【音声】La brise du ciel bleu(青空のそよ風)

La brise du ciel bleu           Copyright musique par Keiryusai

昨日は、動画を試してみましたが、今日は音声を試してみたいと思います。

順番が逆やろ!ーと茶々を入れたくなりますが、そうなってしまったものは仕方がありません(笑)。

音声データも、著作権がありますから、他人様の音声を勝手にアップするわけにはいきません。

そこで、私は自称ミュージシャンですから(笑)、5、6年前に作曲した曲を下手くそな自分のギター演奏でアップすることにしました。

ギターは、Ovation Celebrity cc153モデル。

タイトルは、La brise du ciel bleu 日本語名は「青空のそよ風」です。

気に入ってくだされば幸いです。

I hope you like it!

「運慶」見て来ました★★★★★

東京国立博物館平成館

東京・上野の東博で開催中の「運慶」を見て来ました。京都国立博物館の「国宝」と同じように、こちらも運慶展などと言いません(笑)。

京都のように、かなり並ばされるかなあ、と覚悟してましたが、小雨の悪天候のためか、週末なのに並ばれずに入れました。ただし、館内は二重三重の大混雑でした。

出展作品は、仏像や四天王が主ですから、本来なら荘厳なる寺院で敬虔なる面持ちで拝さなければならないのに、こうして美術作品のように鑑賞するのも何か変な感じがしました。

こちらにも「国宝」がありました(笑)。あの美術の教科書にも載っている東大寺の「重源上人像」も出品されていたので吃驚。作者名はなく、「運慶作とみられる」ということで展示されていたようです。割と小振りですが、生前の上人の性格から強い意志まで見事に表現しておりました。

運慶と言えば、誰が何と言っても、奈良・東大寺南大門の「金剛力士像(阿吽像)」でしょうが、まさか、東京まで運んで来るわけにはいきませんよね。

作品の殆どは、奈良・興福寺蔵のもので、ちょうど今、興福寺では国宝館の耐震工事や中金堂の復元などが行われているため、こうして、寺院外での展示が実現したのでしょう。

これだけ大天才の芸術家の運慶なのに、興福寺の仏師康慶の息子であること以外、生年不詳なんですよね。「風神雷神」の俵屋宗達もよく分かっておりませんが、大天才に限ってそんなもんかもしれません。

今回、私が最も気に入った展示品は、運慶の三男康弁(生没年不詳)の「天燈鬼・龍燈鬼立像」のうちの天燈鬼像でした。これも美術の教科書なんかによく載っています。

高さ約78センチ。普段は四天王に踏みつけられている邪鬼が主役です。天燈鬼は、2本の角と三つの目を持ち、燈籠を左肩に乗せて踏ん張ってます。いいですねえ。普段は、皆んなに恐れられ、汚わらしいと忌み嫌われ、差別されている鬼さんが主役です。本当は心優しい働き者なんですよ、とでも言いたげです。

この作品は、エヘン、国宝です。

東博を出て、昼時でしたので、上野名物トンカツ屋さんにでも行こうかと思いましたが、今は、哀しい哉、立ち喰い蕎麦の身分です。

しかし、わざわざ上野にまで出て来て立ち喰い蕎麦ではあまりにも味気ない。ということで、久し振りに上野警察署近くの「おきな庵」に行ってきました。知る人ぞ知る名店でいつも混雑してます。

思い切って、天麩羅蕎麦950円。やはり、邪鬼としては、身分不相応でした(笑)。

京博120周年記念展「国宝」、養源院、堀川三条「力」の女将さん、

京都タワー

二泊三日の駆け足で、非常に充実、満喫した京都の旅を終えて、今、帰宅の新幹線の中です。(10月9日午後5時40分記)

驚いたことに、京都駅は大変な大混雑で、東京までの新幹線は2時間先までの予約席は、全て満員完売。せっかく、事前に指定席券を買いましたが、自由席に飛び込み、ギリギリ座ることができました。

今回の京都旅行の目的は、49歳の若さで亡くなった京洛先生の奥方様ゆりさんの13回忌の法要に列席するためでした。

そのことは、また明日以降に記録させて頂くとして、忘れないうちに本日あったことを書いてみます。

本来なら3日前の方が忘れてしまうので最初に書くべきですが、順序があべこべですねえ。何だかよく分かりません(笑)。

まずは、9日午前中は、念願の国宝展(1500円)に行ってきました。京都国立博物館開館120周年を記念した大博覧会で、本当は、国宝展ではないのです。展は付きません!たった二言「国宝」だけなのです。「頭が高い。分かったかあー⁉︎ 」というスタンスです。威張ってますねえ(笑)

開館時間の午前9時半。市バスで、京博前で降りたところ、びっつらこきましたよ。人、人、人。京博の周りをとぐろを巻いたようにグルグル列が並び、最後尾を辿ったら、東山七条の妙法院辺りまで列が連なってました。

結局、1時間並びましたが、その甲斐はありました。まさに眼福。目に青葉 山ほととぎすでした(意味不明)。

感動の嵐でした。何しろ、じぇーんぶ、ほんまもんの国宝なのですから。

私が実物を見て特に感服したのは、「法然上人絵伝」「信貴山縁起」などの絵巻でした。800年ぐらい経っているのに未だに鮮やかな色彩には驚かされました。

あと、パンフレットに載っていた志賀島の金印や伝源頼朝像(神護寺)も見たかったのですが、この後に公開されるようでした。展覧会は四期に分かれて展示されるので、「こりゃあ最低4回は来ないとダメだなあ」と思った次第。

京博の近くの寺社仏閣として、長谷川等伯の絵画がある智積院と、俵屋宗達の象の絵画などがある養源院を京洛先生から紹介してもらいましたが、時間の関係で養源院だけしか行かれませんでした。

でも、こちらは大正解。ドンピシャリでした。ちょうど、最近、関ケ原の戦い前後の歴史を勉強していたので、まさに登場人物がドンピシャリ合ったわけです。

養源院とは、織田信長に滅ぼされた北近江城主浅井長政の戒名だということを不勉強にも知りませんでした。長政の正室お市の方は信長の妹。2人の間の長女茶々は、豊臣秀吉の側室淀君。三女お江は、徳川二代将軍秀忠の正室という華麗なる一族でした。

この養源院は当初、淀君が秀吉の了解を得て父長政の二十一回忌の供養のために創建したものでした。程なくして焼失してしまいますが、今度は妹のお江が秀忠の許しを得て、表向きは徳川家臣の菩提寺として復興します。

その際、消失した伏見城から広間や襖絵なども移築します。特に、関ケ原の戦いの前哨戦とも言われた伏見城の戦いで、石田三成勢に囲まれて籠城した徳川家臣鳥居元忠ら将士が切腹して血染めになった廊下を、この養源院では血天井として使われていました。

養源院

このほか、何と言っても、画壇に出てきたばかりの若き俵屋宗達(生没年不詳、「風神雷神図」で有名)による象や麒麟、松の襖絵が、手で触れるぐらいの身近で見られることです。

ここはお薦めです(拝観料500円)

けつねうろんをご馳走になってしまいました。

旅先を急いでいたのは、堀川三条商店街「力」の女将さんと午後1時にお会いする約束をしていたからでした。京博に入るのに随分時間を取られてしまいましたからね。

堀川三条通りは、坂本龍馬がおりょうさんと逢引を重ねた所でした。このことは、またいつか書きます。そして、物識りの京洛先生によると、六車線ある京都市内でも指折りの広い大通りである堀川通りは、米軍占領時代、米軍機の滑走路として使われていたそうです。

最近、占領時代の京都を舞台にした本が出版され、そこには烏丸通りで、米軍が示威行動のために軍事パレードしていたという話が載っているらしいですが、堀川通りのことも書いてあるのかしら。

「カフェKEIZO」は、いつもいつも行列

堀川三条商店街のレストラン「力」は、残念ながら、諸般の事情があって店仕舞いしてしまい、次に入るテナントさんが、この商店街の近くでやっている「カフェKEIZO」がチョコレート専門店として、出店するという極秘情報を掴んできました(笑)。

この「カフェKEIZO」は、雑誌に載ったのか、ネットに載ったのか、超人気有名店として浮上し、東京から日帰りで訪れるお客さんもいるとか。コーヒーのほか、軽食とスイーツを売り物にしているようです。

で、「力」の美人の女将さんは、前回ここで食事した時は、キリッとしてましたが、お店をやめてしまったので、すっかり穏やかな表情の一般の市民になっておりました(笑)。京洛先生のお導きで、お頼みしたわけでもないのに、何が悲しいのか、この「渓流斎日乗」の熱心な愛読者になってしまい、今では12年前のアーカイブ記事まで読んでくださっているというお話でしたから、有難い限りでした。

この懇話会で面白かったのは、京洛先生が清水寺近くにある松寿軒の饅頭は、建仁寺や高台寺にもおさめていてとても美味いといった話でした。

私は全く知らなかったのですが、薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう=最近は、簡略して上用饅頭と記されているようです)と言われる饅頭にはアンコの中に隠し味として、自然薯が入っているそうですね。

そしたら、頓知の効いた女将さんが「お芋の入って無いのは蒸しパンや」と仰るので皆んなで大笑いしてしまいました。

「エル ELLE」は★★★★

ポール・ヴァーホーヴェン監督作品「ELLE エル」をやっと観に行って来ました。東京・日比谷のシャンテシネマにまで行ったのですが、今、この辺りに、どでかいビルが建設中で、東京宝塚歌劇辺りの道路まで工事現場だらけでした。

さて、ヴァーホーヴェン監督は「氷の微笑」や「ショーガール」など官能サスペンスで知られていますが、この「エル」も彼得意のジャンルのようです。

代表作に「ロボコック」などもあるオランダ人のヴァーホーヴェン監督(78)は当初、ハリウッドで映画化する予定でしたが、主役のミシェル役がなかなか見つからず、原作(フィリップ・ディジャン「ベティ・ブルー」原題”Oh…” 2012)も場所もフランスであり、イザベル・ユペールがミシェル役に名乗り上げてくれたことから、フランス・ドイツ・ベルギーの三カ国合作映画になったようです。

スリラーサスペンス映画なので、結末は書けませんが、ゲーム会社の社長を務めるミシェルが、自宅で覆面を被った男に暴行されるという衝撃的な場面で始まります。ミシェル自身は直ぐに警察に届けることなく、普段通りの不可解な生活を続けることから、彼女のその後の人生を決定づける過去の「事件」にまで遡ってストーリーが展開されます。

この映画では、恋愛好きのフランス人らしさが現れてます。いわば半径100メートル以内で男も女も関係を持ちたがり、何か、いくら作り物だとはいえ、「勘弁してほしいなあ」と呟いてしまいました(笑)。あまりにも人間的なドラマかもしれませんが。

異様に蠱惑的なミシェル役のユペールは1953年生まれですから、撮影時63歳ぐらいです。「えーー」と思ってしまいました。「人生100年時代」の到来が日本より先にフランスで始まってます(笑)。

脚本のダビド・ビルクの軽妙洒脱でエスプリの効いた科白は、恐らくハリウッド作品だったら実現できなかったかもしれません。フランス語の会話は、この私でも字幕を見ないで所々少し理解でき、2時間6分、パリで過ごせた気分でした(笑)。

俳優陣の肩肘を張らない、自然な振る舞いが、まるで演技をしていないかのように見えて良かったですね。

ほぼ全員、初めて見る俳優さんでしたが、隣人パトリック役ローラン・ラフィットと元夫リシャール役のシャルル・ベルランはフランスでは有名な俳優さんらしいですね。いつもヒステリー状態のミシェルの息子ヴァンサンの彼女ジョジー役のアリス・イサーズ(26)は、なかなかの美人さんで、この先伸びるんじゃないかなと思いました。彼女の出演作品のほとんどが日本では劇場未公開なので、恐らく日本ではあまり知られていないでしょうから、私が先鞭をつけておきます(笑)。

映画「関ケ原」は★★☆

今話題沸騰の映画「関ケ原」を観てきました。

どうしたものか、TOHOシネマズ日劇が来年で「店仕舞い」してしまうらしく、「それは大変だ」と思い、遠路遥々、東京・有楽町の日劇で観ることにしました。(恐らく、日比谷に新しくデッカい東宝のビルができるので、映画館はそこに移転するのでしょう。業界は東宝の一人勝ちですからね)

日劇といえば、李香蘭の帰国公演で観客が切符を求めて劇場を3周も囲むほど超満員だったことを思い起こします。あ、歴史の教科書に書いてあっただけですけどね。

 で、肝心の映画ですが、大いに期待し過ぎてコンを詰めて観たせいか、残念ながら期待値には達しませんでした。国民的作家司馬遼太郎の原作をそのまま、原田真人監督が脚本、映像化したせいなのか、関ケ原という天下分け目の歴史的戦いが、司馬遼の物語になってしまった感があり、台詞も聴き取りにくかったです。

あの複雑な人間関係ですから、ある程度の予備知識がないと恐らく理解できないと思いました。

司馬遼太郎の原作はもう40年ぐらい昔に読んだのですっかり忘れてしまいましたが、あんなに沢山のくのいちが出てきたかなあ、訝しく思いました。雇用対策、若い客寄せ戦略…?

合戦シーンは、ほとんどCGを使ってないと思われ、かなりのエキストラも出演して迫力があったので、評価できるのはそれぐらいですかね(苦‏笑)。

歴史にイフはなく、結果は分かってます。あくまでも義を尊ぶ石田三成(岡田准一)の目を通した関ケ原ですから、アンチ家康(役所広司)にはお勧めです。(それにしても、役所の増量ぶりは、ロバート・デニーロも吃驚)

点数は辛口ですが、映画評論家さんのように招待で観ているわけではないので、ご勘弁を。

サッカーW杯、日本代表おめでとう!

She’s a rainbow

昨晩のサッカーW杯最終予選、オーストラリア戦(さいたまスタジアム)、御覧になりましたか?

やりました。日本は来年のロシア大会本戦出場劵を獲得できました。6大会連続出場とはいえ、これまで、最終予選の初戦で敗れた国が本戦出場したことがなく、日本は予選でデカイ豪州には一度も勝ったことがなかったといいますから、本当によくやってくれました。

これでも私は、1980年から84年にかけてサッカー記者でした。当時はまだプロはなく、日本リーグの時代で試合の観客数は指で数えられる程ガラガラでした。

釜本の引退試合を取材したり、当時の日本代表のエースストライカーでドイツのプロチームに電撃移籍した尾崎に会いにビーレフェルトまで行ったことがあります。独占インタビュー記事は、「サッカーダイジェスト」誌に掲載されました!

だから、サッカー観戦はプロとして鍛えられたので、一家言の持ち主になってしまいました(笑)。

試合は選手が行うものですから、監督の采配4割、選手6割が普通だと思っておりましたが、昨日の豪州戦は、ハリルホジッチ監督の采配6割、選手4割と逆転しました。

思い切って若手をスタメンで使い、本田、香川、岡崎といったベテランの大スターを外しました。そして、その若手の21歳の井手口と22歳の浅野が大車輪の活躍で健闘したのですから、監督の采配はドンピシャリでした。

私は特に、井手口に注目しました。今回の日本代表登録選手23人中16人もが海外のチーム所属なのに、井手口はガンバ大阪所属で、代表戦これがわずか3試合目です。それなのに、セットプレーは全て彼に任せられ、運動量も半端でなく、ドリブル突破力もあり、豪州戦の2点目は、相手DF陣のプレッシャーによく耐えて、マラドーナを思い起こさせるような鮮やかなミドルシュートでした。

正直、私は井手口のことをよく知りませんでしたが、福岡市出身なんですね。応援に熱が入りそうです。

一方、勝負の世界は厳しく、いくら実績があるスター選手でも、試合に使ってもらえなければお話になりません。

監督も負ければ解雇が待ってますし、選手も伸るか反るかの勝負に懸けているからこそ、感動させてくれるのですね。

最近は、北朝鮮のミサイル発射などあまりいいニュースがなかったので、久し振りの朗報でした。

中村京蔵丈の夕べ

昨日から、因果応報、真景累ヶ淵のためにフェイスブックを始め、この渓流斎ブログと連結させてみました。

吃驚仰天するほどアクセスが急増するかと思いましたら、アッというほどそれほど、あんまし変わらず。不徳の致すところでございました。。。

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扨て、昨晩は梨園の中でただお一人、お友達になって下さった京屋さんこと中村京蔵 舞踊の夕べに、新御徒町の大心堂雷おこし「古代」を手土産に携えて足を運んでみました。

会場は、渋谷駅西口の渋谷区文化綜合センター大和田伝承ホール(6階)。運の悪いことに開場の5時半前ごろから急激な集中ゲリラ豪雨に襲われてしまい、生まれて初めて行くところですから、狼狽えてしまいずぶ濡れ、スニーカーもグジュグジュで、水も滴るいい男になってしまいました(笑)。

会場は、収容人数120人ぐらいのこじんまりとした劇場で、役者さんの表情がオペラグラスなしでよく見えて、雰囲気も良かったです。

京蔵丈は、一般の大学を卒業して国立劇場の研修生となり、四世中村雀右衛門丈の直弟子になった方です。小生が演劇記者だった20年前に知り合い、その頃はまだ若手の部類でしたが、今では幹部クラスとして大活躍されてます。

専門は、という言い方も変ですが、女方ですが、テレビのCMなどでコンピュータソフトの「奉行」の勘定奉行役として出演されていますので、御存知の方も多いでしょう。

昨晩の演目は、「道行初音旅」(義太夫連中)(静御前:中村京蔵、忠信実は源九郎狐:市川新十郎)、「あなめ 小町変相」(五條珠實振付)(小町の亡魂:中村京蔵、旅の男:江添皓三郎)、「風流浮世床」(常盤津連中)(浮世床のお京:中村京蔵、永木の源太:五條珠實)の豪華三本立て。

 「道行初音旅」は、人形浄瑠璃「義経千本桜」(延享4年=1747年初演)四段目の道行で、台詞がない舞踊でしたから、人形浄瑠璃を見ている感じでした。京蔵さん、赤姫役が似合ってました。

 「あなめ」は、平成20年10月に青山の銕仙会能舞台での再演(五度目)らしいですが、私は9年前の舞台も見ておりました。今回は旅の男を現代人という設定に変え、まさに幽玄的な世界になっておりました。あなめ、とは小町の亡霊が「あな目痛し…」と泣いたとか。

 「風流浮世床」は、式亭三馬び「浮世床」などを元に杉昌郎作の世話物舞踊。杉氏は「化政期の味わいを第一に心掛け、新しがることは一切排した」と言いますから、本当に江戸の文化文政時代にタイムスリップしたような気分になりました。一瞬だけ、江戸っ子になれました(笑)。

 三階席(はありませんでしたが)では、プロらしき大向こうさんが、しきりに「亰屋」「きょーや」と掛け声をかけておりました。

 掛け声で思い出すのは、11年前に亡くなった演劇評論家の萩原雪夫先生の言葉です。例えば、尾上菊五郎の屋号は「音羽屋」ですが、「『おとわや』なんて掛け声をかけるのは野暮なんですよ。『おとーわ』、いや、『おたーわ』や『あたーや』の領域にまで行けば通か粋です」

 確かに、江戸っ子は、宵越しの金は持たなくても、野暮は嫌い、粋に生きていたんでしょうね。

大宮盆栽美術館に初めて行って来ました

大宮盆栽美術館

盆栽の研修会で大宮盆栽美術館に初めて行って来ました。

ここは、世界で唯一の公営の盆栽美術館なんだそうです。2010年に開館し、昨年は5500人の入場があったとか。

盆栽は今、特に海外でブームで外国人観光客も多く訪れるそうで、その順番は、米国、中国、フランスの順。何で3位にフランスが入るのか意外でしたが、日本人より詳しい愛好家も多いようです。

盆栽というと、単なるミニチュアかと思ってましたが、かなり奥が深い伝統芸術でした。今回、わざわざ枝や幹を白骨化するジン・シャリという技法があることを初めて知りました。

御存知でしたら、かなりの盆栽通でしょう。

盆栽の木は、松系(五葉松が一番人気)とそれ以外の雑木(花梨、紅葉、梅など)と呼ばれるものがあります。大抵の樹齢は長いもので数百年ですが、蝦夷松ともなりますと、樹齢1000年と予想されるものがあり、吃驚。

この美術館の最古参らしいですが、蝦夷松は極寒の植物ですから、育ち方が遅い。盆栽の鉢に入る程度の大きさでも、ゆうに1000年は経っているということらしいですね。

盆栽趣味は、大隈重信が有名で、この美術館にも彼がかつて所有していた黒松(違ったかも=笑)も展示されてました。

政治家で言えば、他に岸信介、佐藤栄作兄弟も盆栽愛好家として有名らしいですね。

1960年代のブームは、この二人が作ったとか。

でも、孫筋の現首相は、あまり興味ないようですが。

「甘き人生」は★★★☆

祇園祭「後祭」で賑わう鉾町の一隅 Copyright par Kyoraque sensei

またまた、イタリアに行きたくなり、手元不如意だとそう何遍も簡単には行けないので、イタリア映画を観に行ってきました。

名匠マルコ・ベロッキオ監督の「甘き人生」です。会場の有楽町・スバル座は、昭和40年代の雰囲気をいまだに残す都心のオアシスです。何しろ、早いもん順で、座席指定なんかないんですから(笑)。アナウンスも「ごゆるとお寛ぎ下さい」などと明治時代の演歌調の口振りですからたまりません(笑)。朝一番で行ったらガラガラでした。

名匠ベロッキオとか宣伝されても、私は初めて観る彼の作品でした。日経の映画評で五つ星を獲得していたので、「これは絶対観なきゃあかん」と機会を狙っていたのです。

例によって、これから書くことは、内容に触れるか、観た人でなければ、さっぱり理解できないでしょうから、これからご覧になる方はこの辺で。。。。

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上映時間は2時間10分ということでしたが、随分長く感じられました。4時間ぐらいです。前半は、繰り返しのような場面が多く、緊張感が途切れて退屈してしまいました。

面白くなったのは、終了30分ぐらい前です。観客に1時間半我慢に我慢を重ねさせて、一気に弾けるといった感じです。これはハリウッドではできません。さすがイタリア映画です。

しかし、タイトルの「甘き人生」はどうにかならないもんですかね?恐らく、フェリーニの「甘い生活」(1960年)(こちらも主役は新聞記者)を文字ったのでしょうけど、原題は「Fai bei sogni(よい夢を)」。イタリア人ジャーナリストのマッシモ・グラメッリーニによるベストセラー自伝小説を映画化したものですから、配給宣伝部ももう少し考えても良かったのでは?

主人公の新聞記者のマッシモ(ヴァレリオ・マスタンドレア、44)は、1990年代初めのサラエボ内戦を取材し、イタリアに帰国するとパニック障害に襲われます。子供の頃、母親が急死し、その死因が分からないまま長年葛藤していた潜在意識が爆発した格好でした。

映画では、過去と現在を何度も往復するので、観るのが少し疲れてしまう場面もありましたが、主人公のマッシモがパニック障害で塞いでいた頃に、新聞の読者投稿に対して、その悩みに応える形で自分の少年時代の母親喪失体験を書いて、大反響を呼ぶ辺りから、やっと話が面白くなります。

主人公マッシオの相手役精神科医のエリーザ役は、アカデミー賞外国映画賞を獲得した「アーティスト」のヒロイン役を務めたベレニス・ベジョ(40)でした。

これは実話で、ベストセラーになった作品なので、イタリア人で知らない人は少ないのかもしれません。勿論、本と映画は違いますから、こういう「ワケのわからない」(笑)映画は、ボディーブローのように後になってから効いてくるものです。案外心の奥底に残る作品かもしれません。

「ハクソー・リッジ」は★★★★★

者ども、何と心得る!これが見えぬか?頭が高い!

昨日は、やっと映画「ハクソー・リッジ」(メル・ギブソン監督作品)を観てきました。

これまで、「プラトーン」「地獄の黙示録」「Dデイ」「ディア・ハンター」などかなり多くの戦争映画を観てきましたが、これほど戦死者をリアルに描いたものは初めてでした。あまりにもの惨たらさには途中で失神しそうになる程です。

以下は、これからこの映画をご覧になる方はネタバレになるのでお読みにならない方がいいかもしれません。

沖縄戦の前田高地(ハクソー=ノコギリ、リッジ=崖)の日米激戦区の話です。主人公は、自己の宗教心から武器を一切持たず、衛生兵として、75人もの負傷者を救出したデズモンド・ドスという実在の人物です。

彼がどうして、武器の使用を拒否して従軍したのか、幼い頃の彼の家庭環境などまで遡って描かれます。美しい看護師ドロシーとの出会いも、戦争の悲惨さと対比されてます。

大団円は、沖縄戦です。

メル・ギブソンは米国人か豪州人か知りませんが、やはり敵の日本人の描き方が、まるで、西部劇のインディアンです。日本軍は、訳の分からない言葉(馬鹿野郎など)をまくし立てて、戦略も知性も何もなく無謀に命を投げ捨てる自爆テロリストのような扱い方です。

一方の米軍は、統制が取れたカウボーイ軍団。正義の味方で、悪いジャップをやっつけるといった感じです。しかも圧倒的な戦力です。火炎放射器で日本軍兵士を焼き殺します。

しかし、彼らにはそれほどの大義があったんでしょうかねえ?

日本軍は、三八式歩兵銃で応戦していたのではないでしょうか。

推計の数字ですが、沖縄戦では、何と日本軍の戦力の10倍もあった米軍が55万人も押し寄せ、迎え討つ日本軍は、牛島満司令官、長諌参謀長以下10万人。犠牲者は、米国側は1万2520人。日本側はその15倍の18万8136人が亡くなったとみられています。このうち、沖縄県の一般の住民は9万4千人も亡くなっておりますが、映画では、住民の虐殺は一切出てきません。

映画は、「美談」の物語です。主人公が意地悪されたり、リンチされたりした仲間まで救ってしまうのですから、美談以外何物でもありません。

以上、最初から貶してばかりしておりましたが、この映画は、非常に考えさせる映画です。映像的に態とらしい表現が散見しましたが、素晴らしい出来栄えでした。実話でしたら、ストーリーをあまり脚色するわけにはいかないでしょう。映画史に残る、いや残さなければならない作品として私は押します。

ですから、最高点を付けます。

私も久しぶりに、大東亜共栄圏について非常に簡潔に書かれた文章があったので、次回はそのことを書きましょう。