テレビの時代は終わった?

「築地の貝」定食 1300円 築地に貝専門の食堂があるとは知りませんでした。「鴨亭」の斜め向かいに発見。

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 先日、通勤電車の中でざっと見渡したら、本を読んでいる人が一人もいなかった。私だけだった、といったことを書きましたが、忘れていました。本だけでなく、新聞も週刊誌も雑誌類も読んでいる人はいませんでした。新聞、週刊誌を読んでいる人は、月に2~3回見る程度です。

 そう言えば、通勤電車内で、多分、昨年辺りから週刊誌の「吊り広告」が消えてなくなりましたね。あれは、楽しみだったんですけどねえ。週刊現代と週刊ポストはもっと前からなくなっていましたが、昨年か今年初めぐらいまでは、週刊新潮と週刊文春は頑張っていたんですけどね。

 大抵の通勤客は、スマホを見ています。7割か8割近くはスマホです。ゲームやSNSが多いんでしょうが、中には新聞や週刊誌のニュースをチェックしているかもしれません。若い人たちは、紙媒体から電子媒体に変わったということなんでしょう。

 でも、変化があったのは、紙媒体だけではありませんでした!昨日、報道された「若者のテレビ離れ」には本当に衝撃的で吃驚しました。NHK放送文化研究所が5年に1回実施する「国民生活時間調査」で、平日の1日にテレビを見る人の割合は5年前の85%から79%に減り、特に16~19歳では5年前に71%だったのが、わずか47%と大幅に減少したというのです。

 テレビを見る10代が半分以下というのは、これはテレビ業界の関係者にとっては危機的状況ですよ。将来を担う10代が47%では、もう「テレビの時代は終わった」という事実を見せつけられたということになります。(同時に、広告媒体の王様が、テレビからインターネットに取って代わったことを意味します)

 思えば、日本でテレビ放送が開始されたのは1953年のことです。我が家にテレビ受信機が導入されたのは、その10年後の1963年でしたが、2021年にテレビ時代が終わったとなると、わずか68年で終焉を迎えたことになります。

 勿論、若者はスマホのネットで、テレビのコンテンツを見ているのかもしれません。でも、プロではなく素人がつくったYouTubeや、テレビ制作者ではないセミプロがつくった動画サイトを見ている若者も多いのかもしれません。

 いやはや、時代は変わるものです。

 ところで、皆様におかれましては、毎日、《渓流斎日乗》を御愛読して頂き、洵に有難う御座います。2005年3月15日から、gooブログのネットで細々と開始し、2017年9月15日頃から、松長哲聖氏の御尽力で自分自身のサイトを独立して立ち上げました。

 独立して今年で4年になりますが、50万ページビューになろうとしています。全く世間的には無名の凡夫の個人サイトがこれほどまで読まれるとは奇跡に近いのではないでしょうか。これも全て、毎日のように、嫌々ながら(笑)チェックして頂いておられる皆様のお蔭と熟知しております。

 「世界最小の双方向性メディア」を自称しているため、最近では、コメントも屡々、送って下さるようになり、恐悦至極に存じます。書き続ける張り合いになりまする。

 改めて御礼申し上げる次第で御座います。

もう印刷新聞は終わってしまうのか?

奈良・興福寺

あれっ!?

はい、10日(月)は、渓流斎、一応まだ日本におります(笑)。

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会社の先輩も執筆陣の一人として加わった早稲田大学メディア研究所編「『ニュース』は生き残るか」(一藝社・2018年6月初版)を読了しましたので、旅行に出発する前に取り上げておきます。ジャーナリストらが執筆しながら、学術書のせいなのか非常に文章も堅くて読み易くないのですが、最後まで読み通しました。これでも、40年間近く、新聞通信業界ではお世話になってきましたから。

タイトルの「ニュースは生き残るか」というのは少し変で、どんな時代になろうが、ほぼ未来永劫、ニュースはなくなることはないでしょう。しかし、これが、新聞となると、暗澹たる気持ちで、「今の形態ならほぼ難しい」という答えしかありませんね。確実に主流の花形産業からどん底に落ちつつあることは誰でも否定できないでしょう。

新聞協会の調べによると、2017年の新聞購読数は、4212万部で、10年間で1000万部も大幅に減少したといいます。先細りというより、ジェットコースーターで真っ逆さまに落ちるような感じです。

同書では、5年おきに実施されるNHKの国民生活時間調査が引用されております。その最新調査の2015年の新聞読者について、10代後半は5%、20代6%、30代は11%、40代が22%しか新聞を読んでいないというのです。50代になると39%、60代になってやっと半数以上の55%、70歳以上が59%という数字です。
今、働き盛りで幹部クラスの50代の人が10年前の40代だった時は45%、20年前の30代の際は53%読んでいたといいますから、急転直下のような減少率です。

これは、もう3年前の調査ですから、今はもっと酷いことでしょう。こんな数字を見せつけられれば、希望を持てるわけがありませんね。

そもそも、新聞社が、ヤフーやグーグルなどのネットのプラットフォームに割安でニュースを提供したため、「ニュースはただ」という印象を、特に若い読者に植え付けてしまったのが失敗でした。プラットフォームの会社はニュースを取材編集するわけではなく、格安で新聞社からニュースを提供してもらって、それを看板に、「客」を呼び込んで商売に結び付けているため、「ただ乗り」論すら出てきましたが、プラットフォーム側は「そんなの冗談じゃない」と水掛け論になってますから、この溝は永久に埋まらないことでしょう。

今、北海道地震で、厚真町の情報だけが集中して、他に被災した町村の情報が入ってこないのは、そんな「一次情報」を取材する新聞社・通信社の人員と経費が足りないからなのです。こういった新聞社の人的、資源的「劣化」はますます進み、将来、官製発表のみで、だんだん真の情報が伝わってこない状況になることでしょう。

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この本で興味深かったことは、「ウォール・ストリート・ジャーナル」などほんの一部経済専門紙だけが、ネットの有料化に成功しましたが、他は日本を含めて惨憺たるものだということです。そんな中で、カナダのある地方新聞が、「ニュース報道に課金は難しい」と有料化をスッパリ諦めて、無料で記事を提供して大成功した例を挙げておりました。

それは、「グルメ王」の辻下氏がお住まいになっているカナダの中でも、フランス語が公用語になっているケベック州モントリオール最大の「ラ・プレス」という地方紙です。2013年に、社運を懸けて、リサーチや製作などに3年間の歳月と4000万カナダドル(約35億円!)を掛けて、ダブレット用のアプリを開発したのでした。

ホームページに、速報機能は付いていますが、印刷媒体のように、毎朝5時半に1日1回のみ更新するだけです。深く取材した長い読み物と高画質の写真と動画を見てもらうというコンセプトで、16年には27万3000人のユーザーを獲得し、広告収入にも目途がついたことから、17年末で新聞印刷を終了して、完全デジタル化したというのです。

1日分を自動ダウンロードすれば、その後通信費が発生せず、いくらでも読めるので、1日の平均読書時間が平日では40分、土曜日は52分にも上ったというのです。

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一方、今の日本の新聞社の50歳代~60歳代の経営幹部では、打開策を講じるのは難しいのではないでしょうか。本業以外の不動産業等で逃げようとしているからです。今の若者が中高年になった時点で、100人に5人しか新聞を読んでいなければ採算なんか取れるわけがありません。

思い切って、結託して(笑)、ネットのプラットフォームにニュース提供を止めるとか、カナダの地方紙のように、30億円も50億円もかけて、アプリを開発する大英断をするかしかないのかもしれません。

せめて、座して何とかを待つようなことはしてほしくないです。

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ちなみに、人口が日本の約半分の6690万人のフランスは、新聞購読数は全土でわずか600万部。フランスを代表する有力紙ル・モンドやル・フィガロでさえ30万部前後ですから、そう悲観することはないという識者もおります。でも、フランスは日本以上の超エリート主義の格差社会ですからね。

となると、新聞が生き残れるとしたら、地方紙でしょうか。特に、ネット上に掲載されないような地元の人事情報はキラーコンテンツです。冠婚葬祭情報も必須です。叙位叙勲や、司法試験、医師、歯科医国家試験合格者情報も必要です。ついでに、日展や院展の入賞者や地元しか開催しない小さな催し情報など微に入り細に入り紹介することでしょうかね。

これは、日本は「お付き合い」のムラ社会だから、というのが前提です。しかし、地方でも隣同士の交流・交際が減ってきたといいますから、結局のところ、あまり効果がなくなっていくかもしれません。

何とも、大変なアポリアです。

テレビはパラボラアンテナでは見ない、Wi-Fiで見る

昨晩20日は、月曜日だというのに、東京・虎ノ門の居酒屋「小虎」で懇親会でした。

もう1カ月も前から大野幹事長から「参加されたし」との通達がありました。実は、その通達があった3日前の夕方5時半に「今から来てください」との連絡があり、いくらなんでも、当日の土壇場の今からではこちらも予定があり、お断りしたのでした。

これに懲りた大野幹事長は、意趣返しか、何と今度は1カ月も前に通達してきたわけです(笑)。

久しぶりと、初めて会った面々は9人。「安否確認」ではなく、「生存確認」ということで、「渓流斎もやはりまだ生きていたのか」と余計なことを言う人もおりました。

例によって、懇親会での内容を書くと大野幹事長が「名誉毀損で訴えますよ」と高らかに宣言されておりましたから、残念ながら少しだけしか書けません(笑)。

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新聞業界が低迷の一途を辿っている最中に、感心にも、大野幹事長は、探訪記者らしく、自宅で9紙も購読しているというのです。天晴れ。記者の鑑ですね。しかも、毎朝4時半に起床して数時間かけて読破しているというのです。

年間購読料は50万円だとか。噂では、誰も注目しないような新聞の片隅に小さく載っている人事や事故やプロフィール情報を切り抜いてスクラップして、まるで興信所のようにいざという時に使うらしいのです。点情報を線情報にして、相関関係図まで作ってしまうというのですから大したものです。流石、探訪記者です(笑)。

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久しぶりにお会いした某テレビ局重役の川内さんには面白いことを教えてもらいました。

最近の若い人の「テレビ離れ」で、有料テレビの契約者が減少傾向にあるというのです。で、若い人は何を見ているかというと、ネットのユーチューブやネットフリックスなどです。受け身で垂れ流しの番組を見るのではなく、自分で検索して好きな番組を能動的に見るというのです。

そういう傾向が強くなっているのが、40代の団塊ジュニアの下の若い世代で、溝ができるくらいクッキリと差があるというのです。団塊ジュニアがもう旧世代になるとは!

賃貸マンションもかつては、BSやCSのパラボラアンテナが設備されたものが好まれたのが、今では、Wi-Fiが繋がっているマンションでなければ見向きもされないといいますから、時代は変わったものです。

…などと書くと、協会幹部や大野幹事長からは「だから渓流斎は上から目線で、偉そう」「誰もが知ってることを自慢げに書く」と叩かれるのです。

ま、普段は読者の皆さまの本音は、直接聞けませんから、昨晩は貴重なご意見として拝聴奉っておきました。

新聞の危機

東京・虎ノ門「小虎」

媒体新聞の敏腕記者相川君から急に「虎ノ門の小虎に来るように」との連絡がありました。

私は、聖書に書かれるような心の貧しい人間ですから、残りの人生、あまり苦手な人物とは同席したくない、という思想信条ですから「どなたが来ますか?」とお尋ね奉ったところ、「来れば分かります。強制です」だとさ!

強制なら仕方ない、ということで出掛けたところ、不安は的中しました。昨日、ウマズイめんくい村の赤羽彦作村長さんの京都での失敗談をこの渓流斎日乗で暴露したところ、彦作村長さんから「せっかく、書こうとしたことを先に書かれた。この落とし前、どうしてくれるねん?」と猛烈な抗議があったばかりでした。

その彦作村長さん御本人が手ぐすね引いて、席に陣取っていたのです!バツが悪いったらありゃしまへん(苦笑)。

そして、相川記者はいきなり、「おっ!世界最小の誤報メディアの登場」と宣うではありませんか。先日「空也饅頭」と書いたことを指摘して、「渓流斎さんや、あれは饅頭じゃありませんよ。最中です。虚報です。フェイクニュースを書いちゃ駄目じゃないですか!」と、鬼の首を取ったかのように勝ち誇るのです。

京都・智恵光院

さて、指定された居酒屋「小虎」は京都のような店構えで、間口が狭くて入りにくいのに奥行きが長く、飲み物が一杯100円という安さ。こんなパラダイスはありませんね(笑)。

虎ノ門は、好きですねえ。幕末は刀剣屋が軒を並べ、新撰組の近藤勇がここで名刀「虎徹」を買い求めたと言われてます(異説あり)。

今でも、刀剣屋は何軒か残ってますが、虎ノ門といえば、霞ヶ関官僚の皆様の天下り先である公益法人のメッカであることは広く知られてます。ですから、居酒屋の客層もほんの少しだけ洗練されております。

で、我等が秘密倶楽部の会合には全部で9人参加しました。どなたがいらしたか、実名を書くと、相川記者は「ただじゃおかねえ」と山賊のように目を剥いて恐喝するので書けません(笑)。

まあ、マスコミ関係の大御所の皆様が多く参加したことぐらいは書けるでしょう。

「渓流斎日乗」を今年9月1日から独立させて、新しく「世界最小メディア」を立ち上げた関係で、昔の記事のカテゴリーを整理していたところ、2008年2月18日に「日本新聞協会の『データブック』と題してこんな記事がありました。

「2006年、国内での日刊紙の発行部数は、約5231万部あるのですが、10年前の1996年には、5355万部もあったのです。この10年間で実に、124万部も減っているのです。地方紙が5紙も6紙もつぶれていることになります。

内訳を見てみると、一般紙が4698万部から4706万部に増えているのに対し、スポーツ紙が658万部から525万部と100万部以上減っているのです。原因はスポーツ紙にあったのですね。」(引用終わり)

ちょうど10年前のデータです。そこで、昨晩はマスコミ関係者が集まったので、探訪記者として取材してみました。

まずデータですが、2016年の国内の新聞発行部数は、約4328万部。その内訳として、一般紙が3982万部、スポーツ紙が346万部となっていたのです。上に挙げた数字と比べてみてください。もはや「壊滅的」という表現が生温い感じです。

若者の新聞離れが要因の一つでしょうが、スマホなんかでニュースや情報が簡単に無料で取れるようになったことが大きいでしょう。キオスクもどんどん潰れています。

15年ほど前まではまだ救いがあったような気がします。公称ながら、読売新聞は「1000万部」と豪語してました。

それが、某新聞社で販売局長も務めたことがある重鎮によりますと、印刷ではなくて実売で読売新聞は500万部を切り、朝日新聞は300万部を切り、毎日新聞は200万部を切っている状況だといいます。スポーツ紙で最も売れているのが、日刊スポーツで30万部ほど。あとは夕刊紙も含めて惨憺たる状況だというのです。

しかも、新聞を最も買ってくれるはずの団塊の世代が老人になって、新聞を買ってくれない。図書館に行って、競馬欄を30部ほどコピーして、輪番で仲間に配って競馬をするというのです。コピー代は一枚10円ぐらいですから、新聞買うより安いというのです。

せこい世の中になったものです。

パブ屋ばっか跋扈

今はほとんど読まれなくなってしまった作家山本夏彦が、何の本か忘れましたが、エッセイで「全ての新聞や雑誌の記事は宣伝である」といったような趣旨で世相を斬り、世の中の本質を喝破しておりましたが、私も最近、そのことを痛感しております。

媒体(メディア)として、新聞・雑誌が、ラジオやテレビに代わり、それがネットに代わっても窮極的には同じなのです。

番組も記事もサイトも全て、宣伝、広告なのです。

政治の世界で、「安倍首相がどうのこうの」と書けば、自民党の宣伝になりますし、経済面に「iPhone8が発売」と書けば、米アップルの広告、スポーツ面に「清宮、プロ宣言」と載れば、職業野球興行の宣撫活動といった具合です(笑)。

以前は、それを世間の人に分からないように、巧妙な手口で、いわゆるサブリミナル効果を狙っていました。福島原発事故を起こす前の東京電力なんかは、莫大な広報宣撫活動費を使って、記者やジャーナリストを接待して、提灯記事を書かせ、「安心安全」「明るい未来の原子力」を演出しました。

それが最近は、露骨になりましたね。テレビはBSのチャンネルが増えて、「電波の希少価値」が薄れ、朝っぱらから「テレビ・ショッピング」ばかりやってます。

ラジオを聴けば、「痛散湯」「痛散湯」と耳にタコができるくらい連呼して、本当に耳にタコができてしまいました(笑)。

ネットも宣伝広告だらけで、一度見た広告は、いつまでも、何処までもついてきます。パソコンで、しょうがなく仕事で調べものをしただけなのに、見たくもない顔のタレント(の宣伝広告)が、どこのサイトを開いても、いつまでも付きまとってきて、仕事にならないほどウンザリすることはしょっちゅうです。

冷静に観察すれば、検索エンジンのグーグルやヤフーは、検索を隠れ蓑にした広告宣伝会社であり、SNSのLINEやツイッターやフェイスブックも交流サイトを謳った宣伝会社です。彼らの広告費獲得行為を「ビジネスモデル」などと高尚な言い方をしているだけなのです。

先日聞いた話ですが、皆さんも御存知の某テレビ局の某報道記者が、上司から、ある取材を命じられた時、「何で、パブ屋のお先棒を担がなきゃならないのですか」と反抗したことがあったそうです。

うーん、随分気骨のある人だったんですね。

とはいえ、「これは個人の感想です。効果には個人差があります。」と私も顰みに倣って付け加えておきます(笑)。

「新聞と戦争」

 

先週から「新聞と戦争」(朝日新聞出版)を読んでいます。日本を代表する天下の朝日新聞が、戦時中にどんな報道をしていたのかー。当時を知る記者や文献にできるだけ当たって、自戒を込めて振り返った話です。

 

昨年から今年にかけて、夕刊で連載されたものをまとめたもので、連載時から時折、読んでいましたが、こうしてまとまって読むと、ジグゾーパズルが解けるようによく分かります。ただし、順番を変えただけで、連載記事にそれ程加筆していないようで、新聞記事ならいいのですが、単行本として読むと、まるで、俳句か短歌を読んでいるようで、場面の展開が早く、何か尻切れトンボの記事も散見します。読者の一人として、「あ、これからこの人どうなってしまったのだろう?」といった感じで置いてきぼりを食ってしまう感覚に襲われてしまいました。

 

それでも、この本の資料的価値や質の深さには何ら恥じるものはありません。

 

本書では、何回も書いていますが、朝日を含め、新聞は、1931年9月18日に起きたいわゆる満州事変を境に論調を百八十度転換します。それまで、軍部の横暴を批判し、軍縮論を唱えていた朝日新聞も、この日をきっかっけに、日本軍による満洲の植民地化を諸手を挙げて賛成し、はっきり言って軍部と行動を伴にしていきます。(当時は、大不況の真只中で、東北では娘を売る農家もあり、人口問題、食糧問題は今と比べ物にならないくらい緊急の課題だったという世相もあります。)

 

なぜ朝日は、論調を変えたのかー?ということを76年後になって、現役の記者が、自問自答しながら、歴史的事実を追っていきます。確かに専門家向きの本で、一部の好事家しか手に取らないかもしれませんが、面白くないわけがありません。

 

この本については、また触れると思います。

日本新聞協会「データブック」

 帯広の拙宅にも遊びに来たことがある及川君の薦めもあり、日本新聞協会が発行する「データブック」を買い求めました。

50ページ足らずの統計資料集なのですが、これがなかなか含蓄があって面白い!

例えば、2006年、国内での日刊紙の発行部数は、約5231万部あるのですが、10年前の1996年には、5355万部もあったのです。この10年間で実に、124万部も減っているのです。地方紙が5紙も6紙もつぶれていることになります。

内訳を見てみると、一般紙が4698万部から4706万部に増えているのに対し、スポーツ紙が658万部から525万部と100万部以上減っているのです。原因はスポーツ紙にあったのですね。

そういえば、電車に乗っても、特に若い人が車内でスポーツ紙を読んでいるのを見かけなくなりました。大抵は、携帯でメールをやっているか、ゲームをやっています。

総広告費も載っています。新聞広告が2006年の時点で、9986億円と初めて1兆円の大台を割り込みました。新聞業界が危機感を持っているのは、これが原因です。

テレビは2兆円。地上デジタル化で、首都圏、地方テレビ局を問わず、パイの分捕り合戦になるというのが、O君の見立てです。

2004年に、インターネット広告が1814億円に対し、ラジオが1795億円になり、初めて逆転したことが分かります。2006年は、インターネット広告は3630億円に対し、ラジオは1774億円と格差が広がっています。広告が益々ネットにシフトしているのです。

このデータブックはわずか500円。安い買い物でした。

極秘情報 新聞業界の内幕

公開日時: 2007年11月11日 @ 11:20

昨日は、おつなセミナー。ゲストは某マスコミの内幕と昭和史を描いたI氏。こんな面白い話なのに、参加者はわずか十人ちょっとというので、驚いてしまいました。セミナーのメンバーは500人くらいいるんじゃないかと思いますが、出席率の少なさには本当に驚きです。

こういう話は、どうも、色々と差し障ることが多く、著作権やら秘匿の暗黙の了解があるので、色んな事を暈して、備忘録書きにしてしまうことをお許しください。ですから、興味がない人にとってもはつまらないかもしれません。

●日本一の新聞社だった大阪毎日新聞社は、三井系など大阪財閥の資本で創刊されたもので、その後、昭和17年に財団法人毎日会を作り、「社内株」に転換した。

●日本経済新聞社の前身である中外新報も三井系の新聞だった。戦前までは、日経よりも、福沢諭吉の創刊した時事新報の方が権威があり、企業の決算報告等は時事新報に掲載されていた。大隈重信の創刊した報知新聞(今のスポーツ新聞ではない)とライバル紙で、新聞界でも早稲田vs慶応の様相が見られた。

●時事新報は、朝毎読の販売店抗争で徐々に部数が低迷する。福沢の死後、鐘紡社長の武藤山治を招聘して梃入れを諮るが、いわゆる帝人事件にからんだ番町会キャンペーンが遠因で、武藤社長は、テロ攻撃に遭い射殺され、ますます衰退。戦後、この時事新報を買収するのが、産経新聞を創刊した前田久吉。前田は、元々大阪西成区の新聞販売店主だったが、地域のニュースをフォローした南大阪新聞を作り、後に、東の「日本経済新聞」に対抗する西の「産業経済新聞」にまで発展させる。前田は後に新聞経営をやめ、関西テレビや日本電波搭の経営に残りの半生を捧げる。

●新聞販売店の収入の半分以上は折込広告で占める。(1部5円)今や少子高齢化で部数が低迷し、これに拍車をかけて若者が新聞を読まない。マンションが増え、拡張もできない。将来性がないので、新聞店主を目指すより、コンビニ経営をした方がいいという若者が増えることになる。

●新聞社の経営に二つのタイプがある。一つは社主家。(朝日の村山・上野家、読売の正力家、娘婿の小林、関根家、河北新報の一力家、中国新聞の山本家、信濃毎日の小坂家、日本海新聞の田村家)、もう一つは社団法人。(徳島新聞、名古屋タイムズ、共同通信)

●販売の神様:読売の務台光雄、朝日の永井大三

●特にスポーツ新聞と夕刊紙の部数急降下が昨今著しい。原因が、大リーグなど海外のスポーツが入ってきて、締め切りの関係で朝刊のスポーツ氏は一日前の話になってしまう。駅売りのスポーツ紙には色物のページがあるが、家に持って帰れない。オウム真理教の影響で駅にゴミ箱が減ったためだ。

●読売ランドは読売新聞の裏金庫だった。競艇の川崎オートや船橋オートも読売ランド。ゴルフ場は最近もうからなくなったので、社会老人福祉施設を作って売り出す構想。

これらの話はネットでも色々と噂が流れているので新味がないかもしれませんね。

さて、今のようなネット社会で、新聞業界より逸早く痛手を受けているのは旅行業界だそうです。旅行代理店には航空券を販売すると5~7%のマージンがあったそうですが、来年からこのマージンも廃止されるそうです。ということは、旅行代理店で、航空券は販売しなくなってしまうのかもしれません。皆、ネットで直接、航空会社からチケットを購入してしまうからなのです。

要するに「代理店」という社会的役目がだんだん、低下していくということです。アルマーニ、ヴィトン、フェラガモなど何でもいいのですが、ブランドものの輸入代理店も同じです。消費者が直接、ネットで注文してしまうので、代理店はいらなくなってしまうのです。

こうなると、世界最大の広告代理店も安閑とはしていられなくなりますね。

テレビも今までのように高給で胡坐をかいている時代は終わることでしょう。「私家版・ユダヤ文化論」を書いた内田樹氏が、先日、毎日新聞紙上に、フジテレビの株がこの7年間で293万円から23万円にまで、10分の1以上も値下がった、と呆れています。「テレビには先がない」とまで公言しておられます。そして、どうしてこういう情報は報道されないのか、と怒りながら、疑問を投げ掛けております。

色々、本当に最近、時代は目まぐるしく動いています。

新聞を読まない若者 

公開日時: 2007年10月27日 @ 09:15

毎日新聞の読書世論調査で、新聞を読むと答えた人の割合は、過去最低の78%だったそうです。初めて、8割を切ったそうです。

70代以上は79%、60代は88%、50代が85%、40代が88%、30代が72%。これが、10代になると、48%、20代でも57%と6割を切ります。

特に学生さんで、「新聞を読まない」という人が46%にもなり、インターネットをする人が74%にも上ります。ネットで、ニュースもスポーツの結果も簡単に情報が手に入りますからね。しかし、新聞の醍醐味である論説は、ネットではあまりありません。そこまで、必要がないのかもしれません。彼らは、自分の思想信条に合わない意見は取るに足りない空論か、宿敵とみなして、まず読まない。自分の思想信条にあった意見なら、地の果てまで追いかけて探して、読み、「あーやっぱり、自分の考え方は間違っていなかった」と納得し、ますます、自分と相違する意見は読もうとしない傾向にありますからね。

この調査で、一番、私ががっかりしたのは、ラジオを聴く人が38%と、初めて4割を切ったことです。ラジオの広告費がネットの広告費に追い抜かれるはずです。私は昔からラジオファンだったので、残念です。

新聞読者ネット会員になってしまいました

ミラノ・スカラ座

某新聞社の読者ネット会員に、とうとうなってしまいました。ネット会員は、新聞社の「囲い込み」に利用され、世論調査のダシに使われるので、あまり気が進まなかったのですが、「プレゼント」に応募したかったので、つい入ってしまいました。

我ながらセコイと思います。

でも、便利ですよね。本来ならプレゼントに応募しようとしたら、いちいち葉書を買ってきて、住所、氏名など色々と書いて、郵便ポストまで出しに行かなければならないのに、会員になれば、ネットを2,3回クリックすれば、応募は終了してしまいます。

最近、可分所得がめっきり減ってきたので、映画のチケットなど「一攫千金」(セコイ!)を狙って、応募してみようと思います。競争率が上がるから、皆さん、真似しないでください、とは言いません。どうぞ、真似してください。

私も当たったら、このブログで披露しますから、皆さんも当たったら、コメントしてください。どれくらいの確率で当たるのか知りたいのです。