株式投資の極意

 昨日は、プレスセンターで開かれたOセミナーに参加しました。

 

ゲストは有名投資雑誌の副編集長の福井さん。演題は「脱KY! しなやかな投資家になろう!」というもので、ズバリ株式投資の話でした。

 

私は何度も告白しておりますが、経済や金融証券関係には全く疎いのですが、今回の福井副編集長の話はとても分かりやすく、感心してしまいました。彼の助言に従えば、うまく儲かりそうです(笑)

 

一緒に出席した有名作家の方も「これだけの情報とアドバイスなら会費10万円を出しても惜しくはない」とおっしゃっておりましたから、確かなのでしょう。ちなみに、Oセミナーは、会場費や飲み物代などは掛かりますが、それ以外は一切なし。ゲストの先生にも謝礼を払わないくらいですからね(笑)。

 

しかし、参加者を含め、皆さん、その道の兵(つわもの)揃いばかり。ゲストに来てくださった方が、そのまま、聴衆側になって会員になられることも多いのです。会員といっても、明確な規定はなく、「来る者は拒まず、去る者は追わず」という形で、その場で解散する「一期一会」みたいな会です。もう25年くらい続いているセミナーなので、これまで、累計500人くらいは軽く参加しているのではないでしょうか。

 

で、ここまで、読んでくださった方で、「早く儲かる株の話をしてくれないかなあ」と思っている方も多いでしょう。Oセミナーの会員で欠席された方なら、「あー、何とか都合を付けて参加すればよかった」と地団駄を踏んでいる方も多いでしょうね。

でも、駄目ですよ(笑)。残念ながら、ここでは書きません。それに、「必ず儲かる話」などこの世に存在しないのです。最後は「自己責任」で、自分の信念でエイヤッと、やるしかないのです。

 

株式投資の格言に「人の行く裏に道あり 花の山」

 

というのがあるそうです。

つまり、人と同じことをしていてはいけません。もっと、正確に言えば、誰かが得をするということは、同時に誰かが損をしていることの裏返しなわけです。

 

ちなみに、最初に登場した作家先生は、30年以上かなりコアな投資家で、会社四季報を丸暗記するほど熟読玩味して、研究に研究を重ねて投資された結果、百戦百勝で月収の1・5倍を稼ぎ、住宅ローンもわずか4年で完済されたそうです。が、その一方で、ライフワークのヴェンチャー企業にも投資され、これで数千万円の損失を蒙ったそうです。ということは、プラスマイナスゼロではないでしょうか。

 

金融証券に疎い人間が生意気なことを言ってしまいましたが、そう思ってしまいました。

浪花節だよ、日本は!(日銀総裁選の裏舞台)

 

一連の次期日銀総裁問題は、戦後初めて、「総裁空席」となり、京都大学院教授だった白川方明副総裁が総裁を代行するということで、一応の決着をみました。エコノミストの中には「今、日銀総裁がいなくても、大したことはない。ゼロ金利政策が続き、公定歩合の操作などという仕事もないし、世界経済に大した影響はない」と穿った味方をする人がいますが、政党間の抗争もからんでおり、私のような素人には何が起きていたのかさっぱり分かりませんでした。

 

よほど内部の事情に詳しい人か経済に精通している人しか、これらのゴタゴタについてはよく分かりませんよね。

 

そんな折り、昨日の日経と東京新聞がかなり詳しく裏舞台を解説してくれていたので、ほんの少しだけ、分かったような気がしました。こういう記事は本当に有り難いですよね。ネットだけ見ていては、何も分からないでしょう。ネットニュースには、解説記事が少なく、「結果ニュース」が多いので、誰が勝った、負けたとか、といった結果は分かっても、その背景や歴史や途中経過などが分からないからです。

 

部数減に悩む新聞業界は、解説、コラムによって、生き延びる道があるのではないでしょうか。

 

日経の「検証 日銀総裁空席」によると、「武藤敏郎総裁」の布石は、実に五年前にあったというのですから、驚きです。2002年12月26日、東京・赤坂プリンスホテル内で、当時の小泉純一郎首相が、武藤・財務省事務次官に「日銀副総裁を引き受けてくれ」と説得し、5年後の総裁昇格の布石まで作ったと書かれています。

 

そもそも、日銀総裁は、日銀出身者と大蔵(財務)出身者(事務トップの次官)の「たすきがけ人事」が慣例でした。それが、1998年に大蔵官僚によるいわゆるノーパンシャブシャブ接待汚職事件が明るみに出て、大蔵出身の松下康雄総裁が失脚、その後、速水優、福井俊彦と日銀出身者が二代続けて総裁になるという異例の事態が起きたのです。

 

武藤総裁の人事が民主党が多数を占める参院で「不同意」となっても、諦めずに福田首相が、元大蔵事務次官だった田波耕治・国際協力銀行総裁を候補に拘ったのは、背景に財務省による日銀総裁奪回という「10年来の悲願」があったというのです。

 

分かりやすいですね。

 

東京新聞の「こちら特報部」(部創設40周年だそうで、おめでとうございます)の「福田首相『武藤日銀総裁』固執のワケ」によると、背景に角福戦争(佐藤栄作首相の後継を巡って、田中角栄、福田赳夫両氏が激しい政争を繰り広げた)時代の宿縁があったというのです。

 

まず、福田康夫首相は、赳夫元首相の息子。小沢一郎民主党党首は、田中角栄元首相の直々の弟子であったことを押さえておいてください。

1974年に次期大蔵事務次官の人事を巡って、当時大蔵大臣だった福田赳夫氏(大蔵省主計局長出身のトップエリート)が、慣例に従って主計局長の橋口収氏(後に国土庁初代事務次官)を押したのに対し、田中角栄首相は、主税局長の高木文雄氏(後の国鉄総裁)を事務次官にしてしまうのです。このバトルは「角福代理戦争」とも呼ばれました。

 

この橋口収氏の娘婿が何と武藤敏郎氏だったのです。福田康雄首相は、自分の親父が橋口氏に対して果たせなかった「約束」の借りを、武藤氏を日銀総裁にすることによって返したかったのではないかというのが、当時をよく知る与党議員の口から漏れたというのです。

 

これも非常に分かりやすいですね。

 

日本の政治、人事は、いまだに、恐らくこれからも「浪花節の世界」だということがよく分かります。

世界経済は結局、哲学の問題 

 何か昨日書いたことで反響を呼んでいるようですね。

 

私はあくまでも「経済音痴」なのですが、自分なりに「どうなっているのか?」と疑問を抱いて答えを求めると、自ずからそういう情報を目にすることになることが分かりました。

例えば、昨日、日本が米ドル債をどれくらい買っているか、経済評論家ならすぐに答えることができるでしょうーと書きましたが、早稲田大学大学院の野口悠紀雄教授が「資本開国論」(ダイヤモンド社)の中で、明らかにしていました。

 

●2007年2月末の日本の外貨準備は9050億ドル。そのうち、7582億ドルが米国債で運用されている。

 

野口教授は、「米国債中心の資産運用は収益率が低いので、株式投資や直接投資を増加させることによって収益率を高めなければならない。なぜなら、日本の対外資産総額506兆円は、GNP(2004年度で506兆円)に匹敵し、運用利回りが数%上がるだけで、GNPの成長率がそれだけ上がることになる」と持論を展開しています。

それでは、日本が米国債から撤退したらどうなるか?

急激なドル安どころか、ドル崩壊になることは間違いないのです。だから、日本は米国債を売りたくても売ることができない。米国債は、アメリカの核の傘にいる日本にとって、安全保障に代わるコストみたいなものだから、という識者もいるのです。

 

お金というか紙幣は、考えてみれば「信用」だけが命で、「信用」だけに支えられているようなものです。信用という幻想が失われれば、忽ち、その信用は失墜ー暴落してしまう。経済の世界ながら、実に文学的、哲学的世界なのではないでしょうか。

 

世界が平和になり、戦争も核兵器もなくなれば、今のアメリカを中心にしたグローバリズムは崩壊することでしょう。怖ろしいですか?でも、日本はもう米国債を買わなくて済みます。その分、福祉や弱者救済に回すことができます。

 

あなたは、私のことを夢想家と言うかもしれません。

でも、私一人だけではありません。

いつか、あなたも私たちと一緒になって、世界が1つになればいいなあと思います。

あ、ジョン・レノンの言葉でした。

アメリカ帝国の崩壊 

 私は「経済音痴」を自認しておりますが、昨今の経済報道を目にする度に、さすがに危機感を募らせています。

 

「異様な原油高」と、「基軸通貨のドルの世界的信用低下」のことです。

 

例のサブプライム問題は、1929年の世界金融恐慌に匹敵するのではないでしょうか?

 

先日も米最大手銀行のシティ・グループだけで、1兆9000億円以上の不良債権を抱えているというニュースがありましたが、この倒産寸前の銀行を買い支えたのが、オイルマネーで潤っている中東の政府系投資会社だというのです。新興の中国も米国債などを買うことによって、支えましたが、何と言っても、我が国、日本が、世界で一番、アメリカという国家を買い支えているのではないでしょうか。「経済アナリスト」なら、その数字がパッと出てくるでしょうけど…。

 

今までの世界経済がどうやって巡回していたかといえば、アメリカ人の旺盛な消費意欲を発端にしていたんですね。つまり、お金もないのに、アメリカ人は、土地や建物を担保にして、世界中の株や債権を買ったり、高価なSUVやプレジャーボートを何台も所有したり、ブランド品を買ったり、広大な敷地にプールを作ったりする。原材料や製品を作るのは中国やアフリカや日本。アメリカ人は、これら高級ブランド品をドルで支払いますが、召使の日本人はせっせとドルの米国債を買ってくれるので、アメリカにはお金がちゃんと戻ってくる。このドルでアメリカ人はまた大好きなお買い物をするといった具合です。

 

何てことはない。朝貢貿易じゃありませんか!

 

しかし、サブプライム問題が発生し、不動産価格が暴落(5%以上とも)し、100万軒以上の不動産が差し押さえられ、もう不動産が担保にならないとなると、ローンやクレジットも組めない。アメリカの消費意欲が減退し、ドルの信頼度も下落したというわけです。戦後のブレトン・ウッズ体制で、アメリカは基軸通貨をポンドから奪い取ったと言われていますが、わずか、60年でそのドルも崩壊しようとしています。

 

中国もせっせとアメリカ向けに玩具や衣料品や電気器具なんかを作って輸出して、GDPも二桁成長率を遂げていますが、アメリカ人の消費意欲が減退すれば、ガクンと輸出も落ちる。他人事ではないのです。今、経済特区と名を馳せた深せんも不動産の暴落が始まったようです。

 

何か、あの憎たらしいほど強かった巨人のアメリカ帝国が崩壊するようです。歴史の節目を感じるのは私だけではないのではないでしょうか。

経団連会長の品格 

 昨晩は、プレセンでおつなセミナーの会合。忘年会も兼ねていたので、普段の倍以上の30人以上の方々が集まりました。

 

ゲストスピーカーは経済ジャーナリストのAさんで、タイトルは「野党4党に参考人招致を求められた御手洗日本経団連会長の品格」。

 

私は、財界に関しては全くもって門外漢なので、色々知らないことを聞くことができて面白かったです。御手洗さんはキヤノン会長もつとめられた方で、米国法人の社長を歴任するなど在米二十三年にも及んだそうです。精密機械業界から初めて「財界総理」の異名を持つ経団連の会長に選ばれました。

 

御手洗さんの出身母体のキヤノンがこのところ、偽装請負問題や労働者派遣法の違反を起こし、A新聞がこの問題について積極的に報道したところ、キヤノンは、A新聞に広告の出稿を取りやめたというのです。2006年11月14日からだそうです。私はこの事実を知らなかったというか、気付きませんでしたね。

 

キヤノンの問題を積極的に報道しない他紙には、キヤノンの広告が逆に増えているというのです。

 

大抵の新聞社は、収益の半分は販売から、半分は広告から得ているわけですから、広告が減れば、それだけ収益が減るわけです。広告局側・経営者側の論理からすれば、「そんな青臭い書生論ばかり振りかざさないで、ほどほどにしたらどうか」ということになりますが、編集局側からすれば「何を言ってんだ。不正は不正だ。報道を控えればジャーナリズムの崩壊につながる」というわけです。

 

まさに、痛し痒し、ジャーナリズムの根幹に関わる大問題なわけです。

 

Aさんの話によると、御手洗会長は、自民党、特に戦後レジームの見直しと徳育を重視する安倍前首相との絆を深め、経団連として、自民党には25億円も献金しているのに、民主党にはわずか8千万円しか献金していないそうなのです。

 

これは、常識かもしれませんが、私は正直知らなかった事実なので、敢えて明記しておきます。

 

会合では、火花が散るほどの論戦となりました。後で、Bさんが、その会合の場での発言ではありませんでしたが「キヤノンがA新聞から広告を引き上げたことは、大英断だと喝采する企業も多い」と囁いていたので、驚いてしまいました。色んな意見を持つ方の集まりです。刺激的なテーマで一年が終わった感じでした。

世界経済を破壊する闘争技術

 知床

 

経済問題に疎い私ですが、さすがに、ここ数日の急激な円高と世界同時株安は気になります。猛暑で、正常な判断のできない日本人に冷水を浴びせられたような気分です。昨日の日経平均株価も874円も急落しました。米国のITバブルの先行き懸念などから1426円安となった2000年4月以来7年ぶりの大幅な下落です。

 

そもそも、今回は、米国のサブプライムローンが、この世界的な経済混乱の端緒になったと言われますが、何で、アメリカという一つの国の低所得者向けの住宅ローンがこれほど国際経済に影響を持つのか、よく分からなかったのですが、こういうことだったというのです。

 

まず、住宅金融会社が貸し倒れのリスクを回避するために、「住宅ローン担保証券」などの商品を作る。これを、世界各国の金融機関やヘッジファンドが買う。(もちろん、高利回りの配当を獲得するため)ということは、サブプライムローンが焦げ付いてしまうと、世界中の金融機関やファンドが大損をこいてしまったという仕組みだったのです。ハイリスク・ハイリターンの典型ですね。転売されたローンは全体の8割に当たる1兆ドル(113兆円)で、その損失額は把握できていないようです。信用取引とかあるからでしょう。要するに、世界経済を舞台に賭場を開いているようなものだったのです。

 

機関投資家の損失だけではなく、最近、個人投資もインターネットを通じて簡単にできますから、今回の「円高・株安」による損害も莫大なものになりました。インターネットなどを通じて外貨を売買するFXと呼ばれる外為証拠金取引で、14日から16日までの3日間だけで、「個人投資家の損失が総額3・6兆円に膨らんだ」という記事も出ていました。

 

わずか1円円高ドル安になるだけで、輸出産業型のトヨタ自動車は、年間営業利益が350億円も減少するとか。ここまで来ると、私の想像力が追いつきません。

 

UCLAの経済学教授だった故ハーシュライファー氏は、純粋な経済活動以外に、生産とは無縁な技術が存在し、これらを「闘争技術」と呼んだそうです。それらは、社内の権力闘争で勝つ技術、顧客の無知に付け込んで不必要な商品を売り込む技術、政治家に取り入って、利益を誘導する技術…などです。

 

なるほど、今回の世界経済の混迷も、市場原理主義による「闘争技術」が生んだ成果だったのか!だって、やつらは生産とは無縁なことをしているわけでしょう?経済に詳しい方はご教授して戴ければ有り難いですね。

格差社会の現実

ミラノ

 

今日は、父親の1周忌でした。早いものであれから1年過ぎました。月並みですが、あっと言うまでした。

 

所沢聖地霊園で法事を執り行いました。出席者は、母と兄嫁夫婦と甥と姪、姉夫婦と姪、弟夫婦の10人。姉夫婦の甥と弟夫婦の二人の娘は欠席しました。

 

昨日の規制緩和の話の続きです。

 

規制緩和というと、戦後の官僚支配を打破する特効薬と錯覚され、一部の諮問委員の口当たりのいい言葉に惑わされて、バラ色の未来が到来すると多くの日本人は誤解してしまいました。丁度、10年前は旧大蔵省の破廉恥な不祥事が大々的にマスコミで取り上げられて、「こんな奴らに国を任せていては駄目になる」という風潮ができあがったのです。

 

しかし、この規制緩和によって生み出されたものは、過度のコスト競争による賃金・労働条件の悪化、コスト削減による安全性の低下、そして利益優先による公共性の喪失という問題でした。

 

 例えば、所得階層の上位20%と下位20%を比較すると、1970年代はその差は約10倍でした。それが、2002年はその貧富の差は168倍にも広がったのです。 

 

 また、日本の一世帯当たりの年間所得の中央値は476万円なのですが、その半分の238万円以下の所得で生活する貧困層が6・5世帯に1世帯もあるのです。

 

 タクシーの運転手の場合、年収の全国平均は、1992年に378万円でしたのが、2004年には276万円にまで大幅に下がったのです。

 

 最新の統計によりますと、極端なリストラが進んだこの10年で460万人の正社員が失われ、代わって663万人ものパートやアルバイトが増加しました。正社員の平均年収が454万円なので、派遣社員(平均年収204万円)ならその半分、パート(同111万円)ならその4分の1の賃金で労働力が確保できるため、非正社員化に拍車がかかったわけなのです

 

 恐ろしい「格差社会」、貧民と富者との極端な差別化が始まったのです。一度ドロップアウトすると、這い上がることはできません。

まさしく、弱肉強食のジャングルの世界です。

フリードマンの(功)罪

レオナル・ド・ダヴインチ像(ミラノ)

ノーベル経済学者のフリードマン氏が16日に亡くなりました。94歳。新聞各紙は、彼の業績を讃える文言ばかり並べています。

何しろ、彼は、今の「世の中」を作った神のような人だからです。

 

http://news.goo.ne.jp/topstories/world/20061117/910a81d95d53a4805185d679c394066b.html

 

シカゴ学派の重鎮、フリードマン氏は、ひと言で言うと、市場原理主義者です。「競争市場は常に公平だ」という確信の下、政府などの介入や規制を極力排除して、自由市場経済を提唱した人です。

 

「自由」や「規制撤廃」などというのは、一見、素晴らしい思想に見えます。しかし、内実は「努力しないものはドロップアウトしろ」「儲けられる時に儲けるのがジェントルマンだ」といった弱肉強食の極端なエリート主義だったのです。

 

彼の主張には「食品や医療品に対する安全規制は技術進歩を遅らせることによって社会に弊害をもたらす」

 

「最低賃金法が雇用を阻害する」といったものがあります。彼の思想の正体がこれでわかるでしょう。

 

実際、彼は1965年にポンドの空売りをしようと目論みましたが、シカゴ大学のメインバンクである「コンチネンタル・イリノイ銀行」から「銀行は投機という反社会的な行動、あるいはそういうプロジェクトに貸付をしない」といった理由で断られています。

 

先物による商品や通貨の取引を全面的に自由化して、逸早く情報を得た者だけがその利益に預かるというのが彼の思想だったのです。

 

その後、彼の弟子である「シカゴ学派」の若き経済学者を政策委員に採用したチリやアルゼンチンの国家経済がどんなに混沌とした「対外債務危機」の悪循環を踏んできたか、歴史をみれば明らかです。

 

フリードマン氏が後世に与えた影響は神のように絶大です。世界経済で最も影響力を持つFRB前議長のグリーンスパン氏も現議長のバーナンキ氏も彼の申し子です。

 

ですからフリードマン氏を勇気を持って批判した内橋克人氏の「悪夢のサイクル」(文藝春秋)を読んだ時は、本当に驚き、かつ感心したのでした。

囲い込み運動

ミラノ

有楽町の三省堂書店で本や雑誌を買う度に、レジで「ポイントカードはありますか?」と聞かれるので、とうとう会員になってしまいました。会員といっても、年会費無料で、住所氏名年齢職業などを登録するだけです。

買った金額の1%が1ポイント、つまり、例えば1000円買うと、10ポイント付くシステムで、1ポイント1円。100ポイント以上貯まると商品券に代えられるお得なカードが発行されます。

「これは便利!」と思ったのですが…。

気がつくと財布の中には、このような様々なポイントカードがあることが分かりました。航空会社のマイレージカード、量販店のカード、CDショップのカード、理髪店のカード、パン屋さんのカード…。もう財布もパンパンです。

そして、はたと気がつきました。

「これは、他の店で買わせないようにする究極的な戦略ではないか。得したように見せかけて、結局、その金額を負担しているのは消費者であって、全く得していない。これは、単なる、手を換え品を換えた『囲い込み運動』ではないか!」

私のこの「理論」を証明してくれる本に最近出会いました。内橋克人さんの「悪夢のサイクル」(文藝春秋)です。内橋さんは、私の尊敬する数少ない経済評論家の一人です。

こういうポイントカードは、規制緩和政策によって、新規参入業者と熾烈な戦いに晒された既存の大手航空会社が、顧客を取り込む目的で始めた対抗策の1つだったということです。FFP(フリークエント・フライヤーズ・プログラム)と呼ばれますが、つまり、マイレージカードのことです。(これにより、新参入業者は敗退していきました)

そういえば、私の友人の本多さんは、帯広まで来るのに、わざわざ、釧路にまで行って、レンタカーを借りて帯広まで来たくらいですからね。つまり、彼は、全日空のマイレージカードしか持っていない。帯広は日本航空しか運航しておらず、全日空が乗り入れている釧路まで行ったわけです。

本屋さんも、日本全国に無数ありますが、このカードのおかげで、なるべくS書店で買うようになるでしょう。こういうけち臭い顧客のおかげで、弱小書店がつぶれていくわけです。

私はこのことを「囲い込み運動」と発言しましたが、もちろん、世界史に出てくる用語を拝借しただけです。未来の大人たち、つまり、世界史を履修しなかった今の子供たちは、ピンとこなかったと思いますが…。

まだ辞めない福井氏

福井さんがまだ恋々と権力にしがみついて、自己主張を繰り返している姿は、非常にみっともないというべきでしょう。

「辞めなくてもいい」と言っている連中も、自分に火の粉がふりかかってくるのを避けたい魂胆がある、と勘ぐりたくなります。

福井さんが辞めるべきだという意見の中で理論的に最も説得力があったのが、東京新聞のインタビューで登場したファンド・マネジャーの今田栄司氏の発言です。

彼によると、

1、村上ファンドのような私募型ファンドに参加できるのは、企業のオーナーか一部上場企業の社長などのVIPに限られ、一種の「秘密クラブ」になっている。

2、ファンドには裏保証として「10%の利回りは保証しまう」などと口約束で、元本割れしないようにこっそりと保証を約束している。(だから、福井氏の言う、若い人の志に賛同したなどいう奇麗事は詭弁にすぎない)

3、福井氏が2月に村上ファンドを売り抜けたのは、事前に村上逮捕の情報を知っていた節がある。これは究極のインサイダーではないか。

以上の3点だけでも、素人がみても大変説得力があります。

通貨の番人は日本だけに通用するのではありません。これだけ、グローバリズムの波が押し寄せている中、国際的にも非常に恥ずかしい話です。