我がオーディオ・ビジュアル遍歴

 公開日時: 2008年1月13日

先日、DVD再生機を買ったため、私のこれまでのオーディオ・ビジュアル(AV)遍歴に思いを馳せてしまいました。私たちの世代ほど、色んな機器やソフトに遭遇した世代はないと断言できます。

 

まず、小さい頃、家にSPと蓄音機があったのです。夭折した祖父が音楽の先生だったため、当時の人にしては結構、クラシックの名盤を持っていたようです。でも、私が覚えている範囲では、家にあったのは、童謡です。「かわいい、かわいいお魚屋さん」とか「青い目をしたお人形」なんて曲があったような気がします。78回転のSPは、落とすとパリンと簡単に割れてしまい、引越しで蓄音機とも処分してしまったんじゃないでしょうか。

 

小学生の頃は、ソノシートでした。「忍者部隊月光」だの「忍者サスケ」だの「鉄人28号」だのといったソノシートを買ってもらいました。少年向けの月刊漫画誌「冒険王」や「少年」などに付録としてソノシートが付いていたと思います。

その頃、兄がよくビートルズのレコードを借りてきました。ということは家にレコードプレーヤーがあったということなのでしょうね。覚えているのは、本当に、雑なスピーカーが1つ内蔵された小さなプレーヤーです。ビートルズのレコードで覚えているのは、4曲ぐらい入っているEP盤です。四人が大きなバネみたいなものを持っているジャケットで、当時日本の何処にも売っていなかったピンクのボタンダウンのシャツを着ていて、「格好いいなあ」と思いました。「ミッシェル」「ガール」「一人ぼっちのあいつ」などが入っていました。1965年のラバーソウルの頃ですが、当時はとてもLPなど高くて手に入りませんでした。

私が生まれて初めて買ったシングル盤はビートルズではなく、どういうわけかビージーズの「ジョーク」です。400円だったことは覚えていますが、B面の曲は覚えていないんですよね。もちろん、レコード自体もどっかにいってしまいました。

兄がビートルズ派だったのに対し、姉はローリング・ストーンズ派でした。「ビッグ・ヒッツ」というベスト盤を借りてきたのか買ったのか持っていました。おかげで、ビートルズもストーンズも初期の頃からほとんど聴くことができたのです。

初めて父がステレオを買ったのは1969年でした。ソニーのインテグラという奴です。その時に初めてビートルズのLPを買ってもらいました。ビートルズはまだ現役だったので新譜です。そう「アビイロード」です。それからはビートルズに狂って、LPを買い集め、高校生の頃にはほとんど彼らのLPを買い揃えました。もうビートルズは解散してしまい、レッドツェッペリンやイエスやT-REXなどにも夢中になりましたけど、長くなるので後日また。

AVの話でした。テープレコーダーもソニーのオープンリールのものが小学生の頃にあり、カセットテープに変わったのがいつか覚えていません。しばらく、LPとカセットの幸せの時代が続きましたが、1980年代の後半になって、段々CDに席捲され、91年か92年にせっかく集めたLP、シングルはすべて中古屋さんに売ってしまいました。ビートルズの貴重な海賊盤もあり、私には宝物で百枚ぐらいあったのですが、全部で1万円にしかなりませんでした。1枚百円だったとは!

MDを買ったのは結構遅く、1998年から99年くらいじゃなかったでしょうか。これで、カセットは次第に消えました。

これで充分かと思ったら、iPodが出てきました。これは語学の勉強のために、2006年に買いました。遅いでしょう?そして、今年のDVDです。家庭用のDVD機器が1996年に出たということですから、これまた遅い!

ところで、もう、最近の若者たちはCDだのMDだのといったパッケージものは買わないそうですね。iPodなどにダウンロードするんですよ。昔はレコードジャケットにその芸術性と憧れと希望があったものです。「サージェント」のジャケットがその代表です。ジャズもそうです。コルトレーンもマイルスも名盤と言われるLPにはジャケットには味がありました。ジャケットに憧れてLPを買ったものです。

今週の英経済誌「エコノミスト」によると、、EMIの重役が、最近の若者の音楽の嗜好と動向を知りたくて、10代の若者をロンドンの本社に招待したそうです。話を聞き、終わってから、「お礼に君たちの好きなCDを、何でも好きなだけ自由に持っていっていいですよ」と若者たちに呼びかけたそうです。それなのに、CDを持ち帰った若者は一人もいなかった!というエピソードを紹介しています。これが2006年の話なのです。今、CDの売り上げが驚愕するほど落ちているという話です。

えー!信じられません。私の場合は、好きなアーティストならすべてのCDを集めたいくらいなのですが、今の若者は「いいとこ取り」で、アーティストに拘らず、いい曲だけをダウンロードするようなのですね。

へーと思ってしまいました。

もう、MDも古臭い媒体になりつつあり、今、ICレコーダーといって、ステレオで585時間も録音できるような機器が登場しています。据え置きのテレビ録画機もDVDなんてもう面倒臭いものは使わずハードディスクに直接入れてしまう。いやあ、もう、すごい進歩というか進化です。

こうして、見ていくと、SP-ソノシートーLP-オープンリールーカセットーMD-VHS-DVDーICレコーダーと、すべて、「互換性」がないので、その度に次々と買わされて、欺瞞というか、騙されたような気になります。

だって、もう、SPもソノシートもLPもテープもVHSも用済みになってしまったからです!

しかし、「内需拡大」に貢献するわけですし、日本経済の発展にもつながります。後ろ向きにならず、「長生きしてよかった」と思うことにしています。

“我がオーディオ・ビジュアル遍歴” への4件の返信

  1. 聞くに値しない曲が増えたらやだな。

    無料音楽配信は実はもうすぐそこまできているのです!広告収入でまかなえるのですよ。
    TV番組がコマーシャルのスポンサーでできているみたいなもんです。
    「見るに値しない番組」が増えたと同じ理由で、聞くに値しない曲、スポンサーの息がかかったコマーシャルな曲が増えるのではないかと音楽を少しでもかじっているものとしては耐え難い流れです。
    http://japan.cnet.com/
    はなかなかよい情報があります。Cnetの日本版です。友人がここで記事を書いているのと仕事上デジタルな情報を仕入れるため、よくのぞいているサイトです。

  2. すごいですね 
    色んなサイトがあるんですね。
    らくだ3さんには、いつも、大いに教えられます。
    「曲の価値が一時的になる」のですか?
    私なんか、もう、化石世代みたいな気になりました。

  3. そのうち無料音楽配信も
    本当に時代は変わっていきますね。
    音楽配信は、そのうち無料サービスとなる日も近いでしょう。今年は、大きな流れがくるかもしれないようです。
    こんな記事が出ていました。
    http://japan.cnet.com/special/media/story/0,2000056936,20364668,00.htm

    曲への思いいれは、CDジャケットのデザインなどもすべて含めてだったものですが、すべてデジタルでしかも無料となると、曲の価値も一時的なものになるかもしれませんね。

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