新型コロナでなければニュースではない

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 右を見ても左を見ても、上を見ても下を見ても、「新型コロナ」一色で、新型コロナに関連しないものはニュースではない、という勢いです。

 美談がたくさんある一方、「パチンコ店に押し寄せる県外ナンバーの車」「人が来ないように伐採されてしまった満開のチューリップや藤の花」「看護師の子どもの通園を拒否する保育園」「『感染者が出た』とデマを流して飲食店を閉店させた輩」…ちょっと耳を塞ぎたくなるような心無いニュースも聞かされます。日本人ってこんな民族じゃなかったのになあ…。

 経済関連は良い事一つもなし、といった感じで、ソフトバンクグループは30日に、2020年3月期の連結純損失(赤字)が9000億円に拡大するとの見通しを発表しました。9000億円ですよ。今年度の一般会計予算で鹿児島県が約8400億円、長野県が約9400億円などと言われますが、どれくらいの規模なのか分かります。(もっとも、ソフトバンクの有利子負債は桁違いにも15兆円もあります)

 当然ながら、1929年以来の世界大恐慌が予想されています。それなのに、本日(4月30日)なんか、世界主要国の株式は値上がりしてるんですよね。NYダウは532ドル高、東京の日経平均の終値は、3月6日以来約1カ月半ぶりに2万円台を回復しました。どうやら、エボラ出血熱用に使われている抗ウイルス薬「レムデシビル」が新型コロナにも効くんじゃないかと、治験で好成績が確認されたことが原因らしいですね。

 こんなチグハグな状況だから、危機意識の全くない命知らずの人間が暴走したり、公共心もない行動を平気でやる輩が出てくるのです。

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 その一方で、どうも、新型コロナに関しては、世界中の人々が「見えない恐怖」に怯えていると思います。もし、新型コロナウイルスの色が肉眼で見えたり、臭いがしたりしたら、そして、何よりも「死に至る病」ではなかったら、これほど大騒動にならなかったことでしょう。「感染経路が分からない」というのが一番厄介です。

 識者によれば、日本では最初の武漢ウイルスは3月半ばに収束したものの、変異したウイルスが欧州に蔓延し、その変異ウイルスが日本に入ってきて、3月末からの拡散につながったようです。

 となると、また色々と変異して強くなれば、夏場に収束しても、また今冬、来年もと第2波、第3波が来ることを覚悟しなければなりません。来年の東京五輪開催も怪しくなってきました。日本だけの問題じゃないですからね。

 これは、100年前のスペイン風邪流行(1918~1920年)の教訓が教えてくれます。3年かかったわけです。全世界で患者数約6億人で、2,000万から4,000万人が死亡したとされています。100年前も都市封鎖や学校休校、商店閉鎖などの措置が取られたようですが、犠牲者の多さには茫然とします。

 100年前も「自宅待機」が半ば強制されたでしょうが、今と比べれば本当に大変で、今の100倍以上の忍耐を強いられてことでしょう。今のようにテレビもなければ、インターネットもなく、ネットフリックで映画を見たり、SNSで顔を合わせて通話したり、zoomで社内会議したりもできませんからね。

 昔の人は偉かった。