今日の話は、面白いと思いますよ。
ミャンマー情勢は、私が怖れていた通り、日本人のカメラマンが射殺されるという最悪の事態に発展してしまいました。
前から、気になっていたのですが、英字紙を読むと、ミャンマーの民主化運動の指導者で、ノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スー・チーさんは、英語で Aung San Suu Kyi と表記します。何で、「アウン・サン・スー・キー」と言わないのでしょうか?どうやら、ビルマ語をローマ字に表記する際、「kyi 」は「チー」と読むように、取り決めたようなのです。
例えば、韓国語で、第16代大統領、盧武鉉は、Roh Moo-hyun もしくは Roh Moo-hyeon と表記され、「ノムヒョン」と読みます。何で、「Roh」が「ロー」ではなくて、「ノ」と読むのでしょうか?
これもどうやら、韓国で、Rの字は、文中では「ラリルレロ」と発音しますが、文頭にRが来た場合、「ナニヌネノ」と発音するように取り決めたようなのです。
同じように、中国では、「X」は、「サシスセソ」と発音します。例えば、Xian と書いて、シーアン、つまり西安(地名)のことを指します。普通、Xは、欧米人は「サシスセソ」なんて、読めません。しかし、中国ではそう取り決めたのです。
もちろん、日本と同じように、「Sh」で「サシスセソ」と発音します。たとえば、Shanghai 上海,、なんかそうです。でも、この場合のサシスセソは、かなり、巻き舌で発音するそうなのです。(中国語に精通した人は、その明白な違いが分かると思います)
さて、日本語のローマ字です。我々が普段、何気なく使っているローマ字は、いわゆるヘボン式と呼ばれるもので、そう、発音するように取り決められたものです。ヘボンというのは、今ではヘップバーン、あの、オードリー・ヘップバーンのヘップバーンと発音しますが、明治時代に、かの明治学院大学を創設した人ですね。
だから、日本語のローマ字表記が世界共通語だと考えるのは間違いだったのです。
すごい、勉強になりました。
アメリカの大統領が、国連演説の草稿に「発音記号」、日本語でいえば、「ふりがな」が振ってあったことが、暴露されましたが、笑えないジョークだとやっと分かりました。例えば、日本の井上さんの場合、フランス語で Inoueと書いても、フランス人は「イノウエ」と発音できません。ほとんどの人が「イヌウ」もしくは「イヌエ」としか読めないのです。
アメリカの大統領も、ふりがなが振っていなければ、きっと「アウン・サン・スー・キー」と読んでしまったことでしょうね。
この論考の間違いを指摘してくださる方、もしくは補足してくだささる方。大歓迎です。
ビルマ語のkyi
私見では、ビルマ語でkyiを「チ」と発音するのは、べつに「取り決めた」のじゃなくて、かの言語ではそうとしか発音できないから、だとおもいます。北京語も「チ」で発音しますでしょう。北京はペイチンといいますよね。ビルマ語ではtokyou,kyoutoはトウチョー、チョートと「なってしまう」のです。こういうのを音韻体系が異なるというようです。
イタリア人もびっくり
10月2日付の産経新聞で、イタリア人のジローラモさんが「イタリア人も迷うローマ字」と題して面白いことを書いていました。
日本語の場合、「じ」は「ji」とローマ字で表記しますが、伊語の場合、「じ」は「gi」と書くそうです。同じように、「ぎ」は日本は「gi」だけど、伊は「ghi」となる。
東京は中国で「Dong Jing」と書き、これで、「トンチン」と発音する。つまり「ち」の音は日本で「chi」、中国で「ji」、伊で「ci」と表記するのだ。
同じ時期に、イタリア人もローマ字表記のことを書いていたので、おかしかった。
中国語は難しい、韓国語も難しい!
かの国の言語(中国語)では、母方の妹の長男と長女で
は呼び名が異なるのだそうです。ですから「いとこ」
と言っても誰を指すか厳密に調べておかないと、電話
連絡にせよ、手紙による伝達でも不可能とか。
(次に日本と同様、謙譲語、尊敬語が使われている韓国
でのお話しです)
ジャーナリスト萩原遼がソウルへと取材へ出かけた
際、タクシーを利用しました。そこで最初は「おじさ
ん」とくだけた言葉で呼びかけていた運転手が、萩原
が韓国語に堪能であり、「われわれは観光ではなく、
取材で訪れたのである」と話すうちに、彼は最高レベ
ルの尊敬語を使い、萩原のことを「先生」と呼び始め
たそうです。
参考文献:萩原著『ソウルと平壌』
謝謝
そうなんですか!
面白い話、興味深い話を有難うございます!
中国語を読む、会話する
漢字には名詞とか動詞とか形容詞といった品詞の区別
がない。過去、現在、未来といった時称もなく、能動
態受動態もない。
こうした特性で、漢字(だけで)は微妙なニュアンスを
伝えることができない。
そのせいか、英語や日本語が達者な中国人に出会い、
それらの言語で意思疎通を図る場合は、豊かな表現を
用いて会話を楽しむことができるが、いったん中国語
に切り替わると、表情は大げさになり、動作も派手で断定的なうえ教条主義的な言葉を発することとなる。
岡田著『中国意外史』より
中国語、摩訶不思議な世界
ZH、CH、SH、Rという巻き舌音は北京語にしか
ない。これをその他の地域の人間が聞いても、Z、
C、S、Yにしか聞こえない。このような聞き分けに
くい発音を仕分けることが中国全土では不可能であ
る。
zhongguoと書いても、「中国」なのか、「宗国」なの
か「祖国」なのか、地方の人間には区別できない。
また地方の人間が自分の苗字を北京語のつもりでなま
ってZangとローマ字で書いても、別の地方の人間にと
っては、それが漢字表記「張」なのかまた別の読み方
なのかわからない。
漢字を廃止すると大事になる。ローマ字なら各地域ご
とに違う話し言葉が出てくるからである…
以上は岡田英弘氏の著書『皇帝たちの中国』からの引
用でした。