東博「正倉院の世界」展は満杯だった

 東京・上野の東京国立博物館で開催中の「正倉院の世界 皇室がまもり伝えた美」展(読売新聞社など主催)(当日1700円)に行って来ました。

 読売新聞を読んでいないと、こんな展覧会が開催されているなんて、さっぱり分かりませんが、つまり、朝日や毎日や日経や東京や産経を読んでいてはその存在自体も知りにくいのですが、さすが、天下の読売です。その「力」で、平成館の入り口前には長蛇の列が出来ていたので、吃驚しました。

スカイツリーが見えました

20分近く並んでやっと入れました。

説明するまでもなく、正倉院とは、奈良にある聖武天皇の御遺愛品を収蔵した倉庫でしたね。今回、新天皇陛下の御即位ということで、特別に公開されることになったのです。

正倉院の原寸大(?)の模擬建造物

 恐らく廃仏毀釈のせいか、明治になって、法隆寺から皇室に献納された宝物も今回展示されていました。

 とにかく、読売新聞の力で、会場内は超満員で、展示物を飾ったガラスケースの前は、二重三重のとぐろが巻かれていました。

 宝物を見に来たのか、人間を見に来たのか、区別がつかなくなるほどです。

上の写真は、「螺鈿紫檀五弦琵琶」です。模造なので、館内で数少ない写真撮影オッケーの宝物でした。パンフレットには、11月4日までの「前期展示」と書かれているので、前期には模造ではなく、本物が展示されていたのかもしれません。(私が訪れたのは11月16日でした)

今回の展示で、私が注目した1点だけ挙げるとしたら、「蘭奢待(らんじゃたい)」(黄熟香=おうじゅくこう)です。写真はありませんが、「天下人が切望した香り」とあるように、「門外不出」どころか、本来なら触ることも厳禁だった香木ですが、3カ所だけ、くっきりと切断されて持って行かれているのです。その3カ所にはわざわざ名前が書かれていて、それは「足利義政」「織田信長」「明治天皇」だったことが分かっています。一体どんな香りだったのか、興味が湧きますね。切断された空洞は、権力の象徴に見えます。

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 人混みが大嫌いなので、本館で開催中の「文化財よ、永遠に」展に移動しました。正院院展のチケットを持っていたので、そのまま入れますが、ここだけ入るには620円の観覧料が必要です。でも、それだけの価値はありました。

 同展は、住友財団が修復した仏像が展示されていました。中には、昭和18年に日本から仏領インドシナのフランス極東学院に送られた鎌倉時代の阿弥陀如来立像(ベトナム国立歴史博物館蔵)が、75年ぶりに里帰りし、修復された姿が展示されていました。

 変な言い方ですが、私は仏像が大好きです。対面すると心が落ち着きます。大変信仰深い仏教徒とは言えないかもしれませんが、自然と手を合わせてお祈りしたくなります。やはり、自分は日本人なんだなあ、と思います。

 今さらながらですが、観音様と一言で言っても、観音様には「千手観音菩薩」「十一面観音菩薩」、それに「聖観音菩薩」「如意輪観音菩薩」など本当に色々とあります。正直、その違いと意味合いについて深く分かっていないことに気づき、ミュージアムショップで、手頃な本を探しました。

 そしたら、ありました、ありました。「仏像でめぐる日本のお寺名鑑」(廣済堂出版、1650円)です。仏像の種類について何でも書いてあり、特に国宝や重文の仏像が御本尊になっている代表的なお寺まで紹介されています。これを参考に、小生の寺社仏閣巡りに拍車をかけたいと思っています。正直、ウキウキ、ワクワクです。