年の瀬ともなると、誰しも感傷的になるものですが、今年ほど、ひどく感傷的に落ち込む年もなかったです。
2005年という年は「大転換期」として日本の歴史に刻まれることでしょう。
まずは、戦後60年という節目の年でした。
ということは、「もはや戦後ではない」という悠長なことを言っている年ではないのです。「もはや戦後ではない」と「経済白書」で謳ったのは、まだ戦後わずか11年しか経っていない昭和31年のことでした。
戦後も60年も経てば、「戦中派」の人が次々と亡くなります。(元陸軍曹長だった私の父も11月に亡くなりました)戦争体験者が亡くなれば、戦争の記憶も風化するのは当り前です。そうなると歴史は繰り返すのでしょうか?実際に戦争に行くのは若者であるという事実を若い人は自覚した方がいいでしょう。
今年は、場当たり的な少女殺人事件が相次ぎ、日本人の倫理観がどこに行ってしまったのだろうか、と暗澹たる思いをしたのは私だけではなかったはずです。
ライブドアの堀江君、楽天の三木谷君、村上ファンドの村上君らは、皆、私より年下ですが「人生、金こそがすべて」という拝金主義者です。昔は、そういう人も沢山いましたが、人前で公言せず、しこたま金を溜め込んだら、文化人や関取のパトロンになって帳尻を合わせるという美徳がありました。渋沢栄一然り、原三渓然り…。
しかし、今の時代どうでしょう。
耐震偽装問題にしても、関係者は責任のなすり合いで、まるで他人事です。
ー震度5クラスの地震がきたらどうなりますか?
姉歯建築士 「ぺしゃんこになりますね」
そこに住む人の生活や人生に思いを馳せる想像力さえ失っています。しかも、「圧力を受けたから」とか「仕事がなくなるから」といった全く個人的な理由だけを優先しています。
このままでいけば日本はどこへ行ってしまうのでしょうか?
くしくも2005年は日本の歴史上初めて人口が自然減したエポックメイキングの年となりました。
もう10年前の話ですが、ある高名な地球物理学者にインタビューした際、最後に彼が言ったことが今でも忘れません。
「あと100年もすれば、人類は滅亡します。地球温暖化が進み、太陽の熱で、地球に人類は住めなくなります」
これが「事実」だとしたら、パニックになるのですが、パニックにならないところを見ると、この事実を知る人が少ないということでしょう。
彼は言いました。
「でも安心してください。100年後は、今ここにいる殆んどの人は亡くなっていますから」