「ボーン・アルティメイタム」

 マット・デイモン主演の映画「ボーン・アルティメイタム」を見てきました。

 

いやあ、ハラハラドキドキというのは、素晴らしかったという意味での感想で使われますが、最初から最後までハラハラのし通しで、心休まる時間がなく、途中で逃げ出したくなってしまいました。

全編を通して、殺し合いをしているか、殴り合いをしているか、車かバイクでカーチェイスしているか、人間同士で追いかけっこをしているかの場面ばかりで、止まらないジェットコースターに乗っている気分でした。

アメリカの人は、ここまで、精神的に追い込まれているんですかねえ?茲までストレスが溜まっているんですかね。こういう映画でないと、ストレスの発散ができないんでしょうかね?私は、途中で何度も目をつぶってしまいました。

同じマット・デイモン主演のCIA映画「グッド・シェパード」とは、正反対の映画でした。

映画を見終わった後、日本人として、もっと、落ち着いた侘びとか、寂びの世界に浸りたくなってしまいました。そしたら、一緒に見た野寺さんが、今度、表千家の茶の湯にご招待してくれることになりました。

本当に楽しみです。茶の湯は、精神修養と優美な礼儀作法を学ぶ場でもあるからです。

哲学者の梅原猛氏によりますと、昔の日本人は50歳を過ぎれば隠居したといいます。隠居というのは、一切の世事を免れ、ひたすら自分の中にこもって自己の生を反省し、また生まれ変る日に備えるというのです。近代哲学の祖、ルネ・デカルトも「よく隠れる者はよく生きる」というストア派の哲学者の言葉を自己の生活のモットーにしたそうです。

しかし、梅原氏の昔とはいつの時代を指すのか分かりませんが、今の日本では、80歳過ぎてもギラギラして、世事にかまけるどころか、あからさまに介入してくる輩が多いようですね。

私は、人間が生まれ変るという思想は持ち合わせてはいないのですが、ある程度の年齢になったら、世事から解放されて、日本人らしく侘び寂びの世界に浸ってみたいと思っています。「ボーン・アルティメイタム」を見て、そのきっかけとなり、気持ちがはっきりしました。