ドラマ「熟年離婚」が今ブームだそうです。
渡哲也、松坂慶子扮する夫婦がいて、夫が定年退職したその日の夜に妻の方から離婚を言い渡す…という話らしい。一度も見たことがないのですが、話題になっているので、粗筋くらいは知ってます。その時、夫は「なぜだ!」と、三越の岡田社長(古い!)のように叫ぶことでしょう。
何やら、普通のトレンディードラマ(もう死語かもしれない)と違って、視聴者は40代、50代の主婦が多いそうです。ですから、この層をターゲットにしたCMがバンバン流れるそうですが、一度も見たことがないし、これから見るつもりもないので分かりません。とにかくそういう新聞記事を読みました。
ところで、親友のT君から面白い話を聞きました。彼が、塾の講師をしていた頃、子供の進路のことで面接すると、自然とその家庭の内部事情が分かってしまうそうです。結論を先に書くと、
「トラブルのない家庭は一軒もない」
ということです。子供の進路を相談している母親の話をじっくり聞いてみると、夫に対する不満は相当なもので、日々の生活のために、仕方がなくて夫婦生活を送っているというケースがほとんどだそうです。「熟年離婚」はドラマではなく、現実問題だったのです。
そして、もっと深くその主婦の言い分に耳を傾けてみると、大雑把に言えば、子供の進路などどうでもよく、夫に対する不満ももう諦めているのでどうでもよく、一番訴えたいのは、自分の家庭内の仕事、つまり、家事が、世間一般では誰からも認められることがないので、空しいこと。誰にも褒められも苦にもされず、結局、何の生き甲斐もなく、そんな無力な自分自身が腹立たしいこと…などが分かってくるというのです。
どこの家庭も似たり寄ったりで、旦那が世間的に尊敬される大学教授でも、奥方さんは夫を軽蔑しきって、裏で舌を出していたり、大豪邸に住んでいる医者の妻でも、退屈しきっていて、夫婦円満どころか、ほとんど家庭内別居状態だったりするそうです。
夫は働き者で、妻は料理上手で、子供たちは腕白だけど、勉強家。家庭円満で、絶えず笑顔があふれている…そんな60年代アメリカの絵に描いたようなホームドラマのような家庭は、まず皆無といっていい、というのが彼の結論でした。
私は妙に納得してしまいました。
だからこそ、人は、そんな理想とのギャップに悩むのでしょう。
だけど、皆さん、自信を持ってください。
もう一度繰り返します。
「トラブルのない家庭は、世の中に一軒もありません」
黒の舟歌
そもそも、男と女が理解しあうのは不可能に近いことであると思われます。
それでも今夜も船を漕ぐのは「奇跡」を求めてなのですね。
その「奇跡」のために流される涙と血といったら・・・。