「帝国海軍vs米国海軍」


 


  文芸春秋11月号の「帝国海軍vs米国海軍 日本はなぜ米国に勝てないのか」を読んで驚いてしまいました。このブログでも何回か取り上げましたが、同誌が特集した「昭和の陸軍」(6月号)、「昭和の海軍」(8月号)に続く第3弾の座談会です。


 私は昭和初期の歴史に興味があるので、本当に食い入るように読んでしまいました。


 座談会の出席者はおなじみの、半藤一利、福田和也、秦郁彦、戸高一成、江畑謙介、鎌田伸一の各氏です。本当に「オタク」じゃないかと思えるくらい、彼らは細かい事歴に精通していますね。本当に頭が下がります。


 


 私が驚いてしまった、と書いたのは、ミッドウエー海戦のことです。あれで雌雄が決して、日本の敗戦が決まったようなものなので、私は、最初から日本は勝ち目がなく、随分、無謀なことをやったものだ、とばかり思っていたのですが、座談会の列席者によると、戦う前は、どちらが勝つか分からず、むしろ、日本軍の方が圧倒的に優勢だったというのです。


 ミッドウェー海戦を指揮したスプルーアンス氏も後年、秦氏に対して「私はラッキーだった」と非常に謙虚に述べたというのです。当時の日本海軍の第一航空艦隊は世界最強と言われ、パイロットの練度、士気、航空機の性能などからして、この評価は妥当だったというのです。


 要するに、戦う前は、兵力も戦闘能力もアメリカ側が劣勢だったらしいのです。


 


 この話には驚いてしまいました。歴史にイフがなく、結果的に日本側の失態で負けてしまったわけですから、今から何を言っても始まらないのですが、「随分、無謀なことをやっていた」という考えだけは改めなければならないと思いました。おっと、「君は随分、右翼の軍国主義者に変貌したね」と言われそうですが、もし、あの時代に私が生まれていたとしたら、小林多喜二や三木清にはなれなかったと思います。


イデオロギーや主義では生きてはいませんから。