責任転嫁の極地 

米乱射事件のチョ・スンヒ容疑者の動機は、富裕層に対する強い憎悪と被害者意識。長崎市長銃撃の城尾哲弥容疑者の動機は、市の事故補償対応への不満。…いずれも、責任転嫁の極地というものでした。

本人にとって、今の不遇の状況は「社会が悪い」「学校が悪い」「親が悪い」「友達が悪い」「政治が悪い」といった、自分を棚に上げて、すべて周囲のせい。

「責任はすべて自分にある」「今の状況を作っているのは、自分だ」という真理に気づけば、あのような事件は起こさなかったはずです。

銃撃犯の二人とも、事件の最中と事前にテレビ局に犯行声明や、それに準じたものを送りつけていました。自己を正当化したかったのでしょうか。被害者にとっては、おぞましくて正視に耐えられないものでした。

なぜ、責任を自分で背負い込むことができないのでしょうか。他人のせいにすれば楽だからでしょうが、よく分かりません。

23歳の若者で、世間知らずだからという理由が浮かびますが、59歳にもなって、自己の正当性という間違った考え方を武力で行使する人もいるわけですから、他人からは本当のことは、伺い知ることはできません。

突然、話を変えて、あの若大将の加山雄三さん。何と今年、70歳になったそうです。往年の2枚目俳優上原兼の息子として生まれ、子供の時から苦労知らずのおぼっちゃんとだとばかり思っていたのですが、中々苦労人だったのですね。1960年に23歳で東宝デビューし、「若大将」シリーズでトントン拍子。しかし、1970年の33歳の時、共同オーナーだった茅ヶ崎パシフィックホテルが倒産して、23億円の負債を負ってしまうのです。

家財道具一切を差し押さえられ、本当に喰うや喰わずの生活で、生卵を半分にしてご飯を食べた生活もあったようです。しかし、その苦労を乗り越えて、借金は10年で返済してしまうのです。

もちろん、不幸の最中は、「他人のせい」と恨んだこともあったのでしょうが、最終的には自分で責任を取って、完済してしまうのですから、改めて見直してしまいました。

59歳から始めた油絵は玄人はだし。

「苦しみは 幸せを 幸せに思う心をあたえてくれる」というのが、座右の銘です。