ注目されると、固有名詞を書いてしまうと、その方にご迷惑をお掛けしてしまう事態も発生してしまうこともあり、これが、なかなか、隔靴掻痒の感があります。

一昨日の晩には、来月、名古屋に転勤するOさんの送別会を、池尻大橋の「つくしのこ」で盛大に開かれましたが、やはり、どういう人が集まったのか書きたいのですが、「僕の名前は出さないでくださいね」とおっしゃる方もいて、残念ながら書けないんですよね。15人くらい集まったので、全員と話をすることは無理でした。ただ馬鹿騒ぎをしただけで、Oさんも「私の送別会にかこつけて、ただ飲み会をやりたいだけだったのでしょう」と挨拶していたくらいですが。

「つくしのこ」は、全国の日本酒を取り揃え、その道の通なら知っている隠れ家です。お料理も定評で、ここのママさんが、オレンジページから「料理本」を出版していました。

 

ところで、先日、年長の友人のお嬢さんが、1年間の浪人の末、第一志望の美術大学に合格しました。将来、インテリアデザイナーになりたいそうです。

「おめでとうございます。よかったじゃないですか」と言っても、友人は浮かない顔です。

「うーん、すごいお金がかかるんだよ。年間の学費諸経費が1年目で約212万円も掛かるんだよ。既に、滑り止めの大学にもお金を納めちゃったから、『入学辞退届』を出すけど、入学金の30万円は帰ってこないんだよ。随分高くつく保証金だよね。どうにかならないものかなあ」

 

「まあ、今のご時世、仕方がないんじゃないですか」と私。

 

「そうは言っても、上の娘は薬学部に通っていて、同じくらいかかっているんだよ。まるで、ウオーキング・プアを二人養っているようなものさ。これじゃあ、嫌な会社も辞められないし、離婚もできないなあ…」

 

「それは、言い過ぎでしょう。自分で蒔いた種なんですから、花が咲くまで、大事に育てなければいけませんよ」

 

「うまいこと言うねえ。座布団一枚!」

 

そんな会話をしました。

 

他人事のようですが、子供って、随分お金がかかるんですね。

決断は5分以内で!

 

 

 

私の悩みの大半は、あれか、これか、どちらかの道を選ぶことで迷うことにあります。

結局、どちらも優劣付けがたく、あれもこれも両方やってしまい、大変な労力と時間を要することがしばしばなのです。

もしくは、「石橋を叩いても渡らない」慎重な性格なため、そのまま、何もしないことも多いかもしれません。

とにかく、優柔不断でグズグズ悩んでしまいます。

そんな時、英語仲間のSさんが、ビジネス誌「プレジデント」今月号で、素晴らしいことを発言されていました。

同誌によると、Sさんは、学生時代から、毎年「25ヵ年計画」を立てて、1分1秒の狂いもなく、有言実行で計画を進めておられるのです。こうして、アメリカの大学でMBAを修得され、日本の国立大学で博士号まで取得され、今回、通訳案内士の資格まで獲得されました。将来、医学関係で同時通訳することが夢なのだそうです。

現在、ご自分で製薬会社を起業され、その会社の社長さんで、時間に追われる仕事に従事されていますが、パソコンを2台使って、同時進行で、仕事を進められているスーパーマンです。

そのSさんは、「決断には時間を掛けない」というのです。どんな課題でも5分以内で決断されるそうです。

「5分以内の決断で80点なら、それ以上の時間を掛けて100点取るより正しい決断だと思う」と、自信満々に語っておられます。

うーむ、すごい参考になりました。

 

私の場合、ランチを何にしようかという低レベルなことが多い(笑)のですが、是非とも、5分以内に決着付けることに致します。

一期一会という言葉の重み

朝ラジオを聴いていたら、途中からで、どなたが発言していたのか、詳らかではないのですが、どうやら精神科医の方で、よく人のことを「お天気屋」とかいいますが、やはり、「人間は天候に左右される」といったようなことを話していました。

例えば、低気圧が近づくと、曇りや雨などの曇天になり、気分が落ち込む。それは、空気中の酸素の濃度も低くなり、自律神経にも影響するというのです。

高気圧はその逆ですね。

ですから、曇天の日が多い日本海側、特に秋田などの東北で、自殺者が多いのは、天候と関係があるというのです。

確か、温暖な宮崎、沖縄あたりな自殺率が少ないのでしょうね。

天候に左右されて、気分が落ち込んだ時は、体をよく動かして、深呼吸をして、酸素を多く取り入れた方がいいとアドバイスしていました。

なるほど!と思いました。

今朝読んだ新聞で一番面白かったのは、毎日新聞の「記者の目」でした。大阪社会部の広岩近広さんの書いた「元上司に学ぶ晩年のスタイル」という記事です。広岩さんが駆け出し時代の鳥取支局長だった小林宏行さんのことを書いています。小林さんは、広島で被爆経験があり、運よく助かりましたが、一緒に暮らしていた祖母を亡くしました。学徒動員で軍需工場に出かける時に祖母から「暑いのに、ご苦労やな」と声をかけて見送ってくれたのに、小林さんはろくな返事をせずに出て行ったことを「生涯消え去らない悔い」というのです。

その後の、小林さんの人生のモットーは「一期一会」です。

私も、この言葉の持つ深みと重みを忘れかけていました。

皆、誰でも一期一会なのです。明日はどうなるのか、誰にも分かりません。

そう思えば、小さな人間関係でクヨクヨすることなく、本当に毎日、人とは誠実に接することだけを願うものです。

私も少しは吹っ切れた気持ちになりました。

果たしてどちらが正しいのか?

 網走刑務所

 

 

 

私は、まあまあ、ラジオを聴く方なのですが、先ほどは、口笛太郎さんという口笛吹きの方が出演しておりました。本職はどこかの会社員で、アフター5と土日等の休日に趣味を生かして、昨年はCDも出されたそうです。セミプロと言ったらいいのでしょうか。

 

口笛さんのプロフィールは知りませんが、「サラリーマンも40歳を過ぎると、自分はもう、取締役どころか、部長にもなれないことが見えてくる。そうなれば、会社では会社の仕事はしっかりやるけど、それ以外の時間は自分に使いたい。皆さんも、会社にいれば、会社人の顔、家庭にいれば、親父の顔になっているかもしれませんが、一番、ホッとできるのは、一人でお風呂に入っている時とか、トイレに入っている時かもしれないじゃないですか。私は、だから、こうして緊張のない休みを生かして音楽活動をしているのです」とおっしゃっていました。

 

どうやら「緊張しない」ことが、メリットのような発言でした。緊張していては、本来の力を発揮できないというのです。

 

ところが、先日、聞いた方の発言はまるっきり正反対だったのです。

 

何か、成し遂げたければ、「緊張しろ」と言うのです。プロ野球日本ハムの前ヘッドコーチで、現在、米大リーグ、ロイヤルズ特別コーチの白井さんという人でした。

白井さんによると、毎日の練習でも、手を抜かずに緊張しなければ、いざ本当に緊張を強いられた時に本領を発揮できないというのです。ですから、普段の練習の時でも、「これが、優勝が掛かった日本シリーズの9回裏の守りだぞ」と言いながら、守備練習させたそうです。その結果、本番でも、その緊張感が持続されて、実際、二〇〇六年に球団としては44年ぶりの日本シリーズ優勝を勝ち取っています。

「緊張するな」というのも、「緊張しろ」というのも、ケースバイケースでどちらとも正しいのです。

ですから、どんな人でも、発言の自由があり、全く正反対の意見があるのです。

しかし、正反対の意見がどちらとも正しいと、困ったことが起きます。

例えば、「胃腸の健康のために乳製品を摂るのはよくない」という医者がいれば、「乳製品は、どんどん食べるべきだ」という医者もいて、我々としてはどっちを信じたらいいのか迷ってしまうのです。

「判断力を養え」と言われても、こればかりは、三十年も四十年も食べ続けなれば結果が分からないし、個人差もあるし、結局、死ぬまで分からなかったりして、よく分からないのです。

「言ったもん勝ち」なんでしょうかね?(だから、私のような人間でも、不特定多数向けにブログを書いたりできるのかもしれませんね)

どなたか賢明な方、アドバイス(コメント)をお願い致します。

人生に楽なし

皆さん、色々とコメントを有難うございます。全員にお礼を述べるときは、こういう場合、便利ですね。

先日、東京新聞に出ていた「人生相談」がここ数日、どういうわけか、最近ちょっとついていない私の心の支えとなって、何度も読み返しています。回答者は俳優の浜畑賢吉氏です。

全文引用したいのですが、そういうわけにはいかないので、ほんの少し抜粋します。

往年の青春ドラマで正義感の強い青年を好演していた浜畑氏は、こう述べます

「…楽なことばかりの人生なんてありません。

俳優で恵まれた人など一握りです。言いたくはないのですが、私も常に悩み苦しみと戦いながら、生き残ってきたのです。…」

何と正直なお答えなのでしょうか!私は、本当に感動すらおぼえました。

俳優といえば、皆からチヤホヤされて、高額のギャラをもらい、豪邸に住み、何でも自分の思い通りになる…。世間が考える俳優像はそんなものではないでしょうか。

しかし、浜畑氏は、俳優業は夢を売るのが商売なので、そのイメージを壊してはいけない、と心の中で自戒しつつ、現実の厳しさを正直に吐露しているのです。さらに、こう言います。

「…どんな社会にいても、苦しいこと、嫌なことなど、鬱になる状況はたくさんあります。俳優はそもそもが躁鬱病的、あるいは統合失調症的な傾向が強いものです。しかし、そのままでは仕事になりませんから、その都度踏ん張って、自分の心を軌道修正しているのです。つまり、自分の心をある程度操作できるから俳優をやっていられるのです。…」

うーん、この言葉に私は大いに勇気付けられました。

アメリカンドリームの嘘

 

 

 

「アメリカンドリーム」とか「サクセス・ストーリー」とかよく言われていますが、残念ながら、他人様の成功譚は、ほとんど役に立たないんですよね。

 

よく、「一夜にして1億円儲ける投資方法」はあるか、などと議論されますが、もっとも手っ取り早く、稼ぐ方法は、「一夜にして1億円儲ける投資方法」のコンサルタントになるか、同名の本を書くか、なんですよ。

 

要するに、そんなうまい話が世の中にあるわけがないということです。(ネット上にはそんな話ばかり氾濫しているようですが…)

 

と、同時に、世の中に「解答」がないということです。正解がないのです。逆に言えば、何をやっても自由なのです。身も蓋もない言い方をすれば、「ヒトは失敗する自由がある」ということです。

もっと、言えば、ヒトは失敗からしか教訓を学べないということなのです。

これは、私の人生経験から導き出したassumptionなのです。

昨日、NHKラジオで、「鎌田実のいのちの対話」をやっていました。ゲストは、北海道旭川動物園の小菅正夫園長と、海洋写真家の中村征夫さんでした。

「動物は命をつなぐために生きている」と悟ったという小菅園長は、動物たちが自由に動き回ることができる「行動展示」を提唱して、爆発的な旭川動物園ブームを呼び起こした人として知られています。

面白かったのは、動物の雄は、麒麟にしろ、鹿にしろ、基本的に育児をしないのですが、狼の場合は別なのだそうです。狼は、動物界では稀に見る「一夫一婦制」で、非常に雄と雌の絆が深い。例えば、雄は死ぬと雌は食が細くなり、やがて、後を追うようにして亡くなってしまう。

ヒトはどうでしょうかね?夫が死ぬと、奥さんは逆に生き生きして、何年も長く生きていくのが普通ではないでしょうか?(笑)逆に、妻に先立たれた夫は急激に落ち込んでしまいます。あんな偉大だった評論家の江藤淳、作家の城山三郎さんなんかも、奥さんに先立たれてからは意外にも脆いものでしたよね。

写真家の中村征夫さんは、1993年7月に北海道奥利尻島で地震と津波に遭い、九死に一生を得た経験を話していました。当時、中村さんは海岸からわずか30メートルしか離れていない民宿にいて、死者202人、不明28人という大惨事に遭いながら奇跡的に生き残ったのです。

中村さんは、民宿のおかみさんから「逃げてー」という叫び声を聞いて、慌てて、何も持たずに山の方に向かって逃げたというのです。おかげで、すべてカメラ機材を消失しました。

中村さんは、これをきっかけにカメラマンを辞めようかと思ったそうです。しかし、これまで、海の素晴らしさばかりを撮ってきましたが、これからは、海の怖さ、自然破壊の実態などといった現実にも目を向けて取り組もうと決心して、プロの写真家として再開したというのです。

こういう話こそ、生意気な言い方ですが、実りのある話というか、そこらの成功譚にはない、学ぶべきものが沢山あると思い、ご紹介いたしました。

素顔のイチロー

 写真と本文は全く合っていません(笑)

 

先日、「テレビは見るに値しない」と散々悪口を書いたのですが、昨日のNHKの「イチローの素顔」は本当に久しぶりに見るに値する番組でした。

米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチローといえば、マスコミ嫌いで有名で、記者のインタビューにも後ろ向きでボソボソと答え、顔見知りでない記者の質問には答えず、顔見知りでも底の浅い質問は無視するという噂を聞いたことがあります。ニュースでは、人間的に悟りを開いているヤンキースの松井は、ちょくちょく登場するのに、イチローは活躍してもほとんどニュースに出てきません。恐らくインタビューを拒否しているわけで、その噂を裏打ちする感じでした。

しかし、この番組で、イチローというより鈴木一朗という一人の人間の素顔が初めて白日の下に晒されたような感じで、なぜ、マスコミ嫌いになったのかということも手に取るように分かりました。

イチローのような超天才になると、我々のような凡人にとっては縁も所縁もない超人で、全く考えが及びもつかない人物とみなしてきたのですが、ある面では、一人の傷つきやすい青年であり、日々訓練を怠らない努力の塊であることを知り、ほんの少し共感してしまいました。

メモをしたわけではないので、正確ではないのですが、イチローはこんなことを言っていました。

「自分の弱さを人に絶対に知られたくないので、自分の弱さを必死で隠そうとした」

 

「広いアメリカで、何年経っても時差には慣れることができない。眠れないと精神的ダメージが大きいので、睡眠薬を飲んでいます」

 

「人一倍、プレッシャーを感じる方です。これまで、そのプレッシャーに押しつぶされそうで、闘ってきましたが、今年(2007年)から、そのプレッシャーを楽しむくらい受け入れることにしたのです。ヒット数が150本くらいになると、『さあ、来たぞ、来たぞ』といった感じです」

イチローの日々の生活といったら、哲学者カントのように規則正しい生活です。何時に家を出て、何時に球場に着いて、何時にトレーニングを始めて、何時に試合に臨む…。

7年間、昼食は奥さんの弓子さんが作る全く同じカレーライスを食べる、という所には少し変質狂的な性格があるんじゃないかと思えるくらい驚いてしまいました。毎日、毎日、同じ味のカレーですよ。そして、「カツカレーなんて邪道で、考えられない」なんて自信満々に発言しているのです。野球では、修行僧のようなイチローでも、野球以外のことはどこか淡白に見えてきました。

試合で遠征に行っても、試合が終われば飲み歩くことはなく、ホテルにこもって、持参した足裏マッサージ器を使って疲れを癒しながら、雑誌のページをめくっていました。これが普通だそうです。信じられませんでしたね。天下の大リーグ・スターといえば、ベーブ・ルースやジョー・ディマージオの例を出すまでもなく、私生活は本当に華やかでした。

ですから、仕事が終わると、座禅を組むようなライフスタイルで、自分を律する、あまりにも日本人的な振る舞いに、いつしか、彼に共感してしまいました。

何しろ彼の口から出た目標は「50歳になって、4割を打つこと」なんだそうですから、今は非現実的に思えても、イチローならもしかしたらやれるのではないかと思えてしまいました。

もう1つ。野球を人生に例える人も多いのですが、打率3割を打つ打者は一流選手ですが、イチローのように3割5分も打てば、超一流です。でも、超一流選手でも、6割5分は失敗しているのです。ということは、人生でも、7割失敗しても大成功と言ってもいいのではないでしょうか。

私の場合、これまでの人生、失敗の連続でしたが、それでも、まだ7割も失敗していない気がします。

イチローさんのように、まだまだ、色々と挑戦しなければならないと思いました。

予知能力

このブログを再開して日が経ちますが、何となく、調子が出ませんね。

何か世の中、すっかり変わったような感じです。何せ、岩窟王か誰かのように無実の罪で幽閉されて、久しぶりに娑婆に出てきたような気分ですから。

昨日、年末恒例の紅白歌合戦の出場者が決まりましたが、「AKB48」だの「しょこたん」だの馬場俊英だの、今回の目玉になる人たちのこと、まったく知りませんでした。もう、流行についていけないという感じですね。

いまだに、デイブ・クラーク・ファイブやゾンビーズなんかを聞いて感動しているくらいですから。

さて、このブログは、どんな人が読まれているのか知りませんが、恐らく不特定多数の人が読まれているのでしょうが、今日は、「特定少数」の人に向かって書きます。
特に、こういう話が好きな四国に住むT君向けです。

私の姪っ子のことです。

どうやら、「予知能力」があるというのです。

本人から直接、聞いたわけではありません。私の兄弟姉妹に当たる彼女の両親から聞いたのです。

彼女は、最近就職したばかりの、まあ、普通のOLです。

どういう予知能力かというと、次に起きることが目の前にパッと現れるというのです。

過日、自転車に乗っていると、ふと、前から自転車が急に横切ってきて、衝突してしまい、自分自身が血だらけになっているシーンが浮かんできたそうです。

「これは、ヤバイ」と思って、速度を落として注意していたら、やはり、物影から、自転車が飛び出して来て、ぶつかりそうになったそうです。それほど、スピードを出していなかったので、急ブレーキをかけて、難を逃れました。

もう1つ。テレビを見ていたら、例の秋田の児童連続殺害事件の犯人、畠山鈴香被告らが出てきました。そのうち、レポーターが「殺された米山豪憲君は、大きくなったら、夢がありました」と語り始めました。そしたら、姪っ子は「大工さん!」と叫んだそうです。

その後、テレビのレポーターは「そうです。ここで、大工さんになる夢があったのです」と言ったのです。

まあ、話はそれだけです。

残念ながら、私には、そんな能力は全く備わっていませんが、私自身、そういう予知能力というものは、否定しないタイプなのです。今度、姪っ子に会ったら、もっと詳しい話を聞きたいなあ、と思っています。

生涯不良宣言

今朝、新聞を読んでいて面白かったのは、産経新聞に載っていた角川春樹さんのエッセイでした。何しろ、タイトルが「文句あるか」なんですからね。

 

同氏は、最後の方で「何よりも今、奇跡のような恋がしたい。文句あるか。」と結んでいます。「まあ、勝手にやってください」と言いたいところですが、面識もないので、黙っておきます。

 

何しろ、同氏は、平成16年1月1日に、静岡刑務所の独房に入っておられた時に、「人間は遊ぶために生まれてきた」などと悟ったそうなのです。同年4月8日に仮出獄した時に、角川氏は「生涯不良」を宣言し、「以来、やりたいことしかやってこなかったし、これからもそうだ」とおっしゃるのです。

 

御年65歳。

 

何やら昨年、北軽井沢の神社で「全脳細胞覚醒」を祈願したおかげで、肉体が日増しに強靭になり、自宅マンションの1階から9階まで、1日50往復以上し、木刀より数倍重い木剣を1日1万5千回以上、素振りをしているそうな。とりあえず、日本一の武道家を目指しているらしい。

 

本人はいたって真面目そうなので、思わず、尊敬してしまいました。「生涯現役」と言う人はいても「生涯不良」を宣言する人なんて、歴史上空前絶後でしょう。しかも、65歳ともなれば、普通の人ならある程度、分別というものが備わるものです。それに、角川氏はちょっとどころではなく、精神的にも肉体的にも世間から痛い目に遭った人でもあります。(少しは懲りると思うのですが)

 

すごい人です。

水木しげる「総員玉砕せよ!」

 

妖怪漫画の水木しげるさん(85)の自伝的戦記漫画「総員玉砕せよ!」を脚色したドラマ(西岡琢也作、香川照之主演)が、昨晩、NHKスペシャルで放送されました。よく知られているように、水木さんは、数少ない激戦区ラバウル戦線の生き残りです。左腕を失って帰還しました。

 

今だから、当時の軍幹部の無謀、無自覚、無責任、無定見は非難できますが、その渦中にいた当事者の庶民は何も抗弁も反抗もできず、玉砕という名の狂的な方法で殺害されたのに等しいことが分かりました。特に、最後に出てくる陸士出身の木戸参謀(榎木孝明)は、「司令部に報告義務がある」と言って逃げてしまうところなど、100パーセント、水木さんが見た事実だと思います。

 

木戸参謀は、部下を無意味に玉砕させておいて、自分だけは戦後もぬくぬくと生き延びたことでしょう。日本人はトップに立つ人間ほど卑怯なのですが、その典型なものを見せ付けられました。

 

水木さんは、10日付の東京新聞でインタビューに応えていました。戦記ものを書くのは、戦死した戦友たちが描かせるのかなあ、と言っています。「戦死した連中のことを考えるとわけがわからんですよ。何にも悪いことしていないのに、殺されるわけですからね。かわいそうだ」と語っています。

 

これ以外で、水木さんは大変貴重なことを言っています。

「好きなことをばく進してこそ人生です。カネがもうかるから嫌いなことでもするというのには、水木サンは我慢できないですねえ。人は我慢しているようですけどね。見ていられない。気の毒で。嫌いなことをやるのは馬鹿ですよ。…嫌いなことをするのは、私からみると意志が弱いように見えるねえ。自分の方針を貫かない。従順であったり。特に優等生に多いですよ、従順なのがね。世間が『こうしなくては』って言うとそっちの方向に行くって人が案外多い。好きなことにばく進する勇気とか、努力が少ない。私から見ると、必ず成し遂げるというのがない。命がけになれば選べることですよ。それをやらずに文句ばっか言っている」

 

最後に水木さんは、18歳ぐらいの時、生き方を真似ようと10人ぐらいの人からゲーテを選んだというのです。そのおかげで、ゲーテは水木さんの模範となり、幸せをつかんだといいます。戦場にもエッカーマン著「ゲーテとの対話」(岩波文庫、上中下3冊)を持って行き、暗記するくらい読み、ボロボロになった本を持ち帰ったそうです。