嫌な東京人

Rome

「クルマを捨てて歩く!」(講談社新書)の著書がある帯広畜産大学教授の杉田聡さんは、広い北海道の大地で、車を持たずに、絶えず歩く、という記事を読みました。(9日付朝日新聞)懐かしいですね。

杉田さんは、自宅と大学まで片道3キロ、近所のスーパーまで週2回、1・5キロを、よほど体調が悪い時を除き、吹雪の日も、零下30度の朝も、只管、歩くそうです。

私も経験があります。帯広に住んでいた頃、自家用車を持ちませんでした。只管、歩きました。でも、最低温度を経験したと言っても、零下19度くらいだったと思います。帯広では、マイナス10度を上回ると、暖かいと思ったくらいでしたが、さすがに、マイナス19度は、堪えました。耳が千切れるので、毛糸の帽子は欠かせません。もちろん、オーバーに手袋。それでも、頭がクラクラすることがありました。歩くといっても、1キロくらい。せいぜい20分か30分くらいです。ほとんど人間は歩いておらず、鹿さんやキタキツネさんと出会いました。

杉田さんは言います。「車は速すぎて、人間の認知速度ではない。他人の思いやりを可能な限り深めることが文明化であるなら、車は文明の利器かもしれないが、文明を破壊する道具ではないか。歩いている限り、多かれ少なかれ人と出会う。車という個室化された自分の領域に入ると、外部の人間のことが分からないと思う」

今、東京のどす汚れた大気汚染の中を歩いています。無関心を装う人間とすれ違うだけです。東京の人は、身内贔屓と、傲慢と贅沢三昧の海外高額出張する人間が大好きなようです。ババア呼ばわりされても、自分のことではないと思っているらしい女性の多くが彼を支持しました。

大新聞に投書した東京に住む45歳の主婦は「影響力の大きさと実行力、思いをかねようとするエネルギーの強さ」に目がくらんで、彼を批判しつつ、清き一票を入れたそうです。

矛盾しているなあ、と思ったら、結局、ご自身が一番大事なのですね。

そういう東京が嫌になりました。

音更町で見た目に痛いほど降り注ぐ星々が忘れません。闇夜一面に星が広がり、自然への畏怖を感じたものです。倣岸な人間など、吹き飛んでしまいます。

水も空気も食べ物も美味しく、暖かい温泉が身に染みました。

東京人は、自分を中心に世界が回っていると考えている人間が何と多いことか!